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夏の暑さと君の熱さと
6.至福の時間
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この時ばかりは、もし母が離婚さえしていなければ彼と関わる事が一度も無かったのにと恨みの一つも言いたくなった。
父親に対しては勿論、会った瞬間死刑宣告をしてやる。
勿論、最初から奴に対して敵意があった訳ではない。
そこまで性格はまだねじ曲がってはいない……はずだ。
それどころか、「悠木 清」が転校すると聞いた時は、あの超人類の技を間近で見られるなんて、なんて美味しい体験ができるのだろうと、ミドリムシ程度の大きさのミーハー心が小躍りしたくらいだ。
小学校の時に色々「世話」になったあいつらにですら湧き上がらなかった敵意が泉のごとくぼこぼこっと湧き上がるきっかけとなる出来事は、新学期当日の、新しい一年に相応しい、穏やかな陽光と桜の香りが漂う朝に起きた。
帝東学園は始業ベルが鳴る一時間前から教室に入っても良い事になっていた為、私は毎日早い時間の、子供は誰も乗っていない快適な電車で登校し、始業開始十五分前まで誰一人として現れなかった、学校に併設されている図書館で一人勉強をするのが日課だった。
木々の枝や葉が風によって奏でられる、この時間でなければ聞くことができない微かな音が私の心を穏やかにしてくれる。
ああ、なんという至福の時間。
ところがその日だけは勝手が違っていた。
父親に対しては勿論、会った瞬間死刑宣告をしてやる。
勿論、最初から奴に対して敵意があった訳ではない。
そこまで性格はまだねじ曲がってはいない……はずだ。
それどころか、「悠木 清」が転校すると聞いた時は、あの超人類の技を間近で見られるなんて、なんて美味しい体験ができるのだろうと、ミドリムシ程度の大きさのミーハー心が小躍りしたくらいだ。
小学校の時に色々「世話」になったあいつらにですら湧き上がらなかった敵意が泉のごとくぼこぼこっと湧き上がるきっかけとなる出来事は、新学期当日の、新しい一年に相応しい、穏やかな陽光と桜の香りが漂う朝に起きた。
帝東学園は始業ベルが鳴る一時間前から教室に入っても良い事になっていた為、私は毎日早い時間の、子供は誰も乗っていない快適な電車で登校し、始業開始十五分前まで誰一人として現れなかった、学校に併設されている図書館で一人勉強をするのが日課だった。
木々の枝や葉が風によって奏でられる、この時間でなければ聞くことができない微かな音が私の心を穏やかにしてくれる。
ああ、なんという至福の時間。
ところがその日だけは勝手が違っていた。
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