45 / 85
Fight4 僕にはチャンス、くれないのか?
17.僕にはチャンス、くれないのか!?
しおりを挟む
「デート……?あいつと……?本気……?」
「ぶ、部下のプライベートまで口出しするなんて……私立の無駄に校則が厳しい学校の先生じゃないんですから!!部下の自由じゃないですか!」
それに。
「加藤さんだって井上さんとさっきまで」
「さっきからさあ、何なの、君」
「え」
「井上さん井上さんって。そんなに僕と井上さんをくっつけたいの?」
「……別に、私がくっつけたいわけじゃなくてですね……」
「でも君も僕と井上さんがくっつけばいいと思ってるんだろう!?」
「はい!?私は、あくまでそうだって周りが言うから……そうなんじゃないかと思って……」
「じゃあ……」
加藤さんが、その後少し無言になる。
言葉を、選んでいるようだった。
そして出てきた言葉は
「君は、僕が井上さんと付き合ってない方が良いって、思ってくれる?」
ど、どうした加藤さん。
ここに来て、急に上司ぶる態度じゃなくて……可愛い感じになってきたぞ……?
例えて言うなら、今までがるると唸ってたわんこが、急に甘えてきたという状態に近い。
「私が思うかどうかって、関係ないんじゃ」
「ある」
即答された。
「どうしてですか」
「本当に、ここまで言ってまだ分かんないの?」
あ。
加藤さん、今なんか、すごく苦しそうな顔をしてる。
でも、私だって苦しい。
加藤さんがどうしてこんなことをするのか、理由が分からないから。
「分かりません……分かるわけないじゃないですか!確かに仕事を教えてくれてありがたいって思うこともありますけど……」
私には、今まで何となく口にしないようにしていた、1つの疑問が胸を燻っていた。
酔った勢いというのは恐ろしくて、見ないようにしていたそれらを、あっという間にさらけ出してしまう。
「こうやって八つ当たりみたいなことされる程、どうして私は、加藤さんに嫌われないといけないんですか!」
はっと、自分が発した言葉を耳にして、しまったと思った。
と同時に、加藤さんがものすごく傷ついた顔をした。
「……僕は……そんなつもりは……」
「あ……そ、そうですか……」
お互い、ここで無言になる。
言いたいことを言い合った後というのは、どうしてこんなにも居づらい空気になってしまうもだろう。
加藤さんは、私の上に乗っかったまま、動かなくなってしまった。
「加藤さん……あの……?」
私が話しかけても、加藤さんはまばたきすらしない。
こんな加藤さん、初めてかもしれない。
「ど、どうしました……?」
どうしよう。
こんな時、どうすればいいんだろう……。
これは、何が原因?
もし、私の言葉が原因なら、とりあえず……。
「あの、失礼な事言ったなら、謝りますから……」
だから、とりあえず何でもいいから何か言ってー!!
そう思った時だった。
「……の?」
「へ?」
小声で小さく、加藤さんが何かをつぶやいた。
「あの、すみません、聞き取れなかったのでもう1度……お願いできますか?」
「だから!僕にはチャンス、くれないのか!?」
……チャンス?
一体何の?
「ぶ、部下のプライベートまで口出しするなんて……私立の無駄に校則が厳しい学校の先生じゃないんですから!!部下の自由じゃないですか!」
それに。
「加藤さんだって井上さんとさっきまで」
「さっきからさあ、何なの、君」
「え」
「井上さん井上さんって。そんなに僕と井上さんをくっつけたいの?」
「……別に、私がくっつけたいわけじゃなくてですね……」
「でも君も僕と井上さんがくっつけばいいと思ってるんだろう!?」
「はい!?私は、あくまでそうだって周りが言うから……そうなんじゃないかと思って……」
「じゃあ……」
加藤さんが、その後少し無言になる。
言葉を、選んでいるようだった。
そして出てきた言葉は
「君は、僕が井上さんと付き合ってない方が良いって、思ってくれる?」
ど、どうした加藤さん。
ここに来て、急に上司ぶる態度じゃなくて……可愛い感じになってきたぞ……?
例えて言うなら、今までがるると唸ってたわんこが、急に甘えてきたという状態に近い。
「私が思うかどうかって、関係ないんじゃ」
「ある」
即答された。
「どうしてですか」
「本当に、ここまで言ってまだ分かんないの?」
あ。
加藤さん、今なんか、すごく苦しそうな顔をしてる。
でも、私だって苦しい。
加藤さんがどうしてこんなことをするのか、理由が分からないから。
「分かりません……分かるわけないじゃないですか!確かに仕事を教えてくれてありがたいって思うこともありますけど……」
私には、今まで何となく口にしないようにしていた、1つの疑問が胸を燻っていた。
酔った勢いというのは恐ろしくて、見ないようにしていたそれらを、あっという間にさらけ出してしまう。
「こうやって八つ当たりみたいなことされる程、どうして私は、加藤さんに嫌われないといけないんですか!」
はっと、自分が発した言葉を耳にして、しまったと思った。
と同時に、加藤さんがものすごく傷ついた顔をした。
「……僕は……そんなつもりは……」
「あ……そ、そうですか……」
お互い、ここで無言になる。
言いたいことを言い合った後というのは、どうしてこんなにも居づらい空気になってしまうもだろう。
加藤さんは、私の上に乗っかったまま、動かなくなってしまった。
「加藤さん……あの……?」
私が話しかけても、加藤さんはまばたきすらしない。
こんな加藤さん、初めてかもしれない。
「ど、どうしました……?」
どうしよう。
こんな時、どうすればいいんだろう……。
これは、何が原因?
もし、私の言葉が原因なら、とりあえず……。
「あの、失礼な事言ったなら、謝りますから……」
だから、とりあえず何でもいいから何か言ってー!!
そう思った時だった。
「……の?」
「へ?」
小声で小さく、加藤さんが何かをつぶやいた。
「あの、すみません、聞き取れなかったのでもう1度……お願いできますか?」
「だから!僕にはチャンス、くれないのか!?」
……チャンス?
一体何の?
12
お気に入りに追加
210
あなたにおすすめの小説
【完】あなたから、目が離せない。
ツチノカヲリ
恋愛
入社して3年目、デザイン設計会社で膨大な仕事に追われる金目杏里(かなめあんり)は今日も徹夜で図面を引いていた。共に徹夜で仕事をしていた現場監理の松山一成(まつやまひとなり)は、12歳年上の頼れる男性。直属の上司ではないが金目の入社当時からとても世話になっている。お互い「人として」の好感は持っているものの、あくまで普通の会社の仲間、という間柄だった。ところがある夏、金目の30歳の誕生日をきっかけに、だんだんと二人の距離が縮まってきて、、、。
・全18話、エピソードによってヒーローとヒロインの視点で書かれています。
しっかりした期待の新人が来たと思えば、甘えたがりの犬に求婚された件
アバターも笑窪
恋愛
\甘えたイケメン×男前系お姉さんラブコメ/
ーーーーーーーーーーーー
今年三十歳を迎える羽多野 真咲は、深夜の自宅でべろべろに酔った部下を介抱していた。
二週間前に配属されたばかりの新しい部下、久世 航汰は、
「傾国」などとあだ名され、
周囲にトラブルを巻き起こして異動を繰り返してきた厄介者。
ところが、ふたを開けてみれば、久世は超がつくほどしっかりもので、
仕事はできて、真面目でさわやかで、しかもめちゃくちゃ顔がいい!
うまくやっていけそうと思った矢先、酒に酔い別人のように甘えた彼は、
醜態をさらした挙句、真咲に言う。
「すきです、すきすぎる……おれ、真咲さんと、けっこん、したい!」
トラブルメーカーを抱えて頭の痛い真咲と、真咲を溺愛する年下の部下。
真咲の下した決断は──
※ベリーズカフェ、小説家になろうにて掲載中の完結済み作品です。
モテ男とデキ女の奥手な恋
松丹子
恋愛
来るもの拒まず去るもの追わずなモテ男、神崎政人。
学歴、仕事共に、エリート過ぎることに悩む同期、橘彩乃。
ただの同期として接していた二人は、ある日を境に接近していくが、互いに近づく勇気がないまま、関係をこじらせていく。
そんなじれじれな話です。
*学歴についての偏った見解が出てきますので、ご了承の上ご覧ください。(1/23追記)
*エセ関西弁とエセ博多弁が出てきます。
*拙著『神崎くんは残念なイケメン』の登場人物が出てきますが、単体で読めます。
ただし、こちらの方が後の話になるため、前著のネタバレを含みます。
*作品に出てくる団体は実在の団体と関係ありません。
関連作品(どれも政人が出ます。時系列順。カッコ内主役)
『期待外れな吉田さん、自由人な前田くん』(隼人友人、サリー)
『初恋旅行に出かけます』(山口ヒカル)
『物狂ほしや色と情』(名取葉子)
『さくやこの』(江原あきら)
『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい!』(阿久津)

まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様

年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25)
「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」
◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20)
「京都案内しようか?今どこ?」
再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。
「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」
「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
桜井 響華
恋愛
派遣受付嬢をしている胡桃沢 和奏は、副社長専属秘書である相良 大貴に一目惚れをして勢い余って告白してしまうが、冷たくあしらわれる。諦めモードで日々過ごしていたが、チャンス到来───!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる