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勘違い型突っ走り男
03
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病室内、ベッドの上。
ごちゃごちゃやかましい山下を追い払いとうとう一人になった俺はやることもなく天井の染みの数を数えていた。
「……」
暇だ。
鹿波から貰った林檎でも食おう。
思いながら膝の上に乗せたままになっていた買い物袋に目を向ける。
近所のスーパーか果物屋さんで買ってきたようだ。
氷もなにも入っておらず、すっかり温くなったそれを手に取ったとき、買い物袋のその奥になにかがあることに気付く。
紙切れだ。
レシートかなにかだろうかとか思いながらそれを引っ張り出せば、どうやらそれはノートの切れ端のようだ。
『ありがとう』
そこにはそう一言だけ無骨な字で書かれていた。
それこそ差出人名は書かれていなかったが間違いなく鹿波の文字だろう。
一瞬なにについてのお礼か分からなかったが、ふとここに入院する切っ掛けとなったときのことを思い出した。
瞬間、心臓がぎゅっと握り締められたような感触が走る。
背筋がぞくぞくと震え、顔面に熱が集まり、全身が痒くなった。
これは、あれじゃないか。
卑怯だろ。こんなの。不可抗力だろ。
なんだよ「ありがとう」って。へったくそな字だな。なんで何回も消した後があるんだよ。
なんで鹿波がわざわざ俺の病室までお見舞いにやってきたのか、ただからかいにきただけだろうとは思ったがまさか本当にお見舞いに来ていたとは思わなかった。
一応は感謝してくれていたようだ。
ずっとなにも言われなかったからてっきり向こうも対して気にしていなかったからそれもそれでいいかとなにも言わなかったのだが、まさに不意打ちを食らってしまった。
顔が熱い。
頬の筋肉が緩む。
どんな顔をして鹿波がこれを書いたのか想像しただけでなんかもういてもたってもいれなくなって、ナースコールで看護婦を呼んだ俺は鹿波から貰った林檎を切ってもらうことにした。
◆ ◆ ◆
フラグか。
病室で山下が言った言葉を思い出す。
いやーなるほどこういうことか。
もしやと前から薄々は感じていたがあのヒステリックバイオレンス野郎、もとい鹿波はどうやら俺に気があるようだ。
俺としたことが迂闊だった。
あのバイオレンス行為には鹿波の照れ隠しであり愛情表現という意味が込められていたに違いない。
あいつもあいつであれだな、ツンデレというやつだろう。
素直になればいいものを……。
学生寮、廊下にて。
病院に少々無理を言って退院してきた俺は鹿波の部屋へ向かっていた。
因みに鹿波の部屋については以前山下から聞いたことがあるので問題ない。
鹿波の気持ちを知った今、俺がやることはただ一つだ。
今こそ上下関係をハッキリさせる時がやってきた。
鹿波の部屋の前。扉に鍵がかかっていないことを確かめた俺はドアノブを掴み勢いよく扉を開く。
「っ?!」
バンッと大きな音を立て開かれる扉に驚いたようだ。
ベッドの上で雑誌を読んでいた鹿波は慌てて飛び起きる。
ルームメイトらしき姿は見えない。
丁度いい。
「は、っおい!なに勝手に入ってきてんだよ!」
ベッドから降りる鹿波は扉から普通に入ってこようとする俺に向かってそう怒鳴る。
構わず、警戒する鹿波に近付いた。
「つーかお前、病院は……っ」いつも通り怒り始めたかと思えば今度はなにか意味がわからないものでも見たかのような呆れたような顔をする鹿波はどうやら相当動揺しているようだ。
わかっている、わかっているぞ鹿波。
これはよくあるあれだな。
好きな人のことを考えたら本人が現れてどきっ!ってあれだな。
