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前編

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 私はココまででしょうか。どうして私はこうなってしまったのでしょうか。そんな自問自答を繰り返しながら、私は逃げ続けました。

 家柄、容姿、魔力適正、身体能力の全てが羨望の的と評されても終わるときは呆気ない。運命の歯車が狂い始めたのはつい先日……いえ、もっと前からだったのでしょう。

 私は、私以外に余りにも関心を向けなかった。だから妹の心変わり……いえ、コレも違いますね。妹は私を追い落とし、自らが当主となる日を願い、その為の準備を水面下で入念に済ませていました。

 ※※※

 ――過去

「残念ね、お姉さま!!アナタの時代はもう終わり。これからは私がッ、栄光あるイセルベルク家の当主よ!!」

 自信満々に語る妹は、何の躊躇いもなく私の手にナイフを突き立てました。痛い。私はその日初めて自分の血を見ました。溢れる真っ赤な血はテーブルを染め、カーペットへと滴り落ちる。

 妹の目を見た私は冗談ではないと察した。あ、コレ死ぬ奴だ。直感的にそう悟った私は無事な反対側の手に掴んだ水差しを躊躇いなく妹に振り下ろし、逃げました。

 外には妹が雇ったゴロツキが何人もいました。全員がまるで値踏みする様な、いえ……もっと下卑た感情を籠めた目で私を舐め回すように見つめてきました。

 ゾッとして身体が強張った私を助けてくれたのはシュヴァルツェカッツェ。幼少時、親を亡くして餓死寸前だったところを助けて以降ずっと一緒に暮らしてきたカレがいなければきっと私は助からなかったでしょう。だけど今頃はきっと……だからもう私には何もない。

 何もかも失ってしまった私に、死ねば楽になると心の奥底から囁く声が聞こえました。だけど、私はソレを押し殺しながら馬を走らせました。もう何もないのに、纏まった金も換金できるような物も無く、地位も名声も何もかも失いました。

 ――どれくらい馬を走らせていたのか。日はとっくに落ち、夜の闇が大地を遍く黒に染める世界の中で私はポツンと立っていました。

 前方を見れば大きな山にぽっかりと空いた穴。ココは……そう、確か我が家が管理する鉱山の1つでした。直ぐに思い出せたのは、少し前にお父様が話題にしていたのを聞いてしまったから。

「めぼしい物は出尽くしてもう何もない。これ以上ココに人員を割く必要はない」

 その言葉だけ聞けばありふれた話に聞こえるでしょうけど、でも実際は少し違うようでした。国が買い上げるというのです。ですが、その話が纏まるか纏まらないかという矢先、お父様が不審死を遂げ、まるで後を追うようにお母様も亡くなり、そして……妹が本性を露にしました。

 今にして思えば妹が国と何らかの取引をしたのではないかと思えました。私は家業に関しては非常に疎かったのです。お父様もお母様も私は何処か良い家柄に嫁げばよいと、常々そうおっしゃっていました。ですから家業に関する事は専ら妹の役目でした。

 ポツポツと頬を水が伝っているのに気づきました。涙ではありません。空を見上げれば星一つない真っ暗な空が見え、ソコから無数の雨粒が降り注いでいました。雨。当然ながら雨具など持っておらず、選択肢の無かった私は閉山となった鉱山の中へと足を踏み入れ……そして……

 ※※※

「ううぅ……」

 我が身に何が起きたのか理解するのに少しばかり時間を要しました。鉱山の中は当然ながら真っ暗闇。ですが私は幸いにも幾つかの魔術を習得しておりました。教師曰く"天賦の才"と評価して下さったその方の教えを思い出し、私は下級セイレイを呼び出しました。光を司るセイレイの輝く先をゆっくりと慎重に歩いていた私は……そう、不意に足元が崩落して……

 意識を取り戻し周囲を見回せば、ソコは我が家と遜色ない程に広い空間の様でした。

「ウィスプ」

 私はセイレイを再び呼び出し出口を探そうと辺りを見回し、ソレを発見しました。セイレイの白い輝きの中に浮かび上がるその雄大な姿はまるで漆黒の騎士。

「コレは……何?」

 跪くような姿勢のまま動かない騎士を見た私は不思議な感覚に襲われました。まるでこれは、魔術の先生に教わった雷撃魔術の制御に失敗した時の様な……そう、まるで雷に打たれたような衝撃が私の頭から心臓を貫き、血流を通して全身へと広がったのです。

 直後、鉱山全体が鳴動し始めました。コレは一体?ですが、またも私は直感したのです。きっと騎士カレも私と同じような感覚に襲われているのだと。

 鳴動は徐々に激しさを増し、ソレに伴い地面はひび割れ、天井からは大小さまざまな瓦礫が落ち始め、遂にはこの空間全体が崩落し始めました。あ、コレ死ぬな。私はそう直感しました。でも、もうこれで良いかと、そう思いました。

 だって生き延びたところで何もできないのです。あの妹が生き延びた私を黙って見逃すとは思えませんし、かといって一人で生き抜くには余りにも無力で無知。何よりこの場所から生きて脱出できる手立ても持ち合わせていない。

 空間跳躍の魔術は流石に高等過ぎるから、然るべき教育機関で習うべきだ。魔術の先生はそう言って私には教えて下さいませんでした。

 誰を恨むべきでしょうか。私を殺そうと画策した妹か、この苦難を跳ねのける力のない自分自身か。それとも無常に命を奪う運命を紡いだ神か。天井を見上げれば激しさを増した鳴動により落下する一際大きな岩石の塊。

 あぁ、終わりですね。何を持って生まれようが死ぬ運命は変えられないし、唐突な不幸に見舞われる。世界とは思うほどに冷たくもないけど、だからと言って優しくもない。

 あぁ、そんな溜息が私の口から零れていました。私は世界も世間も知らなかった。死に際し、漸く私は色々な物に生かされていたと理解しました。もう遅いですけど。でも、不幸とは思いません。最後に運命の相手に出会えたのですから。

「さようなら。最後にアナタが動くところを見たかった」

 見上げる程に大きな騎士に私は声を掛け……

『では次からもっと早くに意思表示すべきだ』

「は?」

 驚く私の目の間で騎士の目が輝くと、降り注ぐ落石から私を守ってくれました。それはさながら高位の結界魔術の様に、大小様々な落石は、まるで見えない壁に沿うように私達を避け、周囲にドンドンと積み上がっていきました。

「これは?」

『自己修復率……90.971%。まだ完璧ではないが、この程度ならば雑作も無い』

「え?あの?コレは一体?」

『防壁を展開した。この程度の瓦礫ならば雑作も無い。ところで君は誰だ?』

「は、はい。私はルビー=イセルベルク。栄えあるイセルベルク家の……」

『イセルベルク家の、何だ?自己紹介は明瞭に頼む』

「ルビーで結構です。もう、帰る家がありませんので」

『そうか……君もか』

「君も?」

 その言葉に私の心は大きく揺さぶられました。低く落ち着いた声にも、その内容にも揺さぶられました。

『全機能に問題はない。が、どうやら過去一切の記録を消失しているようだ。今の私は端的に記憶喪失状態、辛うじて何者かと戦っていたというのが装備から分かる程度で、名前も生まれも一切が分からないのだ』

「そう。つまり騎士様はこうおっしゃりたいのですね。私を守る代わりに記憶を取り戻す手伝いをして欲しい、と。」

『話が早くて助かる。どうだろう?先ほどの自己紹介から判断するに、君にとっても悪い話ではない筈だ』

「分かりました。ですが騎士様。その前にアナタのお姿を拝見したいのですが?」

『姿?君の前にあるコレが私だよ。それから騎士様と言う呼び方はどうにも奇妙に感じる。出来ればもっと端的な呼び名で読んで欲しいのだが?』

 カレは不思議な事を言いました。コレが私だ、と。俄かには信じ難い話ではありますが、歴史を紐解くと過去には巨人族が跋扈していた時代というものが確実に存在する様で、彼等が造り上げた堅牢で頑丈な"ダンジョン"と呼ばれる構造物にその証拠である壁画などの記録が残っていると耳にした記憶があります。

 ならば……カレもその巨人族なのでしょう。驚くべき話ではありますが荒唐無稽ではありません。世界には巨人に匹敵する巨大生物や、摩訶不思議な魔物が跋扈しているのですから。

『先ず答えを聞きたい。私の提案を受け入れるか否か』

 私に選択肢など……いえ、これまでの私は受け身でした。でも私は私を守り育んだ全てを失いました。だから変わらねばなりません。

「わかりました。謹んでお手伝いさせて頂きます」

 私は自らの意志で決断し、行動し、その責を負います。今、そう決めました。

『では後顧の憂いを断とう』

「ありがとうございます。私のシュヴァルツェ・カイザー」

『長い』

「では……カイザーでどうでしょう?」

『カイザーか。ウム……意味は分からないが何となく気に入った』

 彼は心なしか嬉しそうに私が決めた名を呼ぶと、大きな手に私を乗せ……解放した胸部から鎧の中に入るよう指示しました。中は窮屈に感じない程度の広さでしたがとても明るく、ですが奇妙なモノが沢山ありました。

 辛うじて空間の中央にドンと置かれたのが椅子だと理解できる程度で、座ると同時に仄かに輝きだした手すりの奇妙な紋様や周辺に浮かび上がった透明な窓とソコに書かれた読めない文字など分からない事だらけでした。

 でも、不思議と怖くない。カレの存在をとても近くに感じるからでしょうか。大丈夫、私は前を向けます。

『操縦形式だが、基本的に君の思考パターンを読み取って動き、ソレを私が補佐する。自律起動はするが私はあくまで補佐、つまり君が弱ければ私はその真価を発揮できない』

「わかりました。考えれば……良いのですね?」

『そうだ。私が持つ機能についてある程度噛み砕いて説明しておこう。人間で言う食事を取る必要は殆どない。先程見せた様に防壁を展開できるので並大抵の攻撃は通らないし、仮に傷を受けたとしても直ぐに修復するので心配無用だ。武装は近接戦闘用の剣に、君が知る魔術によく似た原理を使った飛び道具も使える。それから飛行形た……鳥に変身して空を素早く移動する事も出来る』

「まぁ、何でも出来るのですね?」

『戦闘に関してはほぼ完璧にこなせる。が、物は使いようだ。私と言う存在をどう使うかは搭乗者である君次第だ』

「ありがとうございます。でも……」

『どうかしたか?』

「自分をモノだと言うのはお止めください。私達は互いを助け合う尊い仲間、一蓮托生なのですから」

『……承知した。では行こう』

 カレはそう言った直後、中が少し揺れました。中央に浮かぶ窓を見れば、カレの言葉通り空を飛び上がっている様子が映っていました。

 この窓は高度な空間魔術を使用しているようで、離れた場所を見せてくれているようです。魔術の先生が魔術用のオーブを通し遥か遠くの光景を見せてくれたあの時の記憶が蘇ってきました。

 懐かしい……でももう捨てなければならない思い出。

「では行きましょう」

『あぁ。それから、今まで私は自己を物としてしか定義していなかった……君の好意に感謝する』

「はい。」

 その時の私はどんな顔をしていたでしょうか。今の私は……全てを無くしたのにとても幸せでした。
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