最弱魔術師が初恋相手を探すために城の採用試験を受けたら、致死率90%の殺戮ゲームに巻き込まれました

和泉杏咲

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第4章

人食い蝙蝠

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「な、なんで……」
「こいつらのせいだ」
その人が背後から現れ、地面を指差しました。
肩で苦しそうに息をしながら。

「こいつらって……」
「人食い蝙蝠こうもりだ」
「え!」

地元に飛んでいた蝙蝠は、肉食でしたが、人を襲うとは聞いたことはありません。
「畜生……こんなのまで生み出してやがったのか……」
 その人が、とても悔しそうにしているのが、声色で分かりました。
「生み出す?」
(誰が?どうして?) 

キャンプ用具や寝袋が転がっています。
死んだ受験生の持ち物だったのでしょう。
「……ちっ。普通に寝ようとする馬鹿だったのか」
「ちょっと……何も……そんな言い方しなくても……」
「油断してると、すぐに殺られる。それが、この試験だ」

振り返れば、油断という言葉を使う度に、私は怒られていました。
それは、まるで……。

「……この試験の事……知っていたんですか?」
私の問いかけには答えず、その人は床に落ちていた二匹の蝙蝠の死体を掴みました。
「何してるんですか!」
「腹ごしらえ用」
「……え?……」
 再びの吐き気が私を襲いましたが、吐けるほど、私の胃には何か詰まっておりませんでした。
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