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ep.2 異世界オイルマッサージ(触手用)
押しかけ幼馴染
しおりを挟むズハオからしばらく待てとは言われたものの。
ベッドの上、食堂から持って来させた菓子をつまみながらゴロゴロと魔界チャンネルテレビを眺めていた時だった。
控え目に扉が叩かれる。
触手に扉を開けさせれば、ほんの一瞬扉の奥で「うお!」と影が揺れた。
この声は、と体を起こし、一旦触手を引っ込める。
代わりに扉に近付けば、そこには見覚えのある男が立っていた。
「カイネ?」
「っ……シン、今……いいか?」
俺のことをルーナではなくシン、と呼ぶのは魔界でこいつくらいなもんだ。
扉の前、なにやら大きな壺を抱えて立っているカイネは最後に会った時よりもやや元気がないように見える。
「これ……お前、欲しかったんだろ?」
「あれ、お前が届けに来てくれたのか?」
「……あ、ああ」
こくりと頷くカイネ。
ズハオが言ってた届けさせるってそういうことか、とすぐに納得する。
「そりゃ配達ご苦労様。……ズハオなんか言ってた?」
カイネから壺を受け取ろうとしてその重みにうっかり手を滑らしそうになり、触手が慌ててキャッチする。
現れた触手にぎょっとするカイネ。いや、俺の言葉に反応したのか?
さっきから何から何までひとつひとつビクついてるカイネが気になっていたが、カイネはすぐに咳払いをして誤魔化した。
「……ぉまえが、塗り込んでやれって……」
「は? 塗り込む? ……こいつらにってこと?」
ぽそぽそと呟くカイネに、背中の触手が一斉に蠢き出す。その内の一本がカイネに絡みつこうとして咄嗟に捕まえるが、遅かった。
「う……っ!」とカイネが飛び退くのを見て、この間のことを思い出す。
カイネが触手が苦手なのは俺も知ってる。
ズハオのやつ、カイネで遊んでるな。
カイネのことを頼む相手間違えたかもしんねえ。
「いいよ、別に。やり方さえ教えてくれりゃ自分でできるし」
「……一人じゃむずいって」
「んじゃ適当なやつに声かけるよ」
背中でうごうごと色めきたつ触手たちを落ち着かせつつカイネを追い返そうとした矢先だった。
「や、ぃやだ」
俺の腕にしがみついてくるカイネに驚いた。
まるで一世一代の告白でもするかのような面で、必死になって俺を見上げてくるカイネ。
「お、俺がする……っ」
「……でもお前、触手苦手っつってたじゃん」
「目隠ししたら……多分平気だ」
「そういう問題かよ」
「お前の役に立ちたいんだ……ダメか?」
魔界に来る前から――昔からこいつはそうだった。
置いて行こうとしても必死にくっついてきて、おまけに目を離すと勝手に泣いてる。
変なところで強情というか、素直じゃないというか、ガキのまま大きくなったようなやつ。
だからだろう、こいつといると調子が狂わされるのだ。
「……まあ、いいか」
無理だったらやめさせりゃいいし。
適当な魔物に声かけんのも面倒だし。
ぷるぷると震えるカイネを尻目に、俺は背もたれのない椅子に腰をかけた。
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