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仕事帰りに突然知らねえ高校生♂に告白された
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仕事からの帰り道。普段と何も変わりなかった。
今日の夜何食おうかなー。スーパー寄るのもめんどうだ。コンビニで弁当買って帰るかあ。とぼんやり考えていたくらい。
「あ、あの!!!」
突然そんな声がした、が、俺じゃ、ないよなと思い、スルーすれば──服の裾を掴まれた。
「……え?」
「あ、あのっ、あなたです……!」
俺の服を掴んだのはイケメン。すげーイケメン。
思わず見惚れていれば「す、きなんです……!」と呟いた。その、イケメンが。
………………すき? 隙? ん??
「え、えと……?」
「あなたが、好きなんです……」
…………俺が好き。好き?
初めて話をする人にそんな告白されるなんて夢にも思っていないから、ぽかんとしてしまう。……はじめて、だよな?
俺が覚えてないだけでもしかして、どこかで……?
「え、えーと……あ、罰ゲーム?」
辺りを見渡すが誰か隠れてるふうにもない。……たぶん、高校生、だよな。この子。
イケメンすぎて嫌われてんのか……!?!
むごいことするな……最近の高校生……。
「ちっ、ちが!! 罰ゲームじゃないてです! 本当にあなたが……っ」
「え、あ゛ーー! ごめん! 泣かないで! ごめん!!」
ハンカチをポケットから出そうとしたが、ねえよ。ハンカチなんか。いや、普段は持ち歩いているけども! 今日はたまたま!!
袖で拭こうかと思ったが、いや、見知らぬ男に拭かれても気持ち悪くね? と思いやめた。……あ、でも俺のこと好きなのか。そうか……。
「あーーあの、ごめん。えーと、どこかで会ったことある?」
少し泣き止んだところで聞いてみた。本当になんでなのか全くわからないから。なんかしたっけ、俺。絶対なんもしてねえと思うんだけど……。
「……きのう、」
「昨日?」
「ここで……」
「え、ここ?」
「すれ違いました」
「…………へえ」
「覚えてませんか?」
「覚えてねえわ」
え、本当に? 本気? すれ違って? 俺のことを好きに? 意味わかんねえ……。え、なに? その前から俺のこと知ってた、とか……?
「……えーと、前から俺のことしってた……?」
「いえ! 昨日が初対面です! 声も今初めて聞きました!」
「…………へえ」
すげーこわい。なに?
一目惚れ?! 一目惚れか!? それ以外ねえよな!? でも、このイケメンに惚れられるような顔してねーよ!?
「……一目惚れ、とか」
「一目惚れ、と言われたら……そうですね……そういうこと、なのかも」
……微妙に嬉しいかもしれない。イケメンに一目惚れされたんだぞ。優越感というか……!
へえ。とちょっと上擦った声で言えば「あ、でも……」と遮られるように呟かれる。
「ん?」
「あなたの顔とか体は全然! 全く好みではないので! だから、そういうのが目当てではないです!!」
「…………へえ」
俺なんで告白してきたやつにディスられてんの?
じゃあなに? なんだ? 俺の何に惚れたんだ? 昨日見かけて今日告白ってなに?
「運命を……」
「うんめい……」
「運命を! 感じたんです! あなたを一目見たあの瞬間に!!」
「こわい」
こえーよ。素直にこわいって言っちまったじゃん……。こえーよ……。
なに? まじなに? 怖すぎんだけど……。
「付き合ってください! 一目見たときから好きです!! 幸せにします!!!」
「こわいこわいこわい!!! あんま寄って来んな!! ちかい!!」
これがあいつ──爽太との出会いだった。
「! 類さん!」
あの謎すぎるこわい告白から二週間。爽太は毎日俺の家の前で待っている。
家教えたのかって? 教えてねえよ。だから怖いんだよ。
警察も考えたが、なんて言えば良い!? 高校生の男の子からストーカーされてるので助けてくださいとか、信じてくれんの?
しかも爽太の学校さあ……めっちゃ有名な進学校なんだよ。そんな子にあなたが? 妄想では? みたいな顔されそうだろ……。
俺もまだ二十代ではあるが、高校生からすれば……なあ?
「おまえ…………なんでまたここいんの……」
「? 類さんのこと待ってました」
「……あ、そぉ」
最初はビビりすぎて部屋に入れたんだけど、俺の布団の匂い嗅いだり、枕に顔突っ込んでスーハースーハーするしさ……怖すぎんじゃん?
一応やんわり注意して帰らせたけど。下手すりゃ俺誘拐犯になるしな。家まで送ったわ。
ご両親にも挨拶したわ。なんて説明すりゃ……と思ってたら、爽太が綺麗な微笑みを見せながら「この間、僕が落としたハンカチを拾ってくださったんです。それからお話するようになりました。たまたま、類さんを見かけたから嬉しくて……」と言ったから、そんな嘘! そんか顔でつけんのお前!? すげーな!?! ってびびったけど! でも! それに便乗しねーと俺が捕まる可能性が! ある!! から!!!
いやもう親御さんの顔さ……不審者見る感じだぜ? 怖すぎんじゃん? 俺、本当なんもしてねえのに。
爽太に気持ち悪い告白された被害者なのに。けど、信じてもらえるわけねーじゃん?
「……そ、そうなんですぅ。爽太くんとはあれ以来仲良くさせていただいていて……」
こんなときに営業で培った能力が発揮されるとは思わなかったわ。そうしたらさ、なんか気づいたら……爽太の家でご飯食っててさ? よかったら泊まってなんて言われたが、丁重にお断りして帰った。
帰ってから爽太の親御さんにお礼のメッセージを送ったあと、ハッとしたよな。
俺、ナチュラルに爽太と親御さんと連絡先交換してる……って。
「類さん? 大丈夫ですか? お仕事疲れました……?」
「……いま疲れてんだよなあ~!!」
俺が鍵開けたら普通に中入ってくるようになったし、2回目くらいまではたぶん「お邪魔していいですか?」ときゅるんとした顔で言っていたはず。
俺のスーツの上着を脱がしてハンガーにかけて、お茶を淹れてスッとだしてくれる。
……俺ん家、お茶とかなかったんだよなあ。この間はまではさあ!
「……僕、マッサージとか得意です、けど」
「怖いからいい。ありがとう」
「怖くないですよ!? マッサージです。類さんの全身を揉みほぐすだけなので」
にっこりとそう言うがもう言い方が怖えし、息荒いし勘弁してもらいたい。本当に。
「……つうか、お前荷物多くね……?」
「あ、はい! 今日はお泊まりするので」
「…………どこに」
「ふふ。類さんのお家に決まってるじゃないですかあ」
「決まってねーよ。帰れ」
「イケメン高校生とお泊まりですよ? 類さんの自宅に……しかも?」
悪い顔をして笑うこいつに背中にサブイボがたった。なに、なんだ? さらに俺に不利な状況が……?
爽太はスマホを取り出して俺の目の前に出した。
「うちの親も了承済みです♡」
「……家主が了承してねえんだが……?」
「類さんも了承してくれてますよ。ほら、見てください……す、ま、ほ♡」
まじで怖い。なに? なんなの? 若干震えながらスマホを取り出して、爽太の親御さんとのメッセージ履歴を見た。
…………言ってた。俺、言ってたわ。つうか、この時間……俺の仕事が忙しい時間帯ッ!
そういやなんか、いいか? みたいなのが着てて、爽太絡みのことだったから、また家来んのか? とか思って適当に返事したわ……そういえば……。
「おま…………、」
「ね? 類さんも了承してますよね? それに僕……いま家帰ったら泣いちゃうかも……」
「ぐっっ!!」
俺と喧嘩したとか俺に追い出されたとか言うつもりかこいつ……!!
