37 / 92
モンスターファミリー
原田家ツアー参加者二名 *店長side
しおりを挟む
「というわけで、出発進行!」
「店長、声うるさいです」
「す……すまない……」
店を紀平に任せ、駐車場に停めてある司の車へと乗り込んだ俺たち。
目的地は勿論原田の家だ。目的は、言わずもがな原田救出だ。
本当なら他人の家の問題に、ましてや未奈人先輩に首を突っ込みたくないのだが先輩の性格を知っている俺としては帰るのを嫌がる原田が無下で仕方ない。
つまりはまあ、お節介だ。あとは原田がいると色々都合がいい。ちょっかいかけようとシフト入れてくるサボり魔が多いことも事実だ。
というわけで、そのサボり魔の一人、時川司の運転する車で向かうことにしたのだが。
「ところで、喉乾きませんか。コンビニ寄っていいです?あと、向こうの方ってトイレあるんですかね。あ、ハンバーガー…」
「時川、お前実はものすごく観光気分だろ」
車を走らせるなりあっちこっち目移りする時川は腹が減っているのだろうか。人の返事も待たずにコンビニ駐車場に停車する時川。
「……そんなことこないですよ。原田さんのことは気になってますけど」
眉を顰める俺に、特にムキになるわけでもなく変わらない調子で答える時川は珍しく口籠る。
なんとなく気になって「けど?」と続きを促せば、窓の外を見つめたまま時川はぽつりと呟いた。
「腹が減っては戦は出来ぬ、っていうじゃないですか」
「お前、戦争を仕掛けるつもりか……!」
「…………」
「そしてここでまさかのノーコメント……!」
時川が冗談を言うようなやつとは思わなかったし、じゃないにしてもなかなか物騒なやつめ。
そこまで原田が気になるのか?青春かこの野郎…と思いながら横目でやつを盗み見ればめっちゃ目がきらきらしてる。あ、違うこれただの好奇心だ。下世話な好奇心の目だ。
「ま……まあいい。ならば好きなだけ腹ごしらえをしてくるがいい!」
「って言った側から居ない!」ごほんと咳払いした矢先に車を降りコンビニへと向かう時川。
本当こいつマイペースというかなんなんだこいつは!
「時川、肉まんも頼む!」
道程は長い。
「店長、声うるさいです」
「す……すまない……」
店を紀平に任せ、駐車場に停めてある司の車へと乗り込んだ俺たち。
目的地は勿論原田の家だ。目的は、言わずもがな原田救出だ。
本当なら他人の家の問題に、ましてや未奈人先輩に首を突っ込みたくないのだが先輩の性格を知っている俺としては帰るのを嫌がる原田が無下で仕方ない。
つまりはまあ、お節介だ。あとは原田がいると色々都合がいい。ちょっかいかけようとシフト入れてくるサボり魔が多いことも事実だ。
というわけで、そのサボり魔の一人、時川司の運転する車で向かうことにしたのだが。
「ところで、喉乾きませんか。コンビニ寄っていいです?あと、向こうの方ってトイレあるんですかね。あ、ハンバーガー…」
「時川、お前実はものすごく観光気分だろ」
車を走らせるなりあっちこっち目移りする時川は腹が減っているのだろうか。人の返事も待たずにコンビニ駐車場に停車する時川。
「……そんなことこないですよ。原田さんのことは気になってますけど」
眉を顰める俺に、特にムキになるわけでもなく変わらない調子で答える時川は珍しく口籠る。
なんとなく気になって「けど?」と続きを促せば、窓の外を見つめたまま時川はぽつりと呟いた。
「腹が減っては戦は出来ぬ、っていうじゃないですか」
「お前、戦争を仕掛けるつもりか……!」
「…………」
「そしてここでまさかのノーコメント……!」
時川が冗談を言うようなやつとは思わなかったし、じゃないにしてもなかなか物騒なやつめ。
そこまで原田が気になるのか?青春かこの野郎…と思いながら横目でやつを盗み見ればめっちゃ目がきらきらしてる。あ、違うこれただの好奇心だ。下世話な好奇心の目だ。
「ま……まあいい。ならば好きなだけ腹ごしらえをしてくるがいい!」
「って言った側から居ない!」ごほんと咳払いした矢先に車を降りコンビニへと向かう時川。
本当こいつマイペースというかなんなんだこいつは!
「時川、肉まんも頼む!」
道程は長い。
13
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる