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俺とあいつとロッカーと
02※
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「もっと、あっち行け……っ」
「んなこと言ったって無理なもんは無理っての……っ、くそ、顔抑えんなよ……っ」
当たり前だがただでさえでかい鹿波を詰め込んだらそれだけで満員御礼みたいなもので、ぎゅうぎゅう寿司詰め状態のロッカーの中、俺たちは僅かな隙間を奪い合うように揉みくちゃになっていた。
とはいえ下手に暴れれば外の奴らにバレるし、鹿波だって俺とこんなところに入ってるのは不本意なのだろう。少しは隠れるつもりはあるらしいが、生憎地獄のような狭さだ。
少しでも顔を動かせばすぐ目の前には鹿波の顔があるし、手だって、置き場に迷った末鹿波の背後がいい感じのスペースになってるのでやつの背中に手を回せば不本意ながらも抱きしめるような形になってしまう。断じてわざとではない。やつの無駄にでけーケツが丁度いい手置き場になってるなとは思ったが、やましい気持ちなど微塵もないのだ俺は。
「……っ、てめぇ、どこ触ってんだ……っ!」
「仕方ねえだろ狭いんだからっ!文句あるならお前も俺のケツ触っていいぞ、ほら」
「だ、誰がテメェのケツなんか……っんんぅ……っ」
仕方ねえなと手を動かせば、逆に背筋を撫でるような形になってしまい、手から逃れるように鹿波は俺の体にくっついてきた。ぎょっとすれば、鹿波も自分の体勢に気付いたらしい。慌てて離れようとして、ロッカーが揺れる。
『……あれ?今なんか音しなかった?』
そして、外から聞こえてくるその声に俺と鹿波は凍りついた。無意識に息が止まる。やばいと思ったのだろう、大人しくなった鹿波をいいことに、そのままぐっと腰を抱き寄せた。
密着する下腹部、勃起した下半身を押し付ければ「おい」と目の前の鹿波は明らかに動揺する。
「な、に考えてんだ……ッ」
「ようするに、お前が静かにしてりゃいいんだろ……っ?」
「っ、な……」
あいつが何かを言いかけるのを無視して、そのままケツの肉を鷲掴む。スラックス越しでもわかる、胸と同じ硬くて……それでいて、指が沈むという不思議な感触。
「っ、んにゃ、ろ……」
モミモミと鷲掴んだそこを円を描くように捏ね繰り回したり、アナルを広げるように尻たぶを左右に広げたりして好き勝手触る。それなのに、あいつは抵抗しない。できないのだ。バレたくないからだ、俺にケツを揉まれてるということを知られたくないから。プライドがどこまでも高い人間というのはつくづく生き辛そうに思える。
俺としては、チャンス以外の何者でもないのだけれども。
「っ、……、……っ」
鹿波は俺の手の甲を摘み、息を殺して抵抗してくる。すげえ痛えし容赦なく爪を食い込ませてくるが、まだこいつはわかっていない。相手が俺であるということを。
思い切ってスラックスの下に手を突っ込めば、下着越し、尻の谷間に指を這わせるように手を動かす。それだけで、鹿波は面白いくらい青ざめるのだ。
「っ、ん……っ」
下着の上とは言えど、やはり衣類越しとはわけが違う。素肌にフィットした薄地のボクサーパンツ越し、ケツの穴を探り当て、すり、と指の腹で撫でれば鹿波は小さく息を漏らした。目付きの悪い二つの目が俺を睨む。スラックスの上から俺の手を引き剥がそうとすれば、構わずその最奥をぐ、と穿ろうとすれば今度こそ鹿波は大きく頭を振った。
「っ、や、めろ……」
「やめねえよ」
「っ、ひ……ぅ……っ」
下着の裾を大きく捲り上げ、指を滑り込ませる。そのまま直接窄まった肛門を撫でてやれば、指の下でそこがピクリと縮尺するのを直に感じた。
乳首と同じく、鹿波の弱い場所だ。皺一本一本を確かめるように指を這わせれば、それだけで鹿波の息は浅くなる。ぎゅっと尻に力が入り、俺の指を拒もうとするがこの状況下では逆効果だ。唾液で濡らしたそこを肛門につぷりと埋め込めば、それだけで鹿波の肩は大きく震えた。
「っ、う、んん……ッ!」
「っは、鹿波……ここ、すげえヒクヒクしてんだけど?もしかして、ずっと触ってほしかったのか?」
