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楽園はすぐそばに?
1.余命通知
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突然のハプニングから、薔薇の為の共有スペースという、謎行動をする執事が現れて、彼のストーカー活動の一端を担う人が登場した昨日、私はこれ以上奴の傍には本当の意味ではいられないと悟らされたのだ。
目が覚めた時、暗かったはずの窓の外は明るく、私はワンピースを着たままではあったが、しっかりと布団が掛けられていた。
その横には、上半身裸の奴がいびきもかかずに綺麗な寝顔で横たわっていた。
「お目覚めですか?」
二人きりだと思って、眠ってる間にちょっかいでもだしてやろうと奴の頬をつねった瞬間、ふすまが開けられ、ぴっちりスーツを着込んだあの薔薇老人が、爽やかに立っていたのだ。
「覚えていらっしゃいますか?」
「貴方達が夜に乱入した事ですか?」
「出過ぎた事をしたのでしたら申し訳ありません」
「出過ぎた事というよりは近所迷惑というか……」
「これも主人の為ですのでお許しいただけたらと思います」
そう言いながら、山田氏は奴の体に自分のジャケットをかけてやる。
「布団……ありますけど」
「貴婦人の寝具に手を出すほど、清様は飢えてはおりません」
そう言うと、清は私が何も言っていないのにあの薬を持ってきた。
「あの……」
この人は、この薬が何を指示しているのか分かっているのだろうか。飲まなくてはいけない水の分量も正確に計られている。
「申し訳ありませんでした」
「え?」
何故、この人が真剣な表情で謝っているのだろうか。
「私の調査で雪穂様のご病気をもう少し早く突き止めていればこんな事にはならなかったのに……」
調査って、やはり奴のストーカーの一端はお前が担っていたのか。
分かっていたけど淡々と言われると逆にこちらが恥ずかしい。
仕事として自分のスリーサイズまで記録されていたなんて……。
山田氏が指摘した通り、私の余命は残りわずかになってしまっていたのだ。
今年の4月末、頭痛が止まらず救急車で運ばれてはっきりしたのだ。
てっきり奴へのストレスのせいだと思い、精神安定剤の一つでも貰えれば御の字だと思っていた中での
「冬まで持たない」
と、はっきりとした余命通知だった。
目が覚めた時、暗かったはずの窓の外は明るく、私はワンピースを着たままではあったが、しっかりと布団が掛けられていた。
その横には、上半身裸の奴がいびきもかかずに綺麗な寝顔で横たわっていた。
「お目覚めですか?」
二人きりだと思って、眠ってる間にちょっかいでもだしてやろうと奴の頬をつねった瞬間、ふすまが開けられ、ぴっちりスーツを着込んだあの薔薇老人が、爽やかに立っていたのだ。
「覚えていらっしゃいますか?」
「貴方達が夜に乱入した事ですか?」
「出過ぎた事をしたのでしたら申し訳ありません」
「出過ぎた事というよりは近所迷惑というか……」
「これも主人の為ですのでお許しいただけたらと思います」
そう言いながら、山田氏は奴の体に自分のジャケットをかけてやる。
「布団……ありますけど」
「貴婦人の寝具に手を出すほど、清様は飢えてはおりません」
そう言うと、清は私が何も言っていないのにあの薬を持ってきた。
「あの……」
この人は、この薬が何を指示しているのか分かっているのだろうか。飲まなくてはいけない水の分量も正確に計られている。
「申し訳ありませんでした」
「え?」
何故、この人が真剣な表情で謝っているのだろうか。
「私の調査で雪穂様のご病気をもう少し早く突き止めていればこんな事にはならなかったのに……」
調査って、やはり奴のストーカーの一端はお前が担っていたのか。
分かっていたけど淡々と言われると逆にこちらが恥ずかしい。
仕事として自分のスリーサイズまで記録されていたなんて……。
山田氏が指摘した通り、私の余命は残りわずかになってしまっていたのだ。
今年の4月末、頭痛が止まらず救急車で運ばれてはっきりしたのだ。
てっきり奴へのストレスのせいだと思い、精神安定剤の一つでも貰えれば御の字だと思っていた中での
「冬まで持たない」
と、はっきりとした余命通知だった。
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