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第5章

まさかの再会

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その時

「スノウ!」

私の名前が呼ばれました。
体がグイッと引き寄せられ抱きしめられました。
あの人でした。
ドラゴンと私の間に入ってきました。
私の火の粉が当たってしまいました。

「ああ!」

火の粉を人間に当てるなんて、私は何と言うことをしたのでしょう。
苦しそうな呻き声上げています。
打ちどころが悪かったのかもしれません。
殺してしまったかもしれません。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」

その時、その人のシワだらけの顔と、骸骨のような手が徐々に若々しくなっているのが見えました。
そして、

「氷よ!貫け!」

そのドラゴンの大きな口に、氷の刃が下から脳天貫いて突き刺さります。
ぎゃああああああああああと、ドラゴンが暴れ出します。
その人が、私を抱えて、あっという間にドラゴンから距離を取ります。
……その顔は……。

「レイン」
陛下が、その名を呼びます。
「まさか……お前……元に戻れたと言うのか」
「……お陰様で、と、言っておきましょう……か……」
精悍な体つき。
少し低くなった、懐かしい声。
腰を抜かし、完全に寄りかかっている私を見つめる彼の顔は、間違いなく記憶の彼……レインでした。

「レイン?レインなのですか……!本当に……?」

私は、本物なのか確かめたくて、手を彼の頬に伸ばしますが、彼に手を掴まれ、そのまま下ろされました。
「話は後だ、スノウ、捕まってろ」
そう言うと、レインはドラゴンに向き直ります。
ドラゴンは、レインの刃で苦しんでいます。
レインは、私の肩を抱いたまま、一歩、二歩と下がりました。

「可哀想なことを……。……よくもしてくれたねぇ、レイン」
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