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第一章 邂逅
2 私を助けてくれた男の正体は…な、何と…!!
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私・フィリーを軽々抱えた男は、やがて見えてきた扉を開け、中に
入っていく。
蝋燭の明かりにほんのり照らされた室内は、何ともムードが
漂っていた。
部屋はベッドと机だけがある広さ10畳ぐらいの所だった。
お貴族様が泊まるには狭すぎるが、いたすだけなら十分だろう。
そんなことを考えていると、男は私の体重など全く感じさせない
所作で、ふわりと私をベッドの上に寝かせる。
「何か必要なものはありますか?」
とてもやさしい声に、私はようやく少し安堵できた。
「いいえ…何もいりません…。
ただ…」
私はその後の言葉も紡いだのだが、扉が勢いよく開けられ、壁と
ぶつかった音にかき消された。
開いた扉の外に、3人の仮面をかぶった男達が見えた。
人がいることに気がついているにもかかわらず、ずかずかと無遠慮に
入ってくる。
いや。
むしろいるとわかっているから入ってきたようだ。
三者三様に仮面をかぶっていてもそうだとわかる、下卑た笑みを
顔に張り付けている。
カンなんかなくたってわかる。
薬盛った奴らと共犯だって。
とりあえず名前は分からんし知りたくもないから、太ッてるのを太男
痩せてんのを細男、中間位のを中男としておこう、うん。
んで太男がのしのしとこちらに近づいてくる。
「いやぁ、すいませんねぇ。
こちらの知り合いがお世話になっちゃって」
「あなた方の様な知り合いは、私にはおりません」
イケメンが何か言う前に、私が口を開いた。
「あはは、何を言うかと思えば…さっさと私たちと行きましょう。
マリア・ヴィタルス男爵令嬢」
太男がイケメンの横まで歩いてきて、私に手を伸ばした。
……………その刹那。
イケメンが一瞬で太男の胸倉を掴んだかと思ったら軽々と吊り上げる。
吊り上げられた太男が、自分に何が起こったのか理解する前に、
太男の体は宙を舞う。
そして部屋の壁に激しく叩きつけられた。
まさに映画のワンシーンのようだった。
太男の体重はどう少なく見積もっても100キロ以上ある。
その目方を軽々と、しかも片手で持ち上げたかと思ったら、激しく壁に
叩きつけるなど、到底人間業とは思えない。
この世界に16年生きてきて、魔法などの超常的力が存在しないことが
わかっていただけに。
慌てる男達をしり目に、イケメンが私に
「フィリー…あなたの名前を言ってください…」
「…オルフィリア・ステンロイド…男爵令嬢です」
「なるほど…つまり」
イケメンが三人の前に仁王立ちする。
「こちらのご令嬢はあなた方の知り合いではないということですね。
どうぞお引き取り下さい」
「なっ!!!
馬鹿を言うな!!!
嘘をついているのはそっちだ!!!!」
気が付いた太男も交えて三人が声を荒げる。
対してイケメンは、終始静かな声で
「私もこちらのご令嬢がオルフィリア・ステンロイド男爵令嬢で
あると把握しております」
「嘘をつくな!!!
とっととその女を渡せ!!」
ベッドに寝た状態で一部始終見ているとかなり滑稽…。
口じゃ威勢のいいことを言っているが、三人が完全にへっぴり腰だからだ。
まあ、そりゃそうだろう。
体重が一番重い奴が軽々と投げつけられたんだから。
そしてそれをやってのけた当のイケメンは、ゆっくりと自分の仮面に手を
添える。
「……それは私に対して言っているのか?」
「あ?ああん?」
威勢だけはホントいいな。
イケメンはそんな三下連中を意に介さず、ゆっくりと仮面をとる。
「この私…ギリアム・アウススト・ファルメニウスが噓つきだと…
そう言っているのか!」
イケメンが仮面を取り名乗った瞬間、三下連中の顔は赤からそれはもう
見事に青へと変わった。
まあ、かく言う私も目が点になったけど。
え?なんでかって?