まあそれを狙って鹿波の部屋に突撃したのだからもちろんどうすればいいかも把握している。
後退る鹿波の腕を掴み、そのまま俺は鹿波の華奢とは程遠い体を抱き締めた。
鹿波の肩がビクッと跳ね、腕の中の体が緊張する。
ここまでは計画通りだ。
そして、鹿波が暴れだす前に俺は次の行動に移した。
「……さっきはごめんな」
そう、少女漫画のイケメンヒーローさながらの儚い表情をした俺はそう鹿波の耳元で囁いた。
やばい、決まった。
そうナルシシズムな余韻に浸っていると「は、はぁ?」と呆れたような戸惑った鹿波の声が聞こえてくる。ぶち壊しである。せめてここは「……え……?」くらいにとどめていてほしい。ムードのないやつだ。
しかし、これも鹿波なりのあれだ。照れ隠しなのだ。
構わず作戦を続行させる。
「って、おい、離せよ!なんのつもりだてめぇ……っ」
そして、ようやく俺に抱き締められていることを理解したようだ。
俺の肩を掴み引き剥がそうとしてくるがこれも照れ隠しだ、わかっている。
肩を潰す勢いで掴んでくる鹿波に一瞬怯みそうになったがここでへたってしまえばそれこそいつもと変わらない。
あまりの痛みに顔の筋肉が引きつりそうになるのを必死で堪えながら、俺は鹿波のことをさらに強く抱き締める。
「お前、俺のこと好きだったんだな」
「ッ」
そう言いながら鹿波の顔を覗き込めば、面白いくらい鹿波の目が見開かれる。
この反応は間違いなく脈ありだ。
恋愛漫画好きの俺が言うのだから間違いない。
そう、間違いなくだ。
いくら鹿波が「んなわけあるか!どうしてそうなるんだよッ、離せ!気持ち悪いっ今すぐこっから出ていけ!」と言いながら俺の顔面を手で押さえ暴れようともだ。
ちょっ鼻はやめてください。
「お前、とうとう危ない薬にでも手を出たのか!」
最近のツンデレはここまで言うのだろうか。
あまつさえ人を薬物使用者呼ばわりする鹿波に心が折れそうになったがまだ耐える。
「お前のその生意気で憎たらしい口の悪さも照れ隠しだったんだろ?ごめんな、せっかくのデレを蔑ろにして……」
言いながら鹿波の背筋から腰にかけるラインをなぞるように優しく撫でれば、ぞくりと鹿波の背筋が小さく震える。
しかし、我慢出来ず然り気無く皮肉を織り混ぜたのがまずかったようだ。
「その言葉が俺を蔑ろにしてんだよ!」
瞬間、そう顔を真っ赤にした鹿波は間髪入れずに俺の腹部を思いっきり蹴り飛ばしてきた。
激痛というよりも衝撃と言った方が適切なのかもしれない。
半ば強制的に引き離された俺は「ギャフッ」となんとも雑魚キャラのような声を上げながら壁に吹っ飛んだ。
ドッと背中が壁にぶつかり、背中と蹴られた腹部両方がずきずきと痛み出す。
しかし、鹿波に散々殴られ色々な意味で開発された俺にとってこのくらいの痛み特に苦痛ではなかった。が、どうやらこいつはそうではないらしい。
「っ、ぁ……」
しまった。
呻きながら壁際に踞る俺にそう顔面を蒼白させる鹿波。
あくまでも俺が怪我人だったと言うことを思い出したようだ。罪悪感というやつだろう。鹿波も甘くなったものだ。これはあれだ、利用するしかない。
「ぐっ、いってぇ……ッ」
「お、おい……そんな強くしてないだろ……」
首の後ろの辺り、そこを手で押さえながら顔をしかめそのまま丸くなる俺に対し、まんまと俺の迫真の演技に引っ掛かった鹿波はそう相変わらず不安そうな顔をしたまま俺に手を伸ばしてくる。
どうやら起こしてくれようとしたようだ。
そのまま膝立ちになり、心配そうに俺を覗き込んでくる鹿波。
よしきた。そう人知れずほくそ笑む俺は伸びてきた鹿波の腕を掴む。
「……あ?」
本気で俺が動けないと思ったようだ。
呆然とする鹿波の体は簡単に崩れ、自分の上へ引っ張る俺はそのまま鹿波にキスをする。
