社長、嫌いになってもいいですか?

和泉杏咲

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インターンとしての最後

2.社長が誘ってくれた

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さすがに今回は私が主役だし……とも思った。それでも、普段の私ならきっと「仕事だからしょうがないか」と、ため息1つくらいはついただろう。
だけど、この日の私は「社長が誘ってくれた」というだけで、 今までにないような わくわくした気持ちでその飲み会の時を待っていたほどだった 。他のメンバーが誘ったら間違いなくこんな風には思わなかったと思うが。

この会社の最初にして最後の飲み会だったので、どんな雰囲気になるのか、私は実はこの時まで知らなかった。
これがまあ酷い。
この会社のメンバーは 面談の時に酒癖の悪さでも聞かれたのだろうか、と思う程、酒癖が悪い人を集めたのだろうか。
泣きながら恋人の愚痴を言う人。
こんこんと、説教ばかり壊れたからくり人形のように繰り返し呟く人。
何が面白いのかにもわからない話題に対してもケラケラケラケラ笑ってい人。
巻き込まれるのが嫌で、自分に配られた紙コップに注いだ、唯一飲める梅酒をちびちび飲みながら、傍観者でいることにした。

社長は、私とは正反対の位置に座っていた。
落ち着いた物腰で、ただひたすら、一本のワインをずっと飲んでいた。
よっぽどそれが気に入ったのだろうか、社長はそのボトルを誰とも共有せず、少し注いではじっと眺め、一口飲み、社員の話を聞いて、笑って、一口飲む。
そんな、丁寧に味わうようなの飲み方をしていた。
ほかの人間が、一気飲みに近いような激しい飲み方をしているので、余計にそんな彼の姿が私の心の中に目立った。
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