「っ、んな、わけ」
「でも、柔らかくなってる。……ああ、そうか、まさかお前、自分でやったのか」
耳元で囁やけば、鹿波の顔、耳の末端までもがじわじわと赤く染まっていく。まさか、本当に。そう思えば、もう辛抱堪らないわけだ。柔らかくなったそこに指を二本捩じ込み、中をおもくそ穿り返す。鹿波の腰を抱き締め、股間を擦り合わせながら、熱く凝ったそこを指の腹で撫でてやるのだ。それだけで鹿波の中は恐ろしいくらい指を締め付け、もっと奥へと欲しがるように吸い付いてくる。
「っ、く、ン、ぅう、ふ……ッ!」
「……っ、は、声……っ、もっと抑えろ……っ」
「っ、む、ちゃ、いうなぁ……っ!」
大きく震える下半身、鹿波の下着の前は先走りでドロドロになってるのだろうか、俺が指を動かす度に腰が揺れ、濡れた音が響く。密室内、ぐちゅぐちゅと広がる粘着質な音が大きく反響し、蒸し暑いわ、クソエロい雄の匂い籠もってるわで頭がどうにかなりそうだった。目の前、剥き出しになったやつの胸にしゃぶりつきながら、ぷくっと主張する前立腺を指の腹で刺激してやれば、目の前の鹿波の体は恐ろしいほど熱くなる。
「っ、や、め、ろ……ぉ……っ!」
……ここでやめれるやつがいるなら是非お会いしたいくらいだ。いつの間にか俺と同じくらい勃起した性器が押し付けられる。弄り過ぎて赤く腫れた乳首を口に含め、唇で挟みながら尖らせた舌の先端で執拗に嬲れば声を押し殺すようにやつは俺の頭にしがみついてくる。やべえ、かわいい。なんてきゅんとしたのもつかの間、後頭部、というか髪の毛を引っ張ってくるクソバカ力野郎に引き剥がされそうになった。
こいつ、俺をハゲさすつもりか。クソ、こんにゃろう。絶対やめてやるもんかと対抗心剥き出しにした俺は、前立腺捏ねながら、片一方の乳首を甘く噛む。仰け反る胸元、痙攣する下半身。唇を必死に噛み締め、声を殺すやつを見上げながら俺はこれでもかというほど尖った乳首の先っぽを吸い上げた。
「っ、ん゛、ぅ……ッ!んんぅ……っ!」
やつが動く度に体が触れ合い、勃起した下腹部が擦れ合ってこちらまで気分が高まってくる。
ああ、やべえ、挿れたい、今すぐこのアナルに捩じ込んで泣かせてやりたいのに、こんな場所じゃ挿れれねえ。くそ、生殺しだ。
「ぅ、……んく、ぅ……っふ……んんッ!」
前立腺を捏ねながらひたすら赤子よろしく乳首おしゃぶりしてれば、俺よりも先に鹿波の限界が来たらしい。きゅうっと中が痙攣し、俺にちんこ押し付けたまま鹿波は俺の腕の中で二度目の絶頂を迎えた。
声が漏れそうになったので咄嗟に口を塞げば、目を丸くしていた鹿波だったがやがて大人しくなり、俺の舌を受け入れる。そして、強張った鹿波の体が断続的に痙攣し、やつのスラックスにシミが滲む。より一層濃くなる鹿波の匂いに、目眩がした。……香水の甘ったるい匂いと、汗と、精液の匂い。ふつーならまじで臭えって思うはずなのに、今この状況下ではただ興奮して仕方なかった。
「は、んんぅ……っ」
濡れた音が響く。流れる汗を拭う暇すら惜しくて、あいつの頭を掴んで気が付けばその舌にしゃぶりついていた。
熱気で朦朧としてるのか、次第に鹿波の抵抗も弱まってきて、ずるずると落ちそうになる体を抱き抱え、更に深く舌の根ごと絡み取ればやつは蕩けたように目を細める。
正直、めちゃくちゃ可愛い。ぎゅって制服引っ張ってくる手とか、くぐもった喘ぎだとか、舌同士を絡め、付け根から先っぽまで舌を擦り合わせればそれだけで鹿波は反応するのだ。
「ふ、ぅ、んんっ、ふ……っ」
いつもこれくらいおとなしかったらまだいいのに、と思ったが、普段のあれがあるからこそ余計愛しく思えるのか。あれほど憎たらしいやつやつにこんなにも反応してしまうのは不服であるが、この暑さが悪い。そういうことにしてしまおう。
ちゅぽ、と音を立て舌を引き抜けば、やつは口を閉じることを忘れて呆けた顔をして暫く俺を見ていた。
そして、気付いたらしい。
「……っ、サルか、テメェは……ぁ……ッ」
「だって、お前が……んな声出すから……」
「人のせいに、すんな……んんぅ……っ!」
ぐぽ、と音を立て指を引き抜く。扉一枚の向こうではクラスメートたちがなにやら離している。大きな談笑の声、もしかしたら俺たちの音も聞こえてるかもしれない。
それでも、一向に萎える気配がないのだから人間というのは業が深い生き物だと思う。
「っ、ま、て、なに……して……っ」
「っ、何って……分かんだろ、いい加減」
ロッカーの中じゃろくに挿入なんてできないだろうが、こいつの股に挟めるくらいならできるはずだ。それに、下手に動かなければいい。汗が流れる。興奮で震える指先でガチャガチャとベルトを外せば、か細い声で鹿波は「やめろ」と俺を止めるのだ。
『そんでさ、さっきの――』
『ああ、あれだろ、まじやばかったよなー』
さっさと出ていけ、いや、でもビビってる鹿波も可愛いからもう少しこのままでもいいかもしれない。悪魔的思考が過る。剥き出しになった、解れた鹿波のケツの穴を再度指で抉じ開ける。大きく捲りながら、その穴に限界まで勃起した自分のブツを押し当てれば鹿波が腰を引いた。
「っ、や、めろ、高座……っ」
「だから、逆効果だって言ってんだろ……ッ!」
「っ、ん、ぅう……ッ!!」
素股で我慢しよう、そう思っていたのに、鹿波のケツの感触を直に感じると止まらなかった。鹿波の頭を自分に抱き寄せ、肩で口を塞ぐ。腿を掴み、鹿波の足を背に回させながら俺はそのままあくまでゆっくりと開いた後孔に亀頭をハメた。先っぽだけ、いや、カリ下まで、ここまできたら半分、いやもうこの際根本までいってしまおう。
「っ、ふ、ぅ゛、んんッ!ぅ、……ッフー……っ!ぅ、んんぅ……ッ!」
ズブズブと鹿波の肉に包まれる性器に頭から魂ごと吸い取られそうだった。下手したらまじで速攻射精してしまいそうなほどの締付けに息が漏れる。声も、殺しきれなかった。熱い。グズグズに蕩けた内壁は性器全体に絡み付いてきて、ゆっくりと腰を進めるたびに全体を締め付けてくるのだ。
ガクガクと痙攣する鹿波の下半身を抱き抱えたまま、腰を動かす。いつもよりも締め付けがキツく、少し動いただけ性器の根本から食われそうな錯覚になる。
思いっきり、腰を動かしたい。ハメ倒して、泣かせてやりたいのにそれができないこの状況が辛い反面、繋がったまま、鹿波の熱に包み込まれるこの感覚も腹の奥がきゅんきゅんしてすげー興奮する。要するに、俺も鹿波もこの状況に興奮してるってこった。健全健全。
「……っ、鹿波、キツ……は、まじ……すげえ熱いし、食われそ……っ」
鹿波は何も答えない。声を殺すのに必死なようだ。体を揺らさないように肩を震わせ、堪える鹿波はただいじらしく、その反面意地でも声を出させたくなる。
「っふ」
ゆっくりと腰を引き、亀頭の嵩の部分で前立腺を擦り上げる。そうすれば、鹿波は大きく肩を震わせるのだ。それを繰り返すだけで鹿波の中はあっという間にぐずぐずになり、俺の先走りで濡れた内壁は俺のものを咥えては下品な音を立てるのだ。
「ん、ぅうぅ……ッ!!」
『なあ、さっきからなんかどこかガタガタ言ってないか?』
あー、やべぇ、すぐイキそう。なんて息を吐き、あいつの中でうっとりしてるのも束の間、聞こえてきた声に、びくりと鹿波の体が震える。
……まあ、そりゃそうですよね、なんて思ったがここまできて止められるわけがない。
『地震か?』
『わかんねえけど、気のせいじゃね。アラート鳴ってねえし』
『んーそうかぁ?』
少し大人しくしてれば、外の連中も気のせいということにしたようだ。いやいや、地震でもなけりゃ普通にセックスしてますけどと今すぐ言い出したい気分だが、いくらハイでも分別ぐらいつく俺はぐっと堪えることにした。
「っは、地震だってよ、まあ、似たようなものかもしんねえな……ッ」
「ん゛ぅ、ぐ、ぅう……ッ!」
余程バレたらどうしようと怖かったのか、俺がゆっくりと出し入れしようとすれば、伸びてきた手が必死に俺を抜かせようと押し返してくるのだ。逆にその手を取り、指を絡めて握り締めれば、中がきゅんって締まる。やべえ、すげえ熱い。つか、動いてねえのにこいつまじで感じ過ぎだ。突っ込んだ性器から鹿波の熱や緊張が伝わってくるのだ。
そのまま鹿波の手を握り締めながら、あくまでゆっくり腰を動かし始めれば、握り締めた鹿波の指先がぎゅと俺の手を握り返してくるのだ。これが挿入を耐えるためのものだとしても不覚にもときめいてしまう。
