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鬼さんこちら、手の鳴る方へ。
これだから
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あっという間に終わった鬼ごっこの閉会式。そのステージ脇に俺たちは立っていた。そして、ステージ上の光景に目を丸くする。
「言っただろう。気にする必要はないと」
沸き立つ会場内。
今にも逃げ出そうとするのは優秀な鬼役の子で、それを無理矢理捕まえて熱烈なちゅーをお見舞いするのはちーちゃんだ。客席最前列のチワワ親衛隊が黄色い悲鳴を上げる。
みるみるうちに真っ青になっていく優秀な鬼役の子には見覚えがあった。……確か、俺の親衛隊の。
そんでそのお隣さんでは会長と茶髪のやけに可愛い子がべたべたちゅーしてた。何度か見たことあるが、確か会長んとこの親衛隊長さんだっけ?あそこだけ雰囲気が違うんですが。あーほらもっとさくっとやっちゃわないと会場全体がヘンな空気になっちゃってんじゃん。これはほんと人選ミスだよねぇ。
……でも、あの場所に立っているのが自分でなくてよかったとはつくづく思う。
「ね、これ、マコちゃんがなんかしたの?」
そう、隣のマコちゃんに尋ねれば、マコちゃんは「してない」と首を小さく横に振る。
「先越されていた、石動千春に」
ということは、ちーちゃんも裏からなんか手を回してくれたってことなのか。もしかして、俺が嫌がってたの知ってて機転効かせてくれたのかなと思ったが、もしかしたらただ公衆の面前でキスしたかっただけかもしれない。……どちらにせよ、助かった。
「…なんか、すごい脱力感」
「残念だったか?」
「や…違うけど、そのつもりだったからこう、肩透かしが…ってか、マコちゃん知ってたんだ、俺がこれやるって」
「俺が知らないと思った方がビックリだ」
「だってマコちゃんなんも言わなかったしー…」
「京が言わないからだ」
そう、目を伏せ、肺に溜まった息を深く吐き出すマコちゃんはなんとなく気疲れしているようで。またちょっと痩せたな、なんて思いながら俺はその横顔をじっと見る。
「…怒ってる?」
「何がだ?」
「俺が、マコちゃんに秘密にしてたこと」
「別に」と即答するマコちゃん。
目を開き、こちらを見たマコちゃんは僅かに笑った。
「どちらにせよ、お前には無理矢理にでもやめさせるつもりだったからな」
はっきりとした口調。遠慮ない分、マコちゃんの気持ちが直接感じることが出来た。……じんわりと胸が熱くなる。
「…マコちゃん」
「ん?」
こちらを振り向くマコちゃんの腕をぐいっと引っ張り、顔を近付けた俺はそのままその唇にキスをする。
ステージの明かりを遮る暗幕カーテンの裏。薄暗い中、一瞬時間が止まったみたいに俺たちは目を合わせた。
そして、なにされたのか理解したようだ。マコちゃんはみるみるうちに紅潮する。
「…ごめんねぇ、心配させて」
「い、いや、別にいい。…いいけど、いきなりはやめてくれ。…心臓に悪い」
「…ん、じゃあちゅーしていい?」
「言ったらいいというあれではない、駄目だ、ここをどこだと思ってる!」
「えーけちー」
そう唇を尖らせ、渋々マコちゃんから手を離す。
みんなステージばっかり見てるから大丈夫だと思ったんだけどなぁ。そう、しょんぼりしていると、ぎゅっと手を握られた。びっくりしてマコちゃんの顔を見れば、タコさんみたいに真っ赤なマコちゃんは慌ててそっぽ向いた。
「……帰ってから好きなだけしていいから、今はこれで我慢しろ」
これだから、俺はマコちゃんが大好きなんだ。
「言っただろう。気にする必要はないと」
沸き立つ会場内。
今にも逃げ出そうとするのは優秀な鬼役の子で、それを無理矢理捕まえて熱烈なちゅーをお見舞いするのはちーちゃんだ。客席最前列のチワワ親衛隊が黄色い悲鳴を上げる。
みるみるうちに真っ青になっていく優秀な鬼役の子には見覚えがあった。……確か、俺の親衛隊の。
そんでそのお隣さんでは会長と茶髪のやけに可愛い子がべたべたちゅーしてた。何度か見たことあるが、確か会長んとこの親衛隊長さんだっけ?あそこだけ雰囲気が違うんですが。あーほらもっとさくっとやっちゃわないと会場全体がヘンな空気になっちゃってんじゃん。これはほんと人選ミスだよねぇ。
……でも、あの場所に立っているのが自分でなくてよかったとはつくづく思う。
「ね、これ、マコちゃんがなんかしたの?」
そう、隣のマコちゃんに尋ねれば、マコちゃんは「してない」と首を小さく横に振る。
「先越されていた、石動千春に」
ということは、ちーちゃんも裏からなんか手を回してくれたってことなのか。もしかして、俺が嫌がってたの知ってて機転効かせてくれたのかなと思ったが、もしかしたらただ公衆の面前でキスしたかっただけかもしれない。……どちらにせよ、助かった。
「…なんか、すごい脱力感」
「残念だったか?」
「や…違うけど、そのつもりだったからこう、肩透かしが…ってか、マコちゃん知ってたんだ、俺がこれやるって」
「俺が知らないと思った方がビックリだ」
「だってマコちゃんなんも言わなかったしー…」
「京が言わないからだ」
そう、目を伏せ、肺に溜まった息を深く吐き出すマコちゃんはなんとなく気疲れしているようで。またちょっと痩せたな、なんて思いながら俺はその横顔をじっと見る。
「…怒ってる?」
「何がだ?」
「俺が、マコちゃんに秘密にしてたこと」
「別に」と即答するマコちゃん。
目を開き、こちらを見たマコちゃんは僅かに笑った。
「どちらにせよ、お前には無理矢理にでもやめさせるつもりだったからな」
はっきりとした口調。遠慮ない分、マコちゃんの気持ちが直接感じることが出来た。……じんわりと胸が熱くなる。
「…マコちゃん」
「ん?」
こちらを振り向くマコちゃんの腕をぐいっと引っ張り、顔を近付けた俺はそのままその唇にキスをする。
ステージの明かりを遮る暗幕カーテンの裏。薄暗い中、一瞬時間が止まったみたいに俺たちは目を合わせた。
そして、なにされたのか理解したようだ。マコちゃんはみるみるうちに紅潮する。
「…ごめんねぇ、心配させて」
「い、いや、別にいい。…いいけど、いきなりはやめてくれ。…心臓に悪い」
「…ん、じゃあちゅーしていい?」
「言ったらいいというあれではない、駄目だ、ここをどこだと思ってる!」
「えーけちー」
そう唇を尖らせ、渋々マコちゃんから手を離す。
みんなステージばっかり見てるから大丈夫だと思ったんだけどなぁ。そう、しょんぼりしていると、ぎゅっと手を握られた。びっくりしてマコちゃんの顔を見れば、タコさんみたいに真っ赤なマコちゃんは慌ててそっぽ向いた。
「……帰ってから好きなだけしていいから、今はこれで我慢しろ」
これだから、俺はマコちゃんが大好きなんだ。
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