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第3章 因縁
10 マギー実家の不穏な動き
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「一体どうして、そんなに仕事が遅いんだ!!前と同じどころか、量を減らしたんだぞ!!」
夜闇が完全にあたりを包んだころ…、叫んでいるのは、ギャラクシル侯爵家当主の、
ゴドリエ・ギャラクシルだった…。
「前は完璧にできた上、提案や予想も、見事に的中していただろうが!!
それなのに最近は…振るわないどころか、目も当てられない!!」
「お荷物にかかる金が無くなったから…これから潤うだけだというのに、出費ばかり
増える一方じゃないか!!
チェイルはこれ以上、金を使うんじゃない!!!」
「え~~~、ヒドイ、お父様!!チェイルは新婚なんですよ!!物入りなんですよ!!」
「今まで買った分が、沢山あるだろうが!!」
「新婚なのに、古着を着ろというのですか!!」
「袖を一回通しただけで、古着にするつもりなら、しっかり仕事をして、金を稼げっ!!」
言っていることは父親の方が真っ当なんだけど…どっちもどっちだよ。
怒鳴られるだけ怒鳴られて、父親の執務室を追い出される、チェイルと母親。
「お母様!!なんで私達、こんな目にあってるの!!
アテノ(婿)にも、色々買ってあげるって、約束しちゃったんだから!!」
「わかっているわよ!!
私だって今度の舞踏会で、せめてドレス位新調しなきゃ…」
母親が親指の爪を噛みながら、顔を歪ませている。
…切羽詰まっている理由が、全く同情できない。
「相手の家に乗り込んで、お姉様に…」
「バカをおっしゃい!!仮にもケイシロン公爵家なのよ!!
簡単に手出しは出来ない!!」
「そもそもどうして、お姉様がケイシロン公爵閣下とお知り合いだったわけ!!
接点ないじゃん!!
お姉様だけ、ズルい!!
私が会っていれば、絶対私になびいたはずなのよ!!
アテノと同じように!!」
ぶっすーっと、ふくれっ面を作るが、そんなことしたって何になるやら?
「今はそれどころじゃないでしょ!!
何とかマギーを連れ戻すなり…仕事を秘密裏にやらせるなりしないと…」
「普通に手紙書いて、頼めばいいじゃん」
「もう何通も出しているけど、返事が全く来ないのよ!!」
そりゃそーだ。
実家からの手紙は、ローカスも目を通した上で、全破棄しているからね。
今じゃマギーも毒が抜けて、封も開けずに捨ててるってさ。
「じゃあ、どうすればぁ~」
泣き出した…。
泣く前に、色々自分でやってみようと思わんのかね?
「ひとまず…私の知り合いに…その手の相談によく乗ってくれる人がいるから…ちょっと待って
いなさい!
ああ…仕事はしっかりやるのよ!!」
「なんで~、わかんない、こんなの!!
私の役目は、アテノとイチャイチャ優雅に過ごして、この家の跡取りを生むことだけでしょ~」
「ふりでもいいから、やっていないと、また怒鳴られるわよ!!」
「ふえ~ん」
2人がそんな話をしている時だった。
「おーい、チェイル~」
その声に思わず駆け出したチェイルは、
「アテノ~、お帰りなさ~い。どうしたの?」
今さっきまで泣いていたのに、もう笑っている。
「オマエとオレの結婚式のペアルックと…招待客用の贈呈品を頼んできたんだ!!」
そう言って見せてきた見積書は…、
「何ですか!!これは!!当初の予定の10倍以上になっているわよ!!
おまけに招待客も…この人数は何ですか!!」
母親が詰め寄ると、
「え~、だって…ケイシロン公爵閣下が来るって言ったら、みんな来たいって言い出したんで~。
ちょうどいいじゃないですか。
ウチの宣伝になれば、商売繫盛間違いなしですよ~」
アテノは…いかにもチャラ男らしい、思考の持ち主の様だ。
「ところで…ケイシロン公爵閣下とは、いつお会いできるんですか?
