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第二章【祟り蛇と錆びた断頭台】
妖力(物理火力)
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どれほど歩いたのか分からない。
リューグの血が効いてきたのか、大分全身の痛みは引いていた。先程までの寒気も、火の玉たちのお陰で大分和らいでる。
リューグを頼りに歩いてきた俺は、最早自分が今どのあたりにいるのかもわからない。
巨大な地下牢の中、照らされた足下と二人の背中を追いかける。
どれ程通路の奥へと進んだときだろうか。
不意に、バチバチと何かがぶつかるような無数の羽撃きが聞こえてくる。リューグの後を追いかけるほどその音は確かに大きくなった。
そして、やがてとある行き止まりの前でリューグは足を止める。
「ここだな、あの烏がいるのは」
浮遊する火の玉に照らされたそこを見てぎょっとした。
黒い壁だと思っていたのは夥しい量の蝙蝠が張り付いていたからだ。
蝙蝠たちはリューグの姿を見るなり霧のように霧散し、消えた。
リューグは扉に近づき、そして、ドアノブを探す。
「……やっぱ簡単に開けれねえようになってるみたいだな」
「鍵……いや、鍵穴もないな……どうやって開けるんだ? これ……」
「まあ落ち着けよ。……なんのためにわざわざ遠回りしてこいつを拾ってきたと思ってるんだよ」
そう言って、リューグは後ろでオロオロしていた火威を指指した。指された本人は不意打ちを食らったように「え、ぼ、僕?!」と青褪めてる。
「え、ええっ、ここって絶対壊しちゃいけない場所だよね……?!僕怒られない?!」
「あんだけ牢ぶっ壊してて、今更怒られねえわけねーだろ。諦めろ」
「りゅ、リューグ君……君ってすごい他人事だと楽しそうだよね……?!」
一人百面相をする火威だが、俺はそれよりも火威の言葉に驚いた。弱気な火威だが、壊せるという部分は否定しないということは……自信があるということだ。
「で、できるのか……? ここ、すげー丈夫そうだけど……」
「まあ……扉自体を壊すのは大変そうだけど……要するに通れるようにすればいいんだよね?……こ、こんな蛆虫みたいな僕だけど……この壁に穴開けるくらいならできるよ」
弱気なのか強気なのかよくわからないが、逆にその言葉が頼もしく思えた。
……確かに、言われてみればこの捻くれたリューグがわざわざ頼る相手だ。期待していいのだろう。
「つーわけで、イナミ。離れた方がいいぜ」
「離れてた方がって……」
「火威、火力は足りるか?」
「……ぜ……贅沢言っていいなら、もう少しあると嬉しい」
「ったく仕方ねえな。……ほら火威」
人の質問も無視して、制服から何か取り出したリューグは火威に投げ渡し、火威は少し落としそうにしながらもそれを受け取る。
「なんだ、あれ」
「火威の餌」
餌って、と顔を顰めたとき、火威はリューグから受け取った小瓶のようなものの口を開いた。
そして「うへへ……」と薄気味悪い笑みを零しつつ、やつはぐっとその中に入ってる液体を押し流す。
離れた位置にいる俺にも聞こえるくらいごきゅごきゅと喉の音が聞こえてくる。いい飲みっぷりだが、何を飲んでるのだろうか。
……酒か?と、目を拵えたときだった。
薄暗かった周囲が、一気に明るくなったような気がしたが……違う。火威の全身から溢れんばかりの火が現れ、そしてやつの四肢に纏わりついていた。
急激に周囲の温度が上昇するのがわかる。思わず後ずさったとき、火威は持っていた瓶を捨てた。
そして、腹の底に溜まっていたもの全てを吐き出すかのような深い息を吐いたとき、やつの口から炎が溢れた。
「……やっぱ最高だわ、この味……そんでもってこの空気! ……すげえ……腹ン中漲ってくる……! こんな黴臭ぇ場所まで来てわざわざ断酒した甲斐があるってもんよ!」
邪魔臭そうな前髪を掻き上げた火威は、側にいたリューグの背中をバシバシと叩き、「なあ!リューグ坊っちゃんよぉ!!」と豪快に肩を組んでくる。
まるで人が変わったかのような……というか、寧ろこれは。
「っ、あ……あの……どちら様……?」
「まーそうなるわな」
「なんだぁ?! つれないこと言うじゃねえか曜!! まあいい、なんだっけ? このクソ安っぽい壁をぶっ壊してたやりゃあいいんだろ? つまんねーよなぁ、どうせならこの家畜くせー地下丸ごとぶっ壊してやりてぇくらいだ」
「おい火威、それはまた後でな」
「おっ、やる気か?! いいねえ、流石坊っちゃんは俺の期待を裏切らねえ」
「乗りかかった船だ、こうなりゃ最後まで付き合ってやるよ。あのいけ好かねえ獄長にも一泡吹かせてやりてえところだったんだよ」ガハハと豪快に笑う火威、その声のデカさに比例するかのように周囲を取り巻く炎の渦も苛烈さを増す。
熱い、暑苦しい、二重の意味で。
「こいつ、火力上がるとキャラ変わるから」
「変わりすぎだろ……! 二重人格レベルだぞ……! しかもすげー熱い……!」
「そうだな、このままじゃ俺たちまで丸焼きになるだろうな」
「冗談だろ?!」と青褪める俺に、リューグは「まあ落ち着けよ」とか悠長なこと言って俺を小脇に抱き抱える。
待って、流石の俺でもこんなにホイホイ持ち運びやすい荷物扱いされると日本男児としてのプライドが傷付けられるんだが?!とジタバタするもリューグはガン無視。
「じゃあ火威、一丁頼んだぞ」
「おう、任せときな坊っちゃん」
そう火威と軽く言葉を交わし、リューグは俺を抱えたまま扉の前から離れる。
軽々と駆け出すリューグに荷物さながら揺らされつつ、俺は振り落とされないようにやつにしがみつくしかない。
「っと、ここまでくりゃあ……」
体感、大分火威から離れたところでリューグが足を止める。
そして、今まで通ってきた通路を振り返ろうとした矢先だった。リューグの肩越しに、恐ろしいものを見た。
それは白に近い閃光だ。白が迫る。続いて、世界から音が消えた。
「っ、やべ」
そう、リューグが舌打ちをしたとき。やつに抱き締められる。その温もりを感じる暇も、やめろと振り払う時間もなかった。
熱風が襲いかかる。まともに食らってたら全身火傷になってるんじゃないかってレベルの熱風だが、リューグに抱き締められたお陰でまともに食らうことはなかった。
けれど。
遠くから聞こえてくる建物の一部が崩れるような轟音が響き、リューグは俺を離した。
「……あいつ、手加減知らねえのかよ。……おい、大丈夫か?」
「ん、なんとか……あり……」
「……あり?」
つい癖で言い掛けて、相手がリューグだということを思い出す。にやりと笑うリューグに思わず口を噤んだが、よく見るとやつの背中部分が煤で汚れてるのを見て、庇ってもらったことを思い出す。
「……ありがと……」
癪ではあるが、一応助けてもらったお礼はする。……これで変な借りを作るのも嫌だった。
が、案の定リューグはニヤニヤと笑い、「どういたしましてー」と小馬鹿にしたように笑った。
「そろそろあいつも落ち着いた頃だろ、戻るか」
「お、おう……」
というわけで、俺たちは火威を置いてきたあの扉まで戻ることにしたのだが……先程まで何もなかった通路は所々ひび割れ、焼け、まだ僅かに火が残ってるところもあった。
熱が籠もってる。まるで別の空間に来たかのような錯覚を覚えるほどだ。
薄暗い通路、道中リューグに引っ張ってもらう。俺は一人でも歩けると言ったのだが、やつ曰く「お前がちまちま歩いてたら日が暮れる」とのことだったのでお姫様抱っこはなんとか逃れ、引っ張るに留めてもらった。
そして、黒羽が収容されてるはずの部屋、その扉の前。
壁もろとも爆発に巻き込まれたらしい、扉は跡形もなく吹き飛び、その先に続く空間が現れていた。
その壁だった場所付近、瓦礫の下敷きになってる男が一人。
「おい火威、ひーおーどーしーくーん」
瓦礫の下で気絶したそいつをぺちぺちと叩くリューグ。
火威は「う゛うーん……」と悪夢に魘されたような声を漏らす。
「起きろ、火事だぞ」
「えっ?! ほんと?!」
リューグの声に反応し、勢いよく飛び上がる火威。
先程以上に煤汚れ、爆風に煽られたのかボサボサになった火威は俺とリューグ、そして辺りを見渡した。
勿論、火事というのはリューグの嘘だ。火は残っていたがそれほどのものではない。それに気付いた火威はがっくりと落ち込んだ。
「……りゅ、リューグ君、嘘つくのはいいけどもっと不幸にならないような嘘ついてほしいな……」
「んだよ、幸せだったろ?」
「そんな幸せ儚すぎるよ……」
……良かった。リューグの言う通り、いつもの火威に戻ってるようだ。自力で瓦礫の下から這い出る火威。
先程までの熱気はない。残った火が燻るような匂いと硝煙がその場に残されてるだけだった。
壊された扉……否、壁の先は仄暗い。
先程の爆発に巻き込まれて部屋の中のものまでもが壊されているようだ。木っ端微塵になった棚に、床にはガラスの破片とよくわからない液体が飛び散っていた。
「……っとに悪趣味な野郎だな」
俺よりも先にその部屋へと入ったリューグは言いながら足下の謎の器具を拾い上げ、捨てる。
その部屋は、保管庫……のように見えた。試験管のような容器が保管され、展示されていた。先程の爆発で壁側の棚は壊れているようだが、それでも他の棚は結構頑丈な作りになっているらしい。被害はそれほど多くなかった。
「……ここに、黒羽さんがいるのか……?」
見た感じ、容器の中にはよくわからない生き物の亡骸……というわけではなく、変わった形の種や植物や鉱物がコレクションされているようだ。
独特のひんやりとした薬品臭い空気が流れるそこは、科学室を連想させた。俺の学校のものなんかと比べ物にならない量の薬品棚だが。
獄長、の部屋なのだろうか。到底、監獄には必要なさそうな施設だ。あの男のプライベート空間ということか。
辺りを見渡してみるが黒羽の姿どころか、この部屋の中には生命の気配は感じられない。
「居るっつってんだろ、いい加減俺のこと信じてくれてもいいんじゃないか?」
「って言われても、全然黒羽さん見当たらねーんだけど……」
「あっ、も、もしかしたらどこかに隠し扉があったりして、そこにいるとか……無いかな?!」
「……まあ、この部屋にはいなさそうだしな、その線が濃厚か?」
言うなり、どこからともなく一匹の蝙蝠飛んできて、リューグの肩に止まる。リューグの意志を汲み取ったように、その蝙蝠は黒い羽を広げ、部屋の中を飛び回る。
探させてる……のだろうか。天井付近で飛び回る蝙蝠を目で追いかけていたが、やがてリューグの使い魔の蝙蝠は更に奥、その棚の近くで止まった。
「……見つけた」
使い魔のもとへと向かうリューグ。その棚は薬品棚のようだ。
あらゆる形の小瓶が几帳面に並べられている。それを見ていた火威は、「ひいっ」と情けない声を上げた。
「ど、毒薬ばっかだよ……これ……」
「……見た感じここは拷問処刑用の薬品を取り扱う部屋みたいだな。獄吏の連中はまずここは使わねーだろうし、やっぱあの男の部屋だろ」
中には明らかに毒薬というかなんかよく見ると動いてるようなものもちらほらある。どのような効果があるのかなんて分かりたくもないが、碌でもないに違いない。
……それにしても、どうしてここに蝙蝠が止まったのだろうか。
気付けばリューグの肩へと止まっているそれを一瞥し、俺は棚を調べてみる。それは案外早く見つかった。
「りゅ、リューグ、火威……これって……」
棚の側面に怪しげな模様を見つけた。
隣にやってきたリューグは、俺の肩越しにそれを眺め、「はーん」と面倒臭そうそうに口にする。
「また随分と古典な……。厄介なもんを用意してくれるよなぁ」
赤黒い奇妙な形の紋様が書かれてる。魔法陣、なんて言葉が脳裏を過る。これが、だろうか。
漫画の世界だけだと思っていたが、けれどそんなものがここに書かれてるということは当たりなのではないだろうか。
「もしかしたら、この棚を動かせば黒羽さんに……」
「っ、あ、おい! それに触んじゃねえ!」
え、とリューグが俺の手を取るのと、指先がその魔法陣に触れるのはほぼ同時だった。
しまった。
舌打ちをするリューグに首根っこを掴まれ、その場から引き剥がされる。瞬間、部屋全体が巨大な檻へと変貌する。
「っ、ご、ごめ……俺……」
「っはー、くそっ、面倒臭えな……本当お前は余計なことばっかしやがってこのちんちくりん!」
「っ、二人共、喧嘩は後だよ!」
「来る」と、火威が身構える。その視線の先、壊された壁の向こう側。鎖の擦れる音とともに、複数の足音が響く。硬質な足音には聞き覚えがあった。
かなりの量、にも関わらず統率の取れたその足音は余計不安を掻き立てる。空気が張り詰め、刺すような緊張感が走る。
見渡す限りの黒、黒、黒。
肌を隠すように厚手の刑務官制服を着込み、仮面で顔を隠した獄吏達は仮面の下、真っ直ぐに俺たちを捉えていた。そしてその手には、様々な形の鉄製の武器が握られている。
それは、俺も知っていた。銃だ。その銃口は確かに檻の中の俺たちに向いている。
それが俺の知っている銃なのかどうかは不明だが、向けられるのは明らかな敵意だ。
そんな矢先だった。突然、向けていた銃口を下げた獄吏たちは一斉に道を開け、そして、奥から現れた人物に敬礼をする。
「……いくらマーソン家のご子息とはいえ、おいたが過ぎるな」
地を這うような低い声から滲み出るのは、憤怒だ。
