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第5章 聞こえるほど近く、触れないほど遠い
144話 再会 其の1
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カルナとの邂逅から約10分後。彼の言葉通り南下した先に広がる惑星AZEL自治領には確かに白く大きな建物があった。財団が所持する他のホテルと比較すれば余りにも質素で素朴、華美で派手な装飾類は一切ない造りをしており、これをザルヴァートル所有物件と紹介したとて全員が違うと返答する程度には地味だ。
"tenebrae"。重厚で巨大な黒色の門を見ればホテルの名称が刻まれた質素な看板が目に入り、更に視線を横に向ければ豪華な門とその奥にそびえる大使館の姿。
今、2人が立つのはカルナの助言に従う形で訪れたホテルの入り口前。その話に偽りは無く、実際にザルヴァートル一族の総帥が滞在している事実は私の方で調査したので間違いは無い。
しかし、不審者を阻む様にそびえる門や周辺の緑溢れる牧歌的な景色を含む周辺一帯は言葉通りにザルヴァートル財団、ならびに一族を輩出した惑星AZELの領土として扱われる場所。当然ながら旗艦法は何の効力も持たない治外法権区域で、勝手に敷地内に立ち入ろうものならば誰であろうが惑星への不法侵入と同罪と見做され、惑星AZELの固有法によって処罰される場所。言わずもがな、とてつもなく危険な状態だ。
「ココか?」
「私もこの辺りには初めて立ち入るが、カルナの言葉通りならばココで良い筈だ。しかし……」
「人の姿は何処にも無イ」
「どうなっている?この辺りはもう治外法権内の筈だ」
有り得ないと2人が驚く理由は不気味な程に静まり返った現状。旗艦アマテラスとザルヴァートル財団の警備システム双方が、たった2人の侵入を検知出来ないなど有り得ない。見つかればタダでは済まないし、ましてやそれが守護者から追われる身ならば尚の事。
が、そんな状態に反しそれらしい出迎えは何もない。財団が擁する最高戦力のセラフは元より、量産型セラフ(※通称:守護天使、ガーディアンエンゼル)の姿もなければ、なんならSPや警備の1人さえ姿を見せない。
「どんな形にせよ出迎えがあると思ってイたのだが……」
「誰も来ないというのは流石にどうすれば良いのか分からないな」
予想していた事態とは全く違う状況に陥れば流石の2人も混乱する。今のルミナは指名手配されており、その情報は旗艦全域に周知されている。よって本来ならば不法侵入の時点で取り囲まれていて然るべきなのだが、現実はタケルの言葉通りこの場に誰もおらず、もっと言えばここに来るまでに誰にも会わなかった。故に2人はホテルを見上げる程に近づけているのだ。
誰も来ないと言う事は、少なくとも"連絡を入れておく"というカルナの言葉、そしてアヴァロン含む他の惑星が守護者に同調している訳ではないという事実を物語る。が、そうなると今度は別の問題が出てくる。もしカルナが連絡を入れたならば財団から迎えの人間が必ず立っている筈なのだ。
基本的に連合法が定めたルールに従わない形での自治領侵入は実力行使で排除されるが、無論例外もある。一般人が立ち入る場合は惑星移動と同等の検査と入国許可という正規の手順が必須となるが、代表クラスならば顔パスか簡素な検査程度が常態化している。ただ、それでも通常ならば出迎えの人間は必要だ。それは礼儀的な意味に加え、直接会って本人確認をする為だ。
例え相手が英雄であれ、然るべき手続きを取らねば治外法権への立ち入りは不可能。カルナが連絡を入れたならば財団の誰かがいて然るべき。が、2人が幾ら周囲を見回せどもそれらしい人影は何処にもない。
