十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

和泉杏咲

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第2章 約束の店 その6

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それから、私たちは予備校で会う度、いつも2人でばかり話をしていた。

昨日は何時まで作った?
次はどんな絵を描く?
何かアドバイスは?

そんな、美術バカな会話ばかり。
だからだろうか。
同じ高校の人たちよりずっと、理玖と一緒にいるのが楽しかった。
理玖が高校に行かなかった理由も

「美術のことを何も知らない人といてもつまらない」

だったらしい……。
それですぐに大検を取れるのだから、頭の良さもやはり超一流だった。
さらに言えば……最初こそ、嫉妬で目を曇らせていたせいで気づかなかったが……理玖は、顔立ちも綺麗だった。

「まるで石膏像のような顔だね」

1度だけそう言ってみたことがあった。
その時、理玖はなんて言ったかというと……。

「おかげで鏡を見る度に課題を思い出すから困る」

半分ほどやっぱりムカついたが、半分くらいは同情した。
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