モノマニア

田原摩耶

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人の心も二週間

悪夢現※

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「っぁ、は、ぁ、ああぁ…ッ!」

 押し退けようとしても体重を掛けられれば肉を割るように入り込んでくる性器に圧迫され、頭の中が真っ白になる。
 痛い、というよりも苦しくて。胸も、腹の中も、全部。

「少しは痛くないだろ?…寝てる間もずっと、慣らしてたんだからさ」
「ッゆ、き…ぃ…ッ!」

 汗が滲む。覆い被さってくるそいつを睨んだとき、背後に伸びてきた手に背中を抱き締められる。

「んぅうッ!」

 瞬間、ぐっと奥深くまで入り込んでくる性器に堪らず声を上げたとき、背中に回されたその手は俺を宥めるかのように優しく背筋を撫でた。

「…大丈夫、俺は優しくするから」

 他の奴らみたいにお前に辛い思いはさせないから、と、そう耳元で囁かれる声はどこまでも優しくて。
 だからこそ余計怖かった。
 いつもと変わらないユッキーが。
 これが夢だったらどれ程良かっただろうか、考えたところでこの事実は変わらない。

「っ…や…だ……嫌だ……っ!」
「……仙道…」
「嫌だ、抜いてッ!ユッキー…ッ!抜けってばッ!」

 必死になって、ユッキーを押し退けようとする。
 けれど、体の中でユッキーが動く度に思考が飛びそうになり、冷静になることが出来なかった。

「っ、ひ、ぐッ」

 腿を掴む指が食い込む。
 そのまま腰を打ち付けられれば、喉奥から声にならない声が漏れた。

「あ、ぁ、やッ、ぁ、抜ッ、だめ……ッ」
「……どうして、仙道……」
「っ、やだ、も、やだぁ…ッ」

 頬を濡らすのが涙なのか汗なのかすら分からなくて、頭の中も靄がかったようなのに、体内を這いずる肉の感触だけは酷く、生生しい。
 下半身を弄られ、萎えたままになってる性器を無造作に握られれば全身が硬直した。

「や、ぁ……ッ!」
「…優しくじゃ…気持ちよくないのか?…ダメなのか?」

 ぶつぶつと何かを呟くユッキー。
 言いながらも、止まらない腰に根本まで挿入され何度も奥を突かれればその度に喉奥から潰れたような声が漏れる。

「ゃ、も、ごめ、んなさ…ッ、ごめんなさい…ッ!」
「仙道、どうして謝るんだよ…ッ」
「ごめんなさい……っ!」
「仙道ッ」

 激しさを増すピストンに頭の中はちかちかし、目の前が掠れる。
 覆い被さってくる影が一瞬、この場にはいない筈のヒズミとだぶり、瞬間、氷水を掛けられたように凍り付いた。
 しかし、それも束の間のことで。

「っ、ぁ、ひ、ぅぐッ」
「おい、仙道…ッ」

 肩を揺すられ、正気に戻る。
 そうだ、ヒズミはいない。ヒズミはいないんだ。
 いるのはユッキーだけだ。
 ――優しい、ユッキー。

「ーーッ!」

 心配そうに名前を呼び掛けてくるユッキーにほっと安堵したときだった。
 不意に、根本まで挿入されている下腹部が視界に入ったとき、今度こそ言葉を失った。ああ、これは夢じゃないんだ、と。
 段々明確になっていく意識の中、頭を殴られたかのような衝撃に今度こそ、俺は突き落とされたような錯覚を覚える。

「助けて…っ、助けて……ッ」

 マコちゃん、と無我夢中でその名前を口にしようとしたときだった。

「黙れよ…っ!」

 目の色を変えたユッキーに首を掴まれたと思った次の瞬間、キスで唇を塞がれる。
 喉が詰まるような息苦しさに悶えれば、抑え付けられた体に容赦なく打ち付けられる腰に中を抉られ頭の中が真っ白になる。

「ぅ、ん、ぅう…ッ」

 唇を割って捩じ込まれる舌に唾液を押し流され、拒むことすら出来ぬままそれは喉奥へ流れ込んでいく。
 視界も、下半身も、口の中も喉奥までユッキーでいっぱいいっぱいになって、俺は。

「んん…ッ!」

 腿を掴まれ、腰を上げられたとき。
 内壁を思いっきり擦り上げられ、瞬間、下半身に電流が走るのと同時に全身の筋肉が硬直する。
 その時、本の一瞬だったが確かにユッキーの顔が引き攣った。

「っクソ……ッ!」

 舌打ちとともに下半身を抑え込む指先に力が加わる。
 深く打ち付けられたとき、ユッキーの肩が僅かに震えた。

「っ、ぁ、あ………ッ!!」

 お腹の奥、勢い良く放出する熱に胸の奥が苦しくなる。
 必死に内部に溜まる精液を掻き出そうと下半身に手を伸ばすが、小さく息を吐くなりゆるく腰を動かし始めるユッキーに全身がビックリしてそれは壗ならなかった。

「ちょ、ぁ、だめ…ッ!」

 今動いたら、まずい。そう思うのに、満たされた腹部、吐き出されたばかりの精液を中に塗り付けるように何度も中を擦り上げられれば、お腹の中でぐちゃぐちゃと品の欠片もない音が響き、余計、恥ずかしくなる。
 それなのにユッキーはやめようともしないで。

「っや…うそ…ッ!」
「…仙道が女の子だったら…一発で済むのにさぁ…」
「っ、ぁ、あぁ…ッ」
「…っ…仙道……」
「っ、ぅ、あ、やッ」

 腹の中で音を立て掻き混ぜられる精液が酷く生々しい。
 逃げようと腰を引けば引くほど深く挿入され、ユッキーに抑え付けられた下半身がガクガクと震えるのが見え、血の気が引く。
 不意に伸びてきた手に顎を掴まれ、上を向かされた。
 瞬間、こちらを見下ろすユッキーと目が合う。

「俺を見ろよ…っ、ちゃんと」

 一瞬どういう意味かわからなかった。分かりたくもなかった。
 大きく腿を開かされ、腰を持ち上げられる。情けない格好に恥じる暇もなく、体重を掛けるようなピストンに文字通り押し潰されないようになるのがいっぱいいっぱいで。

「ぁ、あ、あ、ぁあ……ッ」

 内壁全体を擦り上げるような出し入れに胸の奥がぎゅっと締まる。
 精液の助けのお陰で痛みはないが、スムーズな挿入は逆に俺にとってキツイものだった。
 捲れ上がってんじゃないかと思うほどのピストンの繰り返しに息を吐く余裕もなかった。
 胸の奥から徐々に競り上がってくる熱に、頭の中がぐるぐるしてなにも考えられなくなる。

「仙道…ッ」

 動きに合わせて揺れていた自分のものが勃ち上がり始めているのを見て、血の気が引いた。
 ユッキーも、それに気付いたようだ。僅かに釣り上がった口角に、ドクンと心臓が大きく脈打つ。

「っ、気持ち…いいのか?…なあ…っ」
「やだ、も…っやだってば…っ!」
「嘘つくなよ。…勃起、してんじゃねえかよ」

 嬉しそうな顔をして、半勃ちになったそこを握り込まれた瞬間全身が硬直する。
 ピストンに合わせゆるく全体を擦られれば、声にならない声が口から溢れた。

「や……いやだ、ユッキー、だめ、離して…っ!」

 腰の痙攣が止まらなくて、お腹の中で熱がぐるぐるして気持ち悪くて、どうにかなりそうだった。
 ユッキーの動きに合わせて自分の下半身が揺れるのを見て生きた心地がしなかったが、それ以上にユッキーの手の中の自分のものが硬くなっているのに気付いたらもう目の前が真っ暗になら。
 いつも、頭を撫でてくれたユッキーの手が、俺の性器を握っている。薄れ行く意識の中、そう確認したと同時だった。

「ぁあああッ!」

 腰が震え、勃起した性器から勢い良く精液が溢れ出した。
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