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いつだってそれは付き纏う。
初夏の嵐
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貸切状態の食堂で皆でテーブル囲ってご飯食べてそんで満腹になって食堂を後にし、これからどうしよっかなーとか後ろで騒ぎながらついてくる純たちを尻目に考えていたときのこと。
校舎内を歩いてると、ふと窓の外に目をやれば見覚えのある金髪王子様ともじゃもじゃのツーショットを見付けた。
うお、ちーちゃんのやつまじでやってる。
立ち止まり、窓の外、校庭でなにやら話している二人を見下ろしていると純たちが隣にやってきて皆で一緒に覗き見。
やべえ、まじであの転校生あんな格好してんだ、珍百景。そんなこと思ってると、転校生を振り返ったちーちゃんはなにやら転校生に迫り始めた。
いや、掴みかかっているのか。ここからではよく見えない。
「石動千春、節操ないって聞きましたけどほんとすごいっすね」
「これじゃ寧ろゲテ専だったりして」
両サイド頭の上でゲラゲラ笑う親衛隊たち。やかましい。
まあ、ちーちゃんも物好きだからなあ。なんて思いつつ、別にちーちゃんとあの転校生の生セックスに興味はなかった俺は窓から視線を外し親衛隊たちを残して歩き出した。
「あっ、仙道さん!待ってくださいよ!」
いなくなった俺に気付いたのか慌ててついてくる純。
残りの子たちは珍妙な転校生に興味津々らしい。窓の外に釘付けになってる。
ほんと、皆物好きだなあ。なんて思っていたとき、外から派手な物音が聞こえ「あぁ!」と親衛隊たちが悲鳴を上げた。
「転校生に石動千春がぶっ飛ばされた!」
なにそのギャグ。あたらしー。
…………ってまじで?
◆ ◆ ◆
学園内、校庭。
事務員のじーさんが毎日手入れした草花でマイナスイオンでまくりなそこは校内ヤリスポでもなかなか人気が高い。無駄に樹とか生えまくってるから見えないしね。
俺ならやだけど。だって虫出そうじゃん、自然に囲まれた青姦は勘弁。
なんてまあそんなことは置いといて。
親衛隊たちの言葉が気になり窓を見てみたがそこにちーちゃんの姿はなくて、慌てて下まで降りてきたら簡単にちーちゃんは見付かった。
「石動様、石動様!」
今にも泣きそうな(というか確実に涙ぐんでる)甲高い声が聞こえ駆け寄ればそこには髪が短い女の子みたいな容姿をした男の子たちが草むらに屈み込んでいて、その視線の先、美少年たちに囲まれるようにしてちーちゃんはいた。
「うわ、なんつーんだっけ、こういうの。眠り姫?いや、ちーちゃん姫って面じゃないから眠り王子かな?」
「あなたに心配を期待したのが間違えでしたね、仙道」
「だってちーちゃん超タフじゃん」
言いながらちーちゃんにしがみつく美少年の肩を掴み「唾つけときゃだいじょうぶーって」と舌を出せば「石動様にそんなことさせないでください」と美少年はお目目うるうるさせる。そんなことって失礼な。俺いつも世話になってたんだからな。
「じゃあ仙道、舐めてください」
「え、まじで」
「あなたが言い出したんでしょう」
言いながらもよっこらせと立ち上がるちーちゃんはどうやら本気で言ってるわけではないらしい。否定しない辺りが不気味だが。
「しかしまあ、この無駄な外野の多さ。こんな大人数の前で醜態を晒してしまうとはなかなか恥ずかしいですね」
穴があったら入れたいです、あ、間違えました。と王子様スマイル浮かべるちーちゃんの右頬は赤く鬱血し、切れたのか血が滲んでいた。
