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第3章 二頭
3 ツァリオ・シェルツキ・ガルドベンダ公爵閣下
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「明日にしろ。
今日の確認の時間は終わった」
おおよそ学者らしくない外見をしているが、かなり時計的に動く人物のようだ。
「し…しかし…ファルメニウス公爵家からの物でして…」
使用人の少し困った声が聞こえる。
「どこの家であろうと、同じだと言ったハズだ、いつもの所へ置いておけ!!」
他の家であるならば、ファルメニウス公爵家からの手紙と聞けば、即座に対応する
だろうが、あくまで自分のペースを崩さない辺り、やはりガルドベンダ公爵家と
ファルメニウス公爵家は同格という事だろう。
「わかりました…しかし、一つだけ…」
「なんだ?」
「この手紙には…かつて旦那様が、ファルメニウス公爵閣下に散々教えて欲しいと
懇願したことが書かれている…とだけお伝えを…と」
するとそれまで微動だにしなかった、ツァリオ公爵閣下の眉がピクリと動いた。
「……持ってこい」
抑揚のない声が響くと同時に、部屋の扉が開く。
入って来た執事から手紙を受け取ると、ツァリオ公爵閣下はすぐにペーパーナイフを
入れた。
「あなたが知りたがっていたことというと…例の風土病の手記に関することかしら」
「それ以外なかろう…もし違っていたら、とっちめてやるわ、あの若造!!
わしのルーティーンを崩しおって!!」
ツァリオ公爵閣下は手紙を開く。
「なんと?」
アイリン夫人の静かな声。
「やはり風土病の手記に関することだ…本の出所及び著者の正体について…条件をすべて飲むなら
開示すると言ってきおった」
「あらまあ、よかったじゃないですか。
して、条件とは…?」
「……明日我が家に来て、直接話すと。
そしてもし明日会えないなら…この話は永久凍結する…と」
「それはそれは…」
アイリン夫人の声は、常に静かだ。
「バドセット!!」
「はい、旦那様」
手紙を持って来た執事が静かに前に出る。
「明日朝一でアカデミーと研究所につかいを出せ!!
急用ができた故、そちらには赴かんと!!」
するとバドセットは少し困惑して、
「失礼ながら旦那様…明日はアカデミーに、特に身分の高い貴族の方々の来訪がございます。
研究所もしかりでございまして…」
するとツァリオ公爵閣下は振り向きもせず、
「バドセットよ…」
「はい旦那様」
「なぜ私がガルドベンダ公爵家の威光にすり寄ってくるだけの、ハイエナどものために…己の
探求心を我慢せねばならんのだ」
その声色は、先ほどの夫人とのやり取りと同じく、低いもの…だが、真逆の冷たさも同時に
はらんでいた。
「出過ぎたことを申しました…お言いつけ通りに…」
バドセットは静かに部屋を後にした。
「楽しみですねぇ…あの手記に関しては…私も全容を見てみたいと思っておりました」
「さすがだな。
お前はあの手記の美しさがわかったか」
「そりゃあ、あなたの妻ですもの」
おっちゃんの書記をギリアムが一部とはいえ公開した時…。
その評価はあまりよくなかった。
おっちゃんは私と同じような経緯なのだ。
難民で…最初は食うために、自分のために医療を学び出した。
だから文字や文法などは、学校でしっかり習ったわけではなく、医者の手伝いをして医療を
学ぶ傍ら、全て独学でやった。
ゆえに字も汚く、文法もどこかおかしいものが多い。
絵だって、詳細にわかりやすく書いてあるのだが、美しいキャンパスに書かれた画家の絵しか
見たことが無い人間からすれば、どこか粗野に見えてしまう。
まあ私は、お上品な絵よりおっちゃんの絵の方が、断然好きだけど。
「私は生涯で数多の本という本を読み漁ったが…大抵はどこか似通った中身のないものが多かった。
そんな本ばかりで少々辟易していた時…あの手記を見た」
「久しぶりに心が震えた…。
学問という枠を超え、人を助けるという、ただ一点の心意気を凝縮して作り出したもの…。
1人の人間の人生のすべて。
あの手記はまさに、その空気をありありと放っていた。
分厚い本でさえめったに発しないその空気を…たかだか10ページ程度の抜粋が放っているのだ。
全容を知りたいし、書いた人間にどんなことをしても会ってみたい…。
久々にそう思った」
「私もまったく同意見でした…でも…」
アイリン夫人は少し顔を曇らせ、
「わからない方が大半でしたね。
それどころか…ギリアム公爵閣下がこんな単純な文法の間違いをすることもあるのだと、バカにするものが
多くて…私も辟易してしまいましたわ」
「当たり前だ。
あ奴がそんな間違いなど起こすものか!!
だが…わしも気になったから、聞いてみたのだ…あ奴の頭をもってすれば、完璧な文法に書き換えるなど
造作もなき事」
「そしたらあいつめ、こう答えた。
アナタは多くの人を救い、今なお救い続けている一人の人間を…冒涜する気ですか?
と」
「そうでしたねぇ…。
無駄に年を喰って、頭でっかち、見栄っ張りになった方々より…よっぽど物が見えている」
「まあな、ただあ奴が文法の間違いを正さなかったからこそ…わしはあの手記が、抜粋であることに
いち早く気づいた」
「確かに…文法を綺麗に直されたら…わからなかったかもしれませんね」
そこまで話したツァリオ公爵閣下は、
「だからあらゆる手を使って、あ奴に交渉した…しかし…」
苦々しく顔をゆがませ
「あの、鉄面皮!!まったく崩れんかった!!」
咆哮する。
ファルメニウス公爵家の威光がガルドベンダ公爵家に効かないように、逆もまたしかり。
他の家ならどうとでもなったろうが、ファルメニウス公爵家だけはツァリオ公爵閣下の
好きにはできない。
ましてあのギリアムが、喋らないと決めたら、突き崩すことができるのはただ一人だけ。
そしてそのただ一人は、ツァリオ公爵閣下の交渉時には、まだいなかった。
「私もたびたび水を向けたのですが…一向に崩れませんでしたね」
夫婦二人で、同時にため息。
「でも…明日の話し合いがいい方向に行けば、最近の一番の楽しみになりそうですね。
ぜひ話し合いの結果を聞かせてくださいませ」
「ああ、そういえば…言っていなかったな」
ツァリオ公爵閣下は手紙を差し出し、
「明日の話し合い…お前の同席も必須だそうだ」
すると今まで穏やかだった夫人の顔が、ぱぁっと動き、
「まああ、嬉しい!!
少しは気が利くようになったじゃない、あの坊や!!」
この日ツァリオ公爵閣下の書斎には、かなり陽気な声がこだました。
----------------------------------------------------------------------------------
翌日昼直前…ガルドベンダ公爵家の応接間。
「時間の指定など一切しなかったのに、応じてくださるとは…。
もしや主義を変えましたか?」
そう言うギリアムは、ツァリオ公爵閣下に応じない選択肢が無いことを、しっかり
見抜いているようだった。
「フン…相変わらず口が減らんな…。
私は時間というものを何よりも重んじるが、同時に自分の興味のためなら時間という概念を
忘れるのだ。
知っておるくせに」
そんなことを言い合って、お互い不敵に笑う。
アイリン夫人はそんな2人を横目でみつつ、静かにツァリオ公爵閣下の隣に座っていた。
「では…この場に形式的な挨拶も、おべっかの言い合いも必要ないかと存じますので…、
本題に入らせていただきます」
「お前のそういうところは、利点だな」
私は…この場にいなかったけどさぁ…すっごいオーラみたいなのがビシビシ出ていたん
だろーなぁ。
「まずツァリオ公爵のご希望は…私が一部抜粋の状態で発表した手記の全容を見ることと…
手記の著者に会いたいという事でよろしいでしょうか?」
「間違いない」
かなり簡易的だが、重い声。
「ではそのご希望を叶えるためにこちらが出す条件は…全部で4つです」
「ほう…そんなに少なくてよいのか?」
「ええ、第一私の家に、他の方があなたの家に要求するようなものが、必要と思われますか?」
「確かに」
皮肉ったように笑う。
「①手記の著者は静かに暮らすことを望んでいますので、実名は秘匿・風貌の吹聴もしない事
②本の出版などについては、最終的に著者の意見を最大限尊重すること」
「その二つはすでに、以前お前に、私自ら言ったことと同じだが?」
「ええ、ですが…お忘れになっている場合もありますので」
「バカたれ!!己の探求心を満たすために、出した条件を忘れたら引退するわ!!」
悪態付きつつの交渉ではあるが、そんな些細なことは気にしないと言いたげな2人。
「では三つ目…。
2日後、このガルドベンダ公爵家で奥様が開くサロンに…我が婚約者、オルフィリア・ステンロイド
男爵令嬢を出席させていただくこと」
これは少し…予想外って反応だったっぽい。
そしたらバドセットが、
「ギリアム公爵閣下…失礼ながら、奥様のサロンへの募集要項をお渡しいた…」
気を利かせたつもりなんだろうが、
「お望みは出席だけですか?他には?」
遮るように、アイリン夫人が口を出す。
「正式な招待客として、出席を認めてもらえれば、それで結構です」
「わかりました。
出席者名簿に名前を入れておきます。
招待状も、この話し合いが終わり次第出させていただきます。
今日中にはファルメニウス公爵家に届くように」
バドセットさん、呆けていたらしい…。
時間と規律を何より重んじる人達らしいからなぁ…。
今日の確認の時間は終わった」
おおよそ学者らしくない外見をしているが、かなり時計的に動く人物のようだ。
「し…しかし…ファルメニウス公爵家からの物でして…」
使用人の少し困った声が聞こえる。
「どこの家であろうと、同じだと言ったハズだ、いつもの所へ置いておけ!!」
他の家であるならば、ファルメニウス公爵家からの手紙と聞けば、即座に対応する
だろうが、あくまで自分のペースを崩さない辺り、やはりガルドベンダ公爵家と
ファルメニウス公爵家は同格という事だろう。
「わかりました…しかし、一つだけ…」
「なんだ?」
「この手紙には…かつて旦那様が、ファルメニウス公爵閣下に散々教えて欲しいと
懇願したことが書かれている…とだけお伝えを…と」
するとそれまで微動だにしなかった、ツァリオ公爵閣下の眉がピクリと動いた。
「……持ってこい」
抑揚のない声が響くと同時に、部屋の扉が開く。
入って来た執事から手紙を受け取ると、ツァリオ公爵閣下はすぐにペーパーナイフを
入れた。
「あなたが知りたがっていたことというと…例の風土病の手記に関することかしら」
「それ以外なかろう…もし違っていたら、とっちめてやるわ、あの若造!!
