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第一章 邂逅
6 馬車の中にて
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翌日。
ドレスがビリビリに破れた私は、公爵様の予備の服を拝借した。
私の乗ってきた馬車は元々借りものなので、元の場所に直接帰ってもらう
ことにして、私は公爵様の強い希望で公爵様の馬車で家に送ってもらう
こととなった。
んで、馬車の中。
ひじょーに気まずい、重苦しい空気のせいで、窒息しそうだ…うん。
何でこうなったか?
大雑把に言えば(言わずとも)、ほとんど私の自業自得だ。
昨日の夜あれだけいたしたにも関わらず、朝にも一回ヤってしまった。
これはですね、うん。
私が朝起きたらですね。
横にガチ好みのイケメンマッチョが素っ裸で寝てるわけですよ、うん。
自慢じゃないが私はですね。
置かれた据え膳は皿までどころか盆まで喰らいつくす人間なのよ。
(↑ホントに自慢にナラネーな…)
だから目の前にあるマッチョな体に、自分の体をすりすりしながら、
吸い付くようなキスを何回もしてたら、最初は寝たふりしていた公爵様も
ついには限界になってしまったようで、結局行為に至ったと…。
ただ、やることやり終わって、流石に帰らねばとなった時…。
やはり処女の体に、かなりきつい無理をさせた影響が出てしまい、
私はまっすぐ歩けなかった。
さらにすべてが終わった後に、ベッドが流血スプラッタになっていることに
気付いた公爵様がかなり落ち込んでしまった。
女性の体とはそういうモノだと、かなり力説したのだが、やっぱり自分を
責めることはやめてくれない。
んで、そのままの状態で馬車に乗った。
公爵様は私の方を向かず、ずっと外を眺めている。
ただその眼は泣きそうだ。
いや、ホント…。
気にしなくていいんですよ?
自分でやるって決めたんだし、今朝のなんかホントにホントに私の欲望から
した事なんだからさー。
このまま別れると、ホントにバツが悪そうだ。
しゃーない。
アフターケアーも仕事のうちってことで。
「公爵様」
「あ…はい」
呼ばれて初めて私を見る公爵様。
「そちらに行ってもよろしいですか?」
「…狭いですよ」
確かに公爵様は恰幅が良いので、並んで座ると少し狭く感じるだろう。
まあ、その気遣いは見当違いなのだが。
「構いません。
公爵様の方に座りたいのです」
「…どうぞ」
私が望むと、自分が嫌でも許してくれるんだよねー。
それではお許しも出たことだし…。
私はいそいそと場所を移動する。
よいしょっと。
「フィ、フィリー…」
公爵様がぎょっとしたのも無理はない。
だって私が座ったのは、公爵様の膝の上だから。
公爵様が慌てふためいているうちに、ぽすっと公爵様の胸の中に
抱きつく形で収まる。
こういう時、体ちっさいと便利だ、うん。
むろん公爵様がその気になれば、簡単に引っぺがされる状態だが、
引っぺがす気はないようだ。
「フィリー…ななな、何を…」
「公爵様が先ほどからとても悲しそうなお顔をされているので…
幸せにして差し上げようと思っただけです」
「え…えええ…」
「だって昨日言いましたよね。公爵様は私に触っていると幸せって」
「え…あ…」
「だったらこうしていると幸せじゃないですか?」
公爵様の胸により一層顔をうずめ、頬ずりする。
そんな私の姿を見て、
「何だか…申し訳ないです…」
「へ?」
今度は私が呆け顔。
「フィリーは…いつも…私を幸せにしてくれるのに…私は…、
あなたにお返しが…いつもできない…」
「へ?お返しなら今貰ってますけど」
「え?」
「言いませんでしたか?私も…」
「公爵様に触っていると幸せですって」
公爵様の胸の中から顔だけ出して、微笑む。
それを見た公爵様は最初こそ少し戸惑ったが、やがて…。
ふわりと私の体に手を回し、優しく抱きしめる。
「こうしたら…あなたはもっと幸せですか?」
公爵様の顔に、先ほどの罪悪感は無かった。
「はいっ、とっても」
いい返事をすると、公爵様は本当に嬉しそうに……笑った。
やがて馬車が私の家の近くに到着する。
「あの…フィリーを家まで送って…ご両親にご挨拶したい
のですが…」
「先ほども言いましたが、それはおやめください。
両親がびっくりしてしまいます」
「……わかりました」
かなり納得できないといった顔だ。
私は家の前ではなく、家から歩いて5分の所で降ろしてもらう。
体はきついが、しゃーない。
私は私を離したがらない公爵様ときっぱり別れて歩いて行く。
公爵様はずっとその場に立っていた。
私が少し遠くまで行ったのを確認すると、
「おい、いるんだろう?」
何処にともなく、公爵様が話しかけている。
「フィリーの後について行き、何があってもフィリーを守れ!