爽太まじで顔はいいから、目をうるうるさせながら上目遣いされると許してしまう。俺が弱いのわかってんだよなあこいつ……。
「……わかった。これだけは守れ! 寝る部屋はべつだ」
「え!?!」
「えじゃねえよ」
心底驚いていますという表情を浮かべる爽太に恐怖を覚えた。こいつ、やはり同じ部屋で寝る気だったのか……。というより、同じベッドで寝る気さえあったのかもしれない。
「……わかりました。類さんがそういうなら……」
あっさりと引いた爽太に驚きはしたが、まあ高校生だ。強めに言ったらやはり言うことは聞くのだろうと思い、それ以上はなにも考えなかった。
晩御飯は爽太の家で作ったのを持ってきてくれていたのをいただいた。チラチラとこちらを見るからなにかと聞けば「……それ、僕が作ったんです。どうですか?」と不安そうに聞いてきて。今まで自信に満ちた爽太しか見たことがなかった俺には可愛く見えて仕方がない。
「うまいよ。ありがとう」
「…………へへ。うれしい。ありがとう、類さん」
そうやってかわいく笑うから、普段からこんな感じだとありがたいのになあと思ってしまう。たぶん、年相応のかわいいところを見せられると俺も可愛がれるような気はするのだ。
……まあ、恋愛対象とかはまたべつだけど。いや、普通の高校生ならあんな気持ち悪ィ告白するわけねえんだよな……。
「あー風呂入ってこい。溜まったから」
「大丈夫です! 家で入ってきてるので!」
「なら、俺が風呂入ってる間に着替えとか歯磨き済ませとけよ~」
「……はぁい。類さん……♡」
布団も枕も吸われるのはもう慣れた。慣れたくねえけど。俺が風呂入ってる間に散々吸われんだろうな……遠い目でどこかを眺めて現実逃避する。
シャンプーを流しているとき、後ろから風が入ってきた。
は? 風? ドア開いたか? なんで?
「……るいさん、一宿一飯のお礼にお背中流します……♡」
「は!?!?」
振り返ろうとしたがシャンプーが目に入って、目が開けられない。痛え!!
「ちょっ、そ、そうた……っ!!」
「失礼します」
ぬるりとしたものが胸を撫でた。やめろと何度も言ったが、それが止まる気配はない。
「ここもきれーにしておきましょうね」
そう言いながら人の乳首をくりくりと指で弄り倒す。ぬるってしてんのはボディソープだろうな……と気づいたときには、股間にまで手が伸びたあとだった。
テンパるとほんとなんもわかんねーもんなんだな……と、若干冷静になった頭で考えるが、ちんこを掴まれた瞬間体も頭も固まってしまう。
「……るいさん、たってる……乳首、気持ちよかったですか?」
「ちょっ、そ、うた……っまじ、やめろって!!」
「お礼なんで──たくさん、気持ちよくなってくださいね」
両手でちんこを掴まれて扱かれる。ボディソープの滑りですげえ気持ちよくて、変な声が出てしまう。いやいやなんだこの声!?
彼女……はいたことはあるが、エロいことはシたことがない。だから、まあそう。ちんこを人に扱かれるのなんて、初めてな、わけで。
「まっ、んんっひ、ぁっ……!」
「はあ、かわい……類さんのえっちな声響いてる…………ね、聞こえる? 類さんのちんぽからもえっちな音してるの……ほら、くちゅくちゅって」
「い、んんっ! そ、た……っやめっ、ぁあッ」
「ちんぽびくびくしてる。イきそう?」
腰が抜けそうだ。椅子に座っていたのと、背中は爽太に預けているから転けないだけ。
いつの間にかシャワーもとまっている。いつ、いつ……とめたんだっけ。それすらも記憶にない。
「そ、たぁッ、も、イく、でるう……っ」
「……うん。イっていいよ。類さん」
きゅうとちんこを握られて、下から上へと優しく触られたあと、尿道口をクリクリ指でいじられると自分で触ってるときには感じたことがない快感が走った。
「でるっ、あ、ィッァア!?」
「いっぱいでたね、類さん♡」
♢
気づいたら俺は布団の上だった。
あれ……なんで。風呂入って、…………?!?!
