40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで

和泉杏咲

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1.人生最後のデートだと思っていたのに

運命の日 12/やっぱり

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薄いピンクや黄色といった、パステルカラーに、ちょっと個性的な柄。
帯にはキラキラ輝く帯留めが、コーディネートの良さを引き立てている。
きっと……私が着てしまえば、良さを殺してしまう。
そんな浴衣を完璧に着こなした、SNS映え間違いない美女達が、氷室さんと話をしていた。
私は、ほぼ無意識にスマホでシャッターを切った。

(やっぱり……こっちの方が、氷室さんはずっと絵になる)

今日私は、氷室さんから

「一緒に撮りませんか?」

と、さつまいもスイーツを堪能している時や、この神社に車での間に何度か聞かれた。

「いえ……私……自分の写真を撮るのは嫌なんです」

そう誤魔化して、逆に1枚、氷室さんがスイーツを頬張っている写真を撮ってしまった。斜め右からの角度が、氷室さんの鼻の高さを際立たせていて、我ながらとてもよい写真を撮れたと、自画自賛したくなった程。
今撮影した写真も、WEBデザイナーとしては浴衣や和菓子など、和風の何かを宣伝する時に使えそうだと思った。
……一瞬、本気で許可を取りに声をかけに行こうかとも迷ったけれど、あのメンバーの中に割って入る勇気は持てなかった。
私はそのままその写真を削除してから、メッセージの画面を開いた。

ーーーーーーーーーーーー
体調が悪くなりました。
先に帰ります。
申し訳ございません。
ーーーーーーーーーーーー

自然と、打ち込めた。
きっと、無意識にこの文言が頭の片隅にあったのだろう。
送信するかどうかは、躊躇わなかった。
私は、氷室さんがこちらを見ていない隙に送信ボタンを押し、氷室さんに見つからないように人混みに紛れながら鳥居を出た。
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