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第5章
呪い
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陛下は、そう言いながら、ドラゴンの肩から涼しい顔で飛び降ります。
……地面に辿り着くスピードを、風の力で緩やかにしたのでしょう。
優雅に着地しておりました。
ドラゴンは陛下が着地したのを見届けたかのように、その場で崩れ落ちました。
「はっはっはっ。……お前はもう、死を待つだけだと思っていたからなぁ……」
「俺だって、そう思っていましたよ」
「三年前、お前がこの王都に来てから、せっかくわしが目をかけてやったと言うのに……よくもこんな真似ができたな。次の後継者を見届けてから死にたいだろうと、わざわざ、この選抜試験の監視役につかせては見たものの……まさか、こんな風に肉体が戻るなんて、な。……本来なら、即斬首したいところだったが」
陛下が、一瞬私を見て、不気味な笑みを浮かべました。
「嬉しい誤算が見られたから、良しとする、か」
「陛下……どこまで魔術師を愚弄すれば気が済むのですか」
「愚弄?どこが?ちゃんと、役割を果たさせてあげているではないか」
「選抜試験と言う名目で、魔術師を惨殺することが、か」
「王の為に尽くすという、お前らの望みを叶えてやったではないか」
「陛下や殿下の正体を知っていたら、決して目指したりはしなかった。誰もな」
「しかし、お前は、あの試験でたった一人、生き残った。実に、見事だった」
「レイン、どういうことですか?どうして、あんな姿に……?」
「ほう、其方らは知り合い……以上の関係のようじゃな」
「やめろ、スノウには手を出すな」
「そうもいかないな……」
呪い。
老化。
確かに、陛下はそう言いました。
ふと、さっき聞いたばかりの話を思い出しました。
あるべき論理、古くからの必然を根底から変えてしまうということは、どこかに大きな歪みが起こる……と。
そしてその歪みが、災害を引き起こしたと……。
「まさか……レイン、さっきの話……」
「言うな!スノウ!」
……地面に辿り着くスピードを、風の力で緩やかにしたのでしょう。
優雅に着地しておりました。
ドラゴンは陛下が着地したのを見届けたかのように、その場で崩れ落ちました。
「はっはっはっ。……お前はもう、死を待つだけだと思っていたからなぁ……」
「俺だって、そう思っていましたよ」
「三年前、お前がこの王都に来てから、せっかくわしが目をかけてやったと言うのに……よくもこんな真似ができたな。次の後継者を見届けてから死にたいだろうと、わざわざ、この選抜試験の監視役につかせては見たものの……まさか、こんな風に肉体が戻るなんて、な。……本来なら、即斬首したいところだったが」
陛下が、一瞬私を見て、不気味な笑みを浮かべました。
「嬉しい誤算が見られたから、良しとする、か」
「陛下……どこまで魔術師を愚弄すれば気が済むのですか」
「愚弄?どこが?ちゃんと、役割を果たさせてあげているではないか」
「選抜試験と言う名目で、魔術師を惨殺することが、か」
「王の為に尽くすという、お前らの望みを叶えてやったではないか」
「陛下や殿下の正体を知っていたら、決して目指したりはしなかった。誰もな」
「しかし、お前は、あの試験でたった一人、生き残った。実に、見事だった」
「レイン、どういうことですか?どうして、あんな姿に……?」
「ほう、其方らは知り合い……以上の関係のようじゃな」
「やめろ、スノウには手を出すな」
「そうもいかないな……」
呪い。
老化。
確かに、陛下はそう言いました。
ふと、さっき聞いたばかりの話を思い出しました。
あるべき論理、古くからの必然を根底から変えてしまうということは、どこかに大きな歪みが起こる……と。
そしてその歪みが、災害を引き起こしたと……。
「まさか……レイン、さっきの話……」
「言うな!スノウ!」
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