「爽太!!!!」
「うん、なぁに。類さん」
「うおぉお!?!!」
ベッドに顎を置いて、こてと首を傾げて俺を見ている爽太がそこにいた。
「おま…………」
「うん?」
「………………なんでもない。寝る。お前はソファな」
「わかったよ。おやすみ、類さん」
爽太は部屋から出て行ったが、寝れるわけがない。寝れねえよ。どう考えても。
俺、高校生になにさせてんの? いや、爽太が勝手にやったんだけど。俺流されすぎじゃね? 家にあげたのもやっぱよくなかったよな。
つうか、あの告白された時点でもっと避けるべきだったよな……?
なんで俺、家族ごと交流してんだ? おかしくね? おかしいよな。
モヤモヤしすぎて寝れねえし、つうかリビングから泣き声みたいなのしてるし! 無視できねえよ!!
さすがに泣いてる高校生を放っておけない。
溜息を吐きながらベッドを出て、静かにリビングへと向かった。
ソファで丸くなりぐずぐずと声を響かせてる爽太に、泣くほど後悔すんならあんなこともうすんなよと声をかけようとした、ら。
「は、る、いさ、……っんん、ふっ」
…………こいつ、オナニーしてる。ちげー泣いてんじゃねえ。俺のこと考えて、オナってんだ。
知らないふりをして部屋に戻ろうとしたら、床がギィと鳴ってしまった。
「! るい、さん……?」
「あーー喉、かわいたなあって……お前も早く寝ろよ、な?」
どうにか知らないふりをできないだろうかと思案するがこんなしょーもないことしか言えない。
「……そ、なんですね」
「………………うん」
とりあえず台所へ行き、冷蔵庫からミネラルウォーターをだしてコップに注いだ。
飲み終わったらさっさと部屋に戻る。戻るぞ俺は!!
「……類さん」
「うぉっ!?! な、なに?!」
気付けば後ろに爽太がいて、慌てる俺にぴたりと引っ付いた。
こ、こいつ……勃起してやがる……!!! ケツに押し付けんな!! ボケ!!
俺に服を着させたのも爽太だろうが、薄手のシャツにハーフパンツのため形がよくわかるのだ。嬉しくねえ。
「そ、うた~……? 離れような……?」
「はぁ……るいさんの、におい……も、い、きそ……」
「イくな!!!」
「ん、ふふ……射精管理ってやつですか……?」
「ちがう。本当にちがう」
後ろでハァハァと荒い息遣いが聞こえる。俺のケツにあてられているちんこもびくびくしていて、今にも達してしまいそうな気がして……汗が床にポトリと落ちた。
「……ねえ、類さん。どうしたらいいですか? 類さんが射精するなっていうならしません。僕は待てがちゃんとできるので」
「……え、あ、そ、そうた?」
「でも……我慢できたら、ちゃあんとご褒美くださいね? じゃないと……僕、自制が効かなくなってしまいそう……」
「わかった! いまイけ! な!?」
「わかりました。ありがとうございます、類さん……♡」
俺のケツの割れ目でちんこを扱いているのがわかる。
なんかもうハーフパンツ、ぐちょぐちょになってる、よな……? こいつの先走り? 先走りか? もう何かわかんねえよ。
「は、でる、……るいさ、も、でる……」
「…………ウン」
「んんん……っ!」
ぐちょりとケツが重い。つうか、冷たいつうか…………出したんだろうな……。
ふくらはぎにもナニかが垂れてきた。ナニかつうか、精液な……。
「……類さんも、勃ってる」
「は?!」
「ほら……」
ハーフパンツの中に手を入れられて、ちんこを揉まれた。
「うっ、あ……ッ!」
「……はあ、また勃ちそう。類さん、舐めたい。舐めたいです……類さん」
か、勘弁してくれー!!!! と思っているのも本当だが、このあと捨てられた犬のようにくんくんと鳴く爽太に流されて舐めたり舐められたり……まあ、色々あることを今の俺は知らない。
おまけ
「お前……俺の体とかそういうのにはべつに興味ねえんじゃ」
「類さんの体目当てで好きになったとかそういうんじゃないんです。運命なので」
「……そお」
「はい! 類さんのすべてが好きです♡」
「……へえ」
「キスします?」
「なんでだよ」
今日の夜何食おうかなー。スーパー寄るのもめんどうだ。コンビニで弁当買って帰るかあ。とぼんやり考えていたくらい。
「あ、あの!!!」
突然そんな声がした、が、俺じゃ、ないよなと思い、スルーすれば──服の裾を掴まれた。
「……え?」
「あ、あのっ、あなたです……!」
俺の服を掴んだのはイケメン。すげーイケメン。
思わず見惚れていれば「す、きなんです……!」と呟いた。その、イケメンが。
………………すき? 隙? ん??
