不幸(しあわせ)

風見星治

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◎月7日

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 今日も今日とて最悪だ。クソ田舎から長い時間かけて持ち帰ったネックレスを質に入れてみれば、どうやら粗悪な偽物らしくて二束三文、交通費にすらならなかった。しかも上司からは無断欠勤をとがめられ、挙句に"次やったらクビだ"と脅された。

 クソが、ついてねぇついてねぇついてねぇ。何なんだ。なんでこう俺だけ不幸なんだと愚痴りながら会社のトイレでスマホを弄っていたその時……
 
「不幸の後……幸運は……」
 
 声が聞こえた。誰だ?余りにも不意に、突然聞こえてきた言葉に驚いた俺は素っ頓狂な声を上げながら周囲を見回したが、でも誰もいない。つーかここは個室で、隣にも誰も入っていなければその声はどうにも女っぽい高い声をしていた。何だ?疲れてるのか?気味が悪くなった俺は逃げるようにトイレを後にすると適当に理由を付けて早退した。そういえば頼まれた仕事が途中だったような気がするが、どうでもいいや。
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