ひとまず一回ヤりましょう、公爵様4

木野 キノ子

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第1章 変態

2 太陽の家での珍騒動2

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「皆さんは、ここにいてください!!」

「フィリー!!」

私は急いで外に出た。

あれ?
護衛騎士は?

いつもの人たちの姿が見えず…。
でも、探している暇はない。

ひとまず大人より、子供が優先!!

私は悲鳴のした方角に、一気に走り出す。
無事でいてよぉ…お願いだからっ!!

声のした方向に行けば…。

「おねぇちゃーん」

良かった!!無事だ。
双子ちゃんズ。

「どうしたの?何があったの?どうしてこんなところに?」

「わかんない~」

「目の前が急に暗くなって…そしたらここにいた~」

とりあえず怪我はないようで、安堵した。

ここは倉庫と倉庫の間で、乱雑にモノが置いてあるから、袋小路状態になっている。
今度本格的に整理しないと…。

「とにかく…みんなのいるところに帰ろう。
そこでじっとして…」

そこまで言った私は…私達以外の人の気配で思わず振り返った。
袋小路の出口に立っている…3人の男…。
私は咄嗟にナミとミナを、背中に入れる。

「何か…御用でしょうか?」

こういう時こそ、冷静に…ね。

「ああ…そうだよ。アンタに用があるんだ、オルフィリア・ステンロイド」

敬称をつけないってことは…あまり私をよく思ってないみたいね…。
何とか…ナミとミナだけでも…安全な所にやらなきゃ…。

「オレらと…」

そう言って彼らは自分のマントの前をめくる。

「遊んでくれねぇか?」

マントの下は…シャツ1枚、下丸出し…。
それが目に入った時の、わたくしの正直な感想は…。

あ~ら、どこの世界でも、変態さんのやることって、結構共通なんだなぁ…だ。

う~ん…前世の私なら、害が無くて金払いがいいなら、遊んでやってもいいんだけど…。
実際私、変態さんにそういう交渉して、太客にしたことあったし…。

けど、この世界じゃさぁ…アンタら私に指一本でも触れたら…間違いなくウチのわんこに
殺されるよ?うん。

っつーわけで、私の口から出た言葉が…、

「それであなた方は…私にどんな反応をご希望ですか?」

だったわけよ。

だからさ~、呆けないで希望を言ってっての。
私、娼婦時代に大抵の変態プレイは経験済みだからさ~。
シチュエーションとか言葉攻めも含めて…体に触れさせる以外なら、対応可よ?

なんて思いながら、返答を待ってるんだけどね?
何だかあっちの方が、慌てだしてるねぇ…私何か間違った対応したか?
あくまでお客様と思って、誠心誠意アンタらの希望に沿おうと思ってるんだけどねぇ。

そんな時だった…。

「フィリー!!良かった!!大丈夫!!」

「え?ちょっ…!!マギー!!建物の中にいてって言ったでしょ!!」

「だ、だって…心配で…」

その時3人の男が、全員マギーの方に向きを変えた…。

やばいっ!!

「きゃああああぁぁああああぁあ――――――――――――――――――っ!!」

いやもうね…。
すっごい声だったなぁ…。
うん。

「どうしたぁ!!マギー!!」

おや、ローカス卿…近くにいたんだ。

「ロッッ、ローカス様ぁぁっ―――――――――――ッ!!
へっ、変な人たちがぁ――――――――――っ!!」

ローカス卿に抱きつき、叫びながら泣き出した。
そんなマギーにどぎまぎしつつ、慰めるローカス卿。

「おい、アンタ!!」

へ?わたくし?

「見たか!!あれが淑女の反応じゃないのかっ!!なぁっ!!」

えーと…男の股間見て…悲鳴上げて、泣き出す…か。

「あの~、私最初に言いましたよね?
そういう反応がご希望でしたら、言ってくだされば、対応いたしましたのに」

もう本当にね…前世の接客顔が出てきちゃってたなぁ。
すっごい淡々と言ったから。
あ、ちなみに私、淑女の悲鳴とか振りとかすっごくうまいから、満足させられる自信あるよぉ。
実際お客様には好評やった。

「わぁ~ん、本当にアンタ、何なんだよぉぉ~」

あやや、いい男3人が泣き出しちゃったよ。

「おい、マギー…本当にどうしたんだよ?
何があったんだ?」

ローカス卿の位置からは、男3人の出で立ちが見えないようだ。
マギーは相変わらず泣いているだけだし…。

「おい、お前ら!!マギーに何しやがった!!」

ローカス卿…怒ってんなぁ…。

「何もしとらんよぉ…ただ…」

おーい3バカ男~、得意げになってないで…逃げた方がいいぞぉ…。
てか、泣いてたかと思ったら…変わり身はえーな。

「我らの姿を…見せただけだぁ!!」

決めポーズ作って、ローカス卿に見せてらぁ…。
何だかなぁ…。
変態さんの中でも、特に変な連中やな。

「何なんだあぁぁっ!!
てめぇらぁ―――――――――――――――――――――――っ!!」

まあ、当然の反応だね。

「我々は…淑女に卑猥なものを見せ、楽しむ会の会員だ!!」

へー、そんなのあるんだぁ…。
ちょっと調べてみたいなぁ…ギリアムに、あくまで治安維持のため…って言えば、調べて
くれそうだしぃ。
私は完全に傍観者の立ち位置に立っていた。

「ふっざけんなぁぁ――――――――――――――――――っ!!」

マギーが胸の中に居なかったら…とっくにけちょんけちょんにされてるんだろうなぁ…この
変態3羽ガラス…。

「そんなことより、聞いてくれ!!兄ちゃん!!」
オルフィリア・ステンロイドと来たら!!」

「俺たちのこの姿に…ちっとも反応してくれなくて…!!」

「その時のオレたちの虚しさと来たら…わかってくれるか、兄ちゃん!!」

イヤ…そもそも何でローカス卿に同意を求めるのかね?
頭ウジ湧いているな、確実に。
うーん…前世の変態さんとは別パターン…興味深いなぁ…。
で、ローカス卿の答えは、

「ひとっ欠片もわからねぇし、わかりたくもねぇよ!!
てめえらみてぇな、変態野郎どものキモチなんざぁ!!
とっとと、その汚ねぇもん、しまえやぁ――――――――――っ!!」

「や、でーす」

ありゃ…完全にバカにしてるよ…。
怖いもの知らずね。

「全員そこになおれやぁぁ―――――――――――――――っ!!」

顔がもうね…青筋しかない状態だよ…うん。
ローカス卿って、ゆるく見えるけど、根は凄くまじめだからなぁ。
切り捨てる気だなぁ…うん。

男3人は…あ~、自分たちが窮地に陥ってるの、全然わからないみたい。
バカ顔しつつ、股間全開で踊ってる…。

うーん、でも…。
なんか変なんだよなぁ…。
変態さんって大抵…自分の行為が世の中に受け入れられないものだって、わかってるから…。
特定のイベントとか…やっていい場以外では、静かにしている事多いんだよね。
だれも警察になんか、捕まりたくないし…。

こっちの世界だって例外じゃない。
この3人みたいな行為をやったら、王立騎士団の牢屋行きだよ、確実に。

「ちょっと、大丈夫!!凄い声が聞こえたけど!!」

ありゃ…ジュリアまで来ちゃったよ。

「……ぎゃ――――――――――――――――――っ!!
何この変態たちはぁ―――――――――――――――――――――――――っ!!」

流石に泣いたりしないが…青い顔して叫んでる…。

「ど、どうしたの?ジュリア…。
フィリーは見つかったの?」

げ、レイチェル…ちょっとまずい…。

「わ―――――――っ!!レイチェル、見ちゃダメ――――――――――っ!!
失神しちゃう!!」

ジュリアがレイチェルの目を塞いでくれた。

「一体、どうしたぁ!!」

ありゃ、ベンズ卿も来ちゃったよ。

「あなたぁぁっっっ!!
さっさとその変態どもを捕えてください!!さっさと!!早く!!」

ベンズ卿が見れば、やっぱり変態踊りを遂行するバカ3人…。

「わりいな、ベンズ卿…。
オレがやりてぇんだが、マギーがすっごく震えてて、振り払うのも…だったからよ」

「いえ…わかりました…すべて私にお任せください」

――――――――――間―――――――――――――

哀れ(でもないなぁ)変態3羽ガラスは、瞬く間に簀巻きにされ、市場のマグロのように、
転がされる羽目になった…。
マギー・ジュリア・レイチェル…そして双子ちゃんズはみんなの所に行ってもらう。
私も…と、言われたが、私はここの総責任者でもあるので、残った。

「一体全体、何がしたくてこんな事しやがったんだ?全く…」

全く理解できないし、しようとも思っていないローカス卿。

「ひとまず…王立騎士団には使いを出しましたから…捕えに来るでしょう。
後は任せればよいかと…」

まあねぇ…。
王宮内ならまだしも、民間で起こった事件は王立騎士団の担当だし。

「ねぇ、あのさ!!」

私は変態3羽ガラスに話しかける。

「オルフィリア嬢!!危険です」

いや…前世の私の勘では、危険はないよ。
本当に危険なのは、いっつもニコニコ愛想よくて、急に刃物で刺してくるような奴よ。
実際…私の客で…いたからさぁ。
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