ウチの実家の連中も、ぜひ会いたいってせっつかれてて…。
正式な結婚式前に、ご挨拶せねばって言っていますから、出来るだけ早くお願いしま~す」
終始へらへらしている。
「ん~、そうだよね…。
忙しいみたいで、手紙がなかなか帰ってこないんだけど…」
「え~、なら、尋ねていけばいいじゃないか。
可愛い妹が来たら、絶対歓迎してくれるぜ?オレも一緒に行こうか?」
思考がもう…ついていけない。
まあ、こいつは…。
いい所しか聞いていないんだろうな。
「バカを言っていないで、さっさと仕事をしなさい!!2人とも!!
チェイル!!私が行動を起こすまで、おとなしくしているんですよ!!」
母親はそれだけ吐き捨てると、さっさと行ってしまった。
「お母様、なんであんなにカリカリしているんだぁ?」
「ん~、お姉様が手紙なかなか返さないし…。
お姉様の分の仕事も大変みたい」
「お前の姉さんて…仕事してないんじゃなかったのか?」
「それが…お母様がやらせていたことが、あったみたいなのよぉ~。
それを…全然やらずに、出て言っちゃったみたいだからさ~」
すると…アテノが何か、良からぬことを思いついたみたいで、
「じゃあさぁ、これから尋ねていって、その事をしっかり話した方がいいんじゃないか?
ケイシロン公爵家って…そういう事には厳しいみたいだぜ?」
するとチェイルもハッとなって、
「そっかー、そうだね~。
お姉様の分は、しっかりとお姉様にやるように…向こうの家からも言ってもらった方が
いいよね~」
何だか…まさに似たもの夫婦って感じ…。
バカ2人がつるんで仲良くするのはいいけどさ…。
人に迷惑かけるな……無理か、バカだから。
しっかし、ギャラクシル侯爵家は…マギーがいなくなって2週間ぐらいのハズなのに、
もう傾き始めたか…。
まあ、私が私の所に来る日までに、どうしてもやっておかねばならない仕事以外は、放棄しろと
指示したのもデカいな。
何やら悪巧みしているみたいだが…さてさてどうなるか…。
-------------------------------------------------------------------------------------------
「私の実家の人間は、追い返すよう指示したでしょう!!」
マギーが…珍しく声を荒げている。
「申し訳ございません…私が気付いた時には、すでに応接間にお通ししていたようで…」
エトルが深々と頭を下げる。
「だったら…お帰り頂いて!!」
マギー実家の人間は基本無視の方向で行こうって、ローカスとマギーは相談して決めてあるからね。
「しかし…ルリーラ様より、しっかりお相手するように…と…」
かなり言いづらそう…。
やっぱり現当主がローカスである以上、マギーを優先すべきなんだろうけど…。
この家はローエンじい様の力が…一番強いからなぁ。
まだ認められていないマギーは…、かなり宙ぶらりんの状態だ。
マギーは…少し頭を抑えつつ、
「わかったわ…ただ、エトルに一つやって欲しい事がある」
「わかりました、何でしょうか?」
エトルに指示をしたマギーは…まずは着替えの部屋へ。
そして…お客用の衣服に着替え、応接間へと行く。
扉の前で深呼吸し、
(大丈夫…私は…出来る…、大丈夫…)
と、呪文のように唱え、開いた扉の中へ…。
マギーが中に入ると…。
「あ~、やっと来た!!遅いわよ!!お姉様」
チェイルがかなりぷんすかしながら、詰め寄るが…。
「座りなさい。チェイル…」
落ち着いた、ゆっくりとした声で話す。
「え?ちょっと、どうしちゃったのよぉ?」
明らかな友達口調…というか、自分が上だとでも言いたげだが、
「今の私はケイシロン公爵夫人なのよ…わかっているの?
アナタとはもう、立場が違うの」
あくまで…諭す様に静かに…。
上位の夫人が、無礼講を許せば、チェイルのいい方もある程度は許されるが、マギーは
許可していない。
「何よそれ~、偉ぶってないで、さっさと戻ってきてよ。
仕事が滞っちゃって、しょうがないんだからね」
改める気は、全くないようだ。
「それはもう…私の考える事じゃなくて、ギャラクシル侯爵家を継いでいく、アナタが
考える事よ」
マギーは…かなり心臓がバクバクしているが、表には出さないよう、頑張っている。
「いいから、とっとと一緒に来て!!」
マギーの答えは聞かずに、マギーの腕を引っ張り、扉の方に向かおうとする。
かなり失礼な行為なんだけど…アテノもちっとも止める気配はない。
マギーは…掴まれている手を、かなり強引に振りほどく。
「チェイル!!仮にも上位の夫人に対して、失礼でしょ!!
アテノ卿も…見ていないで、止めてください!!
アナタはもう…ギャラクシル侯爵家の一員なのですから、処罰が及びますよ!!」
口調は穏やかに…と言っても、かなり強めにはなっていた。
「え~、やだな、お義姉さん。
単純に…仲良くしようとしているだけですよ~。
ウチにだって、今度遊びに来て下さいよ~、歓迎しますから~」
かなり…ニタニタしている。
コイツの仲良くと歓迎は…かなり下卑た意味になると、誰もがわかる。
「ほらー、強情張らないで、さっさとおいでよ~。
どうせこっちでだって、馴染めなくて惨めな思いしているんでしょ?」
「バカを言わないでちょうだい。
ギャラクシル侯爵家より、よっぽどこっちの方が居心地がいいわ!!
もう二度と、ギャラクシル侯爵家に帰る気は無いから、お父様とお義母様にも、そう
言っておいてちょうだい!!」
これは…まがう事なくマギーの本心だろう。
ケイシロン公爵家に来て、やったことを正当に評価してもらった事と、毒実家から離れた
ことで、毒がどんどん抜けているからね。
夜闇が完全にあたりを包んだころ…、叫んでいるのは、ギャラクシル侯爵家当主の、
ゴドリエ・ギャラクシルだった…。
「前は完璧にできた上、提案や予想も、見事に的中していただろうが!!
それなのに最近は…振るわないどころか、目も当てられない!!」
「お荷物にかかる金が無くなったから…これから潤うだけだというのに、出費ばかり
増える一方じゃないか!!
チェイルはこれ以上、金を使うんじゃない!!!」
「え~~~、ヒドイ、お父様!!チェイルは新婚なんですよ!!物入りなんですよ!!」
「今まで買った分が、沢山あるだろうが!!」
「新婚なのに、古着を着ろというのですか!!」
「袖を一回通しただけで、古着にするつもりなら、しっかり仕事をして、金を稼げっ!!」
言っていることは父親の方が真っ当なんだけど…どっちもどっちだよ。
怒鳴られるだけ怒鳴られて、父親の執務室を追い出される、チェイルと母親。
「お母様!!なんで私達、こんな目にあってるの!!
アテノ(婿)にも、色々買ってあげるって、約束しちゃったんだから!!」
「わかっているわよ!!
私だって今度の舞踏会で、せめてドレス位新調しなきゃ…」
母親が親指の爪を噛みながら、顔を歪ませている。
…切羽詰まっている理由が、全く同情できない。
「相手の家に乗り込んで、お姉様に…」
「バカをおっしゃい!!仮にもケイシロン公爵家なのよ!!
簡単に手出しは出来ない!!」
「そもそもどうして、お姉様がケイシロン公爵閣下とお知り合いだったわけ!!
接点ないじゃん!!
お姉様だけ、ズルい!!
私が会っていれば、絶対私になびいたはずなのよ!!
アテノと同じように!!」
ぶっすーっと、ふくれっ面を作るが、そんなことしたって何になるやら?
「今はそれどころじゃないでしょ!!
何とかマギーを連れ戻すなり…仕事を秘密裏にやらせるなりしないと…」
「普通に手紙書いて、頼めばいいじゃん」
「もう何通も出しているけど、返事が全く来ないのよ!!」
そりゃそーだ。
実家からの手紙は、ローカスも目を通した上で、全破棄しているからね。
今じゃマギーも毒が抜けて、封も開けずに捨ててるってさ。
「じゃあ、どうすればぁ~」
泣き出した…。
泣く前に、色々自分でやってみようと思わんのかね?
「ひとまず…私の知り合いに…その手の相談によく乗ってくれる人がいるから…ちょっと待って
いなさい!
ああ…仕事はしっかりやるのよ!!」
「なんで~、わかんない、こんなの!!
私の役目は、アテノとイチャイチャ優雅に過ごして、この家の跡取りを生むことだけでしょ~」
「ふりでもいいから、やっていないと、また怒鳴られるわよ!!」
「ふえ~ん」
2人がそんな話をしている時だった。
「おーい、チェイル~」
その声に思わず駆け出したチェイルは、
「アテノ~、お帰りなさ~い。どうしたの?」
今さっきまで泣いていたのに、もう笑っている。
「オマエとオレの結婚式のペアルックと…招待客用の贈呈品を頼んできたんだ!!」
そう言って見せてきた見積書は…、
「何ですか!!これは!!当初の予定の10倍以上になっているわよ!!
おまけに招待客も…この人数は何ですか!!」
母親が詰め寄ると、
「え~、だって…ケイシロン公爵閣下が来るって言ったら、みんな来たいって言い出したんで~。
ちょうどいいじゃないですか。
ウチの宣伝になれば、商売繫盛間違いなしですよ~」
アテノは…いかにもチャラ男らしい、思考の持ち主の様だ。
「ところで…ケイシロン公爵閣下とは、いつお会いできるんですか?
ウチの実家の連中も、ぜひ会いたいってせっつかれてて…。
正式な結婚式前に、ご挨拶せねばって言っていますから、出来るだけ早くお願いしま~す」
終始へらへらしている。
「ん~、そうだよね…。
忙しいみたいで、手紙がなかなか帰ってこないんだけど…」
「え~、なら、尋ねていけばいいじゃないか。
可愛い妹が来たら、絶対歓迎してくれるぜ?オレも一緒に行こうか?」
思考がもう…ついていけない。
まあ、こいつは…。
いい所しか聞いていないんだろうな。
「バカを言っていないで、さっさと仕事をしなさい!!2人とも!!
チェイル!!私が行動を起こすまで、おとなしくしているんですよ!!」
母親はそれだけ吐き捨てると、さっさと行ってしまった。
「お母様、なんであんなにカリカリしているんだぁ?」
「ん~、お姉様が手紙なかなか返さないし…。
お姉様の分の仕事も大変みたい」
「お前の姉さんて…仕事してないんじゃなかったのか?」
「それが…お母様がやらせていたことが、あったみたいなのよぉ~。
それを…全然やらずに、出て言っちゃったみたいだからさ~」
すると…アテノが何か、良からぬことを思いついたみたいで、
「じゃあさぁ、これから尋ねていって、その事をしっかり話した方がいいんじゃないか?
ケイシロン公爵家って…そういう事には厳しいみたいだぜ?」
するとチェイルもハッとなって、
「そっかー、そうだね~。
お姉様の分は、しっかりとお姉様にやるように…向こうの家からも言ってもらった方が
いいよね~」
何だか…まさに似たもの夫婦って感じ…。
バカ2人がつるんで仲良くするのはいいけどさ…。
人に迷惑かけるな……無理か、バカだから。
しっかし、ギャラクシル侯爵家は…マギーがいなくなって2週間ぐらいのハズなのに、
もう傾き始めたか…。
まあ、私が私の所に来る日までに、どうしてもやっておかねばならない仕事以外は、放棄しろと
指示したのもデカいな。
何やら悪巧みしているみたいだが…さてさてどうなるか…。
-------------------------------------------------------------------------------------------
「私の実家の人間は、追い返すよう指示したでしょう!!」
マギーが…珍しく声を荒げている。
「申し訳ございません…私が気付いた時には、すでに応接間にお通ししていたようで…」
エトルが深々と頭を下げる。
「だったら…お帰り頂いて!!」
マギー実家の人間は基本無視の方向で行こうって、ローカスとマギーは相談して決めてあるからね。
「しかし…ルリーラ様より、しっかりお相手するように…と…」
かなり言いづらそう…。
やっぱり現当主がローカスである以上、マギーを優先すべきなんだろうけど…。
この家はローエンじい様の力が…一番強いからなぁ。
まだ認められていないマギーは…、かなり宙ぶらりんの状態だ。
マギーは…少し頭を抑えつつ、
「わかったわ…ただ、エトルに一つやって欲しい事がある」
「わかりました、何でしょうか?」
エトルに指示をしたマギーは…まずは着替えの部屋へ。
そして…お客用の衣服に着替え、応接間へと行く。
扉の前で深呼吸し、
(大丈夫…私は…出来る…、大丈夫…)
と、呪文のように唱え、開いた扉の中へ…。
マギーが中に入ると…。
「あ~、やっと来た!!遅いわよ!!お姉様」
チェイルがかなりぷんすかしながら、詰め寄るが…。
「座りなさい。チェイル…」
落ち着いた、ゆっくりとした声で話す。
「え?ちょっと、どうしちゃったのよぉ?」
明らかな友達口調…というか、自分が上だとでも言いたげだが、
「今の私はケイシロン公爵夫人なのよ…わかっているの?
アナタとはもう、立場が違うの」
あくまで…諭す様に静かに…。
上位の夫人が、無礼講を許せば、チェイルのいい方もある程度は許されるが、マギーは
許可していない。
「何よそれ~、偉ぶってないで、さっさと戻ってきてよ。
仕事が滞っちゃって、しょうがないんだからね」
改める気は、全くないようだ。
「それはもう…私の考える事じゃなくて、ギャラクシル侯爵家を継いでいく、アナタが
考える事よ」
マギーは…かなり心臓がバクバクしているが、表には出さないよう、頑張っている。
「いいから、とっとと一緒に来て!!」
マギーの答えは聞かずに、マギーの腕を引っ張り、扉の方に向かおうとする。
かなり失礼な行為なんだけど…アテノもちっとも止める気配はない。
マギーは…掴まれている手を、かなり強引に振りほどく。
「チェイル!!仮にも上位の夫人に対して、失礼でしょ!!
アテノ卿も…見ていないで、止めてください!!
アナタはもう…ギャラクシル侯爵家の一員なのですから、処罰が及びますよ!!」
口調は穏やかに…と言っても、かなり強めにはなっていた。
「え~、やだな、お義姉さん。
単純に…仲良くしようとしているだけですよ~。
ウチにだって、今度遊びに来て下さいよ~、歓迎しますから~」
かなり…ニタニタしている。
コイツの仲良くと歓迎は…かなり下卑た意味になると、誰もがわかる。
「ほらー、強情張らないで、さっさとおいでよ~。
どうせこっちでだって、馴染めなくて惨めな思いしているんでしょ?」
「バカを言わないでちょうだい。
ギャラクシル侯爵家より、よっぽどこっちの方が居心地がいいわ!!
もう二度と、ギャラクシル侯爵家に帰る気は無いから、お父様とお義母様にも、そう
言っておいてちょうだい!!」
これは…まがう事なくマギーの本心だろう。
ケイシロン公爵家に来て、やったことを正当に評価してもらった事と、毒実家から離れた
ことで、毒がどんどん抜けているからね。
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