「どうやら体よくあしらわれたようだな」
そう結論するのは致し方ないか。例えどれだけ窮状に陥っていたとしても、流石に断りもなくホテルにまで立ち入るのは非常識極まりない。これは単純に礼儀の問題、礼を失する相手に冷たいのは何処であっても同じなのだ。
今でさえギリギリで、これ以上の確認は不可能。状況は変わらず、振出しに戻った。しかし、だと言うのに彼女の表情にはどこか安堵しているような雰囲気を感じた。
「否定できなイか。ならば何処に向かう?」
「君は良いのか?」
「コレは俺の意志だ、気にする必要は無イ。さて、次に向かうべき場所だが……」
タケルも彼女の心境に気付いているようだ。彼女がココから離れたがっていると察した彼はその決断と意志を尊重、次の逃走場所を探し始めるが……
「待たせた様じゃの、済まない」
目的地に背を向け次の目的地を探し始めるタケルと、そんな彼が見つめるディスプレイを覗き込むルミナの背後から声が聞こえた。唐突に聞こえた声に2人は驚き声の下方向を振り向くと、その方向、門の向こう側に目をやれば4体の式守の姿。
茶色の髪に真っ赤な意匠を施した白地のシャツに黒いスーツ上下を纏った細身の青年の様な体躯のミカエル、同じく茶褐色の髪に緑の意匠を施した白地のシャツと黒のスーツを纏ったやや大柄な体躯のウリエル、金色の髪に黄色の意匠を施した白地のシャツと黒のスーツを纏ったまるで少年の様な体躯のラファエル、青い髪にそれと同じ色の意匠が施された白地のシャツと黒のスーツを纏った華奢な女性の体躯をしたガブリエル。本来は神話さながらのローブを纏っている筈だが、旗艦の流行にでも合わせたのか全員がスーツを着用している。
そして、四方を守護するセラフの中央には灰色の残光を纏う老女が立っている。
ルミナとタケルはその姿を見て驚いたし、なんなら私も驚いた。まさかその人物が直々に迎えに来るとは予想すらしなかった。高齢でありながら背筋を伸ばし、色素の抜けた白く長い髪を後ろで簡素に纏め、立場に相応しい豪奢な礼服では無い質素で落ち着いた衣服に身を纏った老女は、もしルミナが無事に老年期を迎えるならばきっとこのような外見になるのだろうと想像させる程によく似た雰囲気を放っている。
人工の夜に浮かぶ人工の月が空から優しく照らす老女は、一見すれば何処にでも居そうな人のよさそうな雰囲気を出しながらも、門の向こう側に立つルミナを真っ直ぐに見つめる。
「貴女自らがお出迎えに上がるとは思イませんでした、総帥」
驚くルミナに代わりタケルがそう伝える相手は惑星AZELが生んだ傑物の集団、ザルヴァートル財団の現総帥"アクィラ=ザルヴァートル"。本来ならば彼女自らがこんな場所に出向くなどあり得ない。例え真っ当な理由であろうが誤解であろうが、連合最大の金持ちと言うだけで恨む者は大勢いる。
故に総帥は余程の事が無ければ表に出ることはなく、大半は映像越しでしかその姿を確認した事がない。にも関わらず、現総帥は財団の最高戦力"セラフ"を伴う形で表に出てきた。
ソレがどんな理由か、特にルミナは痛いほど理解している。だが一方でその意図を素直に受け取れない、だから彼女は先程から何らの行動も起こさない、起こせない。だけど……きっと、いや確実に言える。もしこの場に伊佐凪竜一がいたらもっと素直に行動に移していただろう。彼女は自分の事となると途端に消極的になる。私は少しずつではあるが彼女を理解し始めていた。
「あ、あの……」
ルミナが漸く口を開いたがしどろもどろで要領を得ない、実に彼女らしくない態度だ。
「ルクセリア」
総帥は優しくそう呼びかけると、ルミナの表情が一気に強張った。地球との戦いが終わった僅か1月半後に起きた大規模ナノマシン汚染事件の終わりに出会ってから4ヵ月ほどが経過したが、結局この2人が再び縁を結ぶ事はなかった。今日の今日まで。