「く、ぅん、ば、か……やろ……ぉ……ッ」
「っ、う、るせぇ……んだよ……ッ!お前がエロいのが悪いんだからな……ッ!」
「ふざ、け……っ、んひッ!ぅ、ん、っ、ぅ、んん……っ」
ゆるゆると腰を動かす。バレちゃやべーってのはわかるけど、バレそうでバレないそんなギリギリの状況は普通の行為よりも比にならないほど気持ちよくて、腰が止まらなかった。
小刻みに震える鹿波の体を抱き締め、何度目かもう忘れたキスをすればほんの一瞬鹿波の体は跳ね上がり、そして、抵抗してバレるよりもマシだと思ったらしい。されるがままになるのだ。
それが余計俺を焚き付けるとわかってんのか、多分わかってねえんだろうなこいつ。
お互いの息を、声を、唇で塞いで舌で絡め取って、唾液を流し込む。ぐちゅぐちゅと響く濡れた音は外に聞こえてんじゃないかってほど粘着性を帯び、絡みつくのだ。
「ん゛、ぅ゛んんっ、ん……ッ!ん、ぅ……ふ……ッ!」
イキそう、つうか、まじで、搾り取られる。腰を動かせば動かすほど、抵抗のつもりなのか片足を腰に回してくる鹿波が余計エロくて、腰が止まらない。これじゃマジでサルだ。けど、それでいい。こいつを犯すことしか頭になくて、逃げるように壁にくっつこうとする鹿波をさらに追い込んで、畳み掛ける。浅く抜き差しし、奥、突き当りを性器の先端で抉じ開けるように何度も腰を捩じ込み、嬲った。鹿波は何度目かの絶頂を迎えているようだ、最早焦点の合わさってない目はどこを見てるのかわからないが、それでも、握ってくる手は離れない。
ああ、まじで可愛い。可愛いってなんなのか俺にもよくわかんねえしわかんねえけど、可愛いってしか思えない。鹿波。くそ、舌が可愛いし、指が可愛い、ありえねぇ。こんなのおかしいって思うけど、溢れ出して止まらなくて、気付けば俺は鹿波の後頭部を掴んだまま、鹿波の腹の中に射精していた。ぼたぼたと開いた鹿波の股の間から垂れる精液を感じた。
一度の射精ではこの溜まった熱を消すことなどできなかった。そして、外にはなんだか先程よりも人が増えた気配。授業が終わったのだろうか。無論こんな状況で外に出られるはずもない。
そうとなると。
「んんぅう……ッ!!ん゛、ふ、ぅうッ!!」
セックスするしかないわけだ。
全員が更衣室から出ていったのを確認してロッカーの扉を開き、外へ転がり出た。
滝のように流れる汗のお陰でシャツはもう水を頭から被ったかと言うレベルだったが、ロッカーの中に比べるとやはり更衣室は涼しく、おまけに広い。なによりも広い。快適度というのが人体には必要不可欠なのだということを改めて再認識されることになった。
とはいえ。
ロッカーの中、蹲ったまま動けずにいるもう一人の男をちらりと見る。足を閉じることもできないのだろう、開きっぱなしの股の間からから溢れる俺の精液を垂れ流したまま放心してる鹿波を見て、俺は流れる汗を拭った。
「やり過ぎた……」
◆ ◆ ◆
「高座っ!また鹿波と喧嘩したの?鹿波すんごい怒っててるんだけど!」
「け、喧嘩っつーか……寧ろ仲直りというか……」
「絶対嘘じゃん……あの荒れ方尋常じゃなかったんだけど……?!」
「おっかしいな……ちゃんとアフターケアはしたはずなのに……」
「例えば?」
「うちわを置いてやった」
「状況はわからないけどそれはアフターでもなければケアになってないんじゃないかな」
「まじか……やべえ殺されるぞ……」
「まあ鹿波も鬼じゃないからきっと半殺しくらいで許してくれると思うよ、頑張って」
「山下、お前も付き合えよ」
「道連れ増やそうとしてるよねその顔?!悪いけど僕はこれから予約してた新作ゲームとその予約特典の抱きまくらを引き取りに行かなきゃならないから」
「親友よりも抱きまくらを選ぶのかお前……!」
「まあ僕は鹿波の親友でもあるからね、悪いけど今回は中立的な立場でいさせてもらうよ。それじゃあ」
「こ、こいつ……」
「って、あ、あれ?!鹿波どうしたのこんなところで?!え?高座?いるよ、ほら、部屋に……あ、どーぞどーぞごゆっくり、僕はちょっと用事あるからそれじゃあ……あとは二人で仲睦まじ……いやいやなんもないです。……じゃあ、アフターケアよろしくね高座」
「んなこと言ったって無理なもんは無理っての……っ、くそ、顔抑えんなよ……っ」
当たり前だがただでさえでかい鹿波を詰め込んだらそれだけで満員御礼みたいなもので、ぎゅうぎゅう寿司詰め状態のロッカーの中、俺たちは僅かな隙間を奪い合うように揉みくちゃになっていた。
とはいえ下手に暴れれば外の奴らにバレるし、鹿波だって俺とこんなところに入ってるのは不本意なのだろう。少しは隠れるつもりはあるらしいが、生憎地獄のような狭さだ。
少しでも顔を動かせばすぐ目の前には鹿波の顔があるし、手だって、置き場に迷った末鹿波の背後がいい感じのスペースになってるのでやつの背中に手を回せば不本意ながらも抱きしめるような形になってしまう。断じてわざとではない。やつの無駄にでけーケツが丁度いい手置き場になってるなとは思ったが、やましい気持ちなど微塵もないのだ俺は。
「……っ、てめぇ、どこ触ってんだ……っ!」
「仕方ねえだろ狭いんだからっ!文句あるならお前も俺のケツ触っていいぞ、ほら」
「だ、誰がテメェのケツなんか……っんんぅ……っ」
仕方ねえなと手を動かせば、逆に背筋を撫でるような形になってしまい、手から逃れるように鹿波は俺の体にくっついてきた。ぎょっとすれば、鹿波も自分の体勢に気付いたらしい。慌てて離れようとして、ロッカーが揺れる。
『……あれ?今なんか音しなかった?』
そして、外から聞こえてくるその声に俺と鹿波は凍りついた。無意識に息が止まる。やばいと思ったのだろう、大人しくなった鹿波をいいことに、そのままぐっと腰を抱き寄せた。
密着する下腹部、勃起した下半身を押し付ければ「おい」と目の前の鹿波は明らかに動揺する。
「な、に考えてんだ……ッ」
「ようするに、お前が静かにしてりゃいいんだろ……っ?」
「っ、な……」
あいつが何かを言いかけるのを無視して、そのままケツの肉を鷲掴む。スラックス越しでもわかる、胸と同じ硬くて……それでいて、指が沈むという不思議な感触。
「っ、んにゃ、ろ……」
モミモミと鷲掴んだそこを円を描くように捏ね繰り回したり、アナルを広げるように尻たぶを左右に広げたりして好き勝手触る。それなのに、あいつは抵抗しない。できないのだ。バレたくないからだ、俺にケツを揉まれてるということを知られたくないから。プライドがどこまでも高い人間というのはつくづく生き辛そうに思える。
俺としては、チャンス以外の何者でもないのだけれども。
「っ、……、……っ」
鹿波は俺の手の甲を摘み、息を殺して抵抗してくる。すげえ痛えし容赦なく爪を食い込ませてくるが、まだこいつはわかっていない。相手が俺であるということを。
思い切ってスラックスの下に手を突っ込めば、下着越し、尻の谷間に指を這わせるように手を動かす。それだけで、鹿波は面白いくらい青ざめるのだ。
「っ、ん……っ」
下着の上とは言えど、やはり衣類越しとはわけが違う。素肌にフィットした薄地のボクサーパンツ越し、ケツの穴を探り当て、すり、と指の腹で撫でれば鹿波は小さく息を漏らした。目付きの悪い二つの目が俺を睨む。スラックスの上から俺の手を引き剥がそうとすれば、構わずその最奥をぐ、と穿ろうとすれば今度こそ鹿波は大きく頭を振った。
「っ、や、めろ……」
「やめねえよ」
「っ、ひ……ぅ……っ」
下着の裾を大きく捲り上げ、指を滑り込ませる。そのまま直接窄まった肛門を撫でてやれば、指の下でそこがピクリと縮尺するのを直に感じた。
乳首と同じく、鹿波の弱い場所だ。皺一本一本を確かめるように指を這わせれば、それだけで鹿波の息は浅くなる。ぎゅっと尻に力が入り、俺の指を拒もうとするがこの状況下では逆効果だ。唾液で濡らしたそこを肛門につぷりと埋め込めば、それだけで鹿波の肩は大きく震えた。
「っ、う、んん……ッ!」
「っは、鹿波……ここ、すげえヒクヒクしてんだけど?もしかして、ずっと触ってほしかったのか?」
「っ、んな、わけ」
「でも、柔らかくなってる。……ああ、そうか、まさかお前、自分でやったのか」
