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第1章 茶会

5 舐めやがったら、容赦せんよ

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ったく…このヘドネも舐められたもんだ。
ま、舐めた代償は、キッチリ払ってもらうけどね。

私は改めてバカ王女を見据え、

「失礼ながら、レティア王女殿下…」

大きく息を吸い、

「おっしゃってることの意味が、全く!!わかりません」

あ、全くって所は特に大きくハッキリと…ね。

「な…なんですって…」

なんだ、本当にぎょっとしとるね。
イヤ、どうしてそもそも私が、よりによってアンタを頼ると
思ったんだよ?

「私は預けるようなことなど、何もございません」

「な…」

「私は最初から最後まで、嘘など一切ついておりませんから!!」

するとバカ王女の顔が、どんどん険しくなる。

あ~、ようやっと、笑顔って仮面を脱ぎ捨てたかぁ。
その顔だよ、その顔、まさしくアンタの素顔。
私のブローチとドレスに嫉妬し、絶対に許さない、奪ってやるって
思ってた時の、あの顔だ。

「嘘など一切言っていない…その言葉は本当ですか?」

「はい、もちろん!」

「己の名に懸けて、誓えますか?」

「はい!!」

すると王女は、ふうっとため息をつき、

「仕方ないわねぇ…あなたのために、黙っていようと思ったの
だけど…」

ハイ、また出ました、イミフ!!

「実は…私の護衛のために、林の中には近衛騎士が2名いたのよ」

へ~~~~(棒)。

「ほ…本当ですか?レティア王女殿下!!」

「それではその方々に聞けば…」

「この際です!!ハッキリさせましょう!!」

野次馬令嬢、色めきたっとるね~。

クレアは…なんか顔が青いな。
なるほど、王女とは連動していないのか…って、タニアおばはん
近づいて耳打ちしとるがな。
あ、顔明るくなった。
なるほど、バカ王女と連動しとったのは、タニアおばはんか。

「どういたします?オルフィリア嬢」

「はい?」

ああ、私があほくさーと思って、クレアたちに焦点あててたのを
途方にくれたと思ったのか。

「これでもまだ、私の提案を」

「受けません!!」

メンドいから切った。
とっとと近衛騎士でも、国王陛下でも呼べや。

「私は一切嘘をついておりません!!」

バカ王女は唇をかんだ。

「わかりました、オルフィリア嬢」

バカ王女が指示を出すと、すぐさま近衛騎士が2名現れた。

「グラン卿、ナーリス卿、あなたたちが見たことを、包み隠さず
話してちょうだい」

「はい」

「私たちは林の中から、ずっとお茶会の会場を見ていました。
そうしましたら…、笑顔で近づくフェイラ嬢にオルフィリア嬢が
いきなりお茶をかけて…大変驚きました」

ハーイ、アンタらもグルですか、そうですか。
つーか護衛がよぉ、王女のいないお茶会の会場をずっと見て
たってのは、無理があんだけど?
職務怠慢疑われても、おかしくない状況よ?

しっかし近衛騎士までグル要員とは…これはさすがに予想できな
かったわ~。
使わずに済ませたかった、最終兵器を使うしかないかなぁ、
こりゃー。
ただ、問題は…。

どこで使うかなんだよねー。

バカ王女がいるから、近衛騎士がいること自体はおかしくない。
職務怠慢のみじゃ、企みを暴くために、追い詰める材料としちゃ
弱いのよね~。

「私はねぇ…」

なんだよ、バカ王女。
私にこれ以上、何か言う事あるのかぃ?

「建国記念パーティーであなたに迷惑をかけたこと…とても反省
しているの」

う~そ~こ~け~。

「だから私の提案に乗ってくれれば、悪いようにはしないつもり
でいたのだけれど…」

悪いようにしかしない…の、間違いだろが、ボケ!!

「ではグラン卿、ナーリス卿、オルフィリア嬢を近衛騎士団の
取調室にお連れしなさい」

…………………………………。

はい?

ちょっとまて、待て!!

それ、かなーりモンダイあり!!

わかってるよね?

あ、説明します。
貴族の令嬢・夫人を取調室に連れていく場合は、かなり厳格な
規則がある。
まず取調室に連行する前に、家人に連絡を取り、2人以上を付き
添わせる。
これは騎士・令嬢&婦人、双方が襲った、襲われたなどの問題、
濡れ衣を含め、出さないようにするためだ。
つまり令嬢一人を騎士二人が、そのまま取調室(密室)に連行
するなど、かなり重大な規則違反だ。

「オルフィリア嬢、こちらへ」

オイオイ、まじかー。

「お…お待ちください。
私をすぐに連行するのですか?」

「ええ」

シレっと答えんな!!

「それは重大な規則違反です!!
まさかご存じないわけは、ありませんよね」

すると2人はやっぱりシレっと、

「通常はそうです…、しかし例外がありますので…」

「今回がその例外に当たると?」

「はい」

澱みなく答える2人。
まあ、一般の令嬢はこの例外について、詳しく知らんかもだけど
私は建国記念パーティーで、ベンズ卿から聞いて、知ってんのよ。

今回は明らかに、例外に該当せん!!

まあ、こいつらの狙いはわかっている。
建国記念パーティーで、ギリアムがいかに私を大事にしているか、
見せつけたから…。
ギリアムに反感を持っているんなら、実際手を出すかはさておき、
悪評ぐらい作り出したくて、しょうがないんだろーな。

「ならば、例外とは何かを、教えてください。
教えてくださるまで、私はここを動きません」

ちなみに私のこの行動は、何ら問題ないよ。
逃げるそぶりを見せなければ、その場にとどまるのはあり。
家人呼ばない、あっちに問題があるんだから。

すると2人は…

「ですから!!そういったお話は、全て取調室で聞きます
ので!!」

口調がかなりきつめになる。
焦ってるな、うん。
そりゃそうだよね。
いくらバカ王女の庇護の元とはいえ、規則違反しているのは、
自分たちだから、少なくとも人目のあるこの場所からは、早く
去りたいだろう。

なんて思っていたら、

「!!!」

何といきなり、1人に腕を掴まれた。

ハイ、規則違反2つ目!!

どうしても必要と判断できる場合でない限り、令嬢及び夫人の
体に触れてはいけない!!

「ほらっ!!さっさと歩け!!手間かけさせるな!!」

腕を掴んでいないもう1人も、腕を掴むことを止めるどころか、
乱暴な口調で、私に怒鳴りつけた。

私が最終兵器に、指示を出そうとしたその時だ。

「うっ!!」

私を掴んでいた男が、自身の腕を抑えてうずくまる。
血ぃ出とるから、腕に何か当たった?

同時に、

「何をしとるか、貴様ら――――――――――――!!」

いや耳をつんざくって、マジでこれですよこれ。
この咆哮!!

咆哮の主は…ベンズ卿???

イヤこれマジ驚いた。
本当に本当の想定外!!
何でいるのってカンジ!!

私はこのお茶会で初めて、あっけにとられる顔をしてしまった。
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