だって私みたいな社交界参加ほぼしない人間の耳にだって、
ギリアム・アウススト・ファルメニウス公爵の名は聞こえてくるぐらい
有名だからさ。
いや、むしろこの国に住んでて、知らない奴の方がおかしいと言っていい
レベル。
この国の建国の功臣ファルメニウス公爵家の現当主であり、
現王立騎士団の団長でもある。
この人の経歴や二つ名、功績の数々を列挙してたら夜が明けてしまうので、
一番の有名どころだけ言う。
‟救国の英雄”
だ。
これが一番取り沙汰されるのは、我が国は勿論の事、隣国すら救ったことに
由来する。
約6年ほど前、隣国が…あ、因みに隣国の名前は忘れた、だって長いんだもん。
んでその隣国が半ば…と言うか完全にいちゃもんをつける形で戦争を仕掛けて
きた。
その時の軍の総大将を務めたのが公爵様だ。
当時若干15歳であった公爵様が総大将になったのは‟武”のファルメニウス
公爵家でただ一人の人間であったからだ。
この国の建国時、武力をもって国王に貢献して以来、国を挙げての戦争は、
余程適齢期に達しないか過ぎないかしない限り、ファルメニウス公爵家の
担当だとさ。
勿論期待されてはいなかったと思う。
しきたり上のお飾り…。
誰もがそう思った事だろう。
しかしこの公爵様。
軍を仕切るやいなや、破竹の勢いで進撃し、瞬く間に敵を蹂躙していった。
そしてこの人は…占領した地域での略奪や凌辱、その他一切の犯罪行為を
厳しく禁止し、取り締まった。
破った場合の罰則は大変重い物であった上、平民も貴族も等しく
処罰された。
対して蹂躙された地域の人々には、金持ちも貧乏人も関係なく一定の
食料や住居を与え、治安を安定させることに努めた。
さらに進軍速度が速すぎて、国からの支援が間に合わないと判断するや否や
すぐに私費を投じ、等しい支援がいきわたるよう努めた。
その徹底した聖人君子っぷりに、やがて隣国の国民が心の底から感服するのに
それほど時間はかからなかった。
この隣国、元々国王がかなりひどい暴政と重税を課していたため、亡命者が
後を絶たなかったことで有名な国なのだ。
だから最後は隣国軍も隣国民も武器を捨て、公爵様に無条件降伏した。
公爵様は暴政を引いていた国王に変わり、そんな国王を唯一批判して
当時幽閉されていた王子を新国王につけ、この戦争に幕を引いた。
公爵様が出陣してからここまでで約1年半という超異例の速さ。
当初の予想では10年以上かかると思われた戦争は、2年足らずで幕を閉じたのだ。
そんなこの国一番の有名人が目の前にいるんだからね~。
あんまりにすごすぎて実感わかん、うん。
あ、そんで青くなってた三下たちはすでに一目散に逃げ去った。
まあいい判断だ。
小悪党ほど逃げ足が速いのは、どこの世界でも変わらんらしい。
公爵様は改めて私を覗き込むような姿勢になり、
「フィリー…怖い思いをさせましたね。
もう大丈夫です…」
優しいまなざしを向けられ、ハッとなる。
眠気は正直完全にとんだ。
覗き込む公爵様の顔をまじまじと眺める。
とても…整った顔…取り立てて澄んだ目が私の視線を釘付けにした。
私の手はいつの間にか公爵様に伸びており、頬を撫でる。
少々びっくりしたようで、一瞬固まった公爵様だったが、すぐにうっとりとし
頬を撫でる私の手に、されるがままになった。
(う~ん…やっぱり…)
思い出せねぇ~~~~~~!!!!
ハッキリ言ってですね!公爵様!!
あなたのお顔もお体も私の好みのどストライクなんですよ!!
私、貴方みたいなイケメンマッチョめっちゃ好き!!
好きすぎるくらい好き!!!
私の脳みそがミジンコ並みとは言え、貴方の記憶を忘れるなんてありえん
のですよ!!!
なのに私の脳内、何処を探しても見つからんのですよぉ~~~~~~!!!!
なんでじゃ~~~~~。
脳みそをフル回転させたせいか、頭の中がプスプスと音を立てている。
あ…あかん。一回冷却せねば。
そんなことを思っている時、何ともいいタイミングで
「フィリー、何か私に出来ることはありますか?」
と、公爵様が聞いてくださるものだから、思わず
「ひとまず一回ヤりましょう、公爵様」
「………… …………………」
ちーん……………………。
場の空気が凍り付き、時間が止まる。
瞬間冷凍とはまさにこのこと(笑)!
……………なんて言ってる場合じゃねぇ――――――。
わたしゃこれから、どうなるんじゃぁ~。
---------------------------------------------------------------------
この男…私には従順なんだよな~。
どしてやろ?