「んむっ」呼吸のタイミングと重なり、目を丸くさせた鹿波はそのまま硬直した。
構わず、後頭部に手を這わせた俺は鹿波の体を抱き竦め、そのまま角度を変えて深く唇を重ねる。
ああ、やっぱり柔らかい。そのまま舌突っ込もうとしたが、鹿波は固く唇を閉じてしまった。
「んッ、んーっ」
目の前で怒ったような顔をする鹿波は俺の髪を掴み、ぐいぐいと乱暴に引っ張ってくる。
これくらいで照れるなんて可愛いところもあるじゃないかとにやにやしながら鹿波の唇を舐めたとき、頭皮からぶちぶちと危うい音が聞こえてきた。幻覚であって欲しい。
固く結んだ唇の隙間に舌を捩じ込むことが出来れば、それを無理矢理こじ開けるのは簡単だった。
上唇をなぞるように歯茎に舌先を滑らせ、髪を引っ張ってくる鹿波の手から次第に力が抜ける。どうやら咥内を他人に弄くられるのは嫌いなようだ。
「っふ、んぅ……ッ」
顔を逸らそうとする鹿波の顎を捕まえ、僅かに浮いた歯の間を潜り相手の咥内に舌を入れれば、ふいに触れた鹿波の舌は奥へと逃げてしまう。
構わず、そのまま舌を伸ばし鹿波の舌を無理矢理絡める。唾液同士が絡まり濡れた音が咥内に響いた。相手の舌を無理矢理愛撫すれば行き来する舌が邪魔で開きっぱなしになった鹿波の唇から熱っぽい吐息が漏れ、相変わらず視線が合わないよう目を伏せる鹿波の顔が赤いわ色っぽいわうっすら涙浮かんでるわでなかなか興奮する。
ああ、ショタ受けが一番だったはずなのに、なんでかたまにはこういうのも悪くないななんて能天気なことを思いながら俺はまだ顔を逸らそうとする鹿波に深く口付けたまま上顎をなぞる。
「っ、ん……んん……っ」
息苦しそうに細められた目はじんわりと赤くなり涙が滲んだ。
しつこく絡ませる舌から相手の咥内へと唾液を流し込めば受け止めきれず、だらしなく開いた鹿波の唇から溢れる。唇から顎、首筋へと流れ、それが鹿波の服の下まで垂れて乳首まで汚していくなんて想像したら酷く興奮する。
ごちゃごちゃやかましい山下を追い払いとうとう一人になった俺はやることもなく天井の染みの数を数えていた。
「……」
暇だ。
鹿波から貰った林檎でも食おう。
思いながら膝の上に乗せたままになっていた買い物袋に目を向ける。
近所のスーパーか果物屋さんで買ってきたようだ。
氷もなにも入っておらず、すっかり温くなったそれを手に取ったとき、買い物袋のその奥になにかがあることに気付く。
紙切れだ。
レシートかなにかだろうかとか思いながらそれを引っ張り出せば、どうやらそれはノートの切れ端のようだ。
『ありがとう』
そこにはそう一言だけ無骨な字で書かれていた。
それこそ差出人名は書かれていなかったが間違いなく鹿波の文字だろう。
一瞬なにについてのお礼か分からなかったが、ふとここに入院する切っ掛けとなったときのことを思い出した。
瞬間、心臓がぎゅっと握り締められたような感触が走る。
背筋がぞくぞくと震え、顔面に熱が集まり、全身が痒くなった。
これは、あれじゃないか。
卑怯だろ。こんなの。不可抗力だろ。
なんだよ「ありがとう」って。へったくそな字だな。なんで何回も消した後があるんだよ。
なんで鹿波がわざわざ俺の病室までお見舞いにやってきたのか、ただからかいにきただけだろうとは思ったがまさか本当にお見舞いに来ていたとは思わなかった。
一応は感謝してくれていたようだ。
ずっとなにも言われなかったからてっきり向こうも対して気にしていなかったからそれもそれでいいかとなにも言わなかったのだが、まさに不意打ちを食らってしまった。
顔が熱い。
頬の筋肉が緩む。
どんな顔をして鹿波がこれを書いたのか想像しただけでなんかもういてもたってもいれなくなって、ナースコールで看護婦を呼んだ俺は鹿波から貰った林檎を切ってもらうことにした。
◆ ◆ ◆
フラグか。
病室で山下が言った言葉を思い出す。
いやーなるほどこういうことか。
もしやと前から薄々は感じていたがあのヒステリックバイオレンス野郎、もとい鹿波はどうやら俺に気があるようだ。
俺としたことが迂闊だった。
あのバイオレンス行為には鹿波の照れ隠しであり愛情表現という意味が込められていたに違いない。
あいつもあいつであれだな、ツンデレというやつだろう。
素直になればいいものを……。
学生寮、廊下にて。
病院に少々無理を言って退院してきた俺は鹿波の部屋へ向かっていた。
因みに鹿波の部屋については以前山下から聞いたことがあるので問題ない。
鹿波の気持ちを知った今、俺がやることはただ一つだ。
今こそ上下関係をハッキリさせる時がやってきた。
鹿波の部屋の前。扉に鍵がかかっていないことを確かめた俺はドアノブを掴み勢いよく扉を開く。
「っ?!」
バンッと大きな音を立て開かれる扉に驚いたようだ。
ベッドの上で雑誌を読んでいた鹿波は慌てて飛び起きる。
ルームメイトらしき姿は見えない。
丁度いい。
「は、っおい!なに勝手に入ってきてんだよ!」
ベッドから降りる鹿波は扉から普通に入ってこようとする俺に向かってそう怒鳴る。
構わず、警戒する鹿波に近付いた。
「つーかお前、病院は……っ」いつも通り怒り始めたかと思えば今度はなにか意味がわからないものでも見たかのような呆れたような顔をする鹿波はどうやら相当動揺しているようだ。
わかっている、わかっているぞ鹿波。
これはよくあるあれだな。
好きな人のことを考えたら本人が現れてどきっ!ってあれだな。
まあそれを狙って鹿波の部屋に突撃したのだからもちろんどうすればいいかも把握している。
後退る鹿波の腕を掴み、そのまま俺は鹿波の華奢とは程遠い体を抱き締めた。
鹿波の肩がビクッと跳ね、腕の中の体が緊張する。
ここまでは計画通りだ。
そして、鹿波が暴れだす前に俺は次の行動に移した。
「……さっきはごめんな」
そう、少女漫画のイケメンヒーローさながらの儚い表情をした俺はそう鹿波の耳元で囁いた。
やばい、決まった。
そうナルシシズムな余韻に浸っていると「は、はぁ?」と呆れたような戸惑った鹿波の声が聞こえてくる。ぶち壊しである。せめてここは「……え……?」くらいにとどめていてほしい。ムードのないやつだ。
しかし、これも鹿波なりのあれだ。照れ隠しなのだ。
構わず作戦を続行させる。
「って、おい、離せよ!なんのつもりだてめぇ……っ」
そして、ようやく俺に抱き締められていることを理解したようだ。
俺の肩を掴み引き剥がそうとしてくるがこれも照れ隠しだ、わかっている。
肩を潰す勢いで掴んでくる鹿波に一瞬怯みそうになったがここでへたってしまえばそれこそいつもと変わらない。
あまりの痛みに顔の筋肉が引きつりそうになるのを必死で堪えながら、俺は鹿波のことをさらに強く抱き締める。
「お前、俺のこと好きだったんだな」
「ッ」
そう言いながら鹿波の顔を覗き込めば、面白いくらい鹿波の目が見開かれる。
この反応は間違いなく脈ありだ。
恋愛漫画好きの俺が言うのだから間違いない。
そう、間違いなくだ。
いくら鹿波が「んなわけあるか!どうしてそうなるんだよッ、離せ!気持ち悪いっ今すぐこっから出ていけ!」と言いながら俺の顔面を手で押さえ暴れようともだ。
ちょっ鼻はやめてください。
「お前、とうとう危ない薬にでも手を出たのか!」
最近のツンデレはここまで言うのだろうか。
あまつさえ人を薬物使用者呼ばわりする鹿波に心が折れそうになったがまだ耐える。
「お前のその生意気で憎たらしい口の悪さも照れ隠しだったんだろ?ごめんな、せっかくのデレを蔑ろにして……」
