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女装か全裸か俺の服
01
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「高座、見てみて!これ!」
自室内。
机に向かって今日の授業の復習を行っていると勢いよく扉が開き、ルームメイトの山下が飛び込んできた。何事かと顔を上げ、山下へと目を向けた俺はそのまま絶句する。
その手に握られてるのは見間違いではない、細かいレースのフリルがあしらわれたミニスカのメイド服が握られていた。
「うわぁ……お前……」
「被服部に頼んでおいたのが完成したんだよね!すごいレベル高くない?やばいよね!スリーサイズも全部原作に忠実に作ってもらったからさあもうなんかちょっとこれを本人が着ているって思ったら僕鼻血が……」
確かに、ここ最近山下がハマっていたエロゲーのヒロインが着ていたものによく似ている。
うちの学校に被服部が存在していたということにも驚いたが、何よりも山下のワガママを聞いて作り上げて見せた被服部のプロ根性にも驚かされた。
そしてなにより驚いたのが、それが明らかに女物だということだ。
「……お前が着るには小さすぎないか?」
「ないない!そんな勿体無いことするわけないじゃん」
正常なやつではないとは思っていたが、流石にこんな二重の意味でキツそうなやつを着るほどいってはいないようだ。山下の返事を聞きほっとすれば、山下は「勿論ぶっかけ用だよ」と笑顔で続ける。
……前言撤回しよう。
「でもまあ、よく出来てんな。貸せよ」
「やだよ、高座に貸したらホモプレイに使われるもん」
言いながらメイド服をぎゅっと抱き締める山下。
人をホモホモ言いやがってと内心舌打ちしながら「使わねーよ」と答え、そこで俺は閃く。
――……なるほど、コスチュームプレイか。
「高座、顔が悪役みたいなことになってるよ」
「気のせいだ。それより山下、被服部って頼んでくれたらなんでも作ってくれるのか?」
「……ちょっと高座なに企んでんの」
「企んでねえよ。作ってくれんのかって聞いてんだよ」
「……僕はゲーム数枚貸すってことで作ってもらったけど、どうだろ。注文は聞いてるみたいだよ」
そう思い出しながら言う山下に、「ふーん、へー、なるほどなぁ」と相槌を打つ。
「山下、確かお前鹿波と同じくらいだよな。身長」
「うん、まあそうだけど……ちょっと待って。なんか嫌な予感するんですけど」
「人聞き悪いな。ただちょっと手伝ってもらうだけだって」
「……手伝う?」
「とか言って相手の善意に託つけて下半身の手伝いまでさせるつもりなんでしょ?それで断ったら『所詮その程度の軽い気持ちで承けたんだな、君にはガッカリだよ。この偽善者!』とか言って相手の罪悪感を煽って股開かせるんでしょ?やだ、僕そんなの耐えきれない!」ベラベラと色々なものを垂れ流す山下にこっちの方が耐えられなくなりそうだ。
取り敢えず、メイド服片手に興奮し出す山下を落ち着かせることにする。
◇ ◇ ◇
なんやかんやあり、なんとか山下を採寸した俺は被服部という名のコスプレマニアの集団に依頼を申し込んだ。
山下のようにエロゲを所持しているわけではなかった俺は漫画と交換ということになったのだが、あいつら無駄に目が利くらしく俺のベッドの下に隠していた男の娘受けアンソロジー(コスプレ特集)が欲しいとか言い出してもうそれからのことは思い出したくない。
多少ごたついたものの、俺と被服部の交渉は成立する。……そう、俺のオカズと引き換えに。
そのことがただ惜しかったが、部員が気に入ったらしく全力を出して頑張ると言っていたのでまあよかったのかもしれない。
そして、数日後。
俺の携帯には被服部から衣装が完成したというメッセージが届いていた。
自室内。
机に向かって今日の授業の復習を行っていると勢いよく扉が開き、ルームメイトの山下が飛び込んできた。何事かと顔を上げ、山下へと目を向けた俺はそのまま絶句する。
その手に握られてるのは見間違いではない、細かいレースのフリルがあしらわれたミニスカのメイド服が握られていた。
「うわぁ……お前……」
「被服部に頼んでおいたのが完成したんだよね!すごいレベル高くない?やばいよね!スリーサイズも全部原作に忠実に作ってもらったからさあもうなんかちょっとこれを本人が着ているって思ったら僕鼻血が……」
確かに、ここ最近山下がハマっていたエロゲーのヒロインが着ていたものによく似ている。
うちの学校に被服部が存在していたということにも驚いたが、何よりも山下のワガママを聞いて作り上げて見せた被服部のプロ根性にも驚かされた。
そしてなにより驚いたのが、それが明らかに女物だということだ。
「……お前が着るには小さすぎないか?」
「ないない!そんな勿体無いことするわけないじゃん」
正常なやつではないとは思っていたが、流石にこんな二重の意味でキツそうなやつを着るほどいってはいないようだ。山下の返事を聞きほっとすれば、山下は「勿論ぶっかけ用だよ」と笑顔で続ける。
……前言撤回しよう。
「でもまあ、よく出来てんな。貸せよ」
「やだよ、高座に貸したらホモプレイに使われるもん」
言いながらメイド服をぎゅっと抱き締める山下。
人をホモホモ言いやがってと内心舌打ちしながら「使わねーよ」と答え、そこで俺は閃く。
――……なるほど、コスチュームプレイか。
「高座、顔が悪役みたいなことになってるよ」
「気のせいだ。それより山下、被服部って頼んでくれたらなんでも作ってくれるのか?」
「……ちょっと高座なに企んでんの」
「企んでねえよ。作ってくれんのかって聞いてんだよ」
「……僕はゲーム数枚貸すってことで作ってもらったけど、どうだろ。注文は聞いてるみたいだよ」
そう思い出しながら言う山下に、「ふーん、へー、なるほどなぁ」と相槌を打つ。
「山下、確かお前鹿波と同じくらいだよな。身長」
「うん、まあそうだけど……ちょっと待って。なんか嫌な予感するんですけど」
「人聞き悪いな。ただちょっと手伝ってもらうだけだって」
「……手伝う?」
「とか言って相手の善意に託つけて下半身の手伝いまでさせるつもりなんでしょ?それで断ったら『所詮その程度の軽い気持ちで承けたんだな、君にはガッカリだよ。この偽善者!』とか言って相手の罪悪感を煽って股開かせるんでしょ?やだ、僕そんなの耐えきれない!」ベラベラと色々なものを垂れ流す山下にこっちの方が耐えられなくなりそうだ。
取り敢えず、メイド服片手に興奮し出す山下を落ち着かせることにする。
◇ ◇ ◇
なんやかんやあり、なんとか山下を採寸した俺は被服部という名のコスプレマニアの集団に依頼を申し込んだ。
山下のようにエロゲを所持しているわけではなかった俺は漫画と交換ということになったのだが、あいつら無駄に目が利くらしく俺のベッドの下に隠していた男の娘受けアンソロジー(コスプレ特集)が欲しいとか言い出してもうそれからのことは思い出したくない。
多少ごたついたものの、俺と被服部の交渉は成立する。……そう、俺のオカズと引き換えに。
そのことがただ惜しかったが、部員が気に入ったらしく全力を出して頑張ると言っていたのでまあよかったのかもしれない。
そして、数日後。
俺の携帯には被服部から衣装が完成したというメッセージが届いていた。
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