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6.二人が結ばれしまった夜

シチュエーションそのものが訴えかけてくるのだ。ヤれと

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 そんなこんなで、あれよあれよという間にエドヴィン王子とリーゼは到着してしまったのだ。エドヴィン王子が夜一人でリーゼを思い、これまた毎晩あれやこれやと口には出せないことをしている寝室に。
 見飽きたはずなのに、エドヴィン王子には天国以上の特別な空間に見えてしまっている。それもそのはず。

「ここは……どなたかのお部屋?」
「それは、だな……」

 可愛い妖精のような顔をきょろきょろと動かしながら、リーゼは自分がどこにいるのかを把握しようとしていた。
 ただ、視力が(こちらの策略とはいえ)限りなく低いリーゼには、自室なのかそうじゃないのか区別がつかないはずだった。
 なぜならば、灯りが一切つけられていなかったから。
 それが……色欲まみれの幼馴染の仕業であろうことは、エドヴィン王子はすぐに気づいた。
 
「はぁ……」
「どうなさいました?」
「ええと、ですね……」

 もう、この状況が何を示しているのかは分かる。
 シチュエーションそのものが訴えかけてくるのだ。ヤれと。
 それは、ずっとこの場所で夢見ていたことだった。
 でもそれはこんな形ではない。
 結婚式で純白のドレスに身を包んだリーゼと誓いのキスをして、指輪の交換をして、皆に祝福された後の、静まった夜で行われる初夜の儀式でこそ、妖精の純潔をもらうに相応しい。
 エドヴィン王子は、アレクサンドラが聞いたら「DTの妄想、ぷっ」と鼻で笑われるようなことを本気で目指していたのだ。
 体は、今すぐリーゼと1つになりたがっている。
 けれど、心は初夜まで待てと訴えかける。
 このままリーゼを寝かせ、自分は舞踏会に戻るべきだとも。

「あ、あの……」

 ベッドに横になったら?
 そう、エドヴィンがリーゼに言おうとした時に、それが起きた。
 少し距離が離れていたリーゼに自分の方を向いて欲しくて、つい手を伸ばしてリーゼの腰を掴んでしまった。
 そうして、くいっとリーゼをこちらに振り向かせるだけで良かったのだ。
 それなのに。

「「えっ」」

 ぱさりと、乾いた布の音と共に、リーゼのドレスが床へと落ちた。
 普通なら身につけているであろう、下着類は……透明だった。
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