13 / 85
出揃った役者、逃亡する主役。
親衛隊、行動開始。
しおりを挟む
生徒会会議が終わってから数日。
新入生歓迎会のレクレーションの内容の内容が校内で発表された日のことだった。
「どういうことですか、仙道さん」
まず、俺の元までやってきたのはせっかくのかわいい顔を歪めた純だった。
「どうって、なにがぁ?」
「なにがって、鬼ごっこのやつですよ。ほら、これ。最優秀鬼賞のところ」
そういって純が突き出してきたのは、先程各クラスで配布されたであろう新入生歓迎会についてまとめたプリントだった。どうやらご丁寧に目を通してくれたようだ。
「どうもこうも、そのまんまだけど」
「仙道さんが景品ってどういうことですか」
「だーかーらー、キスだけだって。一番頑張ってくれた子にちゅーすんの」
「ですから、なんで」
「そういう風になっちゃったんだから仕方ないじゃん。じゅんじゅんってばしつこーい」
生徒会室前廊下。
あまりにも怖い顔するもんだから茶化してやろうと笑ってみるが、純の顔はさらに険しさを増す。
「誰ですか、仙道さんにこんな真似をさせようとしたやつは」
珍しく怖い顔をする純は俺を睨む。ほんと、かわいい顔が台無し。
「俺だよ、俺。俺が志願したの」
「なんでそのような真似を」
「別にちょっとしたネタでしょー。そんな物騒な考え方やめてよ」
信じられないとでもいうかのようにこちらを見る純。本当は俺だってやりたくないが、もしマコちゃんの代わりになるためなんていったら純はもっと煩くなるだろう。
知人同士の仲が悪いというのはなかなか不便だ。
「ネタでも、キスですよ。キス。もし気持ちの悪いやつと仙道さんがキスしなきゃいけなくなったらどうするんですか」
「そのときは目を瞑るしー」
「あのですね」と不満そうにする純に俺は「それに」と口を開いた。
「純と思ったらなんとかいけそうだし」
そう笑いかければ、一瞬目を見開いた純はアホみたいな顔をして俺を見つめた。そして、やつの顔はじわじわと赤くなる。……おお、まじ照れ。
「仙道さんは、いつもそんなことばかりいって」
「あははっ!なに?期待しちゃった?純君かわいーねー」
にやにやしながら顔をひきつらせる純を覗き込めば、純はばつが悪そうに舌打ちをした。そして、純は笑う。
「心配した俺がバカでしたね。もういいです、どんな醜男が相手になってもしりませんからね」
「はいはい」
どうやらよほど頭に来たようだ。適当にあしらえば、純はそのままどこかへと歩き出した。
いたらいたらで小言が喧しい純だけど、いま、あまり一人になりたくなかっただけに言い過ぎたかもしれないと弱気になったがその去っていく後ろ姿を呼び止めることはなかった。
俺も、そろそろ行くか。そう口の中で呟き、今あまり行きたくない学生寮の自室へと向かって俺は歩き出す。
新入生歓迎会のレクレーションの内容の内容が校内で発表された日のことだった。
「どういうことですか、仙道さん」
まず、俺の元までやってきたのはせっかくのかわいい顔を歪めた純だった。
「どうって、なにがぁ?」
「なにがって、鬼ごっこのやつですよ。ほら、これ。最優秀鬼賞のところ」
そういって純が突き出してきたのは、先程各クラスで配布されたであろう新入生歓迎会についてまとめたプリントだった。どうやらご丁寧に目を通してくれたようだ。
「どうもこうも、そのまんまだけど」
「仙道さんが景品ってどういうことですか」
「だーかーらー、キスだけだって。一番頑張ってくれた子にちゅーすんの」
「ですから、なんで」
「そういう風になっちゃったんだから仕方ないじゃん。じゅんじゅんってばしつこーい」
生徒会室前廊下。
あまりにも怖い顔するもんだから茶化してやろうと笑ってみるが、純の顔はさらに険しさを増す。
「誰ですか、仙道さんにこんな真似をさせようとしたやつは」
珍しく怖い顔をする純は俺を睨む。ほんと、かわいい顔が台無し。
「俺だよ、俺。俺が志願したの」
「なんでそのような真似を」
「別にちょっとしたネタでしょー。そんな物騒な考え方やめてよ」
信じられないとでもいうかのようにこちらを見る純。本当は俺だってやりたくないが、もしマコちゃんの代わりになるためなんていったら純はもっと煩くなるだろう。
知人同士の仲が悪いというのはなかなか不便だ。
「ネタでも、キスですよ。キス。もし気持ちの悪いやつと仙道さんがキスしなきゃいけなくなったらどうするんですか」
「そのときは目を瞑るしー」
「あのですね」と不満そうにする純に俺は「それに」と口を開いた。
「純と思ったらなんとかいけそうだし」
そう笑いかければ、一瞬目を見開いた純はアホみたいな顔をして俺を見つめた。そして、やつの顔はじわじわと赤くなる。……おお、まじ照れ。
「仙道さんは、いつもそんなことばかりいって」
「あははっ!なに?期待しちゃった?純君かわいーねー」
にやにやしながら顔をひきつらせる純を覗き込めば、純はばつが悪そうに舌打ちをした。そして、純は笑う。
「心配した俺がバカでしたね。もういいです、どんな醜男が相手になってもしりませんからね」
「はいはい」
どうやらよほど頭に来たようだ。適当にあしらえば、純はそのままどこかへと歩き出した。
いたらいたらで小言が喧しい純だけど、いま、あまり一人になりたくなかっただけに言い過ぎたかもしれないと弱気になったがその去っていく後ろ姿を呼び止めることはなかった。
俺も、そろそろ行くか。そう口の中で呟き、今あまり行きたくない学生寮の自室へと向かって俺は歩き出す。
22
お気に入りに追加
279
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる