40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで

和泉杏咲

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1.人生最後のデートだと思っていたのに

予期せぬ展開 1/何故……私はこんなところにいるのだろう?

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まるで映画のような出来事が起きてから、約1時間後。
私は、先ほどまでいたタワマンからはそんなに離れていない場所にある、隠れ家のような喫茶店に来ている。
テレビや雑誌で特集されていたのを、見たことがある程、有名なところ。
オシャレな室内と、変わり種のかき氷が有名。
そして私の目の前には、とても大きくて、見たこともないようなかき氷が置かれる。
白い氷に、パステルカラーレインボー色のソースがかかっている。
さらにその上には、鞠のような丸いお菓子が散りばめられている。

(かっ……可愛い……!!)

まさに、SNS映えを意識している。
私はつい無意識にスマホで写真を撮ろうとしたが、はたと気が付く。

(そうだ、私今1人じゃないんだ……!)

ちらり、と顔をあげて目の前にいる人を見る。
氷室さんが、こちらをじっと見ていた。
そして、そんな氷室樹を、喫茶店にいる女性陣がチラチラと見ているのも、見えた。

(何故……私はこんなところにいるのだろう……?それも、こんなすごい人と……)

私がスプーンを咥えたまま、考え事をしていると

「溶けますよ」
「え!?」

急に氷室さんに話しかけられて、びっくりした私は、スプーンを飲み込みそうになった。

「かき氷、溶けてます」
「あ、はい、そうですね……!」

私は、急いでスプーンでかき氷をすくって、口に放り込む。
冷たさが、体に沁みる……。
甘さがとっても優しい……。
体が、生き返るようだ……と思いながら、頭が痛くならない程度に、どんどん氷を口の中に入れていく。

そうこうしている内に、私のかき氷はあっという間にほとんどが水分になり、代わりに氷室さんの席には彼が頼んだパンケーキが置かれた。

「あの……」

私は、スープを飲むようにかき氷だったものを飲みながら、恐る恐る氷室さんに尋ねた。
氷室さんは、パンケーキを切り分けながら私の方に視線を向ける。

「私……何で、こんなところに連れてこられたんでしょうか?」

私が氷室さんと2人で、都心のオシャレな喫茶店にいる理由。
それは、タワマンを出てすぐの、私と彼とのある会話がきっかけ。
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