「え、えと……?」
「あなたが、好きなんです……」
…………俺が好き。好き?
初めて話をする人にそんな告白されるなんて夢にも思っていないから、ぽかんとしてしまう。……はじめて、だよな?
俺が覚えてないだけでもしかして、どこかで……?
「え、えーと……あ、罰ゲーム?」
辺りを見渡すが誰か隠れてるふうにもない。……たぶん、高校生、だよな。この子。
イケメンすぎて嫌われてんのか……!?!
むごいことするな……最近の高校生……。
「ちっ、ちが!! 罰ゲームじゃないてです! 本当にあなたが……っ」
「え、あ゛ーー! ごめん! 泣かないで! ごめん!!」
ハンカチをポケットから出そうとしたが、ねえよ。ハンカチなんか。いや、普段は持ち歩いているけども! 今日はたまたま!!
袖で拭こうかと思ったが、いや、見知らぬ男に拭かれても気持ち悪くね? と思いやめた。……あ、でも俺のこと好きなのか。そうか……。
「あーーあの、ごめん。えーと、どこかで会ったことある?」
少し泣き止んだところで聞いてみた。本当になんでなのか全くわからないから。なんかしたっけ、俺。絶対なんもしてねえと思うんだけど……。
「……きのう、」
「昨日?」
「ここで……」
「え、ここ?」
「すれ違いました」
「…………へえ」
「覚えてませんか?」
「覚えてねえわ」
え、本当に? 本気? すれ違って? 俺のことを好きに? 意味わかんねえ……。え、なに? その前から俺のこと知ってた、とか……?
「……えーと、前から俺のことしってた……?」
「いえ! 昨日が初対面です! 声も今初めて聞きました!」
「…………へえ」
すげーこわい。なに?
一目惚れ?! 一目惚れか!? それ以外ねえよな!? でも、このイケメンに惚れられるような顔してねーよ!?
「……一目惚れ、とか」
「一目惚れ、と言われたら……そうですね……そういうこと、なのかも」
……微妙に嬉しいかもしれない。イケメンに一目惚れされたんだぞ。優越感というか……!
へえ。とちょっと上擦った声で言えば「あ、でも……」と遮られるように呟かれる。
「ん?」
「あなたの顔とか体は全然! 全く好みではないので! だから、そういうのが目当てではないです!!」
「…………へえ」
俺なんで告白してきたやつにディスられてんの?
じゃあなに? なんだ? 俺の何に惚れたんだ? 昨日見かけて今日告白ってなに?
「運命を……」
「うんめい……」
「運命を! 感じたんです! あなたを一目見たあの瞬間に!!」
「こわい」
こえーよ。素直にこわいって言っちまったじゃん……。こえーよ……。
なに? まじなに? 怖すぎんだけど……。
「付き合ってください! 一目見たときから好きです!! 幸せにします!!!」
「こわいこわいこわい!!! あんま寄って来んな!! ちかい!!」
これがあいつ──爽太との出会いだった。
「! 類さん!」
あの謎すぎるこわい告白から二週間。爽太は毎日俺の家の前で待っている。
家教えたのかって? 教えてねえよ。だから怖いんだよ。
警察も考えたが、なんて言えば良い!? 高校生の男の子からストーカーされてるので助けてくださいとか、信じてくれんの?
しかも爽太の学校さあ……めっちゃ有名な進学校なんだよ。そんな子にあなたが? 妄想では? みたいな顔されそうだろ……。
俺もまだ二十代ではあるが、高校生からすれば……なあ?
