人類サンプルと虐殺学園

田原摩耶

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第四章【モンスターパニック】

13※

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 黒羽の股間の前に四つん這いになり、俺はそのまま舌を突き出し、黒羽の性器にぺろりと舌を這わせる。瞬間、舌越しにどくんとそれが大きく脈打つのがわかった。

「ん、ふ……ッ」
「っ、伊波様……」

 拳くらいあるのではないかと思うほどの亀頭を頬張るのには技量も許容量も足りない。だから、せめてと精一杯唇と指で黒羽自身を包み込み、刺激する。

「きも、ひい……っ? 黒羽さん……っ」

 ちろりと伸ばした舌で、赤黒く濡れた尿道口に舌を伸ばせば、こちらを見下ろしていた黒羽が息を飲んだ。ああ、と掠れた声で答える黒羽。それと連動するみたいに腹筋が震えるのが分かった。

「っ、ん、……っ、ふ」
「伊波様、無理はしなくて……」
「む、りじゃない……俺、ずっと、またこうして黒羽さんにお返ししたかったから……っ」

 だから、俺にやらせてください。
 そう亀頭に唇を押し付ける。全部根本まで咥えると顎が壊れてしまいそうなほど太くて大きい黒羽の性器だが、亀頭くらいは、と俺はその先っぽを唇で包み込んでいく。

「……ふ、ッ、ぅ……ッ」

 鼻で呼吸することを意識しながら、にゅるりと咥内へと入ってくる亀頭に舌を這わせた。
 俺のフェラなんてたかが知れている。それでも粘膜越し、黒羽のものが俺の稚拙な愛撫でも反応してくれてるのがわかって嬉しくなる。
 もっと気持ちよくなってほしくて、唾液でたっぷりと亀頭を濡らしてちゅぽちゅぽと音を立てながら先っぽを重点的に責める。
 すると、どくんどくんと握り締めた指越しに黒羽の鼓動が流れ込んでくるのだ。そして、焼けるほどの熱に当てられる。

「っ、伊波様……っ、もういい」
「っ! ま、ら……っ、れす……」
「しかし、このままでは……ッ」

 射精が近いのだろう。太い裏筋からボコボコと激しい鼓動が伝わってきて、射精が近いことがわかった。
 鼻腔から脳の奥まで濃厚な雄臭が満たしていき、思考力は低下していく。
 このまま出してください、と答える代わりに俺は黒羽の腰にしがみつく。そしてもっと、とその股間に顔を埋めた。ぢゅぷ、ぐち、と音を立て、亀頭から滲む先走りを吸い出すように亀頭に吸い付いた瞬間、舌の上で黒羽のものが跳ねる。

「っ、く……」
「ん゛、う……っぷぐ……ッ!」

 瞬間、咥内に勢いよく吐き出される精液。その量と勢いに全てを受け止めることはできなかった。
 一瞬にしてキャパオーバーになった口の中、喉の奥までごぼ、と押し出される精液。一部受け止めきれなかった粘っこい精液が鼻の方に流れ、思わず黒羽のものから口を離した俺はそのまま「げほ!」と咽返る。飲み込もうとしても量が多すぎて一息で飲み込めない。おまけに、どろりと絡みつくように濃く、煮えたぎるほど熱い精液が唇の端から溢れ、そのまま俺の体を汚すのだ。
 伸びてきた黒羽の手に、顎先からどろりと垂れる精液を拭われたと思った矢先だった。そのまま小さく顎を持ち上げられ、精液を口から垂らす俺の頬を舐めるのだ。

「は、ぁ……っ、んむ……っ」

 黒羽の肉厚な舌は頬、顎、そして唇へと汚れた精液を拭うように舐めとっていく。
 もっと、とねだるように口を開き、黒羽の舌を招き入れようとその胸にしがみつけば、僅かに眉根を寄せた黒羽はそのまま堪えるように舌を俺の咥内へと侵入させた。

