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第4章 交流
6 レベッカの言
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レベッカよ…事実無根の事を、どう説明する気だい?
あの場には…目撃者多数いたぞ。
「王女殿下…正確には、オルフィリア公爵夫人が投げつけた訳ではありません…」
ほう…やはりそこは否定するか。
「オルフィリア公爵夫人がしたことは…ギリアム公爵閣下に指示して…投げつけさせたのです。
それは…私の父の足に当たり、父は…大分痛みに苦しみました…」
……やっぱりレベッカは、バカ王女よりレベルが上だな。
私がギリアムに耳打ちしたのは目撃されているし…、ジョノァドの足に当てたのも事実…。
ギリアムの力で思い切りぶち当てられたんだ…痛みに苦しんだのも本当だろう…。
けどよ!!ジョノァドはそれ以上の痛み苦しみを、ギリアムに長期間与え続けたんだぜ?
それを思えば…むしろ軽すぎるわ!!
「まあ、ヒドイ!!ギリアムもかわいそうね…。こんなしょーもない非道な女に騙されて…。
早く目を覚まさせてあげなきゃ…ね」
すっごい身振り手振りを大げさにしてる…。
私は…口元を扇子で隠し、
「どうして…私が指示した…とおっしゃるのですか?レベッカ嬢」
名誉棄損事項だぞ。
「最初ギリアム公爵閣下は…ポリネア嬢とラファイナ嬢を狙っていました…。
ですが…オルフィリア公爵夫人が耳打ちした直後…私の父を狙ったもので、そう判断いたし
ました…」
「つまり…アナタの憶測だと?」
「そうなります…しかし…状況がそうだと言っているように思えましたので…。
違うと言うなら、その証拠はおありでしょうか?」
……やっぱり突き崩すの…大変だな、こいつは。
人生一度目なら、よくもまぁここまでになれたもんだよ。
それだけに残念だ…。
ジョノァドなんぞの娘に生まれなければな…。
それに…ゾフィーナはさっきから一言も喋らない…。
私を見極めるのが、今回の主目的か…。
突けるなら突くが、突けないなら黙ってる…ってとこだな。
「私は…ギリアムに聞いて下さいとしか、申し上げられませんねぇ…」
「あら…?ギリアムはアナタに騙されているんだから、アナタを庇うと思うわ…。
そんなものが証拠になるはずないじゃない?」
バカ王女…笑いながらこれ見よがしに、出てきおった。
「私が…騙している…ですか?ではそれも…、ギリアムに真実か聞いてみましょう」
作り笑いは得意じゃ、わたしゃ。
「まあ…強いて言えば、ジョノァド・スタリュイヴェ侯爵は…だいぶギリアムの意に反することを
行ってしまいましたからねぇ。
そういった人間に、好感が持てないのも、致し方ありません」
これも…真実なんて言う必要はない。
2人の性格をよく知る人間にとっては…、容易に連想できることだ。
「父は…ファルメニウス公爵家の為に、幼いころから尽力いたしましたし、私や兄たちにも、
ファルメニウス公爵家の為に尽くすよう、徹底して教えて参りました…。
大変な忠臣であったと、断言いたします」
レベッカは…私の目を真っすぐ見ている…。
抑揚のない声が、あくまで真実であると…聞く者に思わせる力がある…。
やれやれ…。
「……そもそも、忠臣の定義とは何でしょうねぇ…。尽力したことを認めないとは言っておりませんよ。
ただ…その尽力の仕方が、当主の意に反したものであれば…徒労に終わるし、感謝もされない…と、
言っているだけです」
私も…にこやかな表情を崩さず、平常心で言ってのける…。
「アナタねぇ!!さっきからああ言えばこう言うばかりじゃない!!
