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6.二人が結ばれしまった夜

まだあれをやっていない

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「ほんと、いい加減にしてくれないか」
「あら。殿下のソレがツルツルだった頃から、殿下の幼馴染としてお世話してあげていた私に、その言い草ですの?」
「人の!大事な!初体験を覗き見する奴が幼馴染な俺は、不幸だな」
「あら、私が、動いたおかげで愛しいリーゼ様にそのちっちゃくて頼りないものを突っ込むことができたんでしょう?少しは、感謝して欲しいものね」
「あ、あの……」
「「なに!!?」」

 今、さっきまで熱い交わりを行っていた部屋の目の前で、この国のナンバー1&2の美人二人が言い合っているのを、主人の純潔を奪われたばかりのニーナが顔を両手で隠しながらぶった斬った。

「大変申し訳ないのですが、そのぶら下がっているものを隠していただくことは可能でしょうか」

 そのセリフに、美人の片方があっさりと乗っかってきた。

「そうよ。バスローブを羽織る余裕くらいはあったでしょう」
「心の余裕を奪った張本人が何を言う!!」
「仕方がありませんわね……隊長。ドレスの中からペチコートを脱いで、そこのチンアナゴに着せてやって」

 何故、よりのよってその選択肢なのかとニーナもエドヴィン王子も同時に思った。特にエドヴィン王子はできるだけ早くこの状況から解放されたかったこともあり、おとなしく全裸にペチコートという、一国の王子とは思えない姿になってから、アレクサンドラを睨みつけた。

「一体どう言うつもりだ。こんなことまでして。そんなに俺の弱みを握りたいのか」
「来世でも脅せるくらいの弱みを貰ってるのに、これ以上はいらないわ」
「ふざけるな!せっかく……こう……」
「リーゼ様のお身体を抱きしめて、朝まで眠りたいとか今更甘酸っぱい初恋野郎みたいなこと言うつもりじゃないでしょうね」
「…………」

 そのつもりだったんだな、とニーナは悟った。

「と、とにかく俺はもうひと頑張りしないといけないだろう。まだあれをやっていないんだから」

 そう言いながらエドヴィン王子はニーナをちらと見た。
 まるで、助けてくれとでも言いたげなエドヴィン王子の視線を浴びて、ニーナは胸焼けした気分になったが

「そうですね。最後の仕上げをして、リーゼ様の心をゲット!していただかなくては」

 私の不労所得のために、という言葉を飲み込みながらニーナはエドヴィン王子にメガネを渡した。

「あれをするときに、このメガネをリーゼ様にかけさせてください」
「そ、それはつまりここで俺の正体を明かすと、そういうことだな」
「はい」
「やっと……ついに俺は……俺として彼女を抱きしめてキスをして……」
「むっつりスケベ、きもっ」
「オープンエロのお前よりは何倍もマシだ。というわけで、ニーナ」

 エドヴィン王子は満面の笑みをニーナに向けながら

「お前には随分世話になった。本当にありがとう。望みのものは全て用意するからな」
「は、はあ……」

 ニーナは、あの可能性があることを言うべきだと思っていた。
 けれど自分のペチコートを履いたまま

「明日こそ、最中に俺の名前を呼んでもらうんだ」

 ウキウキしているエドヴィン王子を見て、さらに胸焼けがしたので

「望みのものは、色々ありますので、期待しておりますね」

 精一杯の作り笑いを浮かべながらニーナは言った。
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