ヒーロー志望でしたが、手違いで三食宿付きヴィラン派遣会社に永久就職（？）することになりました。

CASE.08『デート・オア・デッド』

２３※

「ん、ぅ……っ」

　流石に下半身を弄るのには勇気がいる。だから、“こっち”で我慢しなければ――。
　通路の奥、こそこそと座り込んだまま俺は制服の上から自分の胸を撫でる。さっきたくさん触られたせいですでに固くなっていたそこを指ですりすりと撫でていると勝手に腰が揺れてきた。

「ふー……っ、ぅ、ん、……っ、は……っ」

　こ、こんなところ、紅音に見られたら……。
　心配掛けない内に早く戻らなきゃ、と思えば思うほど興奮と焦りで神経は研ぎ澄まされ、腰がかくかくと揺れた。
　乳首、もっと……刺激がないと。
　ぼんやりとした頭の中、己を落ち着かせるために少しだけ強く引っ張ってみる。ぐにっと引っ張った瞬間脳の奥で熱が広がり、自然と呼吸が浅くなった。

「ふ、ぅ、んん……っ！　は、ぅ、」

　腰、動かすと中が擦れて気持ちいいかも……。
　だけど、俺の力じゃ弱くて物足りない。もっと、直接触って……いいのかな。な、なんか、露出狂の変態みたいじゃないかな、俺。
　どきどきしながらもボタンを外す。胸のところだけ出るくらい前を開いたまま、もぞもぞと自分の胸に触れた。
　さっきよりも強い刺激にぴりっと刺激が走り、「んっ」と小さな声が漏れた。

「……は、ぁ、……っ、早く、イかないと……」

　カメラの不調もいつ戻るかわからない。
　そんな状況下で己がどれほどまでに恥ずかしいことをしてるのか考えるほど気分が高まっていく。
　無雲さん、見て、ないよな。見てるかな。でも無雲さん、さっき俺が襲われかけたっていうのに助けてくれなかったの……もしかして、俺が嫌がってないって思って助けてくれなかったのかな。
　そんなこと、そんな――そんなこと、ないよな。
　姿が見えない隣人の視線を意識しながら、なるべく隠れて乳首をこりこりと弄る。隠れて、こちょこちょと擽ったり、少し強く抓って、腰が触れた。

「……っふー、ぅ、ん、うう……っ！」

　早く、早く戻らなきゃ。早く、早く早く早く。

「ん、んんっ、ぅ、ふ……っ！　ぅ、んん～～……っ！」

　背筋を伸ばし、胸を突き出す。いつの間にかに開いていた股の奥、射精にも似た甘い絶頂に脳の奥がとろとろと多幸感に溢れる。
　普段してもらうときよりも物足りない。けれど、今は応急処置としては十分だった。
　そのままくたりと床の上に座り込む。少しだけ休んで、頭を冷やしてから戻ろう。
　そう制服を着直そうとしたときだった。いきなり背後から手が伸びてきた。

「え……――、わ、ぁ……っ！」
「……見つけたぜ、お嬢ちゃん」

　いきなり抱き締められたと思いきや、背後から聞こえてきた声に心臓が跳ね上がる。
　恐る恐る背後を振り向けば、そこには先程襲いかかってきた男がそこにいたのだ。二重三重の意味でピンチに陥ってるというのに、なんでだ。
　ついさっきまで落ち着いていたはずの下半身が再び熱くなり始めた。なんでだ。俺、しっかりしてくれ。そっちはしっかりしなくてもいいから。