耳元で囁やけば、鹿波の顔、耳の末端までもがじわじわと赤く染まっていく。まさか、本当に。そう思えば、もう辛抱堪らないわけだ。柔らかくなったそこに指を二本捩じ込み、中をおもくそ穿り返す。鹿波の腰を抱き締め、股間を擦り合わせながら、熱く凝ったそこを指の腹で撫でてやるのだ。それだけで鹿波の中は恐ろしいくらい指を締め付け、もっと奥へと欲しがるように吸い付いてくる。
「っ、く、ン、ぅう、ふ……ッ!」
「……っ、は、声……っ、もっと抑えろ……っ」
「っ、む、ちゃ、いうなぁ……っ!」
大きく震える下半身、鹿波の下着の前は先走りでドロドロになってるのだろうか、俺が指を動かす度に腰が揺れ、濡れた音が響く。密室内、ぐちゅぐちゅと広がる粘着質な音が大きく反響し、蒸し暑いわ、クソエロい雄の匂い籠もってるわで頭がどうにかなりそうだった。目の前、剥き出しになったやつの胸にしゃぶりつきながら、ぷくっと主張する前立腺を指の腹で刺激してやれば、目の前の鹿波の体は恐ろしいほど熱くなる。
「っ、や、め、ろ……ぉ……っ!」
……ここでやめれるやつがいるなら是非お会いしたいくらいだ。いつの間にか俺と同じくらい勃起した性器が押し付けられる。弄り過ぎて赤く腫れた乳首を口に含め、唇で挟みながら尖らせた舌の先端で執拗に嬲れば声を押し殺すようにやつは俺の頭にしがみついてくる。やべえ、かわいい。なんてきゅんとしたのもつかの間、後頭部、というか髪の毛を引っ張ってくるクソバカ力野郎に引き剥がされそうになった。
こいつ、俺をハゲさすつもりか。クソ、こんにゃろう。絶対やめてやるもんかと対抗心剥き出しにした俺は、前立腺捏ねながら、片一方の乳首を甘く噛む。仰け反る胸元、痙攣する下半身。唇を必死に噛み締め、声を殺すやつを見上げながら俺はこれでもかというほど尖った乳首の先っぽを吸い上げた。
「っ、ん゛、ぅ……ッ!んんぅ……っ!」
やつが動く度に体が触れ合い、勃起した下腹部が擦れ合ってこちらまで気分が高まってくる。
ああ、やべえ、挿れたい、今すぐこのアナルに捩じ込んで泣かせてやりたいのに、こんな場所じゃ挿れれねえ。くそ、生殺しだ。
「ぅ、……んく、ぅ……っふ……んんッ!」
前立腺を捏ねながらひたすら赤子よろしく乳首おしゃぶりしてれば、俺よりも先に鹿波の限界が来たらしい。きゅうっと中が痙攣し、俺にちんこ押し付けたまま鹿波は俺の腕の中で二度目の絶頂を迎えた。
声が漏れそうになったので咄嗟に口を塞げば、目を丸くしていた鹿波だったがやがて大人しくなり、俺の舌を受け入れる。そして、強張った鹿波の体が断続的に痙攣し、やつのスラックスにシミが滲む。より一層濃くなる鹿波の匂いに、目眩がした。……香水の甘ったるい匂いと、汗と、精液の匂い。ふつーならまじで臭えって思うはずなのに、今この状況下ではただ興奮して仕方なかった。
「は、んんぅ……っ」
濡れた音が響く。流れる汗を拭う暇すら惜しくて、あいつの頭を掴んで気が付けばその舌にしゃぶりついていた。
熱気で朦朧としてるのか、次第に鹿波の抵抗も弱まってきて、ずるずると落ちそうになる体を抱き抱え、更に深く舌の根ごと絡み取ればやつは蕩けたように目を細める。
正直、めちゃくちゃ可愛い。ぎゅって制服引っ張ってくる手とか、くぐもった喘ぎだとか、舌同士を絡め、付け根から先っぽまで舌を擦り合わせればそれだけで鹿波は反応するのだ。
「ふ、ぅ、んんっ、ふ……っ」
いつもこれくらいおとなしかったらまだいいのに、と思ったが、普段のあれがあるからこそ余計愛しく思えるのか。あれほど憎たらしいやつやつにこんなにも反応してしまうのは不服であるが、この暑さが悪い。そういうことにしてしまおう。
ちゅぽ、と音を立て舌を引き抜けば、やつは口を閉じることを忘れて呆けた顔をして暫く俺を見ていた。
そして、気付いたらしい。
「……っ、サルか、テメェは……ぁ……ッ」
「だって、お前が……んな声出すから……」
「人のせいに、すんな……んんぅ……っ!」
ぐぽ、と音を立て指を引き抜く。扉一枚の向こうではクラスメートたちがなにやら離している。大きな談笑の声、もしかしたら俺たちの音も聞こえてるかもしれない。
それでも、一向に萎える気配がないのだから人間というのは業が深い生き物だと思う。