潔くないのは、味方を失くすわよ!!」
それがわかってるなら、自身の行いを正せや、バカ王女…。
もうアンタに、何言われても響かねぇよ。
「王女殿下…潔くするのが大切とは、思っておりますよ…。
ただ…人には色々な考えや、見方があるから、それによって取り方が変わります…と、申している
だけでございます。
黙って何も言わず、うつむいているのが潔いとは、私は思いませんので…」
「それを屁理屈って言うのよ!!」
そうだぜ、テメェの得意技だろうが!!
「だいたいアナタ!!ケイシロン公爵家の結婚問題に、大分口を挟んだそうじゃない!!
身分が下の人間に対してとはいえ、越権行為も甚だしいと思わないの!!
していい事じゃないわ!!ねぇ、レベッカ!!」
……わかっちゃいたが、開いた口が塞がらんわ…。
それもテメェの得意技だろうが…。
「ええ…そうですね。王女殿下…。
近衛騎士団関係者の間で…だいぶ不必要な混乱が広がっております。
それについてどうお思いでしょうか…?
ルリーラ公爵夫人、マーガレット小公爵夫人…」
やっぱりレベッカはやり手だな…。
私を突き崩すのは難しいと判断して、標的を変えたか…。
蚊帳の外から、いきなり中に放り込まれた2人は…。
「いえね…私も…ローカスに聞くまで、全くそんな素振りが無くて…。
随分と驚きましたわ…」
エリーラよ…真実だけど…そのまま言わんでもいいと思ふ…。
「そうだったのですね…それは大層驚かれたことでしょう…。
でも…ルリーラ夫人は地方で療養されておりましたので、お耳に入りずらくなっても致し方
ございませんね…」
ルリーラには…敵意を向けないのか…。
そういや、ルリーラの実家も公爵家だって話だったな…。
レベッカは…ルリーラに言うと改めて…、
「ごきげんよう、マーガレット小公爵夫人…。
お会いするのは初めてでございますね…。
私の兄が…現在近衛騎士団に所属している関係で、今日は参加させていただきました。
今後の関係もございますので…、ぜひどういった経緯で知り合ったかなど、お聞かせ
頂きたく存じます…。
ローカス小公爵様のお心を射止めたのですから…、さぞデビュタントも盛大におやりに
なったのでしょうねぇ…。
その話などもぜひ…」
ふん…。さすがに下調べは万全…ってか?
知り合った場所は、フィリアム商会の施設…つまり私の関与がいくらでも示唆できる。
それにギャラクシル侯爵家…特に義母は、マギーを一生家の中で、自分たちのいいように
操る気でいた。
マトモなデビュタントなんざ、させたとは思えない。
「私…刺繍が得意で…、狩猟大会でハンカチを送って…その御縁で…」
……やばいなぁ。
施設で知り合ったこと、正直に言ったほうが、まだいい。
ただ…貴族の中には、慈善活動に批判的なのも、それなりにいるからなぁ…。
それを警戒したのか…。
ギャラクシル侯爵家なんて、その最たる所だったろう。
実家の事は…自慢できたもんじゃないから、口に出したくなかったろうし。
でも、ローエンじい様やローカスは、あきらかに慈善活動肯定派なんだから、それをうまく
とって、言えばいいだけだぞ。
ただ…狩猟大会でのこと…ローカスはマギーに正確には言っていないだろう。
他の女からハンカチ出されたなんて、言いたくないだろうし。
しかし悪い事に、レベッカは刺繡入りハンカチを、ローカスに贈ったが、全く相手にされなかった
のを…、2人きりならまだしも、多数に目撃されている。
マギーの言葉は…レベッカに恥をかかせたも同然だ。
レベッカは…薄ら笑いを浮かべながら、
「まあ…ローカス小公爵様を射止めるなんて…とても刺繡がお上手なんですねぇ…。
今度ぜひ、手ほどきを受けたいですわぁ…」
あーあーあー、これを受けると…あることないこと言われるの、目に見えてるなぁ…。
は~、しゃあねぇ。
「そうなんてすよ、レベッカ嬢!!マーガレット夫人は、大変刺繍がお上手で…。
人に教えるのもうまいんです。
今度私も教えてもらおうかと思っておりますので、ぜひご一緒しましょう。
マーガレット夫人も、嫁いだばかりで慣れないでしょうから…2人一緒に教えるなら、
効率も時間も取らず、失礼にならないでしょうから…」
「あら…オルフィリア公爵夫人のご要望でしたら、単独で時間くらい、いくらでも作る
べきかと思いますが…」
レベッカもいつの間にか、扇子で口元隠してら…。
「まあレベッカ嬢!!
…先ほどのレティア王女殿下のお言葉…お聞きになっていなかったのですか?
身分が下であれ、失礼になることは…避けた方が賢明と思われます。
ましてマーガレット夫人は新婚なのですから、気を使ってしかるべきですわぁ。
それとも…レベッカ嬢は無作法なことをするのを、ご希望なのでしょうか?」
私も扇子で口元隠して…眼だけにっこりと…ね。
「そうは申し上げておりませんわ。
ただ…マーガレット夫人とオルフィリア公爵夫人は…大変親しいとお伺いいたしましたので、
わたくしが邪魔をするのも…と、思いましてね」
「まあ、でしたら遠慮は無用ですわよ。
むしろ…仲がいい人間と一緒の方が、全く知らない人間と2人きりになるより、マーガレット夫人も
気安く誘いやすいと思いますよぉ…」
両者一歩も譲らず…ってな、まさにこのことだろうなぁ…。
私とレベッカが…バチバチに火花を散らしていること…わかる人間はわかるだろうなぁ。
ただ…肝心のケイシロンの2人…わかっているんだか、わかっていないんだか…まごまごしている
だけに見える…。
マギーはしょうがないとして、ルリーラ…アンタは社交界で、それなりにやって来たんじゃないのか?
「ひとまず…これから近衛騎士団関係で、お話することも多いでしょうから、段々と親交を
深めていってはいかがでしょうか?レベッカ嬢…。
アナタとてまだお若いのですから…時間はたっぷりあるでしょうに…」
完全に…関係性を切れないのが、痛い所だな…。
「そうですねぇ…。
私もいきなりの情報に、驚いてしまいましたので…。
確かに急ぎ過ぎましたかねぇ…」
否定も肯定もせず…か。手ごわいな…ホントに。
「ちょっと、レベッカ!!そんなことはどうでもいいのよ!!
オルフィリア公爵夫人がケイシロン公爵家に、いらない関与をしてひっかきまわしたことを、
言及するのが先でしょう!!」
おーい、バカ王女よぉ…。
テメェは本当に…会うたびにバカに磨きがかかっているなぁ…。
レベッカの押し引きは…かなり完璧に近いぜ?
「どうなのよ!!ルリーラ夫人!!マーガレット夫人!!」
凄い剣幕…。
「申し訳ございません…、王女殿下…。
色々な報告が後になってしまった事は、申し訳なく思っておりますが…。
現時点では、ローカス共々、マーガレットは教育中でございますので…。
いずれ正式なお披露目の場にて、お話はさせていただきたく存じます」
深々と頭を下げるルリーラ…。
まあ、バカには自分が下に出る方が、正解なこと多いけど…。
中央の大バカはどうでもいいとして…脇の2人は明らかに力があるから…。
ちと心配やな。
「だから!!そんなことはどうでもいいの!!