わしのルーティーンを崩しおって!!」
ツァリオ公爵閣下は手紙を開く。
「なんと?」
アイリン夫人の静かな声。
「やはり風土病の手記に関することだ…本の出所及び著者の正体について…条件をすべて飲むなら
開示すると言ってきおった」
「あらまあ、よかったじゃないですか。
して、条件とは…?」
「……明日我が家に来て、直接話すと。
そしてもし明日会えないなら…この話は永久凍結する…と」
「それはそれは…」
アイリン夫人の声は、常に静かだ。
「バドセット!!」
「はい、旦那様」
手紙を持って来た執事が静かに前に出る。
「明日朝一でアカデミーと研究所につかいを出せ!!
急用ができた故、そちらには赴かんと!!」
するとバドセットは少し困惑して、
「失礼ながら旦那様…明日はアカデミーに、特に身分の高い貴族の方々の来訪がございます。
研究所もしかりでございまして…」
するとツァリオ公爵閣下は振り向きもせず、
「バドセットよ…」
「はい旦那様」
「なぜ私がガルドベンダ公爵家の威光にすり寄ってくるだけの、ハイエナどものために…己の
探求心を我慢せねばならんのだ」
その声色は、先ほどの夫人とのやり取りと同じく、低いもの…だが、真逆の冷たさも同時に
はらんでいた。
「出過ぎたことを申しました…お言いつけ通りに…」
バドセットは静かに部屋を後にした。
「楽しみですねぇ…あの手記に関しては…私も全容を見てみたいと思っておりました」
「さすがだな。
お前はあの手記の美しさがわかったか」
「そりゃあ、あなたの妻ですもの」
おっちゃんの書記をギリアムが一部とはいえ公開した時…。
その評価はあまりよくなかった。
おっちゃんは私と同じような経緯なのだ。
難民で…最初は食うために、自分のために医療を学び出した。
だから文字や文法などは、学校でしっかり習ったわけではなく、医者の手伝いをして医療を
学ぶ傍ら、全て独学でやった。
ゆえに字も汚く、文法もどこかおかしいものが多い。
絵だって、詳細にわかりやすく書いてあるのだが、美しいキャンパスに書かれた画家の絵しか
見たことが無い人間からすれば、どこか粗野に見えてしまう。
まあ私は、お上品な絵よりおっちゃんの絵の方が、断然好きだけど。
「私は生涯で数多の本という本を読み漁ったが…大抵はどこか似通った中身のないものが多かった。
そんな本ばかりで少々辟易していた時…あの手記を見た」
「久しぶりに心が震えた…。
学問という枠を超え、人を助けるという、ただ一点の心意気を凝縮して作り出したもの…。
1人の人間の人生のすべて。
あの手記はまさに、その空気をありありと放っていた。
分厚い本でさえめったに発しないその空気を…たかだか10ページ程度の抜粋が放っているのだ。
全容を知りたいし、書いた人間にどんなことをしても会ってみたい…。
久々にそう思った」
「私もまったく同意見でした…でも…」
アイリン夫人は少し顔を曇らせ、
「わからない方が大半でしたね。
それどころか…ギリアム公爵閣下がこんな単純な文法の間違いをすることもあるのだと、バカにするものが
多くて…私も辟易してしまいましたわ」
「当たり前だ。
あ奴がそんな間違いなど起こすものか!!