「っん、ん……っ、ぅ……っ」

 好き、黒羽さん、大好き。好きだ、好きです。
 思考はそんな甘い思考で塗り潰されていき、黒羽のことでいっぱいになってしまう。
 こちらから黒羽の舌に絡めれば、黒羽は小さく呼吸を乱した。そして、俺をビリヤード台の上へと押し倒すのだ。

「っ、伊波様……」

 股の間、お腹の上に当たる重量あるその感触に、下腹部が甘く疼き出す。
 出したばかりだというのに既に勃起してる黒羽の性器が自分の腹の上に乗ってるのを見て、無意識の内に俺は固唾を飲んでいた。
 早く、奥までぐちゃぐちゃにしてほしい。黒羽さんので、力づくでもいいからねじ伏せられて犯されたい。
 黒羽の性器を前に、淫らな被虐的思考が沸々と浮かんでは消えていく。想像しただけでキュンキュンと下半身に力が入り、犬のように呼吸が浅くなった。
 俺はそのままそっと足を開き、黒羽の性器を掴んで自分の下半身へと持っていく。

「っ、待て、なにを……」
「挿れてください、……黒羽さん」
「……っ、……」
「黒羽さんのおちんちんで、俺、また気持ちよくなりたい……っ」

 持ち上げた腰の間、這わせていた黒羽のものがびくんと反応し、俺の股の間でさらに大きくなるのがわかって胸が熱くなった。
 ここまで来て今更後に引けないと黒羽だってわかってるはずだ。だから、俺は黒羽がこれ以上気遣わなくて済むように言葉を吐いた。

「……っ、俺のこと、このまま犯してください」

 これは命令です、とそのまま黒羽の背中に手を回し、顔を寄せる。腕の中、黒羽の体が緊張するのが伝わった。
 けれど、それも一瞬。黒羽が息を吐いた次の瞬間、柔らかく濡れそぼった肛門へと黒羽のものが突き立てられたのだ。

「――ッ、ぎ、ひ……ッ!」

 内臓ごと押し上げられるような圧迫感に、全身の筋肉が引き攣る。それも一瞬、みちみちと内側から器官を押し広げられるその圧迫感も苦痛も全て快感に変換されるのだ。
 自分の体ではないみたいだ、粘膜から伝わってくる鼓動、熱だけが現実みたいに生々しく、そのままゆっくりと入ってくるそれに「ぁ、あ」と声が漏れる。

「っ、伊波様……ッ」
「く、ろはさ……ッ! う、ひ……ッ!」

「苦しくはありませんか」と、自分の方が苦しそうな顔をして聞いてくる黒羽に俺は何度も頷き返す。
 嘘ではない。黒羽は息を吐き、そしてそのまま俺の腰を掴むのだ。再び深く中を押し上げるように挿入される性器に「ぉっ」と声が漏れる。

「ぁ、あ゛……ッ」
「っ、……伊波様、力を抜け」
「あ、わかんな……っ、ち、からっ、わか、んな……っ、ぃ゛……ッ! ひ、ぐ……ッ!」

 ず、と腰が埋まる度に股関節が軋む。足の閉じ方も分からなくなるみたいに黒羽の腰に足を伸ばす。それでも、確実に腹の中を満たしていく黒羽のものの熱を生で感じることができて言い表しようのない多福感に包み込まれるのだ。
 半分すらも入っていない、自分の股に突き刺さったその赤黒い性器がドクドクと脈打つのを凝視したまま俺は黒羽の腕にしがみついた。

「っ、く、ろはさ……っんん……っ!」

 見過ぎだ、と言わんばかりに顎を掴まれ、そのまま唇を重ねられる。唇がむに、と重なるだけで、性器に押し上げられてぽっこりと膨らんだ腹の中、黒羽のものが更に大きくなるのが分かって心臓がきゅっと締まるようだった。

「っ、ん、う……っ、ふ……ぅ゛……ッ」

 呼吸をしろと言わんばかりに絡められ、喉を開かれる。上も下も黒羽に犯され、なにも考えられなかった。舌を絡み取られ、黒羽の咥内まで引きずり出される。そのまま深く舌を絡め取られたまま、再開される抽挿に脳の奥がどろりと熱くなった。

「く、ろはひゃ……っ、ん、う゛……ッ! あ゛、ひ、……ッ! う゛、ぐ」

 滲む先走りを塗り込むように、うねる内壁をカリの部分でこじ開かれていく。以前のときのような乱暴な抽挿ではない、気遣ってくれているのがわかったが、だからこそ余計黒羽のものを意識してしまい、触れられた箇所が甘く疼く。

「っふ―……ッ、ぅ、は……っ、くろはしゃ……っ、ぁ゛……っんん……っ!」
「……っ、苦しくないか?」
「っ、ぃ、き、もちい……っ、です、お腹、ゴリゴリして……っ、ぁっ、ん、暖かくて……っ!」

 黒羽にしがみついたまま、震える声帯から声を絞り出せば、黒羽は「そうか」と小さく息を吐くように呟いた。重ねられた掌が熱い。
 そして、更に腰を進めてくる黒羽に俺は思わず仰け反った。

「っは、……ぁ゛……っ、ん、熱……っ、あ゛……っ! くろはさ、……っ、くろは……ッ、ん、ぅ……っ!」

 逃げそうになる体を強くその腕に抱き締められたまま、深く腰を打ち付ける黒羽に全身がびくんと跳ね上がる。震える体を押し倒されたまま、まだ奥まで押し入ってくる黒羽の性器に息を飲んだ。どこまで入ってくるのか、前回はそれどころではなくて受け入れるのでいっぱいいっぱいだったため気にしていなかったが、今は余計黒羽の性器の存在が大きく、それ以外なにも考えられなかった。
 瞬間、突き当りの壁に亀頭がぶつかった瞬間。「う゛ひッ」と喉から声が漏れる。

「ぁ゛ッ、そ、そこ、ぉ゛……っ!」
「……っ、相変わらず、浅いな……っ」
「っは、まっ、ぅ゛……っ!」

 ずちゅ、と音を立て、再び亀頭で突き当りの部分を押し上げられる。それだけで脳の奥まで貫かれたような衝撃が走り、ぴんと全身が緊張した。

「っ、あ゛……ッ、ぁ、……ッ」
「……っ、伊波様」
「あ゛、ひ……ッ!」

 一息吐き、そのままゆっくりと引き抜かれそうになった瞬間、ずる、と肉襞ごと引っ張られ堪らず声が溢れた。あまりの刺激に耐えきれず、抜かないで、と黒羽の腕にしがみつけば、俺を見下ろしたまま黒羽は戸惑ったような顔をする。

「ぅ、うご、かないで、くろはさ……っ」
「っ、は、……貴方はまた、酷いことを仰る……っ」
「ご、めんなしゃ……っ、ぁ゛……っ、う゛、ひ……っ!」

 中途半端な状態で止められるのがどれほど苦しいか分かっていた。だから「お、俺が、動く」と必死に声を出せば、黒羽はこちらを片目で見た。
「できるのか?」と尋ねるような視線が熱い。こうしてる間にでも刺さった黒羽の性器は熱くて、こくこくと数回頷き返せば、黒羽は肺に溜まった息を吐いた。
 そして、そのまま脇の下に伸ばされた手に体を抱き抱えられる。浮遊感に驚いたのも一瞬、そのまま黒羽の腕に抱き抱えられた瞬間、股の下に刺さった性器が自重で沈んでいく。

「ひ……っ、ぅ、あ……っ!」
「……っ、ゆっくりでいい、無理は、するな」
「ぁ、く、くろはさ……っ、ん、う……っ!」

 さっきよりもより密着した体。この体勢はまずい、と俺でも分かる。黒羽の胸にしがみついたまま、俺は腰に意識を向ける。
 少しでも力を抜けば、脱力した下半身はそのまま亀頭を奥まで飲み込んでいくのだ。

「はー……っ、ぁ、……っ、あ、ぁ、く、黒羽さ……ッ! は、入って……っ!」
「っ、伊波様……っ」
「ぃ……っ、ひ、ッ、ぐ……ッ!」

 亀頭で中を引っ掻かれる度に余計力が抜け、そのままずるずると引きずるように落ちていく体を黒羽に抱き抱えられる。その拍子にみっちりと詰まった性器に内壁にえぐられ、抜け出せない悪循環に陥る。

「っ、ぁ、熱……っ、ん、う……っ」
「……っ、伊波様、動いて大丈夫そうか」

 耳元で囁かれ、一瞬頭が真っ白になる。
 そうだ、このままでは黒羽が気持ちよくなれない。俺ばっか気持ちよくなって。
 そう思うのに、このまま黒羽に動かれたらと想像しただけでじんわりと下半身が熱くなった。恐怖と興奮が入り混じる。

 これ以上気持ちよくなったら本当に戻れなくなるのではないかという恐怖が過る。
 そして、それ以上の――。

「は、い……っ」

 咥内、粘膜から滲む唾液を飲み込んだ。
 俺は今自分がどんなどんな顔をしてるのか分からなかったが、黒羽の隻眼に反射した俺は確かに笑っていた。





 体を抱えられたまま、下から突き上げられる。内壁ごと削られるような刺激はあまりにも強く、俺は最早自分に理性が残っているのかどうかすらもわからなくなっていた。

「ぉ゛、ぐ……ッ! ひっ、ぃ゛……ッ!」
「っ、伊波様……っ」
「いっ、いぐ、待、ぁ゛ッ、も゛ッ、またっ、出ちゃ……っ、ぁ゛……っ、あ゛ァ……っ!!」

 黒羽に犯され、何度絶頂を迎えたのか自分でも分からなかった。
 勃ちっ放しの性器、その先端からは残りカスのような少量の精液が噴き出す。
 下半身を抱えられたまま、腹の中を出入りする性器に突き上げられる度に萎える暇もない性器が震え、息が止まりそうだった。

「っ、ぁ、あ゛、お腹、あつい……ッ、やける、くろはさんの……ッぉ゛……ッ!」
「……っ、は、あまり、可愛い反応をするな……っ、歯止めが効かなくなる」
「っ、ぐ、うひ」

 腹の中で、まだ黒羽のものが一回り大きくなるのが体で分かった。
 黒羽も射精が近いのだろう。粘膜が焼け落ちそうなほどの熱に充てられながらも、結合部から伝わってくる鼓動は先程よりも早い。

「っ、ん、う……っ! は、っ、くろはさ……っんん! ふ、ぅ゛……――ッ!」
「伊波様……っ」
「っ、ぁ、まっ、また、くる、なんか……っ! ぁ、あ゛……ッ!!」

 前立腺を圧迫されたまま、結腸の入口を亀頭で押し上げられた。みちみちと窄まったその壁を押し上げ、更に奥まで亀頭が入ってくる。

「ぉ゛……ッ!」
「っ、……動くぞ」
「ぁ、やだ、待っぁ、いま、は……っ! ぁ゛、あ……――っ!」

 突き当りの襞を亀頭で下から突き上げられた瞬間、思考回路を焼き切るほどの快感に襲われる。眼球の奥が熱い。思わず自分の下腹部に目を向けたとき、黒羽の性器の形に歪に膨らんだ自分の腹を見て心臓が大きく跳ね上がった。