入っていく。
蝋燭の明かりにほんのり照らされた室内は、何ともムードが
漂っていた。
部屋はベッドと机だけがある広さ10畳ぐらいの所だった。
お貴族様が泊まるには狭すぎるが、いたすだけなら十分だろう。
そんなことを考えていると、男は私の体重など全く感じさせない
所作で、ふわりと私をベッドの上に寝かせる。
「何か必要なものはありますか?」
とてもやさしい声に、私はようやく少し安堵できた。
「いいえ…何もいりません…。
ただ…」
私はその後の言葉も紡いだのだが、扉が勢いよく開けられ、壁と
ぶつかった音にかき消された。
開いた扉の外に、3人の仮面をかぶった男達が見えた。
人がいることに気がついているにもかかわらず、ずかずかと無遠慮に
入ってくる。
いや。
むしろいるとわかっているから入ってきたようだ。
三者三様に仮面をかぶっていてもそうだとわかる、下卑た笑みを
顔に張り付けている。
カンなんかなくたってわかる。
薬盛った奴らと共犯だって。
とりあえず名前は分からんし知りたくもないから、太ッてるのを太男
痩せてんのを細男、中間位のを中男としておこう、うん。
んで太男がのしのしとこちらに近づいてくる。
「いやぁ、すいませんねぇ。
こちらの知り合いがお世話になっちゃって」
「あなた方の様な知り合いは、私にはおりません」
イケメンが何か言う前に、私が口を開いた。
「あはは、何を言うかと思えば…さっさと私たちと行きましょう。
マリア・ヴィタルス男爵令嬢」
太男がイケメンの横まで歩いてきて、私に手を伸ばした。
……………その刹那。
イケメンが一瞬で太男の胸倉を掴んだかと思ったら軽々と吊り上げる。
吊り上げられた太男が、自分に何が起こったのか理解する前に、
太男の体は宙を舞う。
そして部屋の壁に激しく叩きつけられた。
まさに映画のワンシーンのようだった。
太男の体重はどう少なく見積もっても100キロ以上ある。
その目方を軽々と、しかも片手で持ち上げたかと思ったら、激しく壁に
叩きつけるなど、到底人間業とは思えない。
この世界に16年生きてきて、魔法などの超常的力が存在しないことが
わかっていただけに。
慌てる男達をしり目に、イケメンが私に
「フィリー…あなたの名前を言ってください…」
「…オルフィリア・ステンロイド…男爵令嬢です」
「なるほど…つまり」
イケメンが三人の前に仁王立ちする。
「こちらのご令嬢はあなた方の知り合いではないということですね。
どうぞお引き取り下さい」
「なっ!!!
馬鹿を言うな!!!
嘘をついているのはそっちだ!!!!」
気が付いた太男も交えて三人が声を荒げる。
対してイケメンは、終始静かな声で
「私もこちらのご令嬢がオルフィリア・ステンロイド男爵令嬢で
あると把握しております」
「嘘をつくな!!!
とっととその女を渡せ!!」
ベッドに寝た状態で一部始終見ているとかなり滑稽…。
口じゃ威勢のいいことを言っているが、三人が完全にへっぴり腰だからだ。
まあ、そりゃそうだろう。
体重が一番重い奴が軽々と投げつけられたんだから。
そしてそれをやってのけた当のイケメンは、ゆっくりと自分の仮面に手を
添える。
「……それは私に対して言っているのか?」
「あ?ああん?」
威勢だけはホントいいな。
イケメンはそんな三下連中を意に介さず、ゆっくりと仮面をとる。
「この私…ギリアム・アウススト・ファルメニウスが噓つきだと…
そう言っているのか!」
イケメンが仮面を取り名乗った瞬間、三下連中の顔は赤からそれはもう
見事に青へと変わった。
まあ、かく言う私も目が点になったけど。
え?なんでかって?
