人類サンプルと虐殺学園

田原摩耶

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第四章【モンスターパニック】

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 恥ずかしさと、これからどんな顔して黒羽さんに会えば良いんだという感情に板挟みになり、ぐずぐずしていたときだった。
 部屋の扉を静かにノックされる。

 黒羽さん、じゃ……ないよな。
 なんとなくそんな気だけはして、ベッドから降りた俺は恐る恐る扉に近付いた。
「はい」と声をかければ、扉越しに『少年、俺だ』とアヴィドの声が聞こえてくる。

 そういえば、さっきアヴィドさんはアンブラの様子を見に行くと言っていた。
 どうやらそれが終わったようだ。俺は慌てて扉を開けば、そこにはアヴィドが立っていた。

「あ、アヴィドさん……」
「やあ、少年。一人か?」
「えと、さっきまで黒羽さんがいたんですけど……」

 まさか色々あって追い出すような真似をしてしまった、なんてアヴィドに説明するわけにもいかない。
 口篭れば、アヴィドはなにかを察したのだろう。「丁度いい」と小さく呟き、そしてそのままにこやかな笑みを浮かべた。

「部屋、失礼してもいいか? 少し話したいことがある」
「え? あ……はい」

 どうぞ、と俺は扉を開いた。アヴィドは「ありがとう」とだけ言って、そのまま俺の部屋へと上がってきた。
 もしかしたらクリュエルも一緒じゃないのか、と辺りを見渡してみたが、クリュエルの姿は見つからない。どうやらアヴィド一人だけのようだ。

 一先ずほっとした俺は、そのままアヴィドを居間のソファーへと案内した。
 そして、向かい合うようにソファーに腰を掛ける俺とアヴィド。向かい側からのアヴィドの圧に、なんだか俺は三者面談のときを思い出してしまったのだ。

「約束通りアンブラは無力化しておいた。そして、この鍵はまた君に貸そう」

 そう、テーブルの上に鍵を置くアヴィド。その鍵には見覚えがあった。
 ――アンブラが監禁されていた地下牢の鍵だ。

「あの、いいんですか?」
「問題ない。後にでも迎えに行けばいい。空いたあと、あそこの鍵はまた新しく作ることになってる、その鍵は好きにするといい」
「ありがとうございます、アヴィドさん……っ!」

 座ったままぺこりと頭を下げれば、アヴィドは目を細めて笑った。そして、そのまま鍵を受け取る。手のひらの上でそれを眺めていると、そのままアヴィドは長い足を組み直すのだ。

「アンブラの処遇については君と黒羽君に一任している。もし何かあれば、まあ……君ではなく黒羽君に責任を問うことにはなるので覚えておくように」
「……は、はい」

 途端に、掌の上の鍵はまた先程までとは違う重みを覚えた。
 絶対にそんなことにさせないし、させるつもりはないが、面と向かってアヴィドに責任を押し付けられると流行り緊張する。
 けれど、言い出したのは俺なのだ。黒羽さんに責任を負わせるような真似はさせるつもりはない。

 そう、頑張るぞと意気込んでいたとき。ふと、向かい側に座るアヴィドの視線を感じる。
 見られてる?と顔を上げれば、アヴィドと目があった。

「それはそれとして、うちのクリュエルが随分と世話になったようだな」

 一瞬、アヴィドがなんのことを言っているのかわからなかった。あまりにもアヴィドが世間話の延長線みたいな調子で話しかけてくるからだ。
 その言葉を理解した瞬間、顔がじわりと熱くなる。
 そうだ、クリュエルは言っていた。あれはアヴィドの合意のもとだと。

「ぁ、あの……っ! 知って……」
「クリュエルは俺の手足みたいなものだからな、概ね把握はしているが……そんなに取り乱してどうした? 少年」
「い、いえ、その……」

 どうしたと言われても。
 未だ記憶に新しいとのあれやこれがアヴィドに筒抜けだと言われ、平気でいられる人間がここにいるのだろうか。
 どんな顔をしたらいいのか分からず握り締めた膝小僧を見つめていると、「そう怯えるな」とアヴィドは喉を鳴らして笑った。

「人間は特に快楽には弱い生き物だ。相手が淫魔ならば尚更逆らうことの方が難しいだろうな」
「……っあ、アヴィドさん……」
「それはさておき、黒羽君と君がそういう関係だというのには意外だったが」

 え、と思わずアヴィドを見上げた。
 ハウスメイドから受け取ったコーヒーカップを手に、アヴィドは微笑むのだ。

 ――まさか、あれも見られてたのか。
 そのあとか?いやこの際どちらでもいい。

「あ、あれは……その、……っ!」
「ああ、安心しろ。別に俺は上に報告するような無粋な真似をしない。それこそ個人の自由だからな」

「――無論、君が嫌でなければという前提がついてくるのだが」カップに注がれたどす黒い液体を口にしたアヴィドは、そのまま俺に視線を落とすのだ。

「いや、じゃないです。……っ、というか、あれは無理矢理俺が襲ったみたいなもので……」

 黒羽の誤解を解かなければ、と必死にならばなるほど自分がちゃんと話せているのか分からなくなってしまう。
 けれど、それでもアヴィドには届いたようだ。「そうか。ならば結構」とアヴィドは俺の唇に指を押し当てる。

「あ、アヴィドさん……っ」
「しかし、一応黒羽君には『他人を抱くときは場所を考えるように』とよく聞かせておくことだな」

「君が主というのなら尚更な」と微笑むアヴィドに、更に顔に熱が集まっていく。
 そんな俺に柔らかく微笑みかけるアヴィド。大人だなあ、というか本当にアヴィドにとっては些細な問題なのだということが分かった。
 吸血鬼だからなのか、アヴィドが寛容なだけなのかはわからないが……助かったのか?

「それでは俺は失礼しよう。……またな、少年」
「はい、あの……鍵もありがとうございます」

 ソファーから腰を持ち上げるアヴィドに釣られ、慌てて立ち上がれば『そのまま据わっていていい』とアヴィドに手で制される。そしてにこりと微笑んだアヴィドは「まあ頑張ってくれ」とだけ言い残してそのまま俺の部屋を後にした。


 アヴィドが出ていき、一人残された自室の中。
 ようやく緊張の糸が解けたようだ。俺はそのまま溶けるみたいにソファーの上で崩れていく。

「……っ、はあ……」

 ――やっぱり見られてたのか……ごめん黒羽さん。

 頭の中でここにはいない黒羽に謝罪しつつ、それでも見なかったことにしてくれたアヴィドにただ感謝した。
 それにしても、クリュエルには簡単に借りは作らないようにしないとな。
 そんなことを思いながら、俺は手の中の鍵を見つめた。

 いつまでもくよくよ落ち込んでいる場合ではない。切り替えなければ。
 そう深呼吸をし、俺は鍵を無くさないようにしっかりと制服の内ポケットにしまう。
 それから外で待たせていた黒羽と合流することにした。


 ◆ ◆ ◆


 部屋の外へ出ると、そこには黒羽ともう一つ影があった。
 開く扉に気付いたようだ、「伊波様」と呼ぶ黒羽の陰からにゅっと顔を出すのはテミッドだ。

「黒羽さん、それにテミッドも……ごめん、待たせて」
「構わない。……それよりアヴィドが来ていたようだが、なにかあったのか」

 黒羽に尋ねられ、ついギクリとする。それをなるべく悟られないように堪えつつ、俺は先程アヴィドから受け取った鍵を取り出した。

「えと、これを貰ったんだ」
「これは……地下牢の鍵か?」
「うん、アンブラの牢屋の鍵。鍵も作り変える予定だから好きにしていいって」
「……そうか」

 良かったね、黒羽さん。と顔を上げるが、対する黒羽の反応はなんとなくぎこちない。

「……黒羽さん?」
「他に何か言われなかったか」
「え」
「……」

 もしかして部屋の中での会話を聞かれていたというわけではないだろうが、なんとなく重々しい黒羽の態度につられて緊張した。

「え、いや……まあ、他にも話したけど、大したことじゃないよ」

「気にしないで、黒羽さん」と慌てて俺は黒羽に笑い返した。
 次からは俺が気をつければいい話だ。わざわざ黒羽に言う必要もないだろう、そう判断し、俺はこの空気をどうにかして変えようとテミッドへと向き直った。

「テミッドも、色々心配かけたな」
「伊波様……また地下牢に行くんですか?」
「うん。そうだ、テミッドも来るか?」
「ぼ、ぼくも……? いいんですか?」
「ああ。……それに、どっちにせよ挨拶することにはなるだろうし」

 どうかな?と尋ねれば、テミッドはぶんぶんと勢いよく頷いた。
「僕もごいっしょ、させてください」と目をキラキラさせるテミッド。ここ最近留守番させることが多かったから嬉しいのだろう、青白い肌がほんのり赤くなってる。

「それじゃ、行こうか。黒羽さんも」
「……ああ」

 なんだか微妙にもやもやとした空気はあるものの、いつまでも引きずるわけにはいかない。
 俺は敢えてその空気に気付かないフリをし、黒羽たちとともにアンブラの待つ地下へと向かうことにした。



 ――地下・懲罰房。

 独房の扉を開けば、相変わらず拘束されたままのアンブラの姿があった。
 少し休んでいたようだ、「アンブラ」と名前を呼べば、驚いたようにアンブラは顔を上げる。

「い、伊波……」
「約束通り迎えに来たぞ、アンブラ」
「約束って……」

 嘘だろ、と驚くアンブラに笑い返し、俺は取り出した鍵で牢を解錠する。「拘束は自分が解こう」と申し出る黒羽に頷き返し、俺は一歩下がった。
 そして、黒羽の手によってアンブラの拘束が外される。
 アンブラは戸惑ったようにそのままへなへなと座り込むのだ。まるで腰が抜けたみたいに、こちらを見上げる。

「おい、大丈夫か?」
「……嘘だろ、まさか本気か?」
「本気だよ。……アヴィドさんにも許可は取ってある」

 その名前に、びくりとアンブラの肩が跳ね上がる。怯えたような暗い顔。そんなアンブラの前に、俺は視線を合わせるために屈んだ。

「伊波……」
「ヴァイスにお礼、言いたいんだろ?」
「……っ」

 こくり、と頷くアンブラ。俯く度に長い前髪が揺れ、顔に陰を落とす。

「なら、俺と一緒に来てくれないか」
「っで、も、アンタになんの得が……お、俺になんか肩入れしたところで、もし何かあったら……牢から出した責任を問われるんじゃ……」
「前から思ったけど、アンブラってなんか魔物っていうよりも……人間っぽいよな」
「な」
「アンブラはヴァイスに会いたくて、俺はそんなアンブラに協力したいと思った。……それで十分だろ」

 ……今は、取り敢えず。
 余計なことを考えて行動を鈍らせるよりかはずっとましだ。

 そうアンブラに手を伸ばせば、伸ばした掌、その指先からゆっくりとこちらへと視線を向けてくるアンブラ。

「俺と来てくれないか、アンブラ」

 勝算があるわけではない。ここまでして断られてしまえばどうしようもない。
 怯えたように俺の手と俺の顔を交互に見上げたアンブラだったがそれも暫く。

「……そこにいる人たちは、良いって言ってんのか。俺、ここから出た途端食い殺されたりして……」
「伊波様の御前でそのような真似はしない」

 こくこく!と黒羽の横で頷くテミッド。
 本当かなあ……と笑いながら、俺は改めてアンブラを見た。

「……ってことらしいけど、どうかな」
「だ、だって……でも、俺はカンニング野郎で……」
「カンニングもよくないけど、もっと凶悪な人たち……いや、魔物たちだってこの学園にはたくさんいるよ」
「俺、伊波にもひどいことした……」
「酷いことしたって自覚あるんなら俺は許すよ。それに、アンブラはヴァイスのために必死だったんだろ?」
「……っ、それは……」
「……一応、強要はしない。来てくれたら嬉しいけど、それでもアンブラが嫌だっていうなら……俺はまたここに鍵を掛けるだけだから」

 脅してるつもりはない。そうせざる得ない状況なのだから仕方なくても、こればかりは伝えなければならないと思った。
 もしアンブラを単独で外に出した途端、ヴァイスに目を付けられて殺されてしまうのではないかとそんな気すらした。だったら、またここに幽閉されてた方がまだましだ。

「……伊波、ぉ、俺、役立たずで……いいところなんて、なにもないし……」
「なに言ってんだよ、俺よりも全然凄いだろ。人の夢の中に入るなんて」
「……っ、ぅ、……で、でも」
「……」
「…………ぉ、おれ……」

 俺、と繰り返す。何度も手を出そうとしてはその指を引っ込める。その姿を見て、ああ、と思った。
 見放され、捨てられ、馬鹿にされてきたからこそなのだろう。選択肢を与えられ、選ぶことができなかった。押し付けられてきたことだけを受け入れてきたからこそ、自ら選ぶことに恐怖を覚えるのだ。
『俺についてこい』とアンブラの手を取りたかった。けれど、それをすればあの男と――ヴァイスと同じだ。人の弱さに付け入るのは。

「……アンブラ」
「……っ、伊波」
「この先はお前が選んでくれ」

「俺は、アンブラが選んだ選択なら受け入れるよ」少なくとも、恨めしく思うこともない。俺には俺のやれることはやったと満足できるだろう。ただ、ふりだしに戻るだけなのだから。
 そう、アンブラを見据えたとき、アンブラがぐ、と唇を噛みしめる。そして。

 おず、と生白い手がこちらへと伸ばされ、俺の手を取った。それはしがみつくのに等しい。あまりの強さに引っ張られ、思わずよろめきそうになったところをアンブラに支えられた。

「伊波様……っ!」
「だ、大丈夫……っ、ぁ、アンブラ……?」
「あ……アンタと、一緒に行きたい……」

 ぽそりとアンブラの唇が動く。唇から漏れたそれはアンブラの本音だった。
 その言葉を聞いた瞬間、胸のうちが熱くなる。

「……っ、ああ、一緒にきてくれ」

 そのまま俺はアンブラの肩を抱き寄せ、軽く擦った。なんだか大きな弟みたいだな、なんて思いながら、小刻みに震えるアンブラが落ち着くまで暫くそのままにしておいた。
 テミッドと黒羽がずっとそわそわとしていたが、なんとか待ってもらうことに成功する。
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