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第四章【モンスターパニック】
27※
しおりを挟む京極へと抱かれたまま運ばれる。
どこへ向かうのだろうか。などと思いながら眼球を動かして辺りを探る。吹き抜けの通路を抜けた先、自動ドアのように勝手に開く襖をいくつも潜った。
「京極さん、こっちって」
風に当たるどころかより奥に引っ込んでいってる気がするんですが、と視線を上げれば京極は何も答えずに唇を僅かに歪める。尖った牙がちらりと見えた時、いきなり口の中に何かが入ってきた。
硬く太いそれが京極の指だと気付いた時には遅かった。
「もご……っ」
「無粋なやつだ。一から百まで言わせる気か?」
「んむ、ぐ」
なんで俺、指しゃぶらされてんの。
岩のように硬い皮膚で舌を摘まれ、そのまま逃げ回ろうとしていた舌ごと引き摺り出される。
もごもごとしてる内に奥の部屋までやってきた京極は足を止めた。
人間界の俺の部屋くらいはあるのではないかと思うほどの巨大な天蓋付きベッド。……ベッド?
「……っ?!」
なんで?キノコは?!
と思わず京極を見上げようとしたとき、長い指に舌の根を引っ張られて堪らずえずく。
「っ、ぅ゛、んぐ」
「吐くなよ、曜。俺は汚物趣味はない」
「にゃ、は、っ、きょ、うごくは……きゅ、休憩って……」
「何をそんなに狼狽える。飯、酒と来たら決まってるだろう」
「お前も分かってて俺に着いてきたんだろう?」なんてさも当然のように笑う京極に尻を鷲掴みにされて息を呑む。
そんなわけないだろう。人間界にそんなルールはない、少なくとも俺の中には。
止めようとしてきた黒羽さんたちの顔が浮かび、冷や汗が滲む。そういうことだったのか。まさか。
「ち、ちぁ、いまふ……っ、俺、酔い覚ますのかと思って……」
「そんなものは時間に任せておけ。時期に覚める」
ベッドの側に転がっていた瓶を取り出した京極は「ほら、まだ足りぬか?」とそのままこじ開けた俺の口に捩じ込んでくるのだ。そのまま直飲みで注がれていく酒を塞ぐ暇もなかった。ごぼ、と飲み込みきれずに逆流しては溢れていく酒を京極は舐め取るように首筋へと吸い付いてくる。
「っ、げぽ……っ、ぅ゛、え゛……っ、や……っ」
「俺の酒が飲めないと? 良い度胸をしているな」
「ちが、っ、苦いぃ……っ、ぁ、あまいのが、ぃ……」
「男児がガタガタ抜かすな。次一滴でも溢したら貴様の腹の中で酒を発酵させてやる」
「っ、ぅ、ぐ」
怖い。何言ってるんだこの人。
制服の上から這わされる硬い指先に尻の穴を広げられる。ここにな、と言うようにぐりぐりと穴を穿られるだけで眼球の奥が熱くなる。
数量飲んだだけでも感覚がなくなるほどの強い酒を再び瓶ごと咥えさせられ、俺はなんでこんな目にあってるんだと泣きそうになりつつ今度は自分からの口にしゃぶりついた。一滴も溢さないように必死に自分の体を受け皿にし、なるべく意識しないように鼻呼吸を止めるが――無理だ。
鼻腔にこびり付くアルコールに、粘膜ごと焼かれるような強烈な熱に眩暈がする。
哺乳瓶を咥えさせられる赤子のようにしゃぶりつく俺を見て京極は喉を鳴らして笑った。そして、瓶の中が空になったのを見て「飲み干したか」と酒瓶を引き抜いた。
「っ、ふ、ぅ……」
「並大抵のやつならばとっくに意識を飛ばしてるのだが、……耐えおったか」
「の、みまひ、ひゃ」
「ああ、じゃあ次はお前が俺に呑ませる番だ。曜」
赤く点滅する視界の中、京極の顔が近付いてきたと思えば唇に熱いものが触れる。
キスというよりそれは捕食に近い。長く肉厚な京極の舌が唇をこじ開けて入ってきたと思えば、そのまますっぽりと包むように捉われる。
瞬間、唾液ごと残っていた酒をしゃぶられる。舌ごと引っこ抜かれそうなほどの激しい吸い付きに腰が抜けそうになる。京極にしがみついたまま、痙攣する腰を抱かれ更に奥までもっとと強請るように舌の根ごと貪られた。
「……っ、……ッ! っ、ん゛……ぅ゛~~……っ」
声を上げる暇も、呼吸する余裕すらもない。ただ一方的に蹂躙される。
なぜ、キスされてるのかも分からない。けど、確実にこのままでは食われる。
その命の危険だけは確かに感じることはできた。
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