社長、嫌いになってもいいですか?

和泉杏咲

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変わってしまった

1.新しい生活

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私も新社会人としての新しい生活が始まり、彼も会社の状況が一気に変化した。
恋人という立場になったものの、肉体関係を結んだのはたった1度だけ。
ラインでのやりとりが中心になり、近況報告を兼ねた食事をすることだけのデートばかりを重ねていた。

新人研修が落ち着いた6月。鎌倉に行った。彼のリクエストだった。
1つ1000円以上もするジェラートをビクビクしながら二人で分け合って食べたあと、紫陽花が有名なお寺を二人で手を繋いで登った。

その時に言われたのが「しばらく会えなくなる」ということ。
会社を立て直すことに集中しないといけない、本当に申し訳ないと頭を下げられてしまい、私は何も言えなかった。

この時、私も社長に聞いて欲しいことがたくさんあった。
せめて姿だけでも見られれば、声だけでも聞ければ、それだけで次の日も頑張ろうって思えたはず。
せめて15分でも話したい。
会いたい。
私の話を聞いて。
言いたいことが喉に突っかかって、唾と共にお腹に押し込まれる。
彼の悲しい顔だけは、どんな困り顔よりもずっと見たくないものだったので、私は「大丈夫です」の一言だけ返し、無言でそれぞれ家路についた。

それからの1年、ほとんど連絡取らないまま、今日まで来てしまった。
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