彼女が出自を知ったのは僅か数か月前のその時。血縁とは言え、直接会ったのがたった1度の相手などほぼ他人同然。その事実に高い能力と難儀な性格がルミナの中から"頼る"という選択肢を奪う。彼女は唯一の肉親を拒絶する。
"tenebrae"。重厚で巨大な黒色の門を見ればホテルの名称が刻まれた質素な看板が目に入り、更に視線を横に向ければ豪華な門とその奥にそびえる大使館の姿。
今、2人が立つのはカルナの助言に従う形で訪れたホテルの入り口前。その話に偽りは無く、実際にザルヴァートル一族の総帥が滞在している事実は私の方で調査したので間違いは無い。
しかし、不審者を阻む様にそびえる門や周辺の緑溢れる牧歌的な景色を含む周辺一帯は言葉通りにザルヴァートル財団、ならびに一族を輩出した惑星AZELの領土として扱われる場所。当然ながら旗艦法は何の効力も持たない治外法権区域で、勝手に敷地内に立ち入ろうものならば誰であろうが惑星への不法侵入と同罪と見做され、惑星AZELの固有法によって処罰される場所。言わずもがな、とてつもなく危険な状態だ。
「ココか?」
「私もこの辺りには初めて立ち入るが、カルナの言葉通りならばココで良い筈だ。しかし……」
「人の姿は何処にも無イ」
「どうなっている?この辺りはもう治外法権内の筈だ」
有り得ないと2人が驚く理由は不気味な程に静まり返った現状。旗艦アマテラスとザルヴァートル財団の警備システム双方が、たった2人の侵入を検知出来ないなど有り得ない。見つかればタダでは済まないし、ましてやそれが守護者から追われる身ならば尚の事。
が、そんな状態に反しそれらしい出迎えは何もない。財団が擁する最高戦力のセラフは元より、量産型セラフ(※通称:守護天使、ガーディアンエンゼル)の姿もなければ、なんならSPや警備の1人さえ姿を見せない。
「どんな形にせよ出迎えがあると思ってイたのだが……」
「誰も来ないというのは流石にどうすれば良いのか分からないな」
予想していた事態とは全く違う状況に陥れば流石の2人も混乱する。今のルミナは指名手配されており、その情報は旗艦全域に周知されている。よって本来ならば不法侵入の時点で取り囲まれていて然るべきなのだが、現実はタケルの言葉通りこの場に誰もおらず、もっと言えばここに来るまでに誰にも会わなかった。故に2人はホテルを見上げる程に近づけているのだ。
誰も来ないと言う事は、少なくとも"連絡を入れておく"というカルナの言葉、そしてアヴァロン含む他の惑星が守護者に同調している訳ではないという事実を物語る。が、そうなると今度は別の問題が出てくる。もしカルナが連絡を入れたならば財団から迎えの人間が必ず立っている筈なのだ。
基本的に連合法が定めたルールに従わない形での自治領侵入は実力行使で排除されるが、無論例外もある。一般人が立ち入る場合は惑星移動と同等の検査と入国許可という正規の手順が必須となるが、代表クラスならば顔パスか簡素な検査程度が常態化している。ただ、それでも通常ならば出迎えの人間は必要だ。それは礼儀的な意味に加え、直接会って本人確認をする為だ。
例え相手が英雄であれ、然るべき手続きを取らねば治外法権への立ち入りは不可能。カルナが連絡を入れたならば財団の誰かがいて然るべき。が、2人が幾ら周囲を見回せどもそれらしい人影は何処にもない。
「どうやら体よくあしらわれたようだな」
そう結論するのは致し方ないか。例えどれだけ窮状に陥っていたとしても、流石に断りもなくホテルにまで立ち入るのは非常識極まりない。これは単純に礼儀の問題、礼を失する相手に冷たいのは何処であっても同じなのだ。
今でさえギリギリで、これ以上の確認は不可能。状況は変わらず、振出しに戻った。しかし、だと言うのに彼女の表情にはどこか安堵しているような雰囲気を感じた。
「否定できなイか。ならば何処に向かう?」
「君は良いのか?」
「コレは俺の意志だ、気にする必要は無イ。さて、次に向かうべき場所だが……」
タケルも彼女の心境に気付いているようだ。彼女がココから離れたがっていると察した彼はその決断と意志を尊重、次の逃走場所を探し始めるが……
「待たせた様じゃの、済まない」
目的地に背を向け次の目的地を探し始めるタケルと、そんな彼が見つめるディスプレイを覗き込むルミナの背後から声が聞こえた。唐突に聞こえた声に2人は驚き声の下方向を振り向くと、その方向、門の向こう側に目をやれば4体の式守の姿。
茶色の髪に真っ赤な意匠を施した白地のシャツに黒いスーツ上下を纏った細身の青年の様な体躯のミカエル、同じく茶褐色の髪に緑の意匠を施した白地のシャツと黒のスーツを纏ったやや大柄な体躯のウリエル、金色の髪に黄色の意匠を施した白地のシャツと黒のスーツを纏ったまるで少年の様な体躯のラファエル、青い髪にそれと同じ色の意匠が施された白地のシャツと黒のスーツを纏った華奢な女性の体躯をしたガブリエル。本来は神話さながらのローブを纏っている筈だが、旗艦の流行にでも合わせたのか全員がスーツを着用している。
そして、四方を守護するセラフの中央には灰色の残光を纏う老女が立っている。
ルミナとタケルはその姿を見て驚いたし、なんなら私も驚いた。まさかその人物が直々に迎えに来るとは予想すらしなかった。高齢でありながら背筋を伸ばし、色素の抜けた白く長い髪を後ろで簡素に纏め、立場に相応しい豪奢な礼服では無い質素で落ち着いた衣服に身を纏った老女は、もしルミナが無事に老年期を迎えるならばきっとこのような外見になるのだろうと想像させる程によく似た雰囲気を放っている。
人工の夜に浮かぶ人工の月が空から優しく照らす老女は、一見すれば何処にでも居そうな人のよさそうな雰囲気を出しながらも、門の向こう側に立つルミナを真っ直ぐに見つめる。
「貴女自らがお出迎えに上がるとは思イませんでした、総帥」
驚くルミナに代わりタケルがそう伝える相手は惑星AZELが生んだ傑物の集団、ザルヴァートル財団の現総帥"アクィラ=ザルヴァートル"。本来ならば彼女自らがこんな場所に出向くなどあり得ない。例え真っ当な理由であろうが誤解であろうが、連合最大の金持ちと言うだけで恨む者は大勢いる。
故に総帥は余程の事が無ければ表に出ることはなく、大半は映像越しでしかその姿を確認した事がない。にも関わらず、現総帥は財団の最高戦力"セラフ"を伴う形で表に出てきた。
ソレがどんな理由か、特にルミナは痛いほど理解している。だが一方でその意図を素直に受け取れない、だから彼女は先程から何らの行動も起こさない、起こせない。だけど……きっと、いや確実に言える。もしこの場に伊佐凪竜一がいたらもっと素直に行動に移していただろう。彼女は自分の事となると途端に消極的になる。私は少しずつではあるが彼女を理解し始めていた。
「あ、あの……」
ルミナが漸く口を開いたがしどろもどろで要領を得ない、実に彼女らしくない態度だ。
「ルクセリア」
総帥は優しくそう呼びかけると、ルミナの表情が一気に強張った。地球との戦いが終わった僅か1月半後に起きた大規模ナノマシン汚染事件の終わりに出会ってから4ヵ月ほどが経過したが、結局この2人が再び縁を結ぶ事はなかった。今日の今日まで。
彼女が出自を知ったのは僅か数か月前のその時。血縁とは言え、直接会ったのがたった1度の相手などほぼ他人同然。その事実に高い能力と難儀な性格がルミナの中から"頼る"という選択肢を奪う。彼女は唯一の肉親を拒絶する。
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