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第四章【モンスターパニック】
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『荷物のことは任せてください』というテミッドに任せ、俺、アンブラ、そして黒羽と巳亦は酒蔵へとやってきた。
丁度二人は貯蔵庫へと向かう途中だったらしい。この階層にあるという酒蔵のことは巳亦も知らなかったらしい。
行き止まり、何もなかったはずの壁に黄桜が触れた瞬間、壁に扉が現れた。重厚な南京錠で何重にも縛られたその扉は再び黄桜が触れた瞬間、音を立てて砕け散る。
そして、ゆっくりと一人手に開かれる扉。瞬間、隙間から噴き出す冷たい空気に思わず身震いした。
「すごいな……」
「……入って」
「は、はい」
黄桜にせっつかれ、俺はそのまま貯蔵庫の中へと足を踏み入れる。
貯蔵庫の中はまるで突然異世界に迷い込んだような異空間だった。
ずらりと並んだ棚にはあらゆる銘柄の酒瓶が詰め込まれていた。酒に造詣がない俺でも圧倒される程の量と種類に息を飲む。
「こ、こんなにお酒が……?!」
「ええ。京極様は酒豪であられますの。それに、日頃この塔から出られない分こうやって、定期的に仕入れさせているんです。専属の料理人もいますのよ」
「へ、へえ~……」
な、何者なんだ、京極さん……。
誇らしげに京極について語る白梅に俺は相槌打つしかできない。そんな俺の背後、白梅の言葉を聞いていた黒羽が「待て」と声をあげた。
「それではこの酒たちも京極様の物だろう。無断で持ち出すなどと……」
「無論、京極様の大切なお酒は交換できないわよ。当たり前じゃない。交換してあげるのはここ、この棚から選ぶのよ」
そう、迷子になりそうになっていた俺を振り返った白梅は「こちらです、曜殿」と手招きをする。
誘われるまま足を進めたその先、どんと聳え立つ棚に目を向けた。そこに並んだ酒瓶のラベルには、俺にでも読めるような日本語のものがたくさんあった。日本酒だ。
「あ、このお酒見たことある……!」
「古今東西ありとあらゆる酒を取り揃えているんです。勿論、曜殿の暮らしていた世界のお酒もありますよ」
「す、すごい……なんだか博物館みたいだ」
そう呆けていると、背後から付いてきていた巳亦が耐えきれずに笑った。
「何笑ってるんだよ」と振り返れば、巳亦はそのまま口元を抑えるのだ。
「……博物館ねえ。曜らしくていいな、可愛い」
「か……っ」
可愛いって、なんだよ。しかもこのタイミングでそれは小馬鹿にされてる気しかしないのだが。
思わずむっとしたときだ、こちらを振り返った白梅は白い目で巳亦を見た。
「あら、巳亦貴方もしかして……」
「あ? なんだ? 見世物じゃないぞ」
「こんな子供相手に嫉妬すら隠せないなんて、ああ、曜殿。随分と厄介な男に捕まったようですわね」
「え、あ、あの……」
「まあいいわ。私は他人の色恋に口出しする主義ではないから」
「い゛、色恋……?!」
そう、くるりとこちらに背を向ける白梅。そして、いつの間にかに現れた子鬼達にひょいひょいと酒瓶を預けていく白梅。自分たちの体よりも大きなケースを軽々と担いだ子鬼たちは、それを受け取り中へと仕舞っていく。見事な連係プレーだ。
いや違う、関心している場合ではない。
「あの、白梅さん。ま、待って下さい、なにか誤解……」
「誤解じゃない、白梅。こいつは俺の将来の伴侶だ」
「はん゛――」
「……なんだと?」
そして、次に反応したのは黒羽だった。
先程まで棚に並ぶ酒たちを見上げていた黒羽は、巳亦の口からぽろりと飛び出してきた単語にこちらを振り返った。
「戯言はいい加減にしろ、一体誰が誰の何と言ったか? 返答次第では再び監獄行きになるぞ、巳亦」
「く、黒羽さん?! お、落ち着いてくださ……――」
「黒羽さん、アンタにも一応説明するつもりだったんだ。こんな形になってしまってすまないとは思っている」
「なんだと?」
「あらあら、蛇は人の数ほど伴侶がいると聞くわ。こんなあどけない人の子、一体何人目にするつもりなのかしらね」
「口は慎めよ、鬼女」
「言い出したのは貴方からでしょう、その二枚舌を一枚にしてやってもいいのよ」
な、なんだ。なんだこの空間は。
睨み合う黒羽、巳亦、そして白梅。三人の間に、というか思いっきり睨まれてる巳亦たちの間に俺は見えないはずの火花を見た。
――いや、本当になんなのだ。
丁度二人は貯蔵庫へと向かう途中だったらしい。この階層にあるという酒蔵のことは巳亦も知らなかったらしい。
行き止まり、何もなかったはずの壁に黄桜が触れた瞬間、壁に扉が現れた。重厚な南京錠で何重にも縛られたその扉は再び黄桜が触れた瞬間、音を立てて砕け散る。
そして、ゆっくりと一人手に開かれる扉。瞬間、隙間から噴き出す冷たい空気に思わず身震いした。
「すごいな……」
「……入って」
「は、はい」
黄桜にせっつかれ、俺はそのまま貯蔵庫の中へと足を踏み入れる。
貯蔵庫の中はまるで突然異世界に迷い込んだような異空間だった。
ずらりと並んだ棚にはあらゆる銘柄の酒瓶が詰め込まれていた。酒に造詣がない俺でも圧倒される程の量と種類に息を飲む。
「こ、こんなにお酒が……?!」
「ええ。京極様は酒豪であられますの。それに、日頃この塔から出られない分こうやって、定期的に仕入れさせているんです。専属の料理人もいますのよ」
「へ、へえ~……」
な、何者なんだ、京極さん……。
誇らしげに京極について語る白梅に俺は相槌打つしかできない。そんな俺の背後、白梅の言葉を聞いていた黒羽が「待て」と声をあげた。
「それではこの酒たちも京極様の物だろう。無断で持ち出すなどと……」
「無論、京極様の大切なお酒は交換できないわよ。当たり前じゃない。交換してあげるのはここ、この棚から選ぶのよ」
そう、迷子になりそうになっていた俺を振り返った白梅は「こちらです、曜殿」と手招きをする。
誘われるまま足を進めたその先、どんと聳え立つ棚に目を向けた。そこに並んだ酒瓶のラベルには、俺にでも読めるような日本語のものがたくさんあった。日本酒だ。
「あ、このお酒見たことある……!」
「古今東西ありとあらゆる酒を取り揃えているんです。勿論、曜殿の暮らしていた世界のお酒もありますよ」
「す、すごい……なんだか博物館みたいだ」
そう呆けていると、背後から付いてきていた巳亦が耐えきれずに笑った。
「何笑ってるんだよ」と振り返れば、巳亦はそのまま口元を抑えるのだ。
「……博物館ねえ。曜らしくていいな、可愛い」
「か……っ」
可愛いって、なんだよ。しかもこのタイミングでそれは小馬鹿にされてる気しかしないのだが。
思わずむっとしたときだ、こちらを振り返った白梅は白い目で巳亦を見た。
「あら、巳亦貴方もしかして……」
「あ? なんだ? 見世物じゃないぞ」
「こんな子供相手に嫉妬すら隠せないなんて、ああ、曜殿。随分と厄介な男に捕まったようですわね」
「え、あ、あの……」
「まあいいわ。私は他人の色恋に口出しする主義ではないから」
「い゛、色恋……?!」
そう、くるりとこちらに背を向ける白梅。そして、いつの間にかに現れた子鬼達にひょいひょいと酒瓶を預けていく白梅。自分たちの体よりも大きなケースを軽々と担いだ子鬼たちは、それを受け取り中へと仕舞っていく。見事な連係プレーだ。
いや違う、関心している場合ではない。
「あの、白梅さん。ま、待って下さい、なにか誤解……」
「誤解じゃない、白梅。こいつは俺の将来の伴侶だ」
「はん゛――」
「……なんだと?」
そして、次に反応したのは黒羽だった。
先程まで棚に並ぶ酒たちを見上げていた黒羽は、巳亦の口からぽろりと飛び出してきた単語にこちらを振り返った。
「戯言はいい加減にしろ、一体誰が誰の何と言ったか? 返答次第では再び監獄行きになるぞ、巳亦」
「く、黒羽さん?! お、落ち着いてくださ……――」
「黒羽さん、アンタにも一応説明するつもりだったんだ。こんな形になってしまってすまないとは思っている」
「なんだと?」
「あらあら、蛇は人の数ほど伴侶がいると聞くわ。こんなあどけない人の子、一体何人目にするつもりなのかしらね」
「口は慎めよ、鬼女」
「言い出したのは貴方からでしょう、その二枚舌を一枚にしてやってもいいのよ」
な、なんだ。なんだこの空間は。
睨み合う黒羽、巳亦、そして白梅。三人の間に、というか思いっきり睨まれてる巳亦たちの間に俺は見えないはずの火花を見た。
――いや、本当になんなのだ。
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