私が戻ってくるまで、絶対に離れるな!!」
その声は誰に向けたものだったのか…。
私がそれを知ることになるのは、もう少し先だ。
そしてくるりと馬車の方に向き直り、御者に対して
「どれだけ揺れても構わん。
最速で屋敷に戻れ!」
と命じて、颯爽と馬車に乗り込んだ。
--------------------------------------------------------------
「フィリーぃぃぃぃぃっ!!心配したじゃないか~」
私は家のドアに入るや否や、一睡もしていない父親に抱きしめられた。
一人娘ってこともあるけど、ひじょーに私を可愛がってくれている。
私の自由をほぼ全面的に許してくれている、ありがたい人。
「パーティーがそんなに面白かったならいいけれど…。
連絡ぐらいしなさいな」
やっぱり寝ていない母親にたしなめられる。こっちは冷静だ。
「ご…ごめんなさい…。本当にごめんなさい(色んなイミで…)」
私は聞かれるより先に、パーティーでドレスを汚して破いてしまい、
部屋で休んでいるうちに寝てしまい、気がついたら朝だった。
破れて汚れたドレスではと、優しい人が自分の服の替えをくれた。
という、噓八百を並べ立てる。
私のために寝ずに起きて心配してくれていた両親に、とても本当の
事なんか言えねぇ!
父は割と疑わず、すんなり信じてくれたのだが、母は
「まあ…フィリーがそう言うなら、いいけどね…」
という、ひじょーに意味深なセリフをおはきになった。
ごめんよ、ママン。
いつか必ず話すから。
私は疲れているからと早々に部屋に引っ込む。
部屋は机とベッド、小さなクローゼットがあるだけの非常に
簡素なものだった。
実はウチは男爵家ではあるのだが、新興の上、かなり特殊なのだ。
それゆえ、使用人が一人もいない。
自分の事は自分でする…がモットーとなっている。
まあ、前世もド庶民だったから、私としてはむしろこっちの方が
居心地がいい。
「さてと…」
私は怒涛の前夜の事を色々思い出していた。
整理しなければいけないことが山積みだ。
山積みなんだ…。
そんなことを考えながら、私は手の中にあった紫色の石のはまった
見事な細工のブローチを、ずっと見つめていた。
---------------------------------------------------------------------------
馬車の中の一幕
ドレスがビリビリに破れた私は、公爵様の予備の服を拝借した。
私の乗ってきた馬車は元々借りものなので、元の場所に直接帰ってもらう
ことにして、私は公爵様の強い希望で公爵様の馬車で家に送ってもらう
こととなった。
んで、馬車の中。
ひじょーに気まずい、重苦しい空気のせいで、窒息しそうだ…うん。
何でこうなったか?
大雑把に言えば(言わずとも)、ほとんど私の自業自得だ。
昨日の夜あれだけいたしたにも関わらず、朝にも一回ヤってしまった。
これはですね、うん。
私が朝起きたらですね。
横にガチ好みのイケメンマッチョが素っ裸で寝てるわけですよ、うん。
自慢じゃないが私はですね。
置かれた据え膳は皿までどころか盆まで喰らいつくす人間なのよ。
(↑ホントに自慢にナラネーな…)
だから目の前にあるマッチョな体に、自分の体をすりすりしながら、
吸い付くようなキスを何回もしてたら、最初は寝たふりしていた公爵様も
ついには限界になってしまったようで、結局行為に至ったと…。
ただ、やることやり終わって、流石に帰らねばとなった時…。
やはり処女の体に、かなりきつい無理をさせた影響が出てしまい、
私はまっすぐ歩けなかった。
さらにすべてが終わった後に、ベッドが流血スプラッタになっていることに
気付いた公爵様がかなり落ち込んでしまった。
女性の体とはそういうモノだと、かなり力説したのだが、やっぱり自分を
責めることはやめてくれない。
んで、そのままの状態で馬車に乗った。
公爵様は私の方を向かず、ずっと外を眺めている。
ただその眼は泣きそうだ。
いや、ホント…。
気にしなくていいんですよ?