だが…わしも気になったから、聞いてみたのだ…あ奴の頭をもってすれば、完璧な文法に書き換えるなど
造作もなき事」
「そしたらあいつめ、こう答えた。
アナタは多くの人を救い、今なお救い続けている一人の人間を…冒涜する気ですか?
と」
「そうでしたねぇ…。
無駄に年を喰って、頭でっかち、見栄っ張りになった方々より…よっぽど物が見えている」
「まあな、ただあ奴が文法の間違いを正さなかったからこそ…わしはあの手記が、抜粋であることに
いち早く気づいた」
「確かに…文法を綺麗に直されたら…わからなかったかもしれませんね」
そこまで話したツァリオ公爵閣下は、
「だからあらゆる手を使って、あ奴に交渉した…しかし…」
苦々しく顔をゆがませ
「あの、鉄面皮!!まったく崩れんかった!!」
咆哮する。
ファルメニウス公爵家の威光がガルドベンダ公爵家に効かないように、逆もまたしかり。
他の家ならどうとでもなったろうが、ファルメニウス公爵家だけはツァリオ公爵閣下の
好きにはできない。
ましてあのギリアムが、喋らないと決めたら、突き崩すことができるのはただ一人だけ。
そしてそのただ一人は、ツァリオ公爵閣下の交渉時には、まだいなかった。
「私もたびたび水を向けたのですが…一向に崩れませんでしたね」
夫婦二人で、同時にため息。
「でも…明日の話し合いがいい方向に行けば、最近の一番の楽しみになりそうですね。
ぜひ話し合いの結果を聞かせてくださいませ」
「ああ、そういえば…言っていなかったな」
ツァリオ公爵閣下は手紙を差し出し、
「明日の話し合い…お前の同席も必須だそうだ」
すると今まで穏やかだった夫人の顔が、ぱぁっと動き、
「まああ、嬉しい!!
少しは気が利くようになったじゃない、あの坊や!!」
この日ツァリオ公爵閣下の書斎には、かなり陽気な声がこだました。
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翌日昼直前…ガルドベンダ公爵家の応接間。
「時間の指定など一切しなかったのに、応じてくださるとは…。
もしや主義を変えましたか?」
そう言うギリアムは、ツァリオ公爵閣下に応じない選択肢が無いことを、しっかり
見抜いているようだった。
「フン…相変わらず口が減らんな…。
私は時間というものを何よりも重んじるが、同時に自分の興味のためなら時間という概念を
忘れるのだ。
知っておるくせに」
そんなことを言い合って、お互い不敵に笑う。
アイリン夫人はそんな2人を横目でみつつ、静かにツァリオ公爵閣下の隣に座っていた。
「では…この場に形式的な挨拶も、おべっかの言い合いも必要ないかと存じますので…、
本題に入らせていただきます」
「お前のそういうところは、利点だな」
私は…この場にいなかったけどさぁ…すっごいオーラみたいなのがビシビシ出ていたん
だろーなぁ。
「まずツァリオ公爵のご希望は…私が一部抜粋の状態で発表した手記の全容を見ることと…
手記の著者に会いたいという事でよろしいでしょうか?」
「間違いない」
かなり簡易的だが、重い声。
「ではそのご希望を叶えるためにこちらが出す条件は…全部で4つです」
「ほう…そんなに少なくてよいのか?」
「ええ、第一私の家に、他の方があなたの家に要求するようなものが、必要と思われますか?」
「確かに」
皮肉ったように笑う。
「①手記の著者は静かに暮らすことを望んでいますので、実名は秘匿・風貌の吹聴もしない事
②本の出版などについては、最終的に著者の意見を最大限尊重すること」
「その二つはすでに、以前お前に、私自ら言ったことと同じだが?」
「ええ、ですが…お忘れになっている場合もありますので」
「バカたれ!!己の探求心を満たすために、出した条件を忘れたら引退するわ!!」
悪態付きつつの交渉ではあるが、そんな些細なことは気にしないと言いたげな2人。
「では三つ目…。
2日後、このガルドベンダ公爵家で奥様が開くサロンに…我が婚約者、オルフィリア・ステンロイド
男爵令嬢を出席させていただくこと」
これは少し…予想外って反応だったっぽい。
そしたらバドセットが、
「ギリアム公爵閣下…失礼ながら、奥様のサロンへの募集要項をお渡しいた…」
気を利かせたつもりなんだろうが、
「お望みは出席だけですか?他には?」
遮るように、アイリン夫人が口を出す。
「正式な招待客として、出席を認めてもらえれば、それで結構です」
「わかりました。
出席者名簿に名前を入れておきます。
招待状も、この話し合いが終わり次第出させていただきます。
今日中にはファルメニウス公爵家に届くように」
バドセットさん、呆けていたらしい…。
時間と規律を何より重んじる人達らしいからなぁ…。
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