言いながら鹿波の背筋から腰にかけるラインをなぞるように優しく撫でれば、ぞくりと鹿波の背筋が小さく震える。
しかし、我慢出来ず然り気無く皮肉を織り混ぜたのがまずかったようだ。
「その言葉が俺を蔑ろにしてんだよ!」
瞬間、そう顔を真っ赤にした鹿波は間髪入れずに俺の腹部を思いっきり蹴り飛ばしてきた。
激痛というよりも衝撃と言った方が適切なのかもしれない。
半ば強制的に引き離された俺は「ギャフッ」となんとも雑魚キャラのような声を上げながら壁に吹っ飛んだ。
ドッと背中が壁にぶつかり、背中と蹴られた腹部両方がずきずきと痛み出す。
しかし、鹿波に散々殴られ色々な意味で開発された俺にとってこのくらいの痛み特に苦痛ではなかった。が、どうやらこいつはそうではないらしい。
「っ、ぁ……」
しまった。
呻きながら壁際に踞る俺にそう顔面を蒼白させる鹿波。
あくまでも俺が怪我人だったと言うことを思い出したようだ。罪悪感というやつだろう。鹿波も甘くなったものだ。これはあれだ、利用するしかない。
「ぐっ、いってぇ……ッ」
「お、おい……そんな強くしてないだろ……」
首の後ろの辺り、そこを手で押さえながら顔をしかめそのまま丸くなる俺に対し、まんまと俺の迫真の演技に引っ掛かった鹿波はそう相変わらず不安そうな顔をしたまま俺に手を伸ばしてくる。
どうやら起こしてくれようとしたようだ。
そのまま膝立ちになり、心配そうに俺を覗き込んでくる鹿波。
よしきた。そう人知れずほくそ笑む俺は伸びてきた鹿波の腕を掴む。
「……あ?」
本気で俺が動けないと思ったようだ。
呆然とする鹿波の体は簡単に崩れ、自分の上へ引っ張る俺はそのまま鹿波にキスをする。
「んむっ」呼吸のタイミングと重なり、目を丸くさせた鹿波はそのまま硬直した。
構わず、後頭部に手を這わせた俺は鹿波の体を抱き竦め、そのまま角度を変えて深く唇を重ねる。
ああ、やっぱり柔らかい。そのまま舌突っ込もうとしたが、鹿波は固く唇を閉じてしまった。
「んッ、んーっ」
目の前で怒ったような顔をする鹿波は俺の髪を掴み、ぐいぐいと乱暴に引っ張ってくる。
これくらいで照れるなんて可愛いところもあるじゃないかとにやにやしながら鹿波の唇を舐めたとき、頭皮からぶちぶちと危うい音が聞こえてきた。幻覚であって欲しい。
固く結んだ唇の隙間に舌を捩じ込むことが出来れば、それを無理矢理こじ開けるのは簡単だった。
上唇をなぞるように歯茎に舌先を滑らせ、髪を引っ張ってくる鹿波の手から次第に力が抜ける。どうやら咥内を他人に弄くられるのは嫌いなようだ。
「っふ、んぅ……ッ」
顔を逸らそうとする鹿波の顎を捕まえ、僅かに浮いた歯の間を潜り相手の咥内に舌を入れれば、ふいに触れた鹿波の舌は奥へと逃げてしまう。
構わず、そのまま舌を伸ばし鹿波の舌を無理矢理絡める。唾液同士が絡まり濡れた音が咥内に響いた。相手の舌を無理矢理愛撫すれば行き来する舌が邪魔で開きっぱなしになった鹿波の唇から熱っぽい吐息が漏れ、相変わらず視線が合わないよう目を伏せる鹿波の顔が赤いわ色っぽいわうっすら涙浮かんでるわでなかなか興奮する。
ああ、ショタ受けが一番だったはずなのに、なんでかたまにはこういうのも悪くないななんて能天気なことを思いながら俺はまだ顔を逸らそうとする鹿波に深く口付けたまま上顎をなぞる。
「っ、ん……んん……っ」
息苦しそうに細められた目はじんわりと赤くなり涙が滲んだ。
しつこく絡ませる舌から相手の咥内へと唾液を流し込めば受け止めきれず、だらしなく開いた鹿波の唇から溢れる。唇から顎、首筋へと流れ、それが鹿波の服の下まで垂れて乳首まで汚していくなんて想像したら酷く興奮する。
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