武装した獄吏たちの先頭、現れたその男に、リューグは舌打ちをする。
濡れた黒髪、その下の鋭い目がこちらを確かに見た。
暗闇でも分かるほど光る赤い目に、咄嗟に俺は視線を外した。けれど、「曜」と名前を呼ばれれば、体が反応する。心拍数は上がり、腹の奥が嫌に熱を帯びた。
「こんなところにまで来て……何やら探し物をしていたようだが肝心の探し物は見つかったのか?」
「……っ!」
「……まあ、こんな場所にあるわけなかろうがな。貴様、『これ』を探していたのだろう」
そう、獄長は側にいた獄吏を呼び出した。そして、獄吏が持ち出した檻、その中に収まった毛玉に「黒羽さん!」と思わず声をあげた。
……けれど、様子がおかしい。俺が呼べばすぐにでも反応しそうな黒羽さんなのに、丸まったまま反応はない。
「っ、黒羽さんから手を離せ!」
「口を慎め。……貴様はまだ立場が分かっていないようだな」
「っ、立場が分かってないのはお前の方じゃないのか……っ」
そう、堪らず言い返したときだった。獄吏に躊躇なく銃口を向けられる。威嚇行為だと思っていたが、その獄吏は躊躇なく発砲した。
視界が一瞬白く点滅した。やばい、と頭が追い付くよりも先に、体を抱き締められた。
「っ、リューグ君!」
人間にしては低い体温だが、それでも、微かに熱を持ったその体温に、ぎょっとした。
火威の悲鳴に、恐る恐る顔を上げれば、俺を抱き締めて庇ったリューグがいた。
「っ、な……」
「取り敢えず……落ち着け、今は分が悪い」
リューグ、と名前を呼ぶよりも先に、やつに耳打ちされる。肩に銃弾を食らったやつは、微かに不快そうな顔をして、それから自分の傷口から銃弾を取り除いた。制服に、赤い血が滲む。
「ごめん」と言い掛けるが、やつはそれを無視し、俺の前に立つ。
「それで? ……わざわざこんなところに誘き寄せるような細工しやがって……今度こそ俺たちをいい部屋までご招待してくれるつもりか? ……さっきみてーな魚くせえところは勘弁しろよ」
「そうしてやりたいところだが、こちらとお前らに構ってる暇もない。……全員分の墓なら用意してやらんこともないがな」
「……正気か?」
「脱獄どころか、獄長である俺に楯突くなどとは万死に値する。……獄長である俺自らがこの場で処刑やるんだ、感謝することだな」
別の獄吏から受け取った長身の銃を構える。
汗が滲む。リューグが火威たちに死という概念がないから大丈夫、とは思えなかった。やつの口ぶりからして、相応の凶器を用意したということには違いない。
「吸血鬼の心臓に何発銀の鉛弾を打ち込めば絶命するのか。……非常に興味深い」
黒羽を助けて、ここを抜け出して、この獄吏たちから逃げて、獄長をどうにかするしかない。けれど、どうやって。まずは目の前の銃口から逃げなければ、と思うが、それを考える余裕すらなかった。
リューグに向けられた銃口。その引き金を引くのとほぼ同時だった。
破裂音ともに、室内に光が広がる。
何かがおかしい、そう思ったのと、檻の付近が爆発したのはほぼ同時だった。
そういう弾なのかと思ったが、獄長の様子からして違うらしい。弾が、リューグに届く前に意図せず爆発したようだ。鉄格子がひしゃげる。立ち込める硝煙に、俺は、咄嗟に火威を振り返った。
「リューグ君! 曜君! こっちだ!」
そう離れていない位置すらも見えなくなるほどの硝煙の中、火威の声が響く。
「小癪な真似を……ッ! 視界が利くまで撃つな! 連中の逃げ道は一つしかない、包囲を緩めるな、捕獲を優先させろ!」
ざわつく空気の中。響く獄長の声に獄吏たちが声を揃えて応える。リューグに引っ張られ、獄長たち側から引き離されたときだ。
何かが割れる音がした。「まさか」と息を飲んだ矢先、煙の中、影が動く。
そして次の瞬間だった。
天井が爆発する。そう、爆発だ。獄長達側とは逆の薬品倉庫奥の壁に穴が開く。落ちてくる瓦礫。かなり強引な真似をするが、毒薬が並べられたその棚の薬は撤去してたらしい、代わりに棚だけが爆発の被害を受けていた。
破壊された魔法陣、代わりにその棚の下から現れた隠し通路に、リューグと火威は顔を見合わせる。
「……イナミ、行くぞ」
「っ、待って、黒羽さんが……!」
「あれは偽物だろ。反応なかったしただのぬいぐるみだな。……恐らく、本物はこっちだ」
「っ、……!!」
「リューグ君たちは先に降りて、僕は、道塞いで行くから」
「あぁ、頼んだ」
