36 / 84
1.人生最後のデートだと思っていたのに
予期せぬ展開 7/行きます
しおりを挟む
斜め45度から撮影してみたり、あえて真上から撮影をしてみるなど、複数枚撮影をした後、私と氷室さんはそれぞれクリームソーダに口つけた。
私はくまさんで、氷室さんはパンダさん。
クールな表情で、パンダさんをうまくよけながらソーダ水を飲んでいるのが、少し面白い。
(やっぱり、これで良かったんだ……)
もし違っていても、これなら変に気遣われることもない。
婚活やった頃に少し読んだ、プライドが高い男性とのデートのコツが、まさかこんなところで役立つなんて思わなかった。
当時は無駄だ、と思っていたものが、後になって生きるなんて、人生は何があるか分からない。
(どうせなら……こういう男性ともう2度と喫茶店になんてこないだろうし……)
私は、思い切って気になる事を色々聞いてみよう、と思た。
「氷室さんは、甘いもの……お好きなんですか?」
「……変ですかね」
「何故そう思うんです?」
「……女性の方々は、俺が甘いものを食べることに違和感を感じるみたいで……」
「……確かに氷室さん、意識高い系の食事してそう。医者だし」
「職業も関係あるんですか?」
「イメージの押し付けじゃないですか?あとはゲームとか漫画でのキャラ付けとか。でも氷室さんのような男性が甘いもの好きだなんて、ギャップ萌えでいいと思いますけど」
「ギャップ萌えとは?」
「それはですね……」
このようにして、私と氷室さんは、いつのまにかソーダ水が氷まで溶けてしまうまで、たわいもないおしゃべりを楽しんだ。
「そういえば、先ほどの写真はどうするんですか?」
氷室さんが写真のことを聞いてきたので
「見ます?」
と聞きながら、私はスマホに自分のSNSの画面に表示させて、氷室さんに見せた。
「こんな風にSNSに投稿する予定です」
「そうなんですか……」
まじまじと、不思議そうに画面を眺める氷室さんだったが、急に
「素敵ですね」
などと、聞く人によっては、爆弾にもなりうるセリフを吐いた。
「あ、ありがとうございます」
私は何事もない風に装ってはみたけれど、内心は
(別に自分の容姿とかが褒められたわけじゃないのに、何照れてんの!)
と、狼狽えていた。
「これは?」
氷室さんが、画面を指差すので、何かと思って見てみると、
とても可愛い、インスタ映えを意識したカフェラテの写真だった。
「私の最寄駅にあるカフェなんですけど……メルヘンな雰囲気が人気なんですよね。私も気分転換にここでラテを飲みながら、読書することもあるんですよ」
「へえ……」
まじまじと、氷室さんが見ていた。
あまりにも真剣だったので、つい
「興味があるなら連れていきましょうか?」
などと言ってしまった。
でも……。
(なんてね。言ってみたかっただけだし……)
こういうのに興味があるからと言って、別に一緒に行きたい人がいる確率の方が圧倒的に高いだろう。
むしろその方が、今日の婚活を嫌がった理由も説明できる。
なので……。
「場所なんですけど……」
私は、自分のメモ帳に住所と行き方を書いて、それをひむろさんに渡そうとした。
ところが、またもやここで想定外が起きた。
「行きます」
「……へ?」
私はくまさんで、氷室さんはパンダさん。
クールな表情で、パンダさんをうまくよけながらソーダ水を飲んでいるのが、少し面白い。
(やっぱり、これで良かったんだ……)
もし違っていても、これなら変に気遣われることもない。
婚活やった頃に少し読んだ、プライドが高い男性とのデートのコツが、まさかこんなところで役立つなんて思わなかった。
当時は無駄だ、と思っていたものが、後になって生きるなんて、人生は何があるか分からない。
(どうせなら……こういう男性ともう2度と喫茶店になんてこないだろうし……)
私は、思い切って気になる事を色々聞いてみよう、と思た。
「氷室さんは、甘いもの……お好きなんですか?」
「……変ですかね」
「何故そう思うんです?」
「……女性の方々は、俺が甘いものを食べることに違和感を感じるみたいで……」
「……確かに氷室さん、意識高い系の食事してそう。医者だし」
「職業も関係あるんですか?」
「イメージの押し付けじゃないですか?あとはゲームとか漫画でのキャラ付けとか。でも氷室さんのような男性が甘いもの好きだなんて、ギャップ萌えでいいと思いますけど」
「ギャップ萌えとは?」
「それはですね……」
このようにして、私と氷室さんは、いつのまにかソーダ水が氷まで溶けてしまうまで、たわいもないおしゃべりを楽しんだ。
「そういえば、先ほどの写真はどうするんですか?」
氷室さんが写真のことを聞いてきたので
「見ます?」
と聞きながら、私はスマホに自分のSNSの画面に表示させて、氷室さんに見せた。
「こんな風にSNSに投稿する予定です」
「そうなんですか……」
まじまじと、不思議そうに画面を眺める氷室さんだったが、急に
「素敵ですね」
などと、聞く人によっては、爆弾にもなりうるセリフを吐いた。
「あ、ありがとうございます」
私は何事もない風に装ってはみたけれど、内心は
(別に自分の容姿とかが褒められたわけじゃないのに、何照れてんの!)
と、狼狽えていた。
「これは?」
氷室さんが、画面を指差すので、何かと思って見てみると、
とても可愛い、インスタ映えを意識したカフェラテの写真だった。
「私の最寄駅にあるカフェなんですけど……メルヘンな雰囲気が人気なんですよね。私も気分転換にここでラテを飲みながら、読書することもあるんですよ」
「へえ……」
まじまじと、氷室さんが見ていた。
あまりにも真剣だったので、つい
「興味があるなら連れていきましょうか?」
などと言ってしまった。
でも……。
(なんてね。言ってみたかっただけだし……)
こういうのに興味があるからと言って、別に一緒に行きたい人がいる確率の方が圧倒的に高いだろう。
むしろその方が、今日の婚活を嫌がった理由も説明できる。
なので……。
「場所なんですけど……」
私は、自分のメモ帳に住所と行き方を書いて、それをひむろさんに渡そうとした。
ところが、またもやここで想定外が起きた。
「行きます」
「……へ?」
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる
えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。
一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。
しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。
皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
ドS御曹司の花嫁候補
槇原まき
恋愛
大手化粧品メーカーで研究員として働く、二十九歳の華子。研究一筋で生きてきた彼女は、恋とは無縁ながら充実した毎日を送っていた。ところがある日、将来を案じた母親から結婚の催促をされてしまう。かくして華子は、結婚相談所に登録したのだけれど――マッチングされたお相手は、勤務先の社長子息!? 人生イージーモードだった御曹司サマが 、独占欲を剥き出しにして無自覚な子羊を捕食する! とびきり濃厚なマリッジ・ロマンス。

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
キミノ
恋愛
職場と自宅を往復するだけの枯れた生活を送っていた白石亜子(27)は、
帰宅途中に見知らぬイケメンの大谷匠に求婚される。
二日酔いで目覚めた亜子は、記憶の無いまま彼の妻になっていた。
彼は日本でもトップの大企業の御曹司で・・・。
無邪気に笑ったと思えば、大人の色気で翻弄してくる匠。戸惑いながらもお互いを知り、仲を深める日々を過ごしていた。
このまま、私は彼と生きていくんだ。
そう思っていた。
彼の心に住み付いて離れない存在を知るまでは。
「どうしようもなく好きだった人がいたんだ」
報われない想いを隠し切れない背中を見て、私はどうしたらいいの?
代わりでもいい。
それでも一緒にいられるなら。
そう思っていたけれど、そう思っていたかったけれど。
Sランクの年下旦那様に本気で愛されたいの。
―――――――――――――――
ページを捲ってみてください。
貴女の心にズンとくる重い愛を届けます。
【Sランクの男は如何でしょうか?】シリーズの匠編です。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる