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同床異夢
優しくない悪魔※
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口を開き、舌を伸ばす。舐めるだけで許してくれないだろうかとおずおずと顔を上げれば、目があって栄都は笑いながら俺の髪を撫でる。
「無理矢理しゃぶらせられんのが好きか?」
「っ、ゃ、じ、ぶんで……やるから……っ!」
「おー、頼むわ」
くるくると人の髪の中に指を突っ込み、髪の毛の先を巻いて遊びながらもこちらをじっと見下ろしてくる栄都。
ぴくぴくと痙攣するそれに顔をしかめながら、俺はええいと半ばヤケクソに亀頭をぱくりと咥える。
そのまま舌の上で大きくなるそれに舌を絡めつつ、溺れそうになりながらも喉の奥まで栄都の性器を招き入れた。
「ん、ぅ……っぐ、ぷ……っ!」
「はー……っ、そーそー、今のうちサダのためにもしっかりと練習しとけよ。……ま、もしかしたら使う機会ねえかもだけど」
「ぅ、んん゛……っ」
サダの名前を出すなよ、と栄都を睨むが、あいつは全く気にした様子もない。「集中しろ」と髪を捕まれ、そのままずる、と喉奥までねじ込まれるそれの深さにえずいた。
「ぉ゛、ご……ぉ゛……っ!」
「……っ、ふ……は、やっぱ、一人で独占すんのは勿体ねえよなぁ。せっかく俺らが育ててやったってのに、この体」
「っふ、ぅ」
戯れに伸びてきた手に横髪を耳に掛けられる。頬を撫でてくるその指にいつか頬を抓られるのではないのかと戦々恐々としながらも、俺は上目で栄都を伺いながら口全体を酷使して性器を愛撫した。
唾液やらなんやらでぐちゃぐちゃになった口の中、亀頭を重点的に責める。キャンディーを舐めるみたいに舌先で転がせば、口の中で栄都のものが痙攣するのを感じた。
「ぉ゛ふ、ぐ……っ!」
「やわけえのに熱いし……、ガキのまんまだな、美甘。チンポとろけそ……っ」
「ふ、ぅ゛」
「はー……っ、ん、そーそー、もっと奥まで、喉も使えよ……っ」
「む゛、ぅ゛……っ」
顔面全体の筋肉が引き攣って痛いまである。
それでもさっさとこのクソみたいな時間を終わらせたくて、俺はソファーに座った栄都の股座に顔を突っ込み、犬のように従う他なかった。
時折暇を持て余したらしい栄都の爪先に下半身を柔らかく踏みつけられそうになり、びくりと跳ね上がれば「おい、集中しろ」と頭を掴まれ、更に奥まで性器を咥えさせられる。
喉の奥まで肉を詰め込まれ、呼吸すらままならない。もごもごと必死に鼻で呼吸しながらも、脳みそに昇っていく血に意識ごと掻き乱される。
クソ栄都、馬鹿栄都、鬼栄都。エトセトラ。
心のなかで栄都への罵倒を繰り返しつつ、俺は必死に栄都に奉仕した。
さっさとイケ、早くイケ。そう念じながら唇と舌と喉を使って栄都を受け止める。頭を掴まれ、喉の奥に亀頭がぶつかるたびに嗚咽が漏れた。それが栄都は堪らないらしい。興奮したように息を吐き、栄都は人の喉を性器に見立てて腰を動かすのだ。
「……っ、ふ……」
「ん゛ぉ、ご……っ!」
精液と野郎臭さに鼻はとっくにイカれてしまってるらしい。舌で亀頭を受け止めながら、次第に短くなるストロークに目を瞑る。
顎、死ぬ……っ!
