助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません

和泉杏咲

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Fight 1 僕の時間をあげた分、対価は支払ってよね、お姉さん?

5.こんなところで何してるのかな?

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ふと、明日のことを考えると気が重くなり、深くため息をついた。

「ん?どうした?」

河西君はこういうスマートに心配するところがいいな、と思う。

「さっきアポようやく取れたんだけどさ……」
「良かったじゃん!」
「で、明日外出になるんよ」
「リモートはできない会社なのか?」
「社長がIT音痴」
「……どんまい」

最近は社会情勢の兼ね合いで、リモートでのアポも行っている人も多い。
が、私の手元にきたリストの人たちは皆なぜかIT音痴の企業が多く、漏れなく外出アポとなった……。

「……もらわないと……だよね……マネージャーに」
「規則だしな。外出を報告するの」

ちらと、横にある自販機を見る。

「どれ飲んだら、怒りに身を任せずに冷静にあの人と話せると思う?コーヒー?栄養ドリンク?マムシドリンク買った方がいいかな……」
「いや、直接話そうとしなくても、メールでいいじゃん」
「メールを書く時ですら震える」

怒りで、な。

「どこぞの恋愛の歌詞か」
「と、とにかく、冷静になるには、何を飲めばいいかな……」

私は立ち上がり、自販機の前に立った。
食堂の入り口が死角になった。

「あ、河西君も何か飲む?」
「おごりか?」
「おう、いつも話聞いてもらってるからね」
「それだったら今度食事にでも……」
「食事?……ああ、みんなで?慰労会、いいね~」
「いや……、そういうわけじゃないんだけど……」
「で、何がいい?」

そこで、河西君が黙った。
……飲み物、悩んでるのかな?

「ん~やっぱり、あのクソ上司に立ち向かうなら……これ……」
「おい……」
「でも、やっぱりオーソドックスにコーヒーかな、ねえ、河西君もコーヒー?」
「おい、高井さん」
「クソ生意気な上司と戦うには、エネルギー補給しないといけないから、糖分とミルクは多めでしょ?」
「おい!」
「何?決まった?」

河西君の方を振り返ったはずだ。
確かに、河西君の声がしたのだから。
間違いないだろう。
それなのに……。

「……仕事もしないで、こんなところで何してるのかな?」

今の今、話題になっていた人間……加藤涼介が、何故ここにいるのだろう。
鬼だから神出鬼没なのか。
そうに違いない。
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