「ぁ゛ッ、はー……ッ、ぎ、ひ……っ!!」
「……っ、ようやく、馴染んできたな」

 奥まで深く挿入された性器に呼吸することもできなかった。俺の体を抱き締めたまま、頭の上から落ちてくる黒羽の声が腹の中でも低く響く。
 ――なにも考えることなどできなかった。

「ふ、う゛……ッ!!」
「っ、ここ、好きだったよな」

 伊波様、と再びゆっくりと腰を動かし始める黒羽。その度に神経を直接犯されているような快楽が全身に走る。
 思考を塗り替えられていく、黒羽の手によって、更に。

「っす、き……っ、すき……っ、そこ、ごんごんされるの……っ、きもちぃ……っ!」

 恥ずかしい気持ちなんて最早欠片もなかった。それよりも、目先の快楽を一滴も零さぬように掬い上げることしか頭になかった。

 小さく息を吐いた黒羽にそのまま腿を掴まれ、腰を打ち付けられた瞬間、「ひ、ぉ゛」と喉奥から汚い声が漏れてしまう。

「ぉ゛、く、ろはしゃ」
「……っ、そうか、そんなにこれが好きなのか?」
「っ、すき、それ゛、ぇ゛……っ!!」

 好きです、と答えようと開いた口からは最早言葉を発することはできなかった。
 抱えられ、固定された下半身に更に激しく腰を打ち付けられる。全ての外的刺激は快感へと変換され、それは幾重にもなって俺の頭の中に蓄積されていく。
 最早射精できるものなど俺の体内には残っていなかった。それでも空になった睾丸から必死に絞りだそうと勃起した性器は、あまりにも激しいピストンに耐えきれずぷるぷると揺れ、白濁混じりのカウパーを垂らすのだ。

「ぁ゛ッ、あ、きだ、ッ、また、ぉ゛ぐに゛……っ!! ぃ゛っ……――ッ!」

 太い亀頭で膀胱を潰された瞬間、限界まで溜まっていたそこから透明の液体が勢いよく噴き出す。それを被った黒羽は嫌な顔をするどころか更に腹の中のものを大きくさせ、そして逃げようとしていた俺をがっしりと捕まえるのだ。
 ごめんなさい、と声をあげるよりも先に、黒羽に唇を塞がれた。

「っ、ふ、ぅ゛」

 ――キスされる、俺、黒羽さんに。

 そう目を見開いたのもつかの間、ピストンのペースが上がり、腹の中で更に膨らむ性器に全身が震える。先走りでより滑りがよくなった性器に奥を犯される度に眼球の奥が熱くなる。

「っ、う、ふ、……っ、んん……っ!」

 こちらを見つめる隻眼は熱で浮かされているようだった。
 黒羽が俺に興奮してくれている――その事実に余計体の芯が熱くなり、黒羽の全てを受け入れたいという思考に支配されてしまうのだ。

 舌根からねっとりと絡めとられ、そのままじゅぶじゅぶと音を立てるようにねっとりと愛撫される。
 咥内、滲む唾液と押し流される唾液が混ざり合い、受け止め切れなくなった唾液が垂れようが今度は構わず黒羽は喉の奥まで舌を挿入させてきた。
 どちらの体液なのかもわからなくなるほど上も下もぐちゃぐちゃに掻き混ぜられ、根元まで深く栓された腹の中。隙間なく収まった性器が腹の奥底でドクンと大きく脈打つ。
 そして次の瞬間、結腸へと直接注がれる大量の精液。

「う゛、んん゛……ッ!!」

 勢いよく注がれる精液に胃が膨張していく。内壁を焼かれるのではないかと思うほどの熱に頭の中は真っ白になり、黒羽が射精している間俺は動くことができなかった。

 長い射精を終えたときには許容量を越えた精液の量に腹部は膨れ、亀頭と筋が痛くなるほど性器は勃起していた。
 頭も体もどうにかなりそうだった。このまま精液で体の中いっぱいになって腹を突破られてしまうのではないかという甘い恐怖に背筋が震える。熱で霞んだ視界の中、黒羽は俺の体を抱きかかえるようにそのままゆっくりと性器を抜いた。
 瞬間、