オルフィリア公爵夫人がどうかかわったのか、話をしなさいって言ってるの!!」
激情に駆られたバカ王女が…そんな抽象的な説明じゃ、引くわけない…。
「王女殿下…少し落ち着いてくださいませ…。
そのように顔を歪ませては、せっかくの美貌が台無しでございますよ…」
おや、ゾフィーナが出てきよった。
さて…私も…コイツの力ははかっておきたいからな…。
ひとまず言を聞こうか…。
あの場には…目撃者多数いたぞ。
「王女殿下…正確には、オルフィリア公爵夫人が投げつけた訳ではありません…」
ほう…やはりそこは否定するか。
「オルフィリア公爵夫人がしたことは…ギリアム公爵閣下に指示して…投げつけさせたのです。
それは…私の父の足に当たり、父は…大分痛みに苦しみました…」
……やっぱりレベッカは、バカ王女よりレベルが上だな。
私がギリアムに耳打ちしたのは目撃されているし…、ジョノァドの足に当てたのも事実…。
ギリアムの力で思い切りぶち当てられたんだ…痛みに苦しんだのも本当だろう…。
けどよ!!ジョノァドはそれ以上の痛み苦しみを、ギリアムに長期間与え続けたんだぜ?
それを思えば…むしろ軽すぎるわ!!
「まあ、ヒドイ!!ギリアムもかわいそうね…。こんなしょーもない非道な女に騙されて…。
早く目を覚まさせてあげなきゃ…ね」
すっごい身振り手振りを大げさにしてる…。
私は…口元を扇子で隠し、
「どうして…私が指示した…とおっしゃるのですか?レベッカ嬢」
名誉棄損事項だぞ。
「最初ギリアム公爵閣下は…ポリネア嬢とラファイナ嬢を狙っていました…。
ですが…オルフィリア公爵夫人が耳打ちした直後…私の父を狙ったもので、そう判断いたし
ました…」
「つまり…アナタの憶測だと?」
「そうなります…しかし…状況がそうだと言っているように思えましたので…。
違うと言うなら、その証拠はおありでしょうか?」
……やっぱり突き崩すの…大変だな、こいつは。
人生一度目なら、よくもまぁここまでになれたもんだよ。
それだけに残念だ…。
ジョノァドなんぞの娘に生まれなければな…。
それに…ゾフィーナはさっきから一言も喋らない…。
私を見極めるのが、今回の主目的か…。
突けるなら突くが、突けないなら黙ってる…ってとこだな。
「私は…ギリアムに聞いて下さいとしか、申し上げられませんねぇ…」
「あら…?ギリアムはアナタに騙されているんだから、アナタを庇うと思うわ…。
そんなものが証拠になるはずないじゃない?」
バカ王女…笑いながらこれ見よがしに、出てきおった。
「私が…騙している…ですか?ではそれも…、ギリアムに真実か聞いてみましょう」
作り笑いは得意じゃ、わたしゃ。
「まあ…強いて言えば、ジョノァド・スタリュイヴェ侯爵は…だいぶギリアムの意に反することを
行ってしまいましたからねぇ。
そういった人間に、好感が持てないのも、致し方ありません」
これも…真実なんて言う必要はない。
2人の性格をよく知る人間にとっては…、容易に連想できることだ。
「父は…ファルメニウス公爵家の為に、幼いころから尽力いたしましたし、私や兄たちにも、
ファルメニウス公爵家の為に尽くすよう、徹底して教えて参りました…。
大変な忠臣であったと、断言いたします」
レベッカは…私の目を真っすぐ見ている…。
抑揚のない声が、あくまで真実であると…聞く者に思わせる力がある…。
やれやれ…。
「……そもそも、忠臣の定義とは何でしょうねぇ…。尽力したことを認めないとは言っておりませんよ。
ただ…その尽力の仕方が、当主の意に反したものであれば…徒労に終わるし、感謝もされない…と、
言っているだけです」
私も…にこやかな表情を崩さず、平常心で言ってのける…。
「アナタねぇ!!さっきからああ言えばこう言うばかりじゃない!!
