雪山遭難殺人事件で殺人犯と真っ先に疑われるタイプのチンピラ受けがめちゃくちゃにされるやつ

田原摩耶

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「お、おいっ! 馬場……」
「ふ……っざけんな、てめ……ッ! 離せ!」

 よりによって徳永の前でこんな格好をさせるなんて、この男、本当にいかれてるんじゃないのか。
 剥き出しになった臀部を馬場に鷲掴みにされる。そのまま乱暴に尻たぶを左右に割り拡げられるのがわかり、背筋が凍り付いた。

「っ、や、め……ろ……ッ! おい、馬場!」
「なんだ? こいつの前だからって今更意識してるのか?」
「ちげえ! 誰だって、こんな……っ」

 そう言いかけた矢先だった。尻の割れ目ごと広げられた肛門に馬場の指が触れ、息を飲む。
 正気か、と身を捩って逃げようとしたのもつかの間、ぐぷ、と埋め込まれる武骨な指の感触に堪らず呼吸が止まる。

「ぅ、ぐ……っ!」
「馬場っ、やめろ! 近江屋君が苦しんでるだろ」
「これのどこが苦しんでるだって? 徳永、お前はそこでよく見てろ」

「こいつがどこまで浅ましい体なのかをな」そう笑いながら、無理矢理抉じ開けられた肛門から中へと入ってくる指。収縮し、異物の侵入を必死に拒もうと緊張する体内。
 しかし、馬場本人はというとそんなことはお構いなくさらに指を追加する。

「は、ぅ……ぐ……っ! ぬ、けぇ……ッ!」
「相変わらず、処女みたいな締まりだな」
「ぐ、ぅ……っ!」

 ――最悪だ。
 細くはない馬場の指に内壁を刺激され、咄嗟に歯を食いしばる。
 そんな俺を鼻で笑い、馬場は更に執拗に指の腹でナカを掻き回した。数時間前、乱暴に犯されたときの熱が再び全身に蘇って血の気が引いた。
 気持ちいいわけがない。寧ろ嫌悪感の方が遥かに大きい、はずなのに。

「――っ、ふ……ッ、ぅ゛……」
「どうした? さっきまでの威勢は。随分と呼吸が荒いみたいだが」
「ぶ、っころ、す」
「なんだ、まだそんな減らず口が叩けたか」

「なら、遠慮する必要はないな」そう笑う馬場の薄気味悪い笑顔に背筋が震えた。
 そして一気に指が引き抜かれたと思えば、そのまま高く腰を持ち上げられる。

「っ、ぉ、い……待て……っ!」
「優しくしてやる必要はないよな? ……人に手を出すってことは、仕返しされる覚悟も出来てるはずだろうからな」

 それとこれとは話がちげえだろうが、と声を上げるよりも先に、指を引き抜かれ、ぽっかりと口を開けたそこに宛がわれる性器の感触に息を飲む。

 ――まさかこのままやるつもりか?正気か。

「待……――ッ」

 待て、と言いかけ、口を開いたのとそのまま大きく腰を突き動かされたのはほぼ同時だった。
 最も太い亀頭が、そのまま一気に奥まで入ってきては内臓ごと押し上げる。

「ぐ、ひ……ッ!!」
「っ、は、……っ相変わらず、締まりだけは良いな」
「ッ、だ、まれ、ぬ゛……ッ、ぅ゛、抜け……ッ! ふぅ゛……ッ!」

 一度乱暴にこじ開けられた肉壁を、今度はゆるゆると緩急つけて腰を動かし始める馬場。
 焼けるように腹の内側が熱い。
 よりによって徳永の前で、こんな。
 顔を上げることもできず、頭を押さえつけられたまま腰を叩きつけられれば尻がじんじんと痺れる。

「っ、ふ、ぐ、ぅ゛……っ、く……っ!」
「お、近江屋君……」
「徳永、お前にも見えてるか? こいつのケツは開発済だった、恋人だった男によってな。お陰様でハメられれば誰でもいいらしいがな」
「ちっ、そんな、わけ……っ、ん゛ぅ゛……ッ!!」
「違わねえだろうが、いきなりハメられておっ勃てるやつが好きモノじゃねえなんて言い訳、信じられると思うか? なあ……ッ?」

 思いっきり根本まで叩きつけられ、腰が大きく揺れる。萎えていたはずの性器を馬場に掴まれ、ひくりと喉が震えた。いつの間にかに体液で濡れたそこをそのまま上下に扱きあげられれば、内側からと外側、両方からの刺激に耐えきれず下腹部が痙攣する。
 違う、そんなはずはない。そう思いたいのに、腫れ上がった亀頭で同様に熱を帯びた肉粘膜を執拗に犯され、前立腺を削られる。それだけで喉の奥から声が漏れそうになり、俺は必死に奥歯を噛み締めて堪えた。
 そんな俺の様子が余程面白かったらしい、馬場のやつは更に性器を大きくさせる。そして、俺の後ろ髪に指を絡め、そのまま上体を逸らさせるように今度は頭を掴みあげるのだ。

「っ、な゛……ッ、ぁ゛……っ、う゛……ッ!!」

 瞬間、背後から大きく突き刺さる性器に胸が震える。
 すぐ視線の先には徳永がいた。離れていたとしても対面になるような体勢が嫌で、顔を逸らそうとするが馬場はそれを許さない。

「なにを恥ずかしがってんだ? ……っ、こいつにも見てもらえよ、その様子じゃ、まだ身体までは使わせてなかったらしいからな……っ!」
「ふ、ぅ゛ぐ……っ!!」

 膝立ちのまま、背後から出し入れさせられる性器に休む暇もなかった。逃げたいのにピストンの度に全身は硬直し、動けなくなる。そのまま見せつけるように性器を扱かれ、余計に頭の中が真っ白になってしまうのだ。
 こんなの、不可抗力に決まってる。男だったら誰だってそうだ。
 そう言い訳をすることが精一杯で、唯一自分を保てる方法だった。

「っ、み、るな……ッ! た、のむ、みるな、ぁ゛……っ、ひ、ぅ゛、み、見るな……って、ば……ッ!!」
「っ、……!」
「そんなに見せてほしそうに腰を振っておきながら『見るな』は無理な話だと思わないか?」

「なあ、近江屋」尻の肉に食い込む指先。乱暴に突き上げられて苦しくて、亀頭で押し上げられる度に全身が魚のように跳ね上がった。
「近江屋君」と心配そうな徳永の声が、視線も相俟って前を見ることができない。

「っ、は、ぁ゛……ッ! ひ、ぅ゛う゛……ッ!」

 前を扱かれながらこじ開けられた肛門をひたすら犯される度に頭が真っ白になる。
 何度も身体を逸らそうとする度に前を向かされ、更に激しく内側からも外側からも責め立てられるのだ。
 我慢の糸も呆気なく途切れる。

「っ、ぁ゛、ぐひ……っ、ぅ……っ!」 

 どぷ、と大量に溢れる精液が目の前、視界の端で飛び散る。射精直後、ぼんやりとした頭の中、徳永に向かって放出した精液を目で追いかけたときだった。
 深く突き立てられたものが身体の中で跳ねる。
 そして、

「は、出すぞ……ッ」
「ぁ゛、や゛ッ、め゛……――ッ!」

 やめろ、と叫んだその先は声にならなかった。
 腕を手綱のように引っ張られ、隙間なく性器を埋め込まれたまま腹の奥、馬場の精液な注がれるのがわかった。

「ぃ゛、ぐ……ッ!!」

 嫌なのに、条件反射で身体が勝手に反応してしまう。
 ただでさえみっちりと性器が詰まった腹の中、びくびくと脈打ちながらも精液を注ぐ性器。行き場を失った精液が微かな隙間を縫って品のない音を立て溢れる。

「ふー……っ、ふ……ぅ゛……ッ!」

 呼吸を整えようとするのも束の間、俺の腰を掴んだまま再び馬場は腰を動かし始めるのだ。
 精液が溜まった腹の中、ぐぷ、と濡れた音を立てながら精液を塗り込むようにねっとりを内壁を摩擦される。

「ゃ、め゛……ッ!」
「……っ、は」

 肛門ぎりぎりまでずるりと引き抜かれる性器。亀頭のエラを引っ掛けるように精液を掻き出されたかと思いきや、次の瞬間再び奥まで一気に貫かれる。
 先走りと精液を潤滑油代わりにし、馬場はさらに腰を打ち付けてくる。逃げることもできなかった。

「ぉ゛、あ゛ッ、とま゛ッ、ぅ゛……ッ! ひ、……ッ!!」
「……っ、なにしてんだ? ……っ、お前の役目はケツの穴を締めることだろうが」
「ぃ゛ッ、ぐ……ッ!!」

 バチンと音を立て、臀部を叩かれた瞬間下腹部、括約筋周辺に力がこもった。その感触が心地よいのか、楽しげに馬場のクソ野郎は笑い、そして更に性器に指を絡める。
 滴っていた精液その他諸々の体液を指で塗り込むようにガチガチに勃起した性器を擦られる。
 こんなもの、生理現象だ。そう思いたいのに、ここにはいない久古が俺を見てるようだった。
 そんな罪悪感を抱えながら、俺は馬場の手と性器で二度目の射精を迎えてしまったのだ。


 悲しみよりも、羞恥、怒りの方が大きかった。
 快感から放り出されるように性器を引き抜かれたと思えば、一人で立っていることができず、そのままずるりと床へと倒れ込みそうになったところを「近江屋君!」と慌てて駆け寄ってきた徳永に抱きかかえられた。
 汚れるから離れろ、そう言いたいのに声も出ない。性器を引き抜かれた後、どろりと溢れる精液が腿から垂れるのを感じながら俺は必死に意識を保とうとした。

「……っ、馬場、やりすぎだ」
「そんなこと言って、お前も興味が会ったんだろ? こいつに」

「――こいつの身体に」背後から伸びてきた馬場の手に尻の皮を抓られ、「ぃ゛っ」と大きく震える。「このやろう」と回らない呂律で馬場を睨みつけようとしたとき、そのまま馬場に鼻の頭を摘まれる。

「っ、ぐ、う゛……っ!」
「良い様だな。……ドM野郎、ほら、お前のせいで汚れた。舐めて綺麗にしろ」
「……ッ!」

 ただでさえ呼吸すら整っていない中、鼻を塞がれ、そして唇に押し付けられる性器にぎょっとする。
 自分の精子で汚れたくせにとんでもない言いがかりだ。絶対しゃぶるものか。こんなことするくらいなら窒息死でもした方がマシだ。
 そうふいと押し付けられるそれから顔を背けようとすれば、そのまま精子で汚れた性器は人の頬から唇までねっとりと汚してくるのだ。

「っ、ざけんじゃね――んむ゛ッ!」

 あまりの不快っぷりに堪らず怒鳴ったのがまずかった。開いた唇にねじ込まれた二本の指。馬場のやつはそのまま人の顎をぶっ壊すのかという勢いで顎ごとこじ開けるのだ。

「ぅ゛、あ゛……や゛……っへろ……ッ! ぉ゛……っぶ、……ッ!!」
「歯は立てるなよ。……つっても、これじゃ無理か?」

 自分のが太いから、とでも言いたげな顔が、笑い方が死ぬほど腹立ったがそれもすぐ、喉まで一気に塞いでくる性器に吐き気を覚えた。
 野郎のものをしゃぶるのは初めてではないが、それでも久古のものではないと思うとただ具合が悪くなる。

「は、へろ……ぉ゛……っ! ん゛……っぅ゛……ッ!!」

 吐き出したい、そう思うのに俺の意思とは関係なく太い性器は舌の上を滑るように咥内を犯す。
 歯を立てようにも、そもそも顎を閉じることができない。限界まで開かれた口の中を行き来し、頬の裏側の粘膜までもねっとりと精子で汚れた亀頭をこすり付けられれば目眩を覚えた。

「ん゛、ぅ゛……っ」
「は……ッ、黙れば悪くねえな」
「……ッ、う゛、ぶ……ッ!」

 後頭部を掴まれ、そのままやつの腰に向かって頭を押さえつけられる。鼻も口も塞がれそうになり、喉ちんこを掠めて舌の付け根の更に奥、喉の器官までにゅるりと犯してくる馬場の性器に声すらもでなかった。
 拒もうと締め付けるのが余程いいらしい。呼吸を荒くした馬場、舌の上のものもその呼吸に合わせるように鼓動し、膨張する。

「んっ、ぅ……っ、」

 先程までの性行為の疲労もまだ残ってて、更に酸欠の状態で頭がクラクラしてくる。
 そんな中、満足げな顔をしてこちらを見ていた馬場はそのまま徳永へと視線を向けた。

「徳永――お前も混ざれよ」

 ――何を言ってるのだ、この男は。

 ふざけたことを吐かし始める馬場に呆れ、思わず言葉を失ってしまう。

「見てばかりじゃつまらないだろ? ……それに、こいつはお前を襲った加害者でもあるわけだしな」
「ん゛、ぅ゛……ッ!」
「チッ……うるせえな、暴れるなって言ってんだろ」
「う゛……ッ!」

 ふざけるな、と抗議しようとしたが、口の中に収まった野郎のブツが邪魔でもがもがと鼻息を荒くすることしかできない。
 息苦しさのあまり、酸欠になりかかっているようだ。感情的になればなるほど脳味噌が茹で上がっていくようだった。

「……それに、“それ”。そのままにしておくの辛いだろ?」

 一瞬、馬場がなにを言っているのか分からなかった。
 俺には徳永の顔も様子も分からない。それでもこの状況、流れからして“それ”がなにを指しているのか分かってしまった。
 そんなわけねえだろ、と冷や汗が滲む。