だって私みたいな社交界参加ほぼしない人間の耳にだって、
ギリアム・アウススト・ファルメニウス公爵の名は聞こえてくるぐらい
有名だからさ。
いや、むしろこの国に住んでて、知らない奴の方がおかしいと言っていい
レベル。
この国の建国の功臣ファルメニウス公爵家の現当主であり、
現王立騎士団の団長でもある。
この人の経歴や二つ名、功績の数々を列挙してたら夜が明けてしまうので、
一番の有名どころだけ言う。
‟救国の英雄”
だ。
これが一番取り沙汰されるのは、我が国は勿論の事、隣国すら救ったことに
由来する。
約6年ほど前、隣国が…あ、因みに隣国の名前は忘れた、だって長いんだもん。
んでその隣国が半ば…と言うか完全にいちゃもんをつける形で戦争を仕掛けて
きた。
その時の軍の総大将を務めたのが公爵様だ。
当時若干15歳であった公爵様が総大将になったのは‟武”のファルメニウス
公爵家でただ一人の人間であったからだ。
この国の建国時、武力をもって国王に貢献して以来、国を挙げての戦争は、
余程適齢期に達しないか過ぎないかしない限り、ファルメニウス公爵家の
担当だとさ。
勿論期待されてはいなかったと思う。
しきたり上のお飾り…。
誰もがそう思った事だろう。
しかしこの公爵様。
軍を仕切るやいなや、破竹の勢いで進撃し、瞬く間に敵を蹂躙していった。
そしてこの人は…占領した地域での略奪や凌辱、その他一切の犯罪行為を
厳しく禁止し、取り締まった。
破った場合の罰則は大変重い物であった上、平民も貴族も等しく
処罰された。
対して蹂躙された地域の人々には、金持ちも貧乏人も関係なく一定の
食料や住居を与え、治安を安定させることに努めた。
さらに進軍速度が速すぎて、国からの支援が間に合わないと判断するや否や
すぐに私費を投じ、等しい支援がいきわたるよう努めた。
その徹底した聖人君子っぷりに、やがて隣国の国民が心の底から感服するのに
それほど時間はかからなかった。
この隣国、元々国王がかなりひどい暴政と重税を課していたため、亡命者が
後を絶たなかったことで有名な国なのだ。
だから最後は隣国軍も隣国民も武器を捨て、公爵様に無条件降伏した。
公爵様は暴政を引いていた国王に変わり、そんな国王を唯一批判して
当時幽閉されていた王子を新国王につけ、この戦争に幕を引いた。
公爵様が出陣してからここまでで約1年半という超異例の速さ。
当初の予想では10年以上かかると思われた戦争は、2年足らずで幕を閉じたのだ。
そんなこの国一番の有名人が目の前にいるんだからね~。
あんまりにすごすぎて実感わかん、うん。
あ、そんで青くなってた三下たちはすでに一目散に逃げ去った。
まあいい判断だ。
小悪党ほど逃げ足が速いのは、どこの世界でも変わらんらしい。
公爵様は改めて私を覗き込むような姿勢になり、
「フィリー…怖い思いをさせましたね。
もう大丈夫です…」
優しいまなざしを向けられ、ハッとなる。
眠気は正直完全にとんだ。
覗き込む公爵様の顔をまじまじと眺める。
とても…整った顔…取り立てて澄んだ目が私の視線を釘付けにした。
私の手はいつの間にか公爵様に伸びており、頬を撫でる。
少々びっくりしたようで、一瞬固まった公爵様だったが、すぐにうっとりとし
頬を撫でる私の手に、されるがままになった。
(う~ん…やっぱり…)
思い出せねぇ~~~~~~!!!!
ハッキリ言ってですね!公爵様!!
あなたのお顔もお体も私の好みのどストライクなんですよ!!
私、貴方みたいなイケメンマッチョめっちゃ好き!!
好きすぎるくらい好き!!!
私の脳みそがミジンコ並みとは言え、貴方の記憶を忘れるなんてありえん
のですよ!!!
なのに私の脳内、何処を探しても見つからんのですよぉ~~~~~~!!!!
なんでじゃ~~~~~。
脳みそをフル回転させたせいか、頭の中がプスプスと音を立てている。
あ…あかん。一回冷却せねば。
そんなことを思っている時、何ともいいタイミングで
「フィリー、何か私に出来ることはありますか?」
と、公爵様が聞いてくださるものだから、思わず
「ひとまず一回ヤりましょう、公爵様」
「………… …………………」
ちーん……………………。
場の空気が凍り付き、時間が止まる。
瞬間冷凍とはまさにこのこと(笑)!
……………なんて言ってる場合じゃねぇ――――――。
わたしゃこれから、どうなるんじゃぁ~。
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この男…私には従順なんだよな~。
どしてやろ?
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