潔くないのは、味方を失くすわよ!!」
それがわかってるなら、自身の行いを正せや、バカ王女…。
もうアンタに、何言われても響かねぇよ。
「王女殿下…潔くするのが大切とは、思っておりますよ…。
ただ…人には色々な考えや、見方があるから、それによって取り方が変わります…と、申している
だけでございます。
黙って何も言わず、うつむいているのが潔いとは、私は思いませんので…」
「それを屁理屈って言うのよ!!」
そうだぜ、テメェの得意技だろうが!!
「だいたいアナタ!!ケイシロン公爵家の結婚問題に、大分口を挟んだそうじゃない!!
身分が下の人間に対してとはいえ、越権行為も甚だしいと思わないの!!
していい事じゃないわ!!ねぇ、レベッカ!!」
……わかっちゃいたが、開いた口が塞がらんわ…。
それもテメェの得意技だろうが…。
「ええ…そうですね。王女殿下…。
近衛騎士団関係者の間で…だいぶ不必要な混乱が広がっております。
それについてどうお思いでしょうか…?
ルリーラ公爵夫人、マーガレット小公爵夫人…」
やっぱりレベッカはやり手だな…。
私を突き崩すのは難しいと判断して、標的を変えたか…。
蚊帳の外から、いきなり中に放り込まれた2人は…。
「いえね…私も…ローカスに聞くまで、全くそんな素振りが無くて…。
随分と驚きましたわ…」
エリーラよ…真実だけど…そのまま言わんでもいいと思ふ…。
「そうだったのですね…それは大層驚かれたことでしょう…。
でも…ルリーラ夫人は地方で療養されておりましたので、お耳に入りずらくなっても致し方
ございませんね…」
ルリーラには…敵意を向けないのか…。
そういや、ルリーラの実家も公爵家だって話だったな…。
レベッカは…ルリーラに言うと改めて…、
「ごきげんよう、マーガレット小公爵夫人…。
お会いするのは初めてでございますね…。
私の兄が…現在近衛騎士団に所属している関係で、今日は参加させていただきました。
今後の関係もございますので…、ぜひどういった経緯で知り合ったかなど、お聞かせ
頂きたく存じます…。
ローカス小公爵様のお心を射止めたのですから…、さぞデビュタントも盛大におやりに
なったのでしょうねぇ…。
その話などもぜひ…」
ふん…。さすがに下調べは万全…ってか?
知り合った場所は、フィリアム商会の施設…つまり私の関与がいくらでも示唆できる。
それにギャラクシル侯爵家…特に義母は、マギーを一生家の中で、自分たちのいいように
操る気でいた。
マトモなデビュタントなんざ、させたとは思えない。
「私…刺繍が得意で…、狩猟大会でハンカチを送って…その御縁で…」
……やばいなぁ。
施設で知り合ったこと、正直に言ったほうが、まだいい。
ただ…貴族の中には、慈善活動に批判的なのも、それなりにいるからなぁ…。
それを警戒したのか…。
ギャラクシル侯爵家なんて、その最たる所だったろう。
実家の事は…自慢できたもんじゃないから、口に出したくなかったろうし。
でも、ローエンじい様やローカスは、あきらかに慈善活動肯定派なんだから、それをうまく
とって、言えばいいだけだぞ。
ただ…狩猟大会でのこと…ローカスはマギーに正確には言っていないだろう。
他の女からハンカチ出されたなんて、言いたくないだろうし。
しかし悪い事に、レベッカは刺繡入りハンカチを、ローカスに贈ったが、全く相手にされなかった
のを…、2人きりならまだしも、多数に目撃されている。
マギーの言葉は…レベッカに恥をかかせたも同然だ。
レベッカは…薄ら笑いを浮かべながら、
「まあ…ローカス小公爵様を射止めるなんて…とても刺繡がお上手なんですねぇ…。
今度ぜひ、手ほどきを受けたいですわぁ…」
あーあーあー、これを受けると…あることないこと言われるの、目に見えてるなぁ…。
は~、しゃあねぇ。
「そうなんてすよ、レベッカ嬢!!マーガレット夫人は、大変刺繍がお上手で…。
人に教えるのもうまいんです。
今度私も教えてもらおうかと思っておりますので、ぜひご一緒しましょう。
マーガレット夫人も、嫁いだばかりで慣れないでしょうから…2人一緒に教えるなら、
効率も時間も取らず、失礼にならないでしょうから…」
「あら…オルフィリア公爵夫人のご要望でしたら、単独で時間くらい、いくらでも作る
べきかと思いますが…」
レベッカもいつの間にか、扇子で口元隠してら…。
「まあレベッカ嬢!!