栄都の腰を掴んだまま、滲む視界の中。栄都を見上げたときだった。栄都はそのまま俺の喉の奥、根本まで性器を咥えさせたまま射精した。
ドクンと大きな鼓動とともに吐き出される精液。既にチンポで容量オーバーしていた俺の喉では受け止めきれず、そのままチンポごと吐き出した。
「けぽ……っ! げ、ぅ……っ!」
「あーあ、勿体無えな。栄養たっぷり詰まってんのに」
どろ、と口の中に溜まった唾液と混ざった精液が唇から垂れる。部屋が汚れないよう、それを手で抑えて受け止めようとしたとき、伸びてきた栄都の手によって顎を持ち上げられた。
気付けば、すぐ目の前には栄都の目が写り込んでいて、次の瞬間べろりと唇を舐めるそれに凍りついた。
「ふ……っ」
全部飲め、とでも言うかのようにこじ開けられた舌から唾液を流し込まれる。
休む暇もなく注がれるそれに青ざめ、慌てて首を振って逃げようとするが栄都は許してくれない。俺の逆の耳を引っ張り、無理矢理自分の方を向かせるのだ。
「ん、ぅ……っ! ふ、ぅ……っ」
お前、自分の精子出したばっかのくせに。
精液も涙も鼻血も唾液も全部関係ないとでもいうかのように飲まされる。俺の口の中が空になっても栄都の舌は出ていかず、そのまま俺の舌を絡め取るのだ。じっと見つめられたまま深く喉の奥までキスをされ、頭がクラクラしてきた。
力が抜け、もう勝手にしてくれ。と自暴自棄になりかけたとき、ゆっくりと栄都の唇は離れる。ちゅ、と小さなリップ音を立てて唇にキスをされた。そのまま、耳を摘んでいたその指は俺の目尻を拭うのだ。
「……おい泣くなよ、美甘。興奮すんだろ」
「さ、んと……っん、ぅ……っも、や……」
「まだ意地張ってんのかよ、いい加減諦めろっての。……っ、なあ、美甘。お前だって勃起してんじゃねえか」
「ちが、ぁ、お、お前が……足でやるから……っ」
「普通の人間は、チンポ踏まれて喜ばねえんだよなぁ?」
まるで人を普通ではないとでも言うかのような口振りだった。俺の腕を掴んだ栄都は、そのまま俺を抱き上げ、向かい合うように膝の上に座らせる。対面座位、なんて言葉がよぎった。
「さ、んと……っ、ぉ、おろして……っ」
「あ? まだお前は気持ちよくなってねーだろ?」
「ぃ、いい、俺のことは……っ、い、から……っ」
「つってもなぁ? こんなに乳首ビン勃ちで言われても説得力がねえんだわ」
そう、人の胸元に顔を埋めてくる栄都。汗で張り付いた寝間着の上から乳首を甘噛みされた瞬間、「ひぅっ」と全身が震え上がる。
そんな俺を一瞥し、鼻で笑った栄都はそのまま人の腰を抱くように剥き出しになったままの尻に手を置いた。
「っ、く、ひ……っ! ぁ、う、や、栄都……っ」
「は……っ、ん、嫌がんならせめて勃起しねえよう頑張れよ」
「う、く……っひ、……っ!」
無茶苦茶言いながら、嫌らしい手付きで人の尻を揉みしだく栄都。乳首を吸われ、舌で転がされながらもぐずぐずになっていた下半身に伸ばされる栄都の指に震え上がった。
「ぃやだ、」と逃げようとする俺を更に抱き寄せる栄都。眼の前の胸筋に押し潰されそうになりながら、ぐっぽりと開かされた肛門に押し当てられる亀頭の感触に堪らず俺は栄都の身体にしがみついた。
「っ、は、ぃ、やだ、やだ、ぃやだ、栄都っ、挿れるな……っ」
「美甘、お前滑舌悪すぎてなんて言ってんのか聞こえねえよ」
「い、挿れ、ないれ……っ、挿れないで……っぇ゛――っ!!」
ずる、と腰を思いっきり落とされた瞬間、肉が潰れるような音ともに脳の髄まで深々と突き刺さる鋭利な快感に一瞬、意識ごとぶち破られる。
真っ白になった頭の中。口を開閉したまま固まる俺を見下ろしたまま、栄都は普段と変わらない――悪魔のような笑みを浮かべるのだ。
「……わり、聞こえなかったわ」
多分、こいつの前世は間違いなく悪魔だ。あいつも、こいつもだ。
「ぅ、う゛、ひ……っ!」
「ぁ゛はっ、なあ、まじで死にそうってか? 美甘、良いじゃねえか。このままセックスで死ぬって、はは、じゃあもっと気持ちよくしてやんねえとな……っ!」
「っ、しゃ、さん゛、とぉ゛……っ! ぉ、ぐ、……っ! ひ、……っ!」
「は、やっぱお前の体サイコーだわ……っ、」
「ぅ、ぐ、」
服が邪魔だと脱いだ栄都に抱き締められたまま、俺はひたすらやつに犯される。少しでも逃げようとソファーの上から転げようとしても無駄だった。がっちりと抱えられた硬い筋肉質な腕に締め上げられ、そのまま更に腰を叩きつけられる度に全身が浮き上がるような感覚に陥る。
既に燕斗との行為でイカレかけてた三半規管は栄都によってぶち壊され、俺は今自分が起きてるのか寝てるのかもわからないままひたすら腹の中を掻き混ぜる性器の熱しか感じることができなかった。
口を閉じることもできない、目を見開いたまま固まる俺の顔を覗き込み、栄都は「ひっでえ顔」と微笑む。あいつと同じ顔で、けれどあいつよりもずっと楽しそうに。
「なあ美甘、なんで俺が燕斗に協力してやったか教えてやろうか」
落ちてきた声はまるで友達に話しかけるような気さくなものだった。人にチンポを無理やりねじ込んでるような男の言葉とは思えないほど楽しそうな、無邪気な声に俺はもう言葉の一つ一つも理解できないまま栄都を見上げる。
「あいつさあ、お前のこと本気で諦めるつもりなんだってよ。おっかしいよな、あの面でさ。……お前のこと未練たらたらのくせに、頑張ってんのよ……ばっかみてえに」
「っ、は、ぁ、さ、栄都……っ」
「けどそうなったらさ、……お前のこと満足させられんの、俺だけになっちまうな」
なにをいってるのだろうか、こいつは。
俺にはもう何も理解できなかった。ケツの奥の奥まで入り込んでくる亀頭に体が跳ねる。逃げようとする俺を捉え、更に栄都は頬擦りするのだ。そのまま俺の唇を貪り、深い位置で一定のリズムで腰を動かされれば脳みそごと揺さぶられるみたいに目の前がチカチカと明滅する。
「ぃ、ぅ゛、う゛~~……っ! っ、は……っ、ぁ、……っそれ、ゃ、いや、ぁ……っ! ぉ、奥、ぃ、ひ……っ!」
「は……っ、く、はは、美甘ぉ、そんなに嬉しかったのかよ、なあ。……すげえ吸い付いてくんじゃん、まじ雑魚すぎんだろ……っ、ほんと、可愛いやつ」
「はー……っ、は、ぅ、うご、いちゃ、……っ、ぁ! ぅ、ひ……っ! ふ、ぅ……っ!」
びん、と大きく硬直した体。空の睾丸からは何も出ず、栄都のピストンに耐えきれずみっともなく甘勃起した性器がぶるりと揺れた。
気持ちいいはずがない。全部吐き出したいくらいなのに、体と心が乖離していく。栄都の熱に充てられた体は溶け、食い込んだ硬い指に更に尻を揉みしだかれれば腰がぶるりと震える。そのままずり落ちそうになる俺をソファーの上、座面へうつ伏せに寝かせた栄都は再び奥まで腰を沈めた。その感触に再びイキそうになりながらも、再開されるピストンに腰が震えた。
「ぁ、あ、栄都……っ! ゃ、う」
「……っ、お前が分かってねえみてーだからさ、ちゃんと言わねえとなぁ、こういうのは」
「っ、ふぅ゛――っ!」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。高く持ち上げられた下半身、剥き身になっていた臀部に弾けるような熱が襲いかかる。
咄嗟に振り返り、そこで俺は自分が栄都に尻を叩かれたのだと気づいた。
ひりつくように痺れるそこを今度は撫でられ、痛みが混ざった甘い刺激に背筋がびくんと震える。
俺は腰を揺らし、必死に栄都から逃げようとした。が、栄都は笑って「ばぁか」と簡単に引き戻すのだ。そのまま二発目を定めるように叩いたそこを撫でる栄都に全身が震える。
「あ、はー……っ、さ、んと……っ! ぅ、や、も、痛いの、ゃ……っ、あ……っ!」
「……なあ美甘、お前は俺らのお友達でも恋人でもなくて『オモチャ』だろ? 今更勝手に逃げ出してんじゃねえよ」
そう、今度は平手ではなく拳を作り、持ち上げる栄都に今度こそ俺は青褪める。全身の筋肉が凍り付き、「ごめんなさいっ」と声をあげたとき、栄都は吹き出すのだ。そして、
「は……っ、なんつってな、興奮しただろ? ……美甘」
「お前、ビビリ過ぎ」と俺の背後、そのまま覆いかぶさってくる栄都は俺の項、肩甲骨へと辿るようにキスを落としていく。
――興奮なんてするわけがない。
未だ殴られるのではないかという恐怖と与え続けられる快感が綯い交ぜになり、とろりと性器から垂れるカウパーがなんなのか俺にはわからなかった。
萎縮したまま震える俺の体を抱きしめたまま、栄都は小さく息を吐く。
「美甘……俺はさ、こっちはお前がどうしようもねーやつだってのはずっと知ってたんだよ。それでも一緒に居てやったの、なんでだと思う?」
「っ、は、……ぁ……っ、ふ……」
「ちゃんと答えろよ、美甘」
「わ、かんな……」
「真剣に考えたか?」
顎を持ち上げられ、顎の下、首の付け根をゆっくりと栄都の指が這わされる。答え次第ではお前の首をこのまま掻き切る――そう脅されているような恐怖に当てられたまま、俺は無言で頷くしかなかった。
こんな状態でまともに物事を考えられるわけがない。むしろ、こんな状態じゃなくとも……。
そんな俺の反応に、栄都は大きく口を開いて笑った。
「ぶは……っ、本当馬鹿だなお前は。……本当さぁ、よくそんなんで俺らに喧嘩売れたな」
「ぅ、あ」
「分かんねえみたいだから教えてやるよ。美甘」
腰を打ち付けられる。セックスというよりも肛門に熱した鉄杭を打ち付けられているような感覚すらあった。ガチガチに勃起した性器でごりゅ、と前立腺を潰された瞬間、大きく仰け反った体に電流が走った。栄都のものでぽっこりと膨らんだ下半身を撫でる栄都の大きな掌。その固く骨っぽい指先に、ごりゅ、と外側から前立腺を刺激された瞬間、下半身がガクンと痙攣する。
「――正解は、お前が馬鹿だからだよ」
「無理矢理しゃぶらせられんのが好きか?」
「っ、ゃ、じ、ぶんで……やるから……っ!」
「おー、頼むわ」
くるくると人の髪の中に指を突っ込み、髪の毛の先を巻いて遊びながらもこちらをじっと見下ろしてくる栄都。
ぴくぴくと痙攣するそれに顔をしかめながら、俺はええいと半ばヤケクソに亀頭をぱくりと咥える。
そのまま舌の上で大きくなるそれに舌を絡めつつ、溺れそうになりながらも喉の奥まで栄都の性器を招き入れた。
「ん、ぅ……っぐ、ぷ……っ!」
「はー……っ、そーそー、今のうちサダのためにもしっかりと練習しとけよ。……ま、もしかしたら使う機会ねえかもだけど」
「ぅ、んん゛……っ」
サダの名前を出すなよ、と栄都を睨むが、あいつは全く気にした様子もない。「集中しろ」と髪を捕まれ、そのままずる、と喉奥までねじ込まれるそれの深さにえずいた。
「ぉ゛、ご……ぉ゛……っ!」
「……っ、ふ……は、やっぱ、一人で独占すんのは勿体ねえよなぁ。せっかく俺らが育ててやったってのに、この体」
「っふ、ぅ」
戯れに伸びてきた手に横髪を耳に掛けられる。頬を撫でてくるその指にいつか頬を抓られるのではないのかと戦々恐々としながらも、俺は上目で栄都を伺いながら口全体を酷使して性器を愛撫した。
唾液やらなんやらでぐちゃぐちゃになった口の中、亀頭を重点的に責める。キャンディーを舐めるみたいに舌先で転がせば、口の中で栄都のものが痙攣するのを感じた。
「ぉ゛ふ、ぐ……っ!」
「やわけえのに熱いし……、ガキのまんまだな、美甘。チンポとろけそ……っ」
「ふ、ぅ゛」
「はー……っ、ん、そーそー、もっと奥まで、喉も使えよ……っ」
「む゛、ぅ゛……っ」
顔面全体の筋肉が引き攣って痛いまである。
それでもさっさとこのクソみたいな時間を終わらせたくて、俺はソファーに座った栄都の股座に顔を突っ込み、犬のように従う他なかった。
時折暇を持て余したらしい栄都の爪先に下半身を柔らかく踏みつけられそうになり、びくりと跳ね上がれば「おい、集中しろ」と頭を掴まれ、更に奥まで性器を咥えさせられる。
喉の奥まで肉を詰め込まれ、呼吸すらままならない。もごもごと必死に鼻で呼吸しながらも、脳みそに昇っていく血に意識ごと掻き乱される。
クソ栄都、馬鹿栄都、鬼栄都。エトセトラ。
心のなかで栄都への罵倒を繰り返しつつ、俺は必死に栄都に奉仕した。
さっさとイケ、早くイケ。そう念じながら唇と舌と喉を使って栄都を受け止める。頭を掴まれ、喉の奥に亀頭がぶつかるたびに嗚咽が漏れた。それが栄都は堪らないらしい。興奮したように息を吐き、栄都は人の喉を性器に見立てて腰を動かすのだ。
「……っ、ふ……」
「ん゛ぉ、ご……っ!」
精液と野郎臭さに鼻はとっくにイカれてしまってるらしい。舌で亀頭を受け止めながら、次第に短くなるストロークに目を瞑る。
顎、死ぬ……っ!
栄都の腰を掴んだまま、滲む視界の中。栄都を見上げたときだった。栄都はそのまま俺の喉の奥、根本まで性器を咥えさせたまま射精した。
ドクンと大きな鼓動とともに吐き出される精液。既にチンポで容量オーバーしていた俺の喉では受け止めきれず、そのままチンポごと吐き出した。
「けぽ……っ! げ、ぅ……っ!」
「あーあ、勿体無えな。栄養たっぷり詰まってんのに」
どろ、と口の中に溜まった唾液と混ざった精液が唇から垂れる。部屋が汚れないよう、それを手で抑えて受け止めようとしたとき、伸びてきた栄都の手によって顎を持ち上げられた。
気付けば、すぐ目の前には栄都の目が写り込んでいて、次の瞬間べろりと唇を舐めるそれに凍りついた。
「ふ……っ」
全部飲め、とでも言うかのようにこじ開けられた舌から唾液を流し込まれる。
休む暇もなく注がれるそれに青ざめ、慌てて首を振って逃げようとするが栄都は許してくれない。俺の逆の耳を引っ張り、無理矢理自分の方を向かせるのだ。
「ん、ぅ……っ! ふ、ぅ……っ」
お前、自分の精子出したばっかのくせに。
精液も涙も鼻血も唾液も全部関係ないとでもいうかのように飲まされる。俺の口の中が空になっても栄都の舌は出ていかず、そのまま俺の舌を絡め取るのだ。じっと見つめられたまま深く喉の奥までキスをされ、頭がクラクラしてきた。
力が抜け、もう勝手にしてくれ。と自暴自棄になりかけたとき、ゆっくりと栄都の唇は離れる。ちゅ、と小さなリップ音を立てて唇にキスをされた。そのまま、耳を摘んでいたその指は俺の目尻を拭うのだ。
「……おい泣くなよ、美甘。興奮すんだろ」
「さ、んと……っん、ぅ……っも、や……」
「まだ意地張ってんのかよ、いい加減諦めろっての。……っ、なあ、美甘。お前だって勃起してんじゃねえか」
「ちが、ぁ、お、お前が……足でやるから……っ」
「普通の人間は、チンポ踏まれて喜ばねえんだよなぁ?」
まるで人を普通ではないとでも言うかのような口振りだった。俺の腕を掴んだ栄都は、そのまま俺を抱き上げ、向かい合うように膝の上に座らせる。対面座位、なんて言葉がよぎった。
「さ、んと……っ、ぉ、おろして……っ」
「あ? まだお前は気持ちよくなってねーだろ?」
「ぃ、いい、俺のことは……っ、い、から……っ」
「つってもなぁ? こんなに乳首ビン勃ちで言われても説得力がねえんだわ」
そう、人の胸元に顔を埋めてくる栄都。汗で張り付いた寝間着の上から乳首を甘噛みされた瞬間、「ひぅっ」と全身が震え上がる。
そんな俺を一瞥し、鼻で笑った栄都はそのまま人の腰を抱くように剥き出しになったままの尻に手を置いた。
「っ、く、ひ……っ! ぁ、う、や、栄都……っ」
「は……っ、ん、嫌がんならせめて勃起しねえよう頑張れよ」
「う、く……っひ、……っ!」
無茶苦茶言いながら、嫌らしい手付きで人の尻を揉みしだく栄都。乳首を吸われ、舌で転がされながらもぐずぐずになっていた下半身に伸ばされる栄都の指に震え上がった。
「ぃやだ、」と逃げようとする俺を更に抱き寄せる栄都。眼の前の胸筋に押し潰されそうになりながら、ぐっぽりと開かされた肛門に押し当てられる亀頭の感触に堪らず俺は栄都の身体にしがみついた。
「っ、は、ぃ、やだ、やだ、ぃやだ、栄都っ、挿れるな……っ」
「美甘、お前滑舌悪すぎてなんて言ってんのか聞こえねえよ」
「い、挿れ、ないれ……っ、挿れないで……っぇ゛――っ!!」
ずる、と腰を思いっきり落とされた瞬間、肉が潰れるような音ともに脳の髄まで深々と突き刺さる鋭利な快感に一瞬、意識ごとぶち破られる。
真っ白になった頭の中。口を開閉したまま固まる俺を見下ろしたまま、栄都は普段と変わらない――悪魔のような笑みを浮かべるのだ。
「……わり、聞こえなかったわ」
多分、こいつの前世は間違いなく悪魔だ。あいつも、こいつもだ。
「ぅ、う゛、ひ……っ!」
「ぁ゛はっ、なあ、まじで死にそうってか? 美甘、良いじゃねえか。このままセックスで死ぬって、はは、じゃあもっと気持ちよくしてやんねえとな……っ!」
「っ、しゃ、さん゛、とぉ゛……っ! ぉ、ぐ、……っ! ひ、……っ!」
「は、やっぱお前の体サイコーだわ……っ、」
「ぅ、ぐ、」
服が邪魔だと脱いだ栄都に抱き締められたまま、俺はひたすらやつに犯される。少しでも逃げようとソファーの上から転げようとしても無駄だった。がっちりと抱えられた硬い筋肉質な腕に締め上げられ、そのまま更に腰を叩きつけられる度に全身が浮き上がるような感覚に陥る。
既に燕斗との行為でイカレかけてた三半規管は栄都によってぶち壊され、俺は今自分が起きてるのか寝てるのかもわからないままひたすら腹の中を掻き混ぜる性器の熱しか感じることができなかった。
口を閉じることもできない、目を見開いたまま固まる俺の顔を覗き込み、栄都は「ひっでえ顔」と微笑む。あいつと同じ顔で、けれどあいつよりもずっと楽しそうに。
「なあ美甘、なんで俺が燕斗に協力してやったか教えてやろうか」
落ちてきた声はまるで友達に話しかけるような気さくなものだった。人にチンポを無理やりねじ込んでるような男の言葉とは思えないほど楽しそうな、無邪気な声に俺はもう言葉の一つ一つも理解できないまま栄都を見上げる。
「あいつさあ、お前のこと本気で諦めるつもりなんだってよ。おっかしいよな、あの面でさ。……お前のこと未練たらたらのくせに、頑張ってんのよ……ばっかみてえに」
「っ、は、ぁ、さ、栄都……っ」
「けどそうなったらさ、……お前のこと満足させられんの、俺だけになっちまうな」
なにをいってるのだろうか、こいつは。
俺にはもう何も理解できなかった。ケツの奥の奥まで入り込んでくる亀頭に体が跳ねる。逃げようとする俺を捉え、更に栄都は頬擦りするのだ。そのまま俺の唇を貪り、深い位置で一定のリズムで腰を動かされれば脳みそごと揺さぶられるみたいに目の前がチカチカと明滅する。
「ぃ、ぅ゛、う゛~~……っ! っ、は……っ、ぁ、……っそれ、ゃ、いや、ぁ……っ! ぉ、奥、ぃ、ひ……っ!」
「は……っ、く、はは、美甘ぉ、そんなに嬉しかったのかよ、なあ。……すげえ吸い付いてくんじゃん、まじ雑魚すぎんだろ……っ、ほんと、可愛いやつ」
「はー……っ、は、ぅ、うご、いちゃ、……っ、ぁ! ぅ、ひ……っ! ふ、ぅ……っ!」
びん、と大きく硬直した体。空の睾丸からは何も出ず、栄都のピストンに耐えきれずみっともなく甘勃起した性器がぶるりと揺れた。
気持ちいいはずがない。全部吐き出したいくらいなのに、体と心が乖離していく。栄都の熱に充てられた体は溶け、食い込んだ硬い指に更に尻を揉みしだかれれば腰がぶるりと震える。そのままずり落ちそうになる俺をソファーの上、座面へうつ伏せに寝かせた栄都は再び奥まで腰を沈めた。その感触に再びイキそうになりながらも、再開されるピストンに腰が震えた。
「ぁ、あ、栄都……っ! ゃ、う」
「……っ、お前が分かってねえみてーだからさ、ちゃんと言わねえとなぁ、こういうのは」
「っ、ふぅ゛――っ!」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。高く持ち上げられた下半身、剥き身になっていた臀部に弾けるような熱が襲いかかる。
咄嗟に振り返り、そこで俺は自分が栄都に尻を叩かれたのだと気づいた。
ひりつくように痺れるそこを今度は撫でられ、痛みが混ざった甘い刺激に背筋がびくんと震える。
俺は腰を揺らし、必死に栄都から逃げようとした。が、栄都は笑って「ばぁか」と簡単に引き戻すのだ。そのまま二発目を定めるように叩いたそこを撫でる栄都に全身が震える。
「あ、はー……っ、さ、んと……っ! ぅ、や、も、痛いの、ゃ……っ、あ……っ!」
「……なあ美甘、お前は俺らのお友達でも恋人でもなくて『オモチャ』だろ? 今更勝手に逃げ出してんじゃねえよ」
そう、今度は平手ではなく拳を作り、持ち上げる栄都に今度こそ俺は青褪める。全身の筋肉が凍り付き、「ごめんなさいっ」と声をあげたとき、栄都は吹き出すのだ。そして、
「は……っ、なんつってな、興奮しただろ? ……美甘」
「お前、ビビリ過ぎ」と俺の背後、そのまま覆いかぶさってくる栄都は俺の項、肩甲骨へと辿るようにキスを落としていく。
――興奮なんてするわけがない。
未だ殴られるのではないかという恐怖と与え続けられる快感が綯い交ぜになり、とろりと性器から垂れるカウパーがなんなのか俺にはわからなかった。
萎縮したまま震える俺の体を抱きしめたまま、栄都は小さく息を吐く。
「美甘……俺はさ、こっちはお前がどうしようもねーやつだってのはずっと知ってたんだよ。それでも一緒に居てやったの、なんでだと思う?」
「っ、は、……ぁ……っ、ふ……」
「ちゃんと答えろよ、美甘」
「わ、かんな……」
「真剣に考えたか?」
顎を持ち上げられ、顎の下、首の付け根をゆっくりと栄都の指が這わされる。答え次第ではお前の首をこのまま掻き切る――そう脅されているような恐怖に当てられたまま、俺は無言で頷くしかなかった。
こんな状態でまともに物事を考えられるわけがない。むしろ、こんな状態じゃなくとも……。
そんな俺の反応に、栄都は大きく口を開いて笑った。
「ぶは……っ、本当馬鹿だなお前は。……本当さぁ、よくそんなんで俺らに喧嘩売れたな」
「ぅ、あ」
「分かんねえみたいだから教えてやるよ。美甘」
腰を打ち付けられる。セックスというよりも肛門に熱した鉄杭を打ち付けられているような感覚すらあった。ガチガチに勃起した性器でごりゅ、と前立腺を潰された瞬間、大きく仰け反った体に電流が走った。栄都のものでぽっこりと膨らんだ下半身を撫でる栄都の大きな掌。その固く骨っぽい指先に、ごりゅ、と外側から前立腺を刺激された瞬間、下半身がガクンと痙攣する。
「――正解は、お前が馬鹿だからだよ」
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『俺、そんな目でお前のこと見れない』
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その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
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