46 / 84
1.人生最後のデートだと思っていたのに
運命の日 10/神社にて
しおりを挟む
(うわぁ……綺麗……)
大きくそびえ立つ鳥居をくぐり抜けると、雑誌で見るよりも、ずっと現実的で賑やかな空間が広がっていた。
ここには、色鮮やかなの江戸風鈴が2000個飾られている風鈴回廊が夏の間設置されていて、涼やかな音を奏でている。
その回廊を見ようと、たくさんの人が行列を作っていた。
「並びますか?」
氷室さんはそう聞いてくれたが、私は首を振った。
「何故?」
「きっと、時間がかかってしまうでしょうから、また今度機会があればでいいです」
私はいくつかある理由の内、それだけ言った。
「しかし……」
「それより氷室さん、お参りしませんか?」
私は、氷室さんが何かを言いかけたのを遮るかのように、風鈴の行列よりずっと人が少ない本殿の方に誘った。
ここは、縁結びで有名な神社。
いつか出会うであろう、恋人との縁を真剣に願う人達や、今側にいる恋人との縁を深めたいと考える人達の想いが集まっている場所。
そんな場所に、自分なんかが氷室さんのような人と来ていることが、やっぱり申し訳ないと思ってしまう。
(せめて、氷室さんにいい人が現れますように。私なんかより、ずっと……って、願わなくても大丈夫か、氷室さんなら)
そんなことを、100円のお賽銭だけでじっくり祈りつつ考えていた。
その時間が、少し長かったのだろう。
横にいたはずの氷室さんは、いつの間にか賽銭箱の前から離れて、人混みの中にいた。
(何をしているんだろう……?)
「森山さん」
氷室さんが手招きをしてくるので、近づいてみた。
するとそこにあったのは、小さな釣竿と、たくさんの鯛の形をしたおみくじだった。
大きくそびえ立つ鳥居をくぐり抜けると、雑誌で見るよりも、ずっと現実的で賑やかな空間が広がっていた。
ここには、色鮮やかなの江戸風鈴が2000個飾られている風鈴回廊が夏の間設置されていて、涼やかな音を奏でている。
その回廊を見ようと、たくさんの人が行列を作っていた。
「並びますか?」
氷室さんはそう聞いてくれたが、私は首を振った。
「何故?」
「きっと、時間がかかってしまうでしょうから、また今度機会があればでいいです」
私はいくつかある理由の内、それだけ言った。
「しかし……」
「それより氷室さん、お参りしませんか?」
私は、氷室さんが何かを言いかけたのを遮るかのように、風鈴の行列よりずっと人が少ない本殿の方に誘った。
ここは、縁結びで有名な神社。
いつか出会うであろう、恋人との縁を真剣に願う人達や、今側にいる恋人との縁を深めたいと考える人達の想いが集まっている場所。
そんな場所に、自分なんかが氷室さんのような人と来ていることが、やっぱり申し訳ないと思ってしまう。
(せめて、氷室さんにいい人が現れますように。私なんかより、ずっと……って、願わなくても大丈夫か、氷室さんなら)
そんなことを、100円のお賽銭だけでじっくり祈りつつ考えていた。
その時間が、少し長かったのだろう。
横にいたはずの氷室さんは、いつの間にか賽銭箱の前から離れて、人混みの中にいた。
(何をしているんだろう……?)
「森山さん」
氷室さんが手招きをしてくるので、近づいてみた。
するとそこにあったのは、小さな釣竿と、たくさんの鯛の形をしたおみくじだった。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
お見合い相手は大嫌いな同級生だった!
桜川椿
恋愛
「雪乃、明後日の日曜日にお見合い決定やから!」と突然母に言われ
付き合っている相手もいなく
三十路手前の私、羽山雪乃27歳には断る理由もすべもなく仕方なくお見合いを受けるはめになった・・・。
そしてお見合いの席で私は中学の時の同級生、横山丈一郎と再会した・・・。
「雪乃久しぶりやなぁ」と大嫌いな奴が爽やかな笑顔で私に微笑み立っていた・・・。
お見合いの相手が、まさかの同級生・・・その頃の奴の一言のせいで私はトラウマになったんや!!!
誰がアンタなんかと結婚するか!!
絶対に断ったるからな!!
カクヨム、エブリスタにも投稿しています!
表紙はPicrewの「現代和装女子」で作りました☺https://picrew.me/share?cd=uu2X4Fht5t #Picrew
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
イケメン御曹司、地味子へのストーカー始めました 〜マイナス余命1日〜
和泉杏咲
恋愛
表紙イラストは「帳カオル」様に描いていただきました……!眼福です(´ω`)
https://twitter.com/tobari_kaoru
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は間も無く死ぬ。だから、彼に別れを告げたいのだ。それなのに……
なぜ、私だけがこんな目に遭うのか。
なぜ、私だけにこんなに執着するのか。
私は間も無く死んでしまう。
どうか、私のことは忘れて……。
だから私は、あえて言うの。
バイバイって。
死を覚悟した少女と、彼女を一途(?)に追いかけた少年の追いかけっこの終わりの始まりのお話。
<登場人物>
矢部雪穂:ガリ勉してエリート中学校に入学した努力少女。小説家志望
悠木 清:雪穂のクラスメイト。金持ち&ギフテッドと呼ばれるほどの天才奇人イケメン御曹司
山田:清に仕えるスーパー執事
皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する
真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる