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イレギュラーは誰なのか
噛み合わない会話
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――そして、翌日。
「仙道、おはようございます」
「おはようございます」
「ちーちゃん」
と、親衛隊の…ちわわ?名前忘れた。
生徒会室前、浮かない気分のままやってきた俺の前には見覚えのある王子様と小動物がいた。
どうやら今日は会議らしいので一応顔だけでも出そうと思ったのだが、ちーちゃんも同じらしい。俺と目があうなりちーちゃんはにっこりと微笑んだ。
「ちょうどいい、せっかくですし一緒に行きましょうか。とはいっても、すぐそこまでですが」
「んー、いーよ。別に」
そう頷き返せば、ちーちゃんはちわわに視線を送る。
すると、ぱっと表情を明るくしたちわわは無邪気に笑った。
「では石動様、仙道様、お二人とも会議頑張って下さいね!」
「ありがとうございます、譲」
どうやらちわわもとい譲君は置いていくらしい。
ぺこりと90°腰を折る譲君に「ん、ありがとねー」と手を振る。譲君は照れ臭そうにはにかんで、また深く腰を折った。
ちーちゃんには勿体ない礼儀正しい子。
「では行きましょうか」
失礼なことを考えている俺に気付いているのかいないのか、そう言って歩き出すちーちゃんのあとを追いかける。
「さっきの譲って子、かわいーね」
なんとなく、ちーちゃんの親衛隊の子を思い出す。健気そうで透明感のある純朴な感じは嫌いではない。いかにも男にモテそうな男って感じなんだけど。
まあ、ちーちゃんの親衛隊なんて物好きやっているということは本人もそっちの気ありそうだしそれはそれでいいのだろう。……いいのか?
「ええ、お気に入りです。初そうな顔をして下の方はなかなか名器で」
本当、譲君はなんでこんなやつの親衛隊になったのだろうか。
にこにこと笑いながら指で輪っか作ってもう片方の手の人差し指をずぼずぼ差し込むというなんとも下品なジェスチャーをくれるちーちゃんに、そんな疑問を抱かずにはいられない。しかし、色々ひねくれているちーちゃんが人を褒めるというのは珍しい。
「付き合っちゃえばいいのに」
「はい?」
「かわいーじゃん」
「はい」
「優しそうじゃん」
「はい」
「ちーちゃん、ああいうの好きなんでしょ?」
「突然何を言い出すかと思えば、そんなことですか」
呆れたように笑うちーちゃん。「そんなことって」と、唇を尖らせた時、細められたちーちゃんの目がこちらを向く。透き通った、薄い茶色の瞳は深い。
「仙道はああいう方がお好みですか」
「いや、そーゆーわけじゃないけどさ」
「確かに、形がいいものはいいですね。美しいものを愛でると心安らぎます」
返答に迷う俺に構わず、ちーちゃんは微笑む。相変わらず、謳うような滑らかな声。普通にしてれば、普通に王子様なのに勿体無い。
なんて思いながらちーちゃんの横顔を目で追いかける。
「でも、僕は完璧なものより傷が入っていたり、くすんでいたり、どこかしら重大な欠点があるものの方が好きですね」
「えっと…ブス専?」
小難しいことを口にするちーちゃんにそう小首かしげれば、ちーちゃんは「ははっ」と声を上げて笑った。
楽しそうな、まるで普通の男子校生と変わらないちーちゃんの笑顔と笑い声は割りとレアなんではないだろうか。
「ご想像にお任せします」
そしてすぐ、いつもと変わらない対チワワ用の笑顔を浮かべるちーちゃんに益々俺はちーちゃんが分からなくなる。
「仙道、おはようございます」
「おはようございます」
「ちーちゃん」
と、親衛隊の…ちわわ?名前忘れた。
生徒会室前、浮かない気分のままやってきた俺の前には見覚えのある王子様と小動物がいた。
どうやら今日は会議らしいので一応顔だけでも出そうと思ったのだが、ちーちゃんも同じらしい。俺と目があうなりちーちゃんはにっこりと微笑んだ。
「ちょうどいい、せっかくですし一緒に行きましょうか。とはいっても、すぐそこまでですが」
「んー、いーよ。別に」
そう頷き返せば、ちーちゃんはちわわに視線を送る。
すると、ぱっと表情を明るくしたちわわは無邪気に笑った。
「では石動様、仙道様、お二人とも会議頑張って下さいね!」
「ありがとうございます、譲」
どうやらちわわもとい譲君は置いていくらしい。
ぺこりと90°腰を折る譲君に「ん、ありがとねー」と手を振る。譲君は照れ臭そうにはにかんで、また深く腰を折った。
ちーちゃんには勿体ない礼儀正しい子。
「では行きましょうか」
失礼なことを考えている俺に気付いているのかいないのか、そう言って歩き出すちーちゃんのあとを追いかける。
「さっきの譲って子、かわいーね」
なんとなく、ちーちゃんの親衛隊の子を思い出す。健気そうで透明感のある純朴な感じは嫌いではない。いかにも男にモテそうな男って感じなんだけど。
まあ、ちーちゃんの親衛隊なんて物好きやっているということは本人もそっちの気ありそうだしそれはそれでいいのだろう。……いいのか?
「ええ、お気に入りです。初そうな顔をして下の方はなかなか名器で」
本当、譲君はなんでこんなやつの親衛隊になったのだろうか。
にこにこと笑いながら指で輪っか作ってもう片方の手の人差し指をずぼずぼ差し込むというなんとも下品なジェスチャーをくれるちーちゃんに、そんな疑問を抱かずにはいられない。しかし、色々ひねくれているちーちゃんが人を褒めるというのは珍しい。
「付き合っちゃえばいいのに」
「はい?」
「かわいーじゃん」
「はい」
「優しそうじゃん」
「はい」
「ちーちゃん、ああいうの好きなんでしょ?」
「突然何を言い出すかと思えば、そんなことですか」
呆れたように笑うちーちゃん。「そんなことって」と、唇を尖らせた時、細められたちーちゃんの目がこちらを向く。透き通った、薄い茶色の瞳は深い。
「仙道はああいう方がお好みですか」
「いや、そーゆーわけじゃないけどさ」
「確かに、形がいいものはいいですね。美しいものを愛でると心安らぎます」
返答に迷う俺に構わず、ちーちゃんは微笑む。相変わらず、謳うような滑らかな声。普通にしてれば、普通に王子様なのに勿体無い。
なんて思いながらちーちゃんの横顔を目で追いかける。
「でも、僕は完璧なものより傷が入っていたり、くすんでいたり、どこかしら重大な欠点があるものの方が好きですね」
「えっと…ブス専?」
小難しいことを口にするちーちゃんにそう小首かしげれば、ちーちゃんは「ははっ」と声を上げて笑った。
楽しそうな、まるで普通の男子校生と変わらないちーちゃんの笑顔と笑い声は割りとレアなんではないだろうか。
「ご想像にお任せします」
そしてすぐ、いつもと変わらない対チワワ用の笑顔を浮かべるちーちゃんに益々俺はちーちゃんが分からなくなる。
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