自分でやるって決めたんだし、今朝のなんかホントにホントに私の欲望から
した事なんだからさー。
このまま別れると、ホントにバツが悪そうだ。
しゃーない。
アフターケアーも仕事のうちってことで。
「公爵様」
「あ…はい」
呼ばれて初めて私を見る公爵様。
「そちらに行ってもよろしいですか?」
「…狭いですよ」
確かに公爵様は恰幅が良いので、並んで座ると少し狭く感じるだろう。
まあ、その気遣いは見当違いなのだが。
「構いません。
公爵様の方に座りたいのです」
「…どうぞ」
私が望むと、自分が嫌でも許してくれるんだよねー。
それではお許しも出たことだし…。
私はいそいそと場所を移動する。
よいしょっと。
「フィ、フィリー…」
公爵様がぎょっとしたのも無理はない。
だって私が座ったのは、公爵様の膝の上だから。
公爵様が慌てふためいているうちに、ぽすっと公爵様の胸の中に
抱きつく形で収まる。
こういう時、体ちっさいと便利だ、うん。
むろん公爵様がその気になれば、簡単に引っぺがされる状態だが、
引っぺがす気はないようだ。
「フィリー…ななな、何を…」
「公爵様が先ほどからとても悲しそうなお顔をされているので…
幸せにして差し上げようと思っただけです」
「え…えええ…」
「だって昨日言いましたよね。公爵様は私に触っていると幸せって」
「え…あ…」
「だったらこうしていると幸せじゃないですか?」
公爵様の胸により一層顔をうずめ、頬ずりする。
そんな私の姿を見て、
「何だか…申し訳ないです…」
「へ?」
今度は私が呆け顔。
「フィリーは…いつも…私を幸せにしてくれるのに…私は…、
あなたにお返しが…いつもできない…」
「へ?お返しなら今貰ってますけど」
「え?」
「言いませんでしたか?私も…」
「公爵様に触っていると幸せですって」
公爵様の胸の中から顔だけ出して、微笑む。
それを見た公爵様は最初こそ少し戸惑ったが、やがて…。
ふわりと私の体に手を回し、優しく抱きしめる。
「こうしたら…あなたはもっと幸せですか?」
公爵様の顔に、先ほどの罪悪感は無かった。
「はいっ、とっても」
いい返事をすると、公爵様は本当に嬉しそうに……笑った。
やがて馬車が私の家の近くに到着する。
「あの…フィリーを家まで送って…ご両親にご挨拶したい
のですが…」
「先ほども言いましたが、それはおやめください。
両親がびっくりしてしまいます」
「……わかりました」
かなり納得できないといった顔だ。
私は家の前ではなく、家から歩いて5分の所で降ろしてもらう。
体はきついが、しゃーない。
私は私を離したがらない公爵様ときっぱり別れて歩いて行く。
公爵様はずっとその場に立っていた。
私が少し遠くまで行ったのを確認すると、
「おい、いるんだろう?」
何処にともなく、公爵様が話しかけている。
「フィリーの後について行き、何があってもフィリーを守れ!
私が戻ってくるまで、絶対に離れるな!!」
その声は誰に向けたものだったのか…。
私がそれを知ることになるのは、もう少し先だ。
そしてくるりと馬車の方に向き直り、御者に対して
「どれだけ揺れても構わん。
最速で屋敷に戻れ!」
と命じて、颯爽と馬車に乗り込んだ。
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「フィリーぃぃぃぃぃっ!!心配したじゃないか~」
私は家のドアに入るや否や、一睡もしていない父親に抱きしめられた。
一人娘ってこともあるけど、ひじょーに私を可愛がってくれている。
私の自由をほぼ全面的に許してくれている、ありがたい人。
「パーティーがそんなに面白かったならいいけれど…。
連絡ぐらいしなさいな」
やっぱり寝ていない母親にたしなめられる。こっちは冷静だ。
「ご…ごめんなさい…。本当にごめんなさい(色んなイミで…)」
私は聞かれるより先に、パーティーでドレスを汚して破いてしまい、
部屋で休んでいるうちに寝てしまい、気がついたら朝だった。
破れて汚れたドレスではと、優しい人が自分の服の替えをくれた。
という、噓八百を並べ立てる。
私のために寝ずに起きて心配してくれていた両親に、とても本当の
事なんか言えねぇ!
父は割と疑わず、すんなり信じてくれたのだが、母は
「まあ…フィリーがそう言うなら、いいけどね…」
という、ひじょーに意味深なセリフをおはきになった。
ごめんよ、ママン。
いつか必ず話すから。
私は疲れているからと早々に部屋に引っ込む。
部屋は机とベッド、小さなクローゼットがあるだけの非常に
簡素なものだった。
実はウチは男爵家ではあるのだが、新興の上、かなり特殊なのだ。
それゆえ、使用人が一人もいない。
自分の事は自分でする…がモットーとなっている。
まあ、前世もド庶民だったから、私としてはむしろこっちの方が
居心地がいい。
「さてと…」
私は怒涛の前夜の事を色々思い出していた。
整理しなければいけないことが山積みだ。
山積みなんだ…。
そんなことを考えながら、私は手の中にあった紫色の石のはまった
見事な細工のブローチを、ずっと見つめていた。
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馬車の中の一幕
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