…先ほどのレティア王女殿下のお言葉…お聞きになっていなかったのですか?
身分が下であれ、失礼になることは…避けた方が賢明と思われます。
ましてマーガレット夫人は新婚なのですから、気を使ってしかるべきですわぁ。
それとも…レベッカ嬢は無作法なことをするのを、ご希望なのでしょうか?」
私も扇子で口元隠して…眼だけにっこりと…ね。
「そうは申し上げておりませんわ。
ただ…マーガレット夫人とオルフィリア公爵夫人は…大変親しいとお伺いいたしましたので、
わたくしが邪魔をするのも…と、思いましてね」
「まあ、でしたら遠慮は無用ですわよ。
むしろ…仲がいい人間と一緒の方が、全く知らない人間と2人きりになるより、マーガレット夫人も
気安く誘いやすいと思いますよぉ…」
両者一歩も譲らず…ってな、まさにこのことだろうなぁ…。
私とレベッカが…バチバチに火花を散らしていること…わかる人間はわかるだろうなぁ。
ただ…肝心のケイシロンの2人…わかっているんだか、わかっていないんだか…まごまごしている
だけに見える…。
マギーはしょうがないとして、ルリーラ…アンタは社交界で、それなりにやって来たんじゃないのか?
「ひとまず…これから近衛騎士団関係で、お話することも多いでしょうから、段々と親交を
深めていってはいかがでしょうか?レベッカ嬢…。
アナタとてまだお若いのですから…時間はたっぷりあるでしょうに…」
完全に…関係性を切れないのが、痛い所だな…。
「そうですねぇ…。
私もいきなりの情報に、驚いてしまいましたので…。
確かに急ぎ過ぎましたかねぇ…」
否定も肯定もせず…か。手ごわいな…ホントに。
「ちょっと、レベッカ!!そんなことはどうでもいいのよ!!
オルフィリア公爵夫人がケイシロン公爵家に、いらない関与をしてひっかきまわしたことを、
言及するのが先でしょう!!」
おーい、バカ王女よぉ…。
テメェは本当に…会うたびにバカに磨きがかかっているなぁ…。
レベッカの押し引きは…かなり完璧に近いぜ?
「どうなのよ!!ルリーラ夫人!!マーガレット夫人!!」
凄い剣幕…。
「申し訳ございません…、王女殿下…。
色々な報告が後になってしまった事は、申し訳なく思っておりますが…。
現時点では、ローカス共々、マーガレットは教育中でございますので…。
いずれ正式なお披露目の場にて、お話はさせていただきたく存じます」
深々と頭を下げるルリーラ…。
まあ、バカには自分が下に出る方が、正解なこと多いけど…。
中央の大バカはどうでもいいとして…脇の2人は明らかに力があるから…。
ちと心配やな。
「だから!!そんなことはどうでもいいの!!
オルフィリア公爵夫人がどうかかわったのか、話をしなさいって言ってるの!!」
激情に駆られたバカ王女が…そんな抽象的な説明じゃ、引くわけない…。
「王女殿下…少し落ち着いてくださいませ…。
そのように顔を歪ませては、せっかくの美貌が台無しでございますよ…」
おや、ゾフィーナが出てきよった。
さて…私も…コイツの力ははかっておきたいからな…。
ひとまず言を聞こうか…。
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