強制補習ヘドニズム

田原摩耶

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エリア1・始まりの町

一難去って※

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 同時刻、半壊した宿屋二階。
 仲間たちがモンスターたちに追われてる頃、同じくモンスターたちに襲われた後の伯万玄竜だったがすっかり調子に乗っていた。
 あの生意気なアンドロイドの弱味を握れた。
 そのことだけが愉快で愉快で堪らなかったのだが。

「は、くまさ……っ」
「あぁ?動くなよ……ちゃんと、塗れねぇだうぶっ」

 火傷の後に指を這わせた瞬間、問答無用で顔面を押し潰される。

「て、てめぇ、この何しやがる……」
「……大丈夫だと、言ってるじゃありませんか」

 骨ばった佐藤の手首を掴み、なんとか視界を塞ごうとしてくるその手を引き剥がそうとするが中々佐藤も粘るのだ。

「俺に気遣いは不要です。それよりも、自分の怪我を……」
「ほんっとに、可愛げのねえロボだなお前は……っ」
「ですからロボでは……んん……っ」

 何度目になるかも分からないやりとりを繰り返しながらも、薄い胸板をぐっと掴み、抱き寄せれば確かに腕の中の佐藤の体が反応する。

「こういう時は、ありがとうございますだろ?」
「余計な……っお世話です、今すぐその手を離して下さい……っ」
「まだ言うかよ、この……っ」

 どこまでも負けず嫌いというか強情な無機物にカチンと来たが、どこまで佐藤が強がったところで今のやつには自分に敵わない。
 そのことに気付いてしまった伯万は怒鳴りそうになった寸でのところで留まり、そして笑う。

「……お前、まだ自分の立場が分かってねぇみたいだな」

 皮膚に掌を這わせれば垂らしたポーションでぬるりと滑る。
 指の先、硬く凝った突起の感触が触れ、躊躇いもなくそれを摘んだ。
 瞬間、

「く、ぅ……ッ!」

 顔に触れていた佐藤の手が離れた。
 遮るものがなくなった視界に佐藤が映る。
 指から逃げるよう前屈みになり腕を掴んでくる佐藤に、「馬鹿だな」と伯万は笑う。
 いくら逃げようとしたところで、こちらからは弱点が丸見えだ。
 逃げられるわけがない。

「ぁ、や……や、止めて下さ……っ」
「あぁ……今のはちょっと可愛げがあるな」

 そう、もう片方の胸に指を伸ばし、同様ツンと尖った乳首に指を這わせる。
 非実在人物だと分かっていても、ここまでリアルだと生身の相手よりもくるものがある。

「は、伯万さん……っ?!」

 目を丸くし、こちらを見上げてくる佐藤の生死を無視し摘んだ両胸の突起を指の腹で柔らかく潰す。
 ビクリと震える細い肩。
 逃げ腰になる佐藤を壁に押し付け、執拗に小さな突起を揉み扱けば徐々に佐藤の顔色が変わっていくのが分かった。

「っぅ、ん、んん……っ」

 それでも尚、逃げようとすることを諦めようとせず身を捩らせる佐藤に無意識の内に指先に力が籠もる。
 乳輪ごと指先で揉めば、壁に背中を擦り付けながらも佐藤の息は徐々に乱れていく。
 そのくせ声だけは出さまいと唇を噛み締める佐藤の態度が余計加虐心を煽り、伯万は乾いた唇を舐め、赤く充血した乳首を強く押し潰した。
 その瞬間、確かに「ぁッ」と佐藤の口から甘い声が漏れる。
 その事に佐藤自身も気付いたのだろう。
 じわじわと赤くなる佐藤に堪らず伯万は噴き出した。

「おいおい、変な声出してんじゃねえよ。こっちは心配して治療、してやってんのにさぁ?」
「ッ、なにを、馬鹿な……っ」
「馬鹿だと?人の善意を馬鹿扱いかよ、サポーター様は」

 あの小憎たらしいアンドロイドを甚振るなんてこんな最高の機会はない。
 身動きの取れないように壁に押し付け乳首を捏ねくり回す度にあの佐藤が弱々しくなっていくのが楽しくて、尚も執拗に指先で弄ぶ。

「っや、め……」

 そう睨んでくる瞳は濡れ、わずかに赤くなっている。
 その表情は普段の無機質さは感じさせず、寧ろ、酷く生生しくて。無意識に伯万は唾を飲んだ。

「そんな顔されて止めるかっての、ふつ…………ん?」

 そう、言い掛けた矢先だった。外の方がやけに騒がしいのだ。
 ――足音、いや、獣の咆哮。それに……人の声か?
 なんだか嫌な予感がして手を止める伯万同様、佐藤も異変に気付いたようだ。

「この反応は……!」

 なにやら険しい表情になる佐藤にますます嫌な予感が強まる。
 そして、その伯万の不安は的中した。

『ウオオオオオオ!!!』

 突如、轟音とともに建物全体が揺れる。
 確実に人ではない何かが突っ込んだ音だろう。それも、無数の。
 そして、その音はこの宿屋の一階からで。

「ちょ、このタイミングでかよ……!」
「伯万さん、戦闘の準備を!」
「お前の臨機応変さにもビックリだよッ!」

 せっかくいいところだったのに。
 ドサクサに紛れていつの間にかに自分の腕から逃げ出していた佐藤にもだが、ゆっくり休ませる気もないのか、この世界は。
 舌打ち混じりに伯万は壁に立て掛けていた長剣を手に取った。
 そして、向かう先は宿屋の一階。
 団体様で賑わっていることであろう図を想像し溜息が出る反面、肉を真っ二つにするあの感触を思い出し少しだけワクワクしている自分に気付いたが、気付かなかったことにする。
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