社長、嫌いになってもいいですか?

和泉杏咲

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私を見て、ちゃんと見て

12.今日の雨音の唇は、しょっぱくて……ほんの少し血の味がした

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雨音の唇は、柔らかくて、いつも甘かった。
だけど、今日の雨音の唇は、しょっぱくて……ほんの少し血の味がした。

「しゃちょ……んんっ!」

雨音の息を整えるためだけに、軽く唇を離してから、また深く唇で繋がる。
舌を絡ませるキスを重ねる度、僕は雨音の虜になる。
彼女を自分の体の中にしまい込めたらいいのにと、変態と言われても仕方がないことを、いつも考えてしまう。

お互いの唾が繋がってしまうほどの、深くて長いキスをようやく終わらせてから、僕たちは見つめ合った。
この時間が、たまらなく好きだ、と思った。

「雨音……愛しているよ」
「私も……大好きです。愛してます。愛してるんです……だから……」

雨音の目から、また大粒の涙が溢れている。
僕はそれを、指で何度も拭いながら、雨音の次の言葉を待った。
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