「おまえ…………なんでまたここいんの……」
「? 類さんのこと待ってました」
「……あ、そぉ」
最初はビビりすぎて部屋に入れたんだけど、俺の布団の匂い嗅いだり、枕に顔突っ込んでスーハースーハーするしさ……怖すぎんじゃん?
一応やんわり注意して帰らせたけど。下手すりゃ俺誘拐犯になるしな。家まで送ったわ。
ご両親にも挨拶したわ。なんて説明すりゃ……と思ってたら、爽太が綺麗な微笑みを見せながら「この間、僕が落としたハンカチを拾ってくださったんです。それからお話するようになりました。たまたま、類さんを見かけたから嬉しくて……」と言ったから、そんな嘘! そんか顔でつけんのお前!? すげーな!?! ってびびったけど! でも! それに便乗しねーと俺が捕まる可能性が! ある!! から!!!
いやもう親御さんの顔さ……不審者見る感じだぜ? 怖すぎんじゃん? 俺、本当なんもしてねえのに。
爽太に気持ち悪い告白された被害者なのに。けど、信じてもらえるわけねーじゃん?
「……そ、そうなんですぅ。爽太くんとはあれ以来仲良くさせていただいていて……」
こんなときに営業で培った能力が発揮されるとは思わなかったわ。そうしたらさ、なんか気づいたら……爽太の家でご飯食っててさ? よかったら泊まってなんて言われたが、丁重にお断りして帰った。
帰ってから爽太の親御さんにお礼のメッセージを送ったあと、ハッとしたよな。
俺、ナチュラルに爽太と親御さんと連絡先交換してる……って。
「類さん? 大丈夫ですか? お仕事疲れました……?」
「……いま疲れてんだよなあ~!!」
俺が鍵開けたら普通に中入ってくるようになったし、2回目くらいまではたぶん「お邪魔していいですか?」ときゅるんとした顔で言っていたはず。
俺のスーツの上着を脱がしてハンガーにかけて、お茶を淹れてスッとだしてくれる。
……俺ん家、お茶とかなかったんだよなあ。この間はまではさあ!
「……僕、マッサージとか得意です、けど」
「怖いからいい。ありがとう」
「怖くないですよ!? マッサージです。類さんの全身を揉みほぐすだけなので」
にっこりとそう言うがもう言い方が怖えし、息荒いし勘弁してもらいたい。本当に。
「……つうか、お前荷物多くね……?」
「あ、はい! 今日はお泊まりするので」
「…………どこに」
「ふふ。類さんのお家に決まってるじゃないですかあ」
「決まってねーよ。帰れ」
「イケメン高校生とお泊まりですよ? 類さんの自宅に……しかも?」
悪い顔をして笑うこいつに背中にサブイボがたった。なに、なんだ? さらに俺に不利な状況が……?
爽太はスマホを取り出して俺の目の前に出した。
「うちの親も了承済みです♡」
「……家主が了承してねえんだが……?」
「類さんも了承してくれてますよ。ほら、見てください……す、ま、ほ♡」
まじで怖い。なに? なんなの? 若干震えながらスマホを取り出して、爽太の親御さんとのメッセージ履歴を見た。
…………言ってた。俺、言ってたわ。つうか、この時間……俺の仕事が忙しい時間帯ッ!
そういやなんか、いいか? みたいなのが着てて、爽太絡みのことだったから、また家来んのか? とか思って適当に返事したわ……そういえば……。
「おま…………、」
「ね? 類さんも了承してますよね? それに僕……いま家帰ったら泣いちゃうかも……」
「ぐっっ!!」
俺と喧嘩したとか俺に追い出されたとか言うつもりかこいつ……!!
爽太まじで顔はいいから、目をうるうるさせながら上目遣いされると許してしまう。俺が弱いのわかってんだよなあこいつ……。
「……わかった。これだけは守れ! 寝る部屋はべつだ」
「え!?!」
「えじゃねえよ」
心底驚いていますという表情を浮かべる爽太に恐怖を覚えた。こいつ、やはり同じ部屋で寝る気だったのか……。というより、同じベッドで寝る気さえあったのかもしれない。
「……わかりました。類さんがそういうなら……」
あっさりと引いた爽太に驚きはしたが、まあ高校生だ。強めに言ったらやはり言うことは聞くのだろうと思い、それ以上はなにも考えなかった。
晩御飯は爽太の家で作ったのを持ってきてくれていたのをいただいた。チラチラとこちらを見るからなにかと聞けば「……それ、僕が作ったんです。どうですか?」と不安そうに聞いてきて。今まで自信に満ちた爽太しか見たことがなかった俺には可愛く見えて仕方がない。
「うまいよ。ありがとう」
「…………へへ。うれしい。ありがとう、類さん」
そうやってかわいく笑うから、普段からこんな感じだとありがたいのになあと思ってしまう。たぶん、年相応のかわいいところを見せられると俺も可愛がれるような気はするのだ。
……まあ、恋愛対象とかはまたべつだけど。いや、普通の高校生ならあんな気持ち悪ィ告白するわけねえんだよな……。
「あー風呂入ってこい。溜まったから」
「大丈夫です! 家で入ってきてるので!」
「なら、俺が風呂入ってる間に着替えとか歯磨き済ませとけよ~」
「……はぁい。類さん……♡」
布団も枕も吸われるのはもう慣れた。慣れたくねえけど。俺が風呂入ってる間に散々吸われんだろうな……遠い目でどこかを眺めて現実逃避する。
シャンプーを流しているとき、後ろから風が入ってきた。
は? 風? ドア開いたか? なんで?
「……るいさん、一宿一飯のお礼にお背中流します……♡」
「は!?!?」
振り返ろうとしたがシャンプーが目に入って、目が開けられない。痛え!!
「ちょっ、そ、そうた……っ!!」
「失礼します」
ぬるりとしたものが胸を撫でた。やめろと何度も言ったが、それが止まる気配はない。
「ここもきれーにしておきましょうね」
そう言いながら人の乳首をくりくりと指で弄り倒す。ぬるってしてんのはボディソープだろうな……と気づいたときには、股間にまで手が伸びたあとだった。
テンパるとほんとなんもわかんねーもんなんだな……と、若干冷静になった頭で考えるが、ちんこを掴まれた瞬間体も頭も固まってしまう。
「……るいさん、たってる……乳首、気持ちよかったですか?」
「ちょっ、そ、うた……っまじ、やめろって!!」
「お礼なんで──たくさん、気持ちよくなってくださいね」
両手でちんこを掴まれて扱かれる。ボディソープの滑りですげえ気持ちよくて、変な声が出てしまう。いやいやなんだこの声!?
彼女……はいたことはあるが、エロいことはシたことがない。だから、まあそう。ちんこを人に扱かれるのなんて、初めてな、わけで。
「まっ、んんっひ、ぁっ……!」
「はあ、かわい……類さんのえっちな声響いてる…………ね、聞こえる? 類さんのちんぽからもえっちな音してるの……ほら、くちゅくちゅって」
「い、んんっ! そ、た……っやめっ、ぁあッ」
「ちんぽびくびくしてる。イきそう?」
腰が抜けそうだ。椅子に座っていたのと、背中は爽太に預けているから転けないだけ。
いつの間にかシャワーもとまっている。いつ、いつ……とめたんだっけ。それすらも記憶にない。
「そ、たぁッ、も、イく、でるう……っ」
「……うん。イっていいよ。類さん」
きゅうとちんこを握られて、下から上へと優しく触られたあと、尿道口をクリクリ指でいじられると自分で触ってるときには感じたことがない快感が走った。
「でるっ、あ、ィッァア!?」
「いっぱいでたね、類さん♡」
♢
気づいたら俺は布団の上だった。
あれ……なんで。風呂入って、…………?!?!
「爽太!!!!」
「うん、なぁに。類さん」
「うおぉお!?!!」
ベッドに顎を置いて、こてと首を傾げて俺を見ている爽太がそこにいた。
「おま…………」
「うん?」
「………………なんでもない。寝る。お前はソファな」
「わかったよ。おやすみ、類さん」
爽太は部屋から出て行ったが、寝れるわけがない。寝れねえよ。どう考えても。
俺、高校生になにさせてんの? いや、爽太が勝手にやったんだけど。俺流されすぎじゃね? 家にあげたのもやっぱよくなかったよな。
つうか、あの告白された時点でもっと避けるべきだったよな……?
なんで俺、家族ごと交流してんだ? おかしくね? おかしいよな。
モヤモヤしすぎて寝れねえし、つうかリビングから泣き声みたいなのしてるし! 無視できねえよ!!
さすがに泣いてる高校生を放っておけない。
溜息を吐きながらベッドを出て、静かにリビングへと向かった。
ソファで丸くなりぐずぐずと声を響かせてる爽太に、泣くほど後悔すんならあんなこともうすんなよと声をかけようとした、ら。
「は、る、いさ、……っんん、ふっ」
…………こいつ、オナニーしてる。ちげー泣いてんじゃねえ。俺のこと考えて、オナってんだ。
知らないふりをして部屋に戻ろうとしたら、床がギィと鳴ってしまった。
「! るい、さん……?」
「あーー喉、かわいたなあって……お前も早く寝ろよ、な?」
どうにか知らないふりをできないだろうかと思案するがこんなしょーもないことしか言えない。
「……そ、なんですね」
「………………うん」
とりあえず台所へ行き、冷蔵庫からミネラルウォーターをだしてコップに注いだ。
飲み終わったらさっさと部屋に戻る。戻るぞ俺は!!
「……類さん」
「うぉっ!?! な、なに?!」
気付けば後ろに爽太がいて、慌てる俺にぴたりと引っ付いた。
こ、こいつ……勃起してやがる……!!! ケツに押し付けんな!! ボケ!!
俺に服を着させたのも爽太だろうが、薄手のシャツにハーフパンツのため形がよくわかるのだ。嬉しくねえ。
「そ、うた~……? 離れような……?」
「はぁ……るいさんの、におい……も、い、きそ……」
「イくな!!!」
「ん、ふふ……射精管理ってやつですか……?」
「ちがう。本当にちがう」
後ろでハァハァと荒い息遣いが聞こえる。俺のケツにあてられているちんこもびくびくしていて、今にも達してしまいそうな気がして……汗が床にポトリと落ちた。
「……ねえ、類さん。どうしたらいいですか? 類さんが射精するなっていうならしません。僕は待てがちゃんとできるので」
「……え、あ、そ、そうた?」
「でも……我慢できたら、ちゃあんとご褒美くださいね? じゃないと……僕、自制が効かなくなってしまいそう……」
「わかった! いまイけ! な!?」
「わかりました。ありがとうございます、類さん……♡」
俺のケツの割れ目でちんこを扱いているのがわかる。
なんかもうハーフパンツ、ぐちょぐちょになってる、よな……? こいつの先走り? 先走りか? もう何かわかんねえよ。
「は、でる、……るいさ、も、でる……」
「…………ウン」
「んんん……っ!」
ぐちょりとケツが重い。つうか、冷たいつうか…………出したんだろうな……。
ふくらはぎにもナニかが垂れてきた。ナニかつうか、精液な……。
「……類さんも、勃ってる」
「は?!」
「ほら……」
ハーフパンツの中に手を入れられて、ちんこを揉まれた。
「うっ、あ……ッ!」
「……はあ、また勃ちそう。類さん、舐めたい。舐めたいです……類さん」
か、勘弁してくれー!!!! と思っているのも本当だが、このあと捨てられた犬のようにくんくんと鳴く爽太に流されて舐めたり舐められたり……まあ、色々あることを今の俺は知らない。
おまけ
「お前……俺の体とかそういうのにはべつに興味ねえんじゃ」
「類さんの体目当てで好きになったとかそういうんじゃないんです。運命なので」
「……そお」
「はい! 類さんのすべてが好きです♡」
「……へえ」
「キスします?」
「なんでだよ」
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