「っ、ぅ゛、あ゛……ッ!」

 栓になっていた性器が襞を引っ張りながらも抜かれたと同時に、塞ぐものを失った精液がそのままごぼ、と音を立てて開いた肛門から噴き出す。
 せっかくの熱が溢れていくもの寂しさと圧迫感から逃れられる開放感で頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだった。下半身を汚し、そのまま聞くに耐えない音を立てながら床へと精液を零す下半身を抑えようとするが、黒羽の指に中に溜まった精液を掻き出される方が早かった。

「っ、ぁ、や、くろはさ……っ、ぬかないで……っ」
「伊波様」
「っ、は、ぁ……っ」

 ――まだ黒羽さんだって勃起してるのに。

 そう恐る恐る黒羽の下半身に手を伸ばし、先程まで体内に入っていたその性器に触れる。既にバキバキに勃起したその亀頭の頭をそっと扱こうとすれば、息を吐いた黒羽に「伊波様」と止められる。

「――……っ、これ以上は、あなたの体に負担がかかる」
「……っ、らいじょ、ぉぶれす……」
「伊波様……」
「ん、う……っ」

 黒羽に唇を寄せれば、ほんの一瞬躊躇った黒羽だったが今度は黒羽からキスしてくれた。
 どちらともなく舌を絡めながら、そのまま台の前に立つ黒羽の濡れた性器をちゅこちゅこと音を立てて愛撫する。手の中、びく、と跳ねる性器を手にしたまま、足を開いた俺はそのまま自分の下半身を押し付けるように黒羽の性器を動かす。
 が、上手くいかない。

「っ、ん、う……っ、ぁ、れ……っ」

 にゅるにゅると手が滑り、体にろくに力が入らないお陰で角度調整が上手くいかない。捲れあがった肛門を亀頭が引っ掛かる度に呼吸が乱れ、それでも上手く奥まで挿入らなくてどうしようとしていたとき。びき、と手の中で一層硬さを増す性器にびっくりする。
 そして次の瞬間、視界が陰る。覆い被さる黒羽にそのまま太腿を掴まれ、下半身を抱き寄せられた。滲む汗、額に浮かぶ青筋――苛ついたように眉根を寄せた黒羽に押し倒された瞬間、心臓に甘い感覚が広がった。

「っ、貴方って人は……」
「う、あ」

 黒羽さんが怒ってる。
 そう息を飲んだとき、ずぷ、と音を立て再び埋め込まれる亀頭に背筋が大きく震えた。今度は一気に腹の奥まで穿かれ、声にならない悲鳴と嬌声が喉から溢れる。
 肉が潰れるような音ともに、精液でぐちゃぐちゃになった体内をゴリゴリと削り取るように犯される。その度に先程出された精液が下半身を汚し、出すものもなくなった俺の性器は間抜けに股の間で震えた。

「ぉ゛、ひッ、ぅ゛……っ!!」
「……っ、易易と男を誘うなどとあれ程言っていただろう……ッ!」
「ぁ゛っ、くろはしゃ、ぁ゛……ッ! そこ、ぉ゛……っ、もっと、して、……っ! くろはしゃ……っ!」
「伊波様……ッ」

 小さく舌打ちした黒羽はそのまま俺の腿を掴み、ぐり、と内臓ごと押し上げるのだ。繰り返される抽挿、奥を突き上げられる度になにも考えられなくなって、ひたすら黒羽にしがみついた。
 密着した体。腹に溜まっていた精液ごと掻き混ぜられ、塗り込まれる。早くなる動きに耐えきれず、息もできないまま「黒羽さん、黒羽さん」と目の前の男にすがりついた。

 そして、

「く、……っ、出すぞ……!」
「ひ……――ッっ、ぉ゛……ッ!」

 ぶるりと跳ね上がる下半身。逃げそうになる黒羽にがっちりと掴まれたまま、黒羽は俺の腹の中で二度目の射精をしたのだ。意識ごと押し出されそうになる中、萎えるどころかまだ芯を持った黒羽のものに、こちらを見下ろす熱を持った目に、『まじか』と思いながらも心臓が跳ね上がった。
 ごぷ、と受け止めきれなかった精液が溢れる。今度は射精が終わらぬ内から動き出す黒羽に俺は声を上げることもできなかった。

 腫れ上がった前立腺を性器で潰され、臍の裏側から奥の奥まで黒羽の形に作り変えられるまで何度も犯された。
 クリュエルの催淫のせいなのか、どこまでがそうなのか俺には最早わからなくて、ただ黒羽に犯される度に腹の奥に植え付けらた種が芽吹き、精液を吸う毎に根や葉を伸ばしていく――そんな恐ろしい光景が朧気に頭の中に浮かんでいた。


 どれほど黒羽に抱かれていたのかも俺にはわからなかった。
 実際一時間も経っていないのかもしれない、けれど俺にとっては長い間のように感じた。

 気付けば俺は自室のベッドに寝かされていて、そして最中の負担が全て一気に体に戻ってきたみたいに動くことができなかった。

「……っ、う……」

 ――夢、じゃないよな。

 あんな生々しくてエロい夢見たのだとしたら相当な欲求不満だろう。股の間にはまだ黒羽の性器が挿入されているような異物感が残っていた。
 痛みはないが、疲労感が凄まじい。骨の髄まで搾り取られたみたいに指先一本動かすことも億劫だった。
 そして、視線を動かしたとき――俺は黒羽の姿を見つけた。

「……っ、伊波様、体は大丈夫か」
「………………」
「い、伊波様……っ?! やはりまだどこか不調が……」
「あ、いえ……大丈夫、です」

 言いながら俺は布団を頭まで被る。
 黒羽のことを直視することができなかった。
 俺の頭の中の中には最中の光景、やり取り、ありとあらゆる醜態がこれでもかというほど鮮明に記憶されていた。

 ――いくらなんでも、クリュエルの能力のせいだとしてもだ。限度がある。

「い、伊波様……」
「ご、ごめんなさい……黒羽さん、一人にさせて下さい」

 真っ暗になった視界の中、「……分かりました」と黒羽の静かな声が聞こえてきた。それから扉が開き、黒羽が部屋の外へと出たのがわかる。
 黒羽がいなくなったのを確認して、俺は「ぷはっ」と布団から顔を出した。

「……………………っ、ああ~~~!!」

 最悪だ、やってしまった。しかも、満月とかそんなの関係ない。
 黒羽さんを強引に襲うような真似して、こんな、こんなの……。

「………………穴があったら入りたい」

 遊戯室を汚してしまったことも気になった。ハウスメイドがいるとしてもだ、アヴィドが遊んでいたビリヤード台を汚すような真似をしたのだ。
 鼻がいい魔物がいたら気付かれるのではないかとか、色んなことを考えてまた俺はそのまま枕に埋まる。

「うう、うう~~……っ」

 恥ずかしい。俺の馬鹿。クリュエルもクリュエルだ、せめて逃げるときに催淫も解いてくれ。
 時間を巻き戻してなにもかもやり直したかった。
 しかも、体の汚れも全部綺麗になってるし、黒羽がお風呂に入れて綺麗にしてくれたのだと思うと余計いたたまれない。
 どんな顔して会えばいいと言うのだ。
 ――けど、まずは謝らなければ、ちゃんと。

「はあ……っ」

 ……俺の馬鹿。
 ぼふん、ともう一回枕に埋めたまま、暫く決心つくまで俺は動くことはできなかった。
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