「っ、ま、て、なに……して……っ」
「っ、何って……分かんだろ、いい加減」
ロッカーの中じゃろくに挿入なんてできないだろうが、こいつの股に挟めるくらいならできるはずだ。それに、下手に動かなければいい。汗が流れる。興奮で震える指先でガチャガチャとベルトを外せば、か細い声で鹿波は「やめろ」と俺を止めるのだ。
『そんでさ、さっきの――』
『ああ、あれだろ、まじやばかったよなー』
さっさと出ていけ、いや、でもビビってる鹿波も可愛いからもう少しこのままでもいいかもしれない。悪魔的思考が過る。剥き出しになった、解れた鹿波のケツの穴を再度指で抉じ開ける。大きく捲りながら、その穴に限界まで勃起した自分のブツを押し当てれば鹿波が腰を引いた。
「っ、や、めろ、高座……っ」
「だから、逆効果だって言ってんだろ……ッ!」
「っ、ん、ぅう……ッ!!」
素股で我慢しよう、そう思っていたのに、鹿波のケツの感触を直に感じると止まらなかった。鹿波の頭を自分に抱き寄せ、肩で口を塞ぐ。腿を掴み、鹿波の足を背に回させながら俺はそのままあくまでゆっくりと開いた後孔に亀頭をハメた。先っぽだけ、いや、カリ下まで、ここまできたら半分、いやもうこの際根本までいってしまおう。
「っ、ふ、ぅ゛、んんッ!ぅ、……ッフー……っ!ぅ、んんぅ……ッ!」
ズブズブと鹿波の肉に包まれる性器に頭から魂ごと吸い取られそうだった。下手したらまじで速攻射精してしまいそうなほどの締付けに息が漏れる。声も、殺しきれなかった。熱い。グズグズに蕩けた内壁は性器全体に絡み付いてきて、ゆっくりと腰を進めるたびに全体を締め付けてくるのだ。
ガクガクと痙攣する鹿波の下半身を抱き抱えたまま、腰を動かす。いつもよりも締め付けがキツく、少し動いただけ性器の根本から食われそうな錯覚になる。
思いっきり、腰を動かしたい。ハメ倒して、泣かせてやりたいのにそれができないこの状況が辛い反面、繋がったまま、鹿波の熱に包み込まれるこの感覚も腹の奥がきゅんきゅんしてすげー興奮する。要するに、俺も鹿波もこの状況に興奮してるってこった。健全健全。
「……っ、鹿波、キツ……は、まじ……すげえ熱いし、食われそ……っ」
鹿波は何も答えない。声を殺すのに必死なようだ。体を揺らさないように肩を震わせ、堪える鹿波はただいじらしく、その反面意地でも声を出させたくなる。
「っふ」
ゆっくりと腰を引き、亀頭の嵩の部分で前立腺を擦り上げる。そうすれば、鹿波は大きく肩を震わせるのだ。それを繰り返すだけで鹿波の中はあっという間にぐずぐずになり、俺の先走りで濡れた内壁は俺のものを咥えては下品な音を立てるのだ。
「ん、ぅうぅ……ッ!!」
『なあ、さっきからなんかどこかガタガタ言ってないか?』
あー、やべぇ、すぐイキそう。なんて息を吐き、あいつの中でうっとりしてるのも束の間、聞こえてきた声に、びくりと鹿波の体が震える。
……まあ、そりゃそうですよね、なんて思ったがここまできて止められるわけがない。
『地震か?』
『わかんねえけど、気のせいじゃね。アラート鳴ってねえし』
『んーそうかぁ?』
少し大人しくしてれば、外の連中も気のせいということにしたようだ。いやいや、地震でもなけりゃ普通にセックスしてますけどと今すぐ言い出したい気分だが、いくらハイでも分別ぐらいつく俺はぐっと堪えることにした。
「っは、地震だってよ、まあ、似たようなものかもしんねえな……ッ」
「ん゛ぅ、ぐ、ぅう……ッ!」
余程バレたらどうしようと怖かったのか、俺がゆっくりと出し入れしようとすれば、伸びてきた手が必死に俺を抜かせようと押し返してくるのだ。逆にその手を取り、指を絡めて握り締めれば、中がきゅんって締まる。やべえ、すげえ熱い。つか、動いてねえのにこいつまじで感じ過ぎだ。突っ込んだ性器から鹿波の熱や緊張が伝わってくるのだ。
そのまま鹿波の手を握り締めながら、あくまでゆっくり腰を動かし始めれば、握り締めた鹿波の指先がぎゅと俺の手を握り返してくるのだ。これが挿入を耐えるためのものだとしても不覚にもときめいてしまう。
「く、ぅん、ば、か……やろ……ぉ……ッ」
「っ、う、るせぇ……んだよ……ッ!お前がエロいのが悪いんだからな……ッ!」
「ふざ、け……っ、んひッ!ぅ、ん、っ、ぅ、んん……っ」
ゆるゆると腰を動かす。バレちゃやべーってのはわかるけど、バレそうでバレないそんなギリギリの状況は普通の行為よりも比にならないほど気持ちよくて、腰が止まらなかった。
小刻みに震える鹿波の体を抱き締め、何度目かもう忘れたキスをすればほんの一瞬鹿波の体は跳ね上がり、そして、抵抗してバレるよりもマシだと思ったらしい。されるがままになるのだ。
それが余計俺を焚き付けるとわかってんのか、多分わかってねえんだろうなこいつ。
お互いの息を、声を、唇で塞いで舌で絡め取って、唾液を流し込む。ぐちゅぐちゅと響く濡れた音は外に聞こえてんじゃないかってほど粘着性を帯び、絡みつくのだ。
「ん゛、ぅ゛んんっ、ん……ッ!ん、ぅ……ふ……ッ!」
イキそう、つうか、まじで、搾り取られる。腰を動かせば動かすほど、抵抗のつもりなのか片足を腰に回してくる鹿波が余計エロくて、腰が止まらない。これじゃマジでサルだ。けど、それでいい。こいつを犯すことしか頭になくて、逃げるように壁にくっつこうとする鹿波をさらに追い込んで、畳み掛ける。浅く抜き差しし、奥、突き当りを性器の先端で抉じ開けるように何度も腰を捩じ込み、嬲った。鹿波は何度目かの絶頂を迎えているようだ、最早焦点の合わさってない目はどこを見てるのかわからないが、それでも、握ってくる手は離れない。
ああ、まじで可愛い。可愛いってなんなのか俺にもよくわかんねえしわかんねえけど、可愛いってしか思えない。鹿波。くそ、舌が可愛いし、指が可愛い、ありえねぇ。こんなのおかしいって思うけど、溢れ出して止まらなくて、気付けば俺は鹿波の後頭部を掴んだまま、鹿波の腹の中に射精していた。ぼたぼたと開いた鹿波の股の間から垂れる精液を感じた。
一度の射精ではこの溜まった熱を消すことなどできなかった。そして、外にはなんだか先程よりも人が増えた気配。授業が終わったのだろうか。無論こんな状況で外に出られるはずもない。
そうとなると。
「んんぅう……ッ!!ん゛、ふ、ぅうッ!!」
セックスするしかないわけだ。
全員が更衣室から出ていったのを確認してロッカーの扉を開き、外へ転がり出た。
滝のように流れる汗のお陰でシャツはもう水を頭から被ったかと言うレベルだったが、ロッカーの中に比べるとやはり更衣室は涼しく、おまけに広い。なによりも広い。快適度というのが人体には必要不可欠なのだということを改めて再認識されることになった。
とはいえ。
ロッカーの中、蹲ったまま動けずにいるもう一人の男をちらりと見る。足を閉じることもできないのだろう、開きっぱなしの股の間からから溢れる俺の精液を垂れ流したまま放心してる鹿波を見て、俺は流れる汗を拭った。
「やり過ぎた……」
◆ ◆ ◆
「高座っ!また鹿波と喧嘩したの?鹿波すんごい怒っててるんだけど!」
「け、喧嘩っつーか……寧ろ仲直りというか……」
「絶対嘘じゃん……あの荒れ方尋常じゃなかったんだけど……?!」
「おっかしいな……ちゃんとアフターケアはしたはずなのに……」
「例えば?」
「うちわを置いてやった」
「状況はわからないけどそれはアフターでもなければケアになってないんじゃないかな」
「まじか……やべえ殺されるぞ……」
「まあ鹿波も鬼じゃないからきっと半殺しくらいで許してくれると思うよ、頑張って」
「山下、お前も付き合えよ」
「道連れ増やそうとしてるよねその顔?!悪いけど僕はこれから予約してた新作ゲームとその予約特典の抱きまくらを引き取りに行かなきゃならないから」
「親友よりも抱きまくらを選ぶのかお前……!」
「まあ僕は鹿波の親友でもあるからね、悪いけど今回は中立的な立場でいさせてもらうよ。それじゃあ」
「こ、こいつ……」
「って、あ、あれ?!鹿波どうしたのこんなところで?!え?高座?いるよ、ほら、部屋に……あ、どーぞどーぞごゆっくり、僕はちょっと用事あるからそれじゃあ……あとは二人で仲睦まじ……いやいやなんもないです。……じゃあ、アフターケアよろしくね高座」
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