人生の汚点様

田原摩耶

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 なんだコイツ、急にキレやがって。
 ムカついたが、さっきから余裕ぶっこいてるこいつの顔が歪むのを見た瞬間ほんの少しだけすっとした。

 そうか、こいつはプライドだけは誰よりも高かったからな。
 ならば。

「聞こえなかったのかよ、下手くそって言ったんだよ。この馬鹿力……っ!」
「………………」
「は……なに、図星突かれてムカついたのか? いきなり黙りやが――……ぅ、あっ?!」

 ここぞとばかりに問い詰めようとした瞬間、インナー越しに乳首を思いっきり抓られ堪らす声が漏れた。

「っ、ゃ、めろ、触んなクソ……っ!」
「ほぉ~~? ……気持ちよくねえんだっけか? なあ、明日真」
「そうだよ、んなところ触られたってキモいだけ……っ! ん゛、ぎ、きもちわり、まじ……っ、やめろ馬鹿……っ! いっでえ、んだよクソ……っ!」

 布が擦れる。抓られていた指が離れたと思えば、今度は柔らかくすりすりと撫でられ「んぅ」と喉の奥から息が漏れた。

「っ、や、めろって、言って……」

 そう、しつこく人の胸を弄る男をぶん殴ってやろうとしたときだった。握り締めた拳ごと、大聖の大きな掌によって封じられる。
 そして、

「明日真、お前が勃起したらここで最後までやる」

 ――一体何をこいつは得意げな顔で言い出すのだ。
 ここをラブホかなんかと思ってるのか?

 思わず絶句してしまう俺。そんな俺に構わず、むに、と胸の膨らみに指を食い込ませた大聖はそのまま乳輪ごと柔らかく揉み始める。

「っ、ひ、く……っ!」

 ふざけんな馬鹿、何考えてんだまじで……!

 必死に纏わりついてくる腕を振り払おうとするが、こうなったときのやつはしつこい。死ぬほどしつこい。
 押し退け、なんとか背を向けて逃げようとしたところを背後から伸びてきた腕に抱き寄せられる。硬い筋肉に覆われた腕はがっちりと俺の腰をホールドし、ついでと言わんばかりにケツに押し当てられるブツの感触に青褪めた。

「おし、つけんな……っ、くそ、やめ、ん、っ、ふ……っ!」
「小せえ乳首のくせして、しっかり感じてんじゃねえよ」
「感じてねえっ、痛がって……っ、ん、だよ……っ! やめろ、ちまちま……っ、ん、くそ、変な触り方ばっか……っ、しやがって……っ、ぅ……っ、ん、へ、へた、くそ……っ」

 二本の指で乳首を挟まれ、そのまま間抜けに突き出したその先っぽをすり、と撫でる大聖。
「へえ?」とニヤついた顔でこちらを覗き込んでくる大聖から必死に顔を反らしながら、離せ、と腕を掴んだとき。

「ぁっ、く、んん……っ!」

 ぐにぃ、と横に引き伸ばされた乳輪。その中央の尖ったそこを硬い指先でぐり、と潰された瞬間、喉の奥から鼻にかかった声が漏れた。
 はっと口を閉じたときには遅かった。逃がすか、とでも言うかのように更に芯の奥まで柔らかく穿られ、腰が震える。

「っ、ふー……っ、ぅ、ん、んん……っ」
「お前さぁ、やる気あんのか? 少しくらい我慢してみせろよ、なんだよこのクソザコエロ乳首は。ああ? 潰しても潰しても健気に勃起しやがって」
「っ、ちが、さ、寒い……っ、だけ……っ、ぅ、くひ……っ!」
「自分の面見てからそういうのは言えよ、明日真」
「っ、ちが、……ぅ、う、ちがっ、あ、クソ、やめろ、そこばっか……っ! しつけ、ん……っ、は、……っ、しつこぃ……っ!!」
「お前がいい反応しかしねえからだろ、雑魚乳首が」

 そう耳朶に唇を押し付けてくる大聖。ちゅ、とわざと音立ててキスをしてくるやつが嫌で顔を逸らせば、更に耳朶に噛みつき、そのまま耳の溝から穴までぬるりと這わせられる舌先に震えた。

「っはー……っ、ふ、ぅ……っ」

 雑魚乳首だのなんたの好き勝手言われムカツクのに、それ以上に乱暴に揉みくちゃにされた胸の先が熱くて仕方ない。
 じんじんと痺れる左胸に連動してツンと立ち上がった右乳首。インナー越しに側面を撫でられ、堪らず呼吸が浅くなる。

「は、ぅ……っ、んん……っ」

 こんなの、気持ちよくないはずなのに。
 熱が集まってくる腰に無意識に下半身は引き気味になり、勃起がバレないようにすればするほど背後の大聖に尻を押し付けてしまうような体勢になってしまうのが嫌だった。

「ふっ、ふー……っ、ぅ、んん……」
「……明日真、腰揺れてんぞ」
「ゆっ、ゆれて、ねえ……っ」
「じゃあ乳首優しくされるのと乱暴にされんの、どっちが好き?」
「ど、っちも、嫌だ……っ」

 耳の穴の入口付近をれろ、と舐めた大聖は笑った。「嘘吐きだな、テメェは」とすぐ耳の側で笑う大聖の吐息が、低い声が、直に鼓膜に拭きかかり、脳髄がピリピリと痺れる。

「は……っ嘘吐くならもっとましな嘘吐けよ。それとも、俺を楽しませようとしてんのか?」
「っ、ぁ、だ、まれ……っ」
「その減らず口がいつまで保つか楽しみで仕方ねえな」

 ふう、と濡れそぼった耳朶に吹き掛けられる吐息に体が震える。そのままようやく大聖の唇が耳から離れたと思った矢先、そのまま体を振り向かされるのだ。

「っ、は……」

 真正面、向き合うような体勢に戸惑う暇もなかった。背中を壁に押し付けられたと思った矢先、そのまま人の胸元に顔を埋めてくる大聖にぎょっとした。

「な……っひ、うく……っ」

 何してんだ、お前。
 さらりと落ちる前髪が胸に当たってこそばゆい、などと言ってる場合ではない。
 インナーを乱暴に捲り上げられ、大きく露出される胸にぎょっとするのもつかの間。そのまま心臓の付近にキスをする大聖に震えた。

「は、な、に……っ、なに、して……っ」
「お前を可愛がってる」
「はあっ?! ぁ、い、やめろ、……っ、ん、こんなの、全然きもち、よくねえ……っ」

 ちゅ、ちゅ、と胸から乳輪、鎖骨、肋と、微妙にズレたところばかりに唇を押し付けてくる大聖。
 それならまださっきみてーに乳首触られた方がよかったのに、とほんの一瞬思ってしまった自分に青ざめた。

 違う、こんなの全然よくない。

「ふ……っ、ぅ……」
「……」
「ん、……っふ」

 キスマークをつけてるのか。ほんの少し強く吸われる度にピリッとした痛みが走る。
 それがどんどん乳首に近付くに連れ、全身の神経がそちらへと向けられた。

 違う、こんなの、別に。全然大したことない。
 そう思いたいのに、吐息が近くなり、僅かに空気の振動を乳首が感じた瞬間、肩が震えた。
 直接触れられてたわけでもなし、びくりと思わず大聖から体を逸らそうとしたときだった。胸元で、ふ、と大聖が鼻で笑うのを感じた。
 そして、

「っん、ぅう……っ!」

 薄い唇が開き、そこから伸ばされる真っ赤な舌先に乳首を突かれた瞬間、電流が走ったみたいに体が跳ね上がる。
 当時に鼻にかかった気持ち悪い声を漏らす自分に絶望する暇もなく、大聖は大きな口を開いてそのまま乳輪ごと咥えた。

「……ッ?! ん、んん……っ、ふー……っ、ぅ……っ!」

 食われる、まじで、食い千切られる。
 覗く歯、吐息の熱、尖った先端に絡まる肉厚な舌。その舌に開いたピアスが乳首を掠める度に体が跳ね上がった。
 必死に逃げようと大聖の頭を掴むが、この馬鹿力野郎はびくともしない。それどころか、そのまま乳輪ごと吸い上げられた瞬間背筋が大きく伸びた。

「っ、ぅ、う……っ! ん、くんぅう……っ!」

 犬みてえな声とももに大きく仰け反る胸。でけえ口に包み込まれ、甘く噛まれたその先っぽを下で責められ続け、逃げ場などなかった。

 離せ、バカ、もういいだろ。そう伸びた大聖の髪を引っ張れば、こちらを睨んだ大聖は更にぬるぬると濡れたそこを咥えたまま舌で穿るのだ。

「っう、ん、くっ、ぅ……っ! ひ、……っ、んぅ……っ!」

 逃げたいのに逃げられない。
 熱い舌先で肉の粒を転がされ、吸い上げられ、わざとピアスが当たるように乳首を執拗にイジられる度に何層にも重なっていく快感に脳髄が蕩けていく。違う、別に、気持ちいいわけではない。違うのに。

「――っ、く、ひ……ッ!」

 ぢゅう、と強く吸われ、そのまま固くなったそこに歯が食い込んだときだった。限界まで張り詰めていた糸は呆気なくぶっ千切れるのだ。

 ビク、と大きく跳ね上がった全身の筋肉。衝撃に耐えきれず、目を見開いたまま大聖の頭を抱き締めたとき、ようやく大聖は俺の胸から口を離した。とろりと透明な糸を引き、片方の胸よりも明らかに赤くぽってりと腫れ上がったそこを見てやつはいらやしく笑った。

「明ー日ー真、なにこれ」
「は、ち、が、これは……」
「違わねえだろ」

 はあ、はあ、と必死に呼吸を整える俺を無視して大聖は人の下半身に手を伸ばした。そのまま乱暴に前を開かされ、下着ごとずらされた瞬間、どろりと先走りと白濁で濡れたそこに大聖の視線が突き刺さった。そして、含んだような大聖の目線はゆっくりと俺の顔へと向けられる。
「明日真」と伸びてきた手に頬を撫でられ、耳を揉まれ、ぞくりと体が跳ねた。

「ちが、う……こんなの、嘘だ……っ」
「だよなあ、分かるぞその気持ち。こんな嘘みてえなエロい体しやがって」
「ちが、」
「違わねえよ、明日真。お前、やっぱ女役のが向いてんぞ」

 囁かれ、頬にキスをしてくる大聖。その横っ面を殴ってやろうと思ったのに、そのまま甘勃ちした性器を鷲掴みにされ、力が抜けそうになる。

「っ、は、ぁ……っ」
「さっき言ったの、まさかもう飛んだわけじゃねえよな」

 そのまま覗き込んでくる大聖。そのまま唇に這わされる舌に意識を奪われそうになった瞬間、下半身に硬いものが押し付けられる。腰を抱かれ、テント張ったそこをぐり、と性器に押し当てられただけで汗が滲む。体温が更に数度上がった気がした。

「は……っ、お前のせいだ、わかんだろ。……これ、お前が育てたんだよ」

 やめろ、俺は生産者じゃない。そう言いたいのに、スラックス越しからでも分かるそのデカさにただ目眩を覚えた。

「責任取れよな、明日真君」

 こういうときだけ甘い声出すんじゃねえ、クソ大聖。
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