行くぞ、と俺の腕を引いたリューグは躊躇いなくその地下へと続く階段を駆け下りていく。引っ張られるように階段を降りていくが、進めば進むほど当たりは暗く、下手したら転んでしまいそうだった。
リューグの血が効いてきたのか、大分全身の痛みは引いていた。先程までの寒気も、火の玉たちのお陰で大分和らいでる。
リューグを頼りに歩いてきた俺は、最早自分が今どのあたりにいるのかもわからない。
巨大な地下牢の中、照らされた足下と二人の背中を追いかける。
どれ程通路の奥へと進んだときだろうか。
不意に、バチバチと何かがぶつかるような無数の羽撃きが聞こえてくる。リューグの後を追いかけるほどその音は確かに大きくなった。
そして、やがてとある行き止まりの前でリューグは足を止める。
「ここだな、あの烏がいるのは」
浮遊する火の玉に照らされたそこを見てぎょっとした。
黒い壁だと思っていたのは夥しい量の蝙蝠が張り付いていたからだ。
蝙蝠たちはリューグの姿を見るなり霧のように霧散し、消えた。
リューグは扉に近づき、そして、ドアノブを探す。
「……やっぱ簡単に開けれねえようになってるみたいだな」
「鍵……いや、鍵穴もないな……どうやって開けるんだ? これ……」
「まあ落ち着けよ。……なんのためにわざわざ遠回りしてこいつを拾ってきたと思ってるんだよ」
そう言って、リューグは後ろでオロオロしていた火威を指指した。指された本人は不意打ちを食らったように「え、ぼ、僕?!」と青褪めてる。
「え、ええっ、ここって絶対壊しちゃいけない場所だよね……?!僕怒られない?!」
「あんだけ牢ぶっ壊してて、今更怒られねえわけねーだろ。諦めろ」
「りゅ、リューグ君……君ってすごい他人事だと楽しそうだよね……?!」
一人百面相をする火威だが、俺はそれよりも火威の言葉に驚いた。弱気な火威だが、壊せるという部分は否定しないということは……自信があるということだ。
「で、できるのか……? ここ、すげー丈夫そうだけど……」
「まあ……扉自体を壊すのは大変そうだけど……要するに通れるようにすればいいんだよね?……こ、こんな蛆虫みたいな僕だけど……この壁に穴開けるくらいならできるよ」
弱気なのか強気なのかよくわからないが、逆にその言葉が頼もしく思えた。
……確かに、言われてみればこの捻くれたリューグがわざわざ頼る相手だ。期待していいのだろう。
「つーわけで、イナミ。離れた方がいいぜ」
「離れてた方がって……」
「火威、火力は足りるか?」
「……ぜ……贅沢言っていいなら、もう少しあると嬉しい」
「ったく仕方ねえな。……ほら火威」
人の質問も無視して、制服から何か取り出したリューグは火威に投げ渡し、火威は少し落としそうにしながらもそれを受け取る。
「なんだ、あれ」
「火威の餌」
餌って、と顔を顰めたとき、火威はリューグから受け取った小瓶のようなものの口を開いた。
そして「うへへ……」と薄気味悪い笑みを零しつつ、やつはぐっとその中に入ってる液体を押し流す。
離れた位置にいる俺にも聞こえるくらいごきゅごきゅと喉の音が聞こえてくる。いい飲みっぷりだが、何を飲んでるのだろうか。
……酒か?と、目を拵えたときだった。
薄暗かった周囲が、一気に明るくなったような気がしたが……違う。火威の全身から溢れんばかりの火が現れ、そしてやつの四肢に纏わりついていた。
急激に周囲の温度が上昇するのがわかる。思わず後ずさったとき、火威は持っていた瓶を捨てた。
そして、腹の底に溜まっていたもの全てを吐き出すかのような深い息を吐いたとき、やつの口から炎が溢れた。
「……やっぱ最高だわ、この味……そんでもってこの空気! ……すげえ……腹ン中漲ってくる……! こんな黴臭ぇ場所まで来てわざわざ断酒した甲斐があるってもんよ!」
邪魔臭そうな前髪を掻き上げた火威は、側にいたリューグの背中をバシバシと叩き、「なあ!リューグ坊っちゃんよぉ!!」と豪快に肩を組んでくる。
まるで人が変わったかのような……というか、寧ろこれは。
「っ、あ……あの……どちら様……?」
「まーそうなるわな」
「なんだぁ?! つれないこと言うじゃねえか曜!! まあいい、なんだっけ? このクソ安っぽい壁をぶっ壊してたやりゃあいいんだろ? つまんねーよなぁ、どうせならこの家畜くせー地下丸ごとぶっ壊してやりてぇくらいだ」
「おい火威、それはまた後でな」
「おっ、やる気か?! いいねえ、流石坊っちゃんは俺の期待を裏切らねえ」
「乗りかかった船だ、こうなりゃ最後まで付き合ってやるよ。あのいけ好かねえ獄長にも一泡吹かせてやりてえところだったんだよ」ガハハと豪快に笑う火威、その声のデカさに比例するかのように周囲を取り巻く炎の渦も苛烈さを増す。
熱い、暑苦しい、二重の意味で。
「こいつ、火力上がるとキャラ変わるから」
「変わりすぎだろ……! 二重人格レベルだぞ……! しかもすげー熱い……!」
「そうだな、このままじゃ俺たちまで丸焼きになるだろうな」
「冗談だろ?!」と青褪める俺に、リューグは「まあ落ち着けよ」とか悠長なこと言って俺を小脇に抱き抱える。
待って、流石の俺でもこんなにホイホイ持ち運びやすい荷物扱いされると日本男児としてのプライドが傷付けられるんだが?!とジタバタするもリューグはガン無視。
「じゃあ火威、一丁頼んだぞ」
「おう、任せときな坊っちゃん」
そう火威と軽く言葉を交わし、リューグは俺を抱えたまま扉の前から離れる。
軽々と駆け出すリューグに荷物さながら揺らされつつ、俺は振り落とされないようにやつにしがみつくしかない。
「っと、ここまでくりゃあ……」
体感、大分火威から離れたところでリューグが足を止める。
そして、今まで通ってきた通路を振り返ろうとした矢先だった。リューグの肩越しに、恐ろしいものを見た。
それは白に近い閃光だ。白が迫る。続いて、世界から音が消えた。
「っ、やべ」
そう、リューグが舌打ちをしたとき。やつに抱き締められる。その温もりを感じる暇も、やめろと振り払う時間もなかった。
熱風が襲いかかる。まともに食らってたら全身火傷になってるんじゃないかってレベルの熱風だが、リューグに抱き締められたお陰でまともに食らうことはなかった。
けれど。
遠くから聞こえてくる建物の一部が崩れるような轟音が響き、リューグは俺を離した。
「……あいつ、手加減知らねえのかよ。……おい、大丈夫か?」
「ん、なんとか……あり……」
「……あり?」
つい癖で言い掛けて、相手がリューグだということを思い出す。にやりと笑うリューグに思わず口を噤んだが、よく見るとやつの背中部分が煤で汚れてるのを見て、庇ってもらったことを思い出す。
「……ありがと……」
癪ではあるが、一応助けてもらったお礼はする。……これで変な借りを作るのも嫌だった。
が、案の定リューグはニヤニヤと笑い、「どういたしましてー」と小馬鹿にしたように笑った。
「そろそろあいつも落ち着いた頃だろ、戻るか」
「お、おう……」
というわけで、俺たちは火威を置いてきたあの扉まで戻ることにしたのだが……先程まで何もなかった通路は所々ひび割れ、焼け、まだ僅かに火が残ってるところもあった。
熱が籠もってる。まるで別の空間に来たかのような錯覚を覚えるほどだ。
薄暗い通路、道中リューグに引っ張ってもらう。俺は一人でも歩けると言ったのだが、やつ曰く「お前がちまちま歩いてたら日が暮れる」とのことだったのでお姫様抱っこはなんとか逃れ、引っ張るに留めてもらった。
そして、黒羽が収容されてるはずの部屋、その扉の前。
壁もろとも爆発に巻き込まれたらしい、扉は跡形もなく吹き飛び、その先に続く空間が現れていた。
その壁だった場所付近、瓦礫の下敷きになってる男が一人。
「おい火威、ひーおーどーしーくーん」
瓦礫の下で気絶したそいつをぺちぺちと叩くリューグ。
火威は「う゛うーん……」と悪夢に魘されたような声を漏らす。
「起きろ、火事だぞ」
「えっ?! ほんと?!」
リューグの声に反応し、勢いよく飛び上がる火威。
先程以上に煤汚れ、爆風に煽られたのかボサボサになった火威は俺とリューグ、そして辺りを見渡した。
勿論、火事というのはリューグの嘘だ。火は残っていたがそれほどのものではない。それに気付いた火威はがっくりと落ち込んだ。
「……りゅ、リューグ君、嘘つくのはいいけどもっと不幸にならないような嘘ついてほしいな……」
「んだよ、幸せだったろ?」
「そんな幸せ儚すぎるよ……」
……良かった。リューグの言う通り、いつもの火威に戻ってるようだ。自力で瓦礫の下から這い出る火威。
先程までの熱気はない。残った火が燻るような匂いと硝煙がその場に残されてるだけだった。
壊された扉……否、壁の先は仄暗い。
先程の爆発に巻き込まれて部屋の中のものまでもが壊されているようだ。木っ端微塵になった棚に、床にはガラスの破片とよくわからない液体が飛び散っていた。
「……っとに悪趣味な野郎だな」
俺よりも先にその部屋へと入ったリューグは言いながら足下の謎の器具を拾い上げ、捨てる。
その部屋は、保管庫……のように見えた。試験管のような容器が保管され、展示されていた。先程の爆発で壁側の棚は壊れているようだが、それでも他の棚は結構頑丈な作りになっているらしい。被害はそれほど多くなかった。
「……ここに、黒羽さんがいるのか……?」
見た感じ、容器の中にはよくわからない生き物の亡骸……というわけではなく、変わった形の種や植物や鉱物がコレクションされているようだ。
独特のひんやりとした薬品臭い空気が流れるそこは、科学室を連想させた。俺の学校のものなんかと比べ物にならない量の薬品棚だが。
獄長、の部屋なのだろうか。到底、監獄には必要なさそうな施設だ。あの男のプライベート空間ということか。
辺りを見渡してみるが黒羽の姿どころか、この部屋の中には生命の気配は感じられない。
「居るっつってんだろ、いい加減俺のこと信じてくれてもいいんじゃないか?」
「って言われても、全然黒羽さん見当たらねーんだけど……」
「あっ、も、もしかしたらどこかに隠し扉があったりして、そこにいるとか……無いかな?!」
「……まあ、この部屋にはいなさそうだしな、その線が濃厚か?」
言うなり、どこからともなく一匹の蝙蝠飛んできて、リューグの肩に止まる。リューグの意志を汲み取ったように、その蝙蝠は黒い羽を広げ、部屋の中を飛び回る。
探させてる……のだろうか。天井付近で飛び回る蝙蝠を目で追いかけていたが、やがてリューグの使い魔の蝙蝠は更に奥、その棚の近くで止まった。
「……見つけた」
使い魔のもとへと向かうリューグ。その棚は薬品棚のようだ。
あらゆる形の小瓶が几帳面に並べられている。それを見ていた火威は、「ひいっ」と情けない声を上げた。
「ど、毒薬ばっかだよ……これ……」
「……見た感じここは拷問処刑用の薬品を取り扱う部屋みたいだな。獄吏の連中はまずここは使わねーだろうし、やっぱあの男の部屋だろ」
中には明らかに毒薬というかなんかよく見ると動いてるようなものもちらほらある。どのような効果があるのかなんて分かりたくもないが、碌でもないに違いない。
……それにしても、どうしてここに蝙蝠が止まったのだろうか。
気付けばリューグの肩へと止まっているそれを一瞥し、俺は棚を調べてみる。それは案外早く見つかった。
「りゅ、リューグ、火威……これって……」
棚の側面に怪しげな模様を見つけた。
隣にやってきたリューグは、俺の肩越しにそれを眺め、「はーん」と面倒臭そうそうに口にする。
「また随分と古典な……。厄介なもんを用意してくれるよなぁ」
赤黒い奇妙な形の紋様が書かれてる。魔法陣、なんて言葉が脳裏を過る。これが、だろうか。
漫画の世界だけだと思っていたが、けれどそんなものがここに書かれてるということは当たりなのではないだろうか。
「もしかしたら、この棚を動かせば黒羽さんに……」
「っ、あ、おい! それに触んじゃねえ!」
え、とリューグが俺の手を取るのと、指先がその魔法陣に触れるのはほぼ同時だった。
しまった。
舌打ちをするリューグに首根っこを掴まれ、その場から引き剥がされる。瞬間、部屋全体が巨大な檻へと変貌する。
「っ、ご、ごめ……俺……」
「っはー、くそっ、面倒臭えな……本当お前は余計なことばっかしやがってこのちんちくりん!」
「っ、二人共、喧嘩は後だよ!」
「来る」と、火威が身構える。その視線の先、壊された壁の向こう側。鎖の擦れる音とともに、複数の足音が響く。硬質な足音には聞き覚えがあった。
かなりの量、にも関わらず統率の取れたその足音は余計不安を掻き立てる。空気が張り詰め、刺すような緊張感が走る。
見渡す限りの黒、黒、黒。
肌を隠すように厚手の刑務官制服を着込み、仮面で顔を隠した獄吏達は仮面の下、真っ直ぐに俺たちを捉えていた。そしてその手には、様々な形の鉄製の武器が握られている。
それは、俺も知っていた。銃だ。その銃口は確かに檻の中の俺たちに向いている。
それが俺の知っている銃なのかどうかは不明だが、向けられるのは明らかな敵意だ。
そんな矢先だった。突然、向けていた銃口を下げた獄吏たちは一斉に道を開け、そして、奥から現れた人物に敬礼をする。
「……いくらマーソン家のご子息とはいえ、おいたが過ぎるな」
地を這うような低い声から滲み出るのは、憤怒だ。
武装した獄吏たちの先頭、現れたその男に、リューグは舌打ちをする。
濡れた黒髪、その下の鋭い目がこちらを確かに見た。
暗闇でも分かるほど光る赤い目に、咄嗟に俺は視線を外した。けれど、「曜」と名前を呼ばれれば、体が反応する。心拍数は上がり、腹の奥が嫌に熱を帯びた。