元気そうだ。下半身も。
「つーかさ、なに、なんかあったの」
「なに、といいますか、まあ、ナニですよ」
「ちーちゃん意味わかんないよ」
「おや、僕と君は心で繋がり合っていると思ったのですが……それは残念です」
適当なことを言って話を逸らそうとするちーちゃんはどうやら事情を説明する気はないらしい。仕方なく、俺は石動様石動様とちーちゃんの周りをちょこまかする美少年たちに目を向けた。アイコンタクトに気付いた美少年たちは小さく頷く。
「石動様はなんも悪くないんです。『君、頭もじゃもじゃしてますね。下の方もそんな感じなんですか?』ってフレンドリーに話し掛けただけなのに、あの転校生!美しい石動様のお顔に!」
ああ、なんだ、自業自得か。
「それで、あの転校生はー?」
「他のやつに頼むって言ってましたね。ふふ、この学園で僕以外に案内役を買う人間がいるかどうかも怪しいというのになかなかの勇者ですね」
頬を撫で、にこにこと笑いながら続けるちーちゃん。ちーちゃんはさして殴られたことに対して気にしていないようだが、ちーちゃんの取り巻きたちは無視することが出来ないようだ。可愛らしくぱっちりした目には各々薄暗い怒りが滲んでいた。
この目には見覚えがある、大切な仲間をやられた者の復讐を宿らせた目だ。
取り巻きたちの気持ちはよくわかる。俺だって大事な友達傷つけられたらむかつく。……第一、いくら自業自得だとかいっても限度はある。
結局ちーちゃんは涙ぐむ取り巻きたちに引き摺られ保健室へと連れていかれた。
「……仙道さん」
ちーちゃんたちがいなくなったあとの校庭。ちーちゃんたちの姿を見送る俺の様子からなにか悟ったのか、純たちが俺に視線を向けた。
「んー?なぁに?」
「どうしますか?」
「どうしますかってなにがぁ?」
「石動千春のことです」
「どうもこうも、俺には関係ないことだしねー」
それだけ言って、俺は歩き出す。暖かい日差しと心地よい気温の校庭に強い風が吹き、緑の木々がざらざらと音を立てた。
なんだか面倒になりそうだなあ。風紀委員の仕事が増えなきゃいいんだけど。
まあ、そんな俺の希望もあっさり叩き潰されるわけだけどね。
校舎内を歩いてると、ふと窓の外に目をやれば見覚えのある金髪王子様ともじゃもじゃのツーショットを見付けた。
うお、ちーちゃんのやつまじでやってる。
立ち止まり、窓の外、校庭でなにやら話している二人を見下ろしていると純たちが隣にやってきて皆で一緒に覗き見。
やべえ、まじであの転校生あんな格好してんだ、珍百景。そんなこと思ってると、転校生を振り返ったちーちゃんはなにやら転校生に迫り始めた。
いや、掴みかかっているのか。ここからではよく見えない。
「石動千春、節操ないって聞きましたけどほんとすごいっすね」
「これじゃ寧ろゲテ専だったりして」
両サイド頭の上でゲラゲラ笑う親衛隊たち。やかましい。
まあ、ちーちゃんも物好きだからなあ。なんて思いつつ、別にちーちゃんとあの転校生の生セックスに興味はなかった俺は窓から視線を外し親衛隊たちを残して歩き出した。
「あっ、仙道さん!待ってくださいよ!」
いなくなった俺に気付いたのか慌ててついてくる純。
残りの子たちは珍妙な転校生に興味津々らしい。窓の外に釘付けになってる。
ほんと、皆物好きだなあ。なんて思っていたとき、外から派手な物音が聞こえ「あぁ!」と親衛隊たちが悲鳴を上げた。
「転校生に石動千春がぶっ飛ばされた!」
なにそのギャグ。あたらしー。
…………ってまじで?
◆ ◆ ◆
学園内、校庭。
事務員のじーさんが毎日手入れした草花でマイナスイオンでまくりなそこは校内ヤリスポでもなかなか人気が高い。無駄に樹とか生えまくってるから見えないしね。
俺ならやだけど。だって虫出そうじゃん、自然に囲まれた青姦は勘弁。
なんてまあそんなことは置いといて。
親衛隊たちの言葉が気になり窓を見てみたがそこにちーちゃんの姿はなくて、慌てて下まで降りてきたら簡単にちーちゃんは見付かった。
「石動様、石動様!」
今にも泣きそうな(というか確実に涙ぐんでる)甲高い声が聞こえ駆け寄ればそこには髪が短い女の子みたいな容姿をした男の子たちが草むらに屈み込んでいて、その視線の先、美少年たちに囲まれるようにしてちーちゃんはいた。
「うわ、なんつーんだっけ、こういうの。眠り姫?いや、ちーちゃん姫って面じゃないから眠り王子かな?」
「あなたに心配を期待したのが間違えでしたね、仙道」
「だってちーちゃん超タフじゃん」
言いながらちーちゃんにしがみつく美少年の肩を掴み「唾つけときゃだいじょうぶーって」と舌を出せば「石動様にそんなことさせないでください」と美少年はお目目うるうるさせる。そんなことって失礼な。俺いつも世話になってたんだからな。
「じゃあ仙道、舐めてください」
「え、まじで」
「あなたが言い出したんでしょう」
言いながらもよっこらせと立ち上がるちーちゃんはどうやら本気で言ってるわけではないらしい。否定しない辺りが不気味だが。
「しかしまあ、この無駄な外野の多さ。こんな大人数の前で醜態を晒してしまうとはなかなか恥ずかしいですね」
穴があったら入れたいです、あ、間違えました。と王子様スマイル浮かべるちーちゃんの右頬は赤く鬱血し、切れたのか血が滲んでいた。
元気そうだ。下半身も。
「つーかさ、なに、なんかあったの」
「なに、といいますか、まあ、ナニですよ」
「ちーちゃん意味わかんないよ」
「おや、僕と君は心で繋がり合っていると思ったのですが……それは残念です」
適当なことを言って話を逸らそうとするちーちゃんはどうやら事情を説明する気はないらしい。仕方なく、俺は石動様石動様とちーちゃんの周りをちょこまかする美少年たちに目を向けた。アイコンタクトに気付いた美少年たちは小さく頷く。
「石動様はなんも悪くないんです。『君、頭もじゃもじゃしてますね。下の方もそんな感じなんですか?』ってフレンドリーに話し掛けただけなのに、あの転校生!美しい石動様のお顔に!」
ああ、なんだ、自業自得か。
「それで、あの転校生はー?」
「他のやつに頼むって言ってましたね。ふふ、この学園で僕以外に案内役を買う人間がいるかどうかも怪しいというのになかなかの勇者ですね」
頬を撫で、にこにこと笑いながら続けるちーちゃん。ちーちゃんはさして殴られたことに対して気にしていないようだが、ちーちゃんの取り巻きたちは無視することが出来ないようだ。可愛らしくぱっちりした目には各々薄暗い怒りが滲んでいた。
この目には見覚えがある、大切な仲間をやられた者の復讐を宿らせた目だ。
取り巻きたちの気持ちはよくわかる。俺だって大事な友達傷つけられたらむかつく。……第一、いくら自業自得だとかいっても限度はある。
結局ちーちゃんは涙ぐむ取り巻きたちに引き摺られ保健室へと連れていかれた。
「……仙道さん」
ちーちゃんたちがいなくなったあとの校庭。ちーちゃんたちの姿を見送る俺の様子からなにか悟ったのか、純たちが俺に視線を向けた。
「んー?なぁに?」
「どうしますか?」
「どうしますかってなにがぁ?」
「石動千春のことです」
「どうもこうも、俺には関係ないことだしねー」
それだけ言って、俺は歩き出す。暖かい日差しと心地よい気温の校庭に強い風が吹き、緑の木々がざらざらと音を立てた。
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