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短めの話
四川「意味わかんねえ」
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(笹山×原田→←四川)
「昨日、原田さんと映画見に行った」
「……で?」
「序盤から寝っぱなしでさ、途中目ぇ覚ましたかと思ったらエロシーン入っててあの人慌てて寝た振りしたんだよね。ほんと、中学生かって」
なにを思い出したのかくすくすと笑う笹山はどこか楽しそうで。
聞いてもいないのに原田とのデートのことをだらだらのろけるやつになんとなく苛ついた。
別に、僻みの類いではない。
笹山の笑顔には俺をイラつかせる成分が配合されているはずだ。
「阿奈って、原田さんと遊んだことある?」
ねえよ。つかそんなこと聞いてどうすんだよ。しょーもねー優越感に浸って興奮すんのかよ。この変態。
「ある」
気付いたら口が勝手に動いてた。
どっか向いていた笹山の目が俺をみる。そんな視線から逃げるよう俺は休憩室を出ていった。なんかムカついたのでとびっきり扉を煩く閉めてやる。
「四川、おい、四川」
イライラしっぱなしの午後。
笹山のいる休憩室にいくのがだるくてひたすら段ボールに詰まった悪趣味な玩具に値付けしていると背後から喧しい声で呼ばれる。
出た。あいつだ。
「あっち行け、俺は今忙しいんだよ」
「ご、ごめん」
すぐ謝んな、ばか。
「つーかなんか、お前今日様子おかしいじゃん」
周りをちょろちょろする原田を無視したまま包装にシール貼ってたら、困惑した顔でこちらを見上げる原田はそう呟く。
思わず振り返る。
びく、と肩を跳ねさせ震えた原田は一歩後ずさった。
「…だって、そんな真面目に仕事してるし」
そして心配そうに呟く原田。
こいつは真面目に喧嘩売ってるのだろうか。
ムカついてムカついて壁に押し付けて首絞めながらキスしてひん剥いてそのままその場で犯してやろうかと思ったが萎えきった気分はなかなかしつこく俺を付きまとう。
「笹山も、心配してた」
なんだか相手にする気にもなれなくて、あーはいはいと流そうとした俺はその一言に手を止めた。
笹山の長ったらしいノロケを聞き腸諸々を煮え繰り返していた俺にとって原田の言葉は我慢の尾ぶち切るのには充分で。
気が付いたら、伸びっぱなしの原田の髪を鷲掴んでいた。
「……っ!」
びっくりして丸くなった目でこちらを見上げる原田は青くなる。
怯えた顔。
あ、しまった。と俺は無意識に出た自分の手に目を向ける。
「し、せ」
びくつく原田の目が潤んだ。
出た、出た出た出た。こいつすぐ泣くし。どうしよう。
「お前、髪結んだ方が似合うんじゃね」
足りない頭フル回転させて出た言葉がこれだった。
わけわかんね。自分でも思って、取り敢えず原田の髪から手を離してみたとき、ちらっと原田の顔を見た俺はそのまま硬直した。
「……」
掴まれた髪を押さえる原田は真っ赤になって目を泳がせ。
なにそのリアクション、もっと嫌がれよ、笹山に言いつけてやるとかさ、そんな生意気なこと言ってさっさとどっか行けよ。
なんでそんな目で俺見んだよ。意味わかんねえ。つーかなんで俺まで恥ずかしがんなきゃならねえの。意味わかんねえ。まじ意味わかんねえ。
口の中で呟きながら俺は目を瞑り唇を突き出してくる原田の鼻頭をぴんと指で弾いた。真っ赤になって殴り返される。
意味わかんねえ。
「昨日、原田さんと映画見に行った」
「……で?」
「序盤から寝っぱなしでさ、途中目ぇ覚ましたかと思ったらエロシーン入っててあの人慌てて寝た振りしたんだよね。ほんと、中学生かって」
なにを思い出したのかくすくすと笑う笹山はどこか楽しそうで。
聞いてもいないのに原田とのデートのことをだらだらのろけるやつになんとなく苛ついた。
別に、僻みの類いではない。
笹山の笑顔には俺をイラつかせる成分が配合されているはずだ。
「阿奈って、原田さんと遊んだことある?」
ねえよ。つかそんなこと聞いてどうすんだよ。しょーもねー優越感に浸って興奮すんのかよ。この変態。
「ある」
気付いたら口が勝手に動いてた。
どっか向いていた笹山の目が俺をみる。そんな視線から逃げるよう俺は休憩室を出ていった。なんかムカついたのでとびっきり扉を煩く閉めてやる。
「四川、おい、四川」
イライラしっぱなしの午後。
笹山のいる休憩室にいくのがだるくてひたすら段ボールに詰まった悪趣味な玩具に値付けしていると背後から喧しい声で呼ばれる。
出た。あいつだ。
「あっち行け、俺は今忙しいんだよ」
「ご、ごめん」
すぐ謝んな、ばか。
「つーかなんか、お前今日様子おかしいじゃん」
周りをちょろちょろする原田を無視したまま包装にシール貼ってたら、困惑した顔でこちらを見上げる原田はそう呟く。
思わず振り返る。
びく、と肩を跳ねさせ震えた原田は一歩後ずさった。
「…だって、そんな真面目に仕事してるし」
そして心配そうに呟く原田。
こいつは真面目に喧嘩売ってるのだろうか。
ムカついてムカついて壁に押し付けて首絞めながらキスしてひん剥いてそのままその場で犯してやろうかと思ったが萎えきった気分はなかなかしつこく俺を付きまとう。
「笹山も、心配してた」
なんだか相手にする気にもなれなくて、あーはいはいと流そうとした俺はその一言に手を止めた。
笹山の長ったらしいノロケを聞き腸諸々を煮え繰り返していた俺にとって原田の言葉は我慢の尾ぶち切るのには充分で。
気が付いたら、伸びっぱなしの原田の髪を鷲掴んでいた。
「……っ!」
びっくりして丸くなった目でこちらを見上げる原田は青くなる。
怯えた顔。
あ、しまった。と俺は無意識に出た自分の手に目を向ける。
「し、せ」
びくつく原田の目が潤んだ。
出た、出た出た出た。こいつすぐ泣くし。どうしよう。
「お前、髪結んだ方が似合うんじゃね」
足りない頭フル回転させて出た言葉がこれだった。
わけわかんね。自分でも思って、取り敢えず原田の髪から手を離してみたとき、ちらっと原田の顔を見た俺はそのまま硬直した。
「……」
掴まれた髪を押さえる原田は真っ赤になって目を泳がせ。
なにそのリアクション、もっと嫌がれよ、笹山に言いつけてやるとかさ、そんな生意気なこと言ってさっさとどっか行けよ。
なんでそんな目で俺見んだよ。意味わかんねえ。つーかなんで俺まで恥ずかしがんなきゃならねえの。意味わかんねえ。まじ意味わかんねえ。
口の中で呟きながら俺は目を瞑り唇を突き出してくる原田の鼻頭をぴんと指で弾いた。真っ赤になって殴り返される。
意味わかんねえ。
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