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イレギュラーは誰なのか
大きいの二匹
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生徒会室前。そっとドアノブを掴もうとしたときだった。
「ねえ」
背後から、静かな声が聞こえてくる。振り返れば、そこには生徒会仲間の書記、各務陽平もといよーへい君が立っていた。
その手には封筒が抱かれていて、それを手にしたよーへい君はそのまま俺に差し出してくる。
「これ。頼まれてたやつ」
「ありがと」と、小さくお礼を言えばよーへい君はふるふると首を横に振った。
早速、受け取った封筒の中身を確認すれば、そこには予めよーへい君に頼んでいたとある生徒の名簿が入っていた。
――日桷和馬と玉城由良。
名簿に記入された名前を確認し、小さく息を吐いた俺はそのまま封筒に戻す。中身はあとから詳しく確認しよう。
「…気になる?」
「へ?」
「転校生」
「ん、まぁ、そうかな」
「…あまり、関わらない方がいいと思う」
その一言に何気なくよーへい君を見れば、真っ直ぐな眼と視線がぶつかった。よーへい君はすぐに視線を逸らす。……照れている、ようには見えない。
「心配してくれてんだ?ありがと」
「……」
ゆっくりと笑いかければ、よーへい君が何か言おうと口を動かす。その次の瞬間だった。
「あー!なになに?なんか内緒話してるー!」
「混ぜて混ぜてー!」
騒がしいステレオボイス、そして足音。
それらに気づいた時には既に遅く、背後から全身にどんっと強い衝撃が走った。
抱きつくというより飛び付いてきた双子庶務に、まだ本調子になっていない俺の全身が悲痛な音を上げる。一瞬口から魂が出掛けた。
「うわっ、びっくりしたー…」
無駄にでかい双子の重さは半端ない。よろめきながら体勢を取り直せば、双子は大成功とでも言うかのようにハイタッチをする。
「おっはよー会計、っていうか書記と会計だけ?副会長たちは?」
「まだっぽい…ってか乗らないでよ、糞重いんだけど」
「あはは、会計が貧弱なだけなんじゃない?」
「そうそう、僕らスマートだし。ねー!」
「ねー!」
「いくらスマートでも二人分は重いの!……ぁー、くそ、いってぇ」
せっかくぼちぼち調子良くなってきたところだったのに。双子たちの腕から逃げた俺は、そのままずくんずくんと痛む腰を擦る。
ほら、また痛み出した。腰は鍛えようがないから嫌なんだ。
「なに、会計腰痛?ジジ臭ーい」
「あはは、張り切り過ぎちゃった?激しー!」
「うっさいってば、もー…」
本調子でない今、双子たちの相手をするのは辛いものがある。大体こいつらでかいくせにスキンシップが激しいんだよ、というかたちが悪い。
ちーちゃん曰く一年の時はちっちゃくて可愛かったと言っていたので大きな動作はそのときの名残なのかもしれないが、こんなでかいの二匹にくっつかれたらこっちの身が持たない。
「あれ?会計もう帰んの?」
「俺、ようへー君に用があっただけだから」
そう、言いながら封筒を抱きかかえた俺に双子はむーっとぶすくれる。
「ふーん、つまんないのー」
「サボりだサボりだー悪い子だー」
「ちゃんと欠席って伝えてるからいいんだよ、別に。…んじゃ、ようへー君ありがとね」
「ん」
ホントはサボりだけど、まあ会長だってちーちゃんだって双子だってよくサボってるんだからイーブンだよね。
マコちゃんにバレたら怒られそうだが、まあ、サボって遊んでるわけじゃないんだしちょっとくらいは大目に見てもらいたい。
ようへー君から貰った封筒を無くさないよう抱きしめたまま、俺は生徒会室の前を後にした。とにかく、どこかゆっくりできそうな場所を探そう。
「ねえ」
背後から、静かな声が聞こえてくる。振り返れば、そこには生徒会仲間の書記、各務陽平もといよーへい君が立っていた。
その手には封筒が抱かれていて、それを手にしたよーへい君はそのまま俺に差し出してくる。
「これ。頼まれてたやつ」
「ありがと」と、小さくお礼を言えばよーへい君はふるふると首を横に振った。
早速、受け取った封筒の中身を確認すれば、そこには予めよーへい君に頼んでいたとある生徒の名簿が入っていた。
――日桷和馬と玉城由良。
名簿に記入された名前を確認し、小さく息を吐いた俺はそのまま封筒に戻す。中身はあとから詳しく確認しよう。
「…気になる?」
「へ?」
「転校生」
「ん、まぁ、そうかな」
「…あまり、関わらない方がいいと思う」
その一言に何気なくよーへい君を見れば、真っ直ぐな眼と視線がぶつかった。よーへい君はすぐに視線を逸らす。……照れている、ようには見えない。
「心配してくれてんだ?ありがと」
「……」
ゆっくりと笑いかければ、よーへい君が何か言おうと口を動かす。その次の瞬間だった。
「あー!なになに?なんか内緒話してるー!」
「混ぜて混ぜてー!」
騒がしいステレオボイス、そして足音。
それらに気づいた時には既に遅く、背後から全身にどんっと強い衝撃が走った。
抱きつくというより飛び付いてきた双子庶務に、まだ本調子になっていない俺の全身が悲痛な音を上げる。一瞬口から魂が出掛けた。
「うわっ、びっくりしたー…」
無駄にでかい双子の重さは半端ない。よろめきながら体勢を取り直せば、双子は大成功とでも言うかのようにハイタッチをする。
「おっはよー会計、っていうか書記と会計だけ?副会長たちは?」
「まだっぽい…ってか乗らないでよ、糞重いんだけど」
「あはは、会計が貧弱なだけなんじゃない?」
「そうそう、僕らスマートだし。ねー!」
「ねー!」
「いくらスマートでも二人分は重いの!……ぁー、くそ、いってぇ」
せっかくぼちぼち調子良くなってきたところだったのに。双子たちの腕から逃げた俺は、そのままずくんずくんと痛む腰を擦る。
ほら、また痛み出した。腰は鍛えようがないから嫌なんだ。
「なに、会計腰痛?ジジ臭ーい」
「あはは、張り切り過ぎちゃった?激しー!」
「うっさいってば、もー…」
本調子でない今、双子たちの相手をするのは辛いものがある。大体こいつらでかいくせにスキンシップが激しいんだよ、というかたちが悪い。
ちーちゃん曰く一年の時はちっちゃくて可愛かったと言っていたので大きな動作はそのときの名残なのかもしれないが、こんなでかいの二匹にくっつかれたらこっちの身が持たない。
「あれ?会計もう帰んの?」
「俺、ようへー君に用があっただけだから」
そう、言いながら封筒を抱きかかえた俺に双子はむーっとぶすくれる。
「ふーん、つまんないのー」
「サボりだサボりだー悪い子だー」
「ちゃんと欠席って伝えてるからいいんだよ、別に。…んじゃ、ようへー君ありがとね」
「ん」
ホントはサボりだけど、まあ会長だってちーちゃんだって双子だってよくサボってるんだからイーブンだよね。
マコちゃんにバレたら怒られそうだが、まあ、サボって遊んでるわけじゃないんだしちょっとくらいは大目に見てもらいたい。
ようへー君から貰った封筒を無くさないよう抱きしめたまま、俺は生徒会室の前を後にした。とにかく、どこかゆっくりできそうな場所を探そう。
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