「こんなところにまで来て……何やら探し物をしていたようだが肝心の探し物は見つかったのか?」
「……っ!」
「……まあ、こんな場所にあるわけなかろうがな。貴様、『これ』を探していたのだろう」
そう、獄長は側にいた獄吏を呼び出した。そして、獄吏が持ち出した檻、その中に収まった毛玉に「黒羽さん!」と思わず声をあげた。
……けれど、様子がおかしい。俺が呼べばすぐにでも反応しそうな黒羽さんなのに、丸まったまま反応はない。
「っ、黒羽さんから手を離せ!」
「口を慎め。……貴様はまだ立場が分かっていないようだな」
「っ、立場が分かってないのはお前の方じゃないのか……っ」
そう、堪らず言い返したときだった。獄吏に躊躇なく銃口を向けられる。威嚇行為だと思っていたが、その獄吏は躊躇なく発砲した。
視界が一瞬白く点滅した。やばい、と頭が追い付くよりも先に、体を抱き締められた。
「っ、リューグ君!」
人間にしては低い体温だが、それでも、微かに熱を持ったその体温に、ぎょっとした。
火威の悲鳴に、恐る恐る顔を上げれば、俺を抱き締めて庇ったリューグがいた。
「っ、な……」
「取り敢えず……落ち着け、今は分が悪い」
リューグ、と名前を呼ぶよりも先に、やつに耳打ちされる。肩に銃弾を食らったやつは、微かに不快そうな顔をして、それから自分の傷口から銃弾を取り除いた。制服に、赤い血が滲む。
「ごめん」と言い掛けるが、やつはそれを無視し、俺の前に立つ。
「それで? ……わざわざこんなところに誘き寄せるような細工しやがって……今度こそ俺たちをいい部屋までご招待してくれるつもりか? ……さっきみてーな魚くせえところは勘弁しろよ」
「そうしてやりたいところだが、こちらとお前らに構ってる暇もない。……全員分の墓なら用意してやらんこともないがな」
「……正気か?」
「脱獄どころか、獄長である俺に楯突くなどとは万死に値する。……獄長である俺自らがこの場で処刑やるんだ、感謝することだな」
別の獄吏から受け取った長身の銃を構える。
汗が滲む。リューグが火威たちに死という概念がないから大丈夫、とは思えなかった。やつの口ぶりからして、相応の凶器を用意したということには違いない。
「吸血鬼の心臓に何発銀の鉛弾を打ち込めば絶命するのか。……非常に興味深い」
黒羽を助けて、ここを抜け出して、この獄吏たちから逃げて、獄長をどうにかするしかない。けれど、どうやって。まずは目の前の銃口から逃げなければ、と思うが、それを考える余裕すらなかった。
リューグに向けられた銃口。その引き金を引くのとほぼ同時だった。
破裂音ともに、室内に光が広がる。
何かがおかしい、そう思ったのと、檻の付近が爆発したのはほぼ同時だった。
そういう弾なのかと思ったが、獄長の様子からして違うらしい。弾が、リューグに届く前に意図せず爆発したようだ。鉄格子がひしゃげる。立ち込める硝煙に、俺は、咄嗟に火威を振り返った。
「リューグ君! 曜君! こっちだ!」
そう離れていない位置すらも見えなくなるほどの硝煙の中、火威の声が響く。
「小癪な真似を……ッ! 視界が利くまで撃つな! 連中の逃げ道は一つしかない、包囲を緩めるな、捕獲を優先させろ!」
ざわつく空気の中。響く獄長の声に獄吏たちが声を揃えて応える。リューグに引っ張られ、獄長たち側から引き離されたときだ。
何かが割れる音がした。「まさか」と息を飲んだ矢先、煙の中、影が動く。
そして次の瞬間だった。
天井が爆発する。そう、爆発だ。獄長達側とは逆の薬品倉庫奥の壁に穴が開く。落ちてくる瓦礫。かなり強引な真似をするが、毒薬が並べられたその棚の薬は撤去してたらしい、代わりに棚だけが爆発の被害を受けていた。
破壊された魔法陣、代わりにその棚の下から現れた隠し通路に、リューグと火威は顔を見合わせる。
「……イナミ、行くぞ」
「っ、待って、黒羽さんが……!」
「あれは偽物だろ。反応なかったしただのぬいぐるみだな。……恐らく、本物はこっちだ」
「っ、……!!」
「リューグ君たちは先に降りて、僕は、道塞いで行くから」
「あぁ、頼んだ」
行くぞ、と俺の腕を引いたリューグは躊躇いなくその地下へと続く階段を駆け下りていく。引っ張られるように階段を降りていくが、進めば進むほど当たりは暗く、下手したら転んでしまいそうだった。
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