 そして、

「……っ、近江屋君」

 思いの外、先程よりも近くなった徳永の声に背筋が凍りついた。

「ん゛、う゛」
「……ごめん、近江屋君」
「なんで謝るんだ。お前は悪くないだろ」
「ふ……っ、ぅ゛……」

 ――冗談だろ、徳永。

 振り返ろうとしたが、後頭部を掴んだ馬場がそれを許さない。その代わりに、先程まで馬場の性器が突っ込まれていたそこを誰かの指で広げられ、思わず身を引きそうになった。
 が、がっちりと腰を掴まれてしまい、それは叶わなかった。
 そのまま挿入される指は明らかに馬場のものとは違う。ぬちぬちと音を立て、中に溜まっていた精液を掻き出すように指が中を優しく引っ掻くのだ。

「ん゛……っ、ふー……ッ!」
「喉の締まりが急によくなったな。……ほら、そのまま集中しろ。そのよく回る舌を引っこ抜かれたくなかったらな」
「……ッ、……っう゛……」

 何が、起きてるのか。自分がなにされているのかも、頭では考えたくなかった。
 ……背後に立ち、人のケツに指を突っ込んでくるこいつが誰なのかも。

 集中しろ、と顎を掴まれ、再び後頭部を掴まれ、まるで喉全体をオナホかなにかみたいに見立てて緩く出し入れする馬場。その度に口の中で混ざりあったやつの体液と唾液がぐちゃぐちゃと音を立て、咥内と下半身、どちらからも与えられる刺激により咥内の唾液の分泌量は増す。

「ッ、ふぅ゛……ッ」
「馬場、やっぱり近江屋君苦しそうだ」
「それは喜んでるって言うんだよ。ほら、こいつの下半身を見てみろ」

 そう言う馬場に性器を靴先で軽く蹴り上げられる。未だ芯を持っていたそこは、弾かれるような刺激に耐えきれず思わず震えた。それを見て、背後の徳永が小さく息を吐くのだ。

「……っ、近江屋君」

 ある意味、あいつの顔が見れなくて良かったのかもしれない。
 どういうつもりなのだとか、色々言いたいことはあるが、それよりも軽蔑されるのが一番堪える。
 見るな、と念じながらも目を瞑ったときだった。中に溜まった精液を掻き出し終えた徳永の指が引き抜かれたと思いきや、今度は尻の割れ目の辺りにぬるりとしたものが触れた。重み、そしてその弾力。割れ目に這わせるよう添えられたその性器の感触に、堪らず息を飲む。

「……っ、ふー……ッぅ゛……ッ」

 まさか。待ってくれ。
 そう止める暇もなかった。

 既に先程、馬場の挿入により散々広げられ、強制的に受け入れられるために慣らされたそこは、少し腰を動かしただけでぬぷ、と濡れた音を立てて飲み込んでいく。

「ふ、ぅ゛……ッ!!」
「近江屋君……っ」
「ぅ゛、んんぅ゛……ッ!」

 背後から覆い被さってくるように腰を沈めてくる徳永。逃げることもできないまま、今までに味わったことのない圧迫感に喘ぐこともできなかった。

 徳永はそういうやつだと思わなかった。
 だからこそ余計、入り込んでくる亀頭により一層頭が真っ白になる。

「ふ、ぅ゛、む……ッ?!」
「く、ふ……ッ、近江屋君……ッ!」

 嘘だろ、などと言ってる余裕もなかった。背筋が震え、逃げようとしても動けない。
 腰を捉えたまま入り込んでくる性器に、精液で既にぐずぐずになっていたそこはあっという間に徳永のモノに合わせて形を変えていく。
 ぐぷ、ぐぢゅ、と音を立て、腹の中で泡立つ精液。それに構わず奥まで入り込んでくる性器に堪らず腰が震えた。

「そいつのケツだけは悪くないだろ?」
「……っ、は、そう……だな」

「――ッ、ふ、ぅ゛……ッ」

 一応はこちらを気遣っているつもりのようだ。ゆっくりと、それでもより性器の感覚が浮き彫りになっていくようなねっとりとした腰の動きに耐えきれず、下腹部に力が溜まってしまう。

「ふーッ、ぅ゛……ッ、うぅ゛……ッ!」

 逃げようと浮く腰を掴まれたまま、更に深く腰を打ち付けられる。濡れた音を立てながら、腰を打ち付けるように突き当たりを亀頭で押し上げらる都度頭の中が真っ白になっていく。
 逃れようと這いずったところで逃げ場などなかった。片腿を掴み上げられた状態でそのまま隙間なくみっちりと性器をねじ込まれる。ピストンの度に硬度を増し、更に太くなったそれで粘膜ごとただひたすら、一方的に犯された。

「う゛、ん゛……っ! う゛……っ!」
「近江屋君、君は……っ」
「ふ、う゛――!」

 男相手に体の相性なんざ考えたことなんかなかった。
 それでも、徳永のものは性器の長さ、太さ、カリの位置がすべて絶妙に俺の弱いところに当たるような構造となっており、ゆるく性器を出し入れするだけでもその摩擦でイキそうになってしまう。散々馬場のせいで慣らされてしまい、感度が高くなっているという理由もあるだろう。それでも、だからこそ余計耐え切れなかった。

「ッぐ、ん、ぅ゛う……ッ! ふ、う゛――」

 どくどくと脈を打ちながら勃起した性器に熱が集まる。徳永の性器で突き上げられた瞬間、白濁混じりの体液を床にまき散らしながら俺は何度目かの射精を迎えた。
 それから間もなく、締め付けた拍子に徳永は射精する。二人分の精液で満たされていく。逃れることなど出来なかった。

 さっさとこいつらを満足させれば解放されるだろう。
 そんな俺の考えは甘かったのだと思い知らされることになる。

 それからは、地獄のような時間が続いた。


 気付けば再び地下牢――ではなく、俺は見慣れない部屋の中にいた。
 体は丈夫な方だと自負していたが、それでもこんな仕打ちを受けてもピンピンでいられるわけがなかった。
 途中で気絶して目を覚ましてから、どうやら風呂に入れられたらしい。それでも鼻腔には精子の匂いがこびり付いているようだった。

 正直、まだ自分が生きているのが不思議なくらいだった。馬場に見つかったときからその覚悟はできていた。
 だからこそ、わざわざ風呂で現われ、おまけと言わんばかりに服を着せられている現状に戸惑った。

 ――もしかして、徳永が根回ししてくれたのだろうか。

 そこまで考えて、流れとは言えど徳永に抱かれたときのことを思い出し、うんざりした。

「……ッ」

 あれだけ中で出されたものも綺麗になっているのが余計腹立たしい。
 少なからず馬場のやつが自分から俺を風呂に入れて服を着せるなどという発想に至るわけがないので、徳永のお陰であることは間違いないが……。

 床の上、相変わらず後ろ手に縛られたまま寝転がされていた俺はなんとか身体を傾けて部屋の様子を観察する。
 そして、ハンガーに掛けられたコートを見て、ここが馬場の部屋だと気付いた。最悪だ。これならまだ地下に閉じ込められていた方がマシだったのかもしれない。

「っ、クソ……」

 幸い部屋の主は見当たらないが、このままではいつ戻ってくるか分からない。
 その前になんとかこの拘束を解いて抜け出さなければ。
 そんなことを試み、拘束具と格闘すること数分。一向に拘束が外れる気配はない。
 ただ主に腕に疲れがきて、諦めた俺はそのまま仰向けになって天井を見上げた。

 部屋の中は暖房がつけられていたので寒いことはないが、心の中は冷え切ってるようだ。
 これからどうしようか。このままだと生きて外を出たところで、まじで馬場に警察に突き出されることには違いないだろう。
 それから、久古のことも。
 前に久古の家に遊びに行ったときのことを思い出す。久古の家族になんて言えばいいんだ。
 そんなことを考えてはまたむしゃくしゃし、やはり馬場のやつをとっ捕まえて真犯人を捕まえるしかないのではないか。そう意気込んだときだった。

 いきなり馬場の部屋の扉が開く。まるで扉ごとぶっ壊すような勢いで開かれるその扉にぎょっとしながら飛び起きれば、そこには会いたくねえ顔があった。

「……っ、馬場、テメェ……」
「……」
「……?」

 いつもならば『うるさい、豚が喋るな』とか言っていきなりぶん殴ってきそうなものを、目の前のやつは珍しくただ俺を見ていた。
 それが余計気持ち悪くて、暖房があるにも関わらず寒気がする。

「……おい、なんだよ」
「……」
「なんか言ったらどうだよ! おい!」
「……」

 本当になんなんだ。腹でも下したのか?
 気持ち悪くて、思わずじり、とケツだけ動かして後退ったとき。馬場が俺の前に膝をついた。
 視線が近くなり、「うお!」と咄嗟に跳ね退こうとしたときだった。

「……オーナーさんが、襲われた」

 それはぽつりと、俺に聞